【文徒】2015年(平成27)10月21日(第3巻197号・通巻642号)

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1)【記事】「春画」を猥褻視することが猥褻だと思う
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「春画」を猥褻視することが猥褻だと思う

千葉市には未公開の春画コレクションが眠っている。熊谷俊人ツイッターで明かした。
「実は千葉市美術館も浮世絵に注力している関係で豊富な春画コレクションを持っていますが、莫大な公費を投入したにも関わらず、未だに一度も展示されていません」
https://twitter.com/kumagai_chiba/status/655590795601313792
「市長就任時に春画コレクションの項目を見た時、その充実した内容に驚き、非常に複雑な気持ちになりました。
『一度も展示していないのは文化的損失だ』と思うと同時に『なぜ、これほどの作品群を貴重な税金で購入してしまったのか』と当時の意思決定を不思議に感じました。今回の議論を注視しています」
https://twitter.com/kumagai_chiba/status/655592171878268928
春画に関しては小林忠前館長とも『開催したいですよね』と話し合ったことがあります。
いきなり公立美術館で開催は難しいので、まずは民間美術館で企画展が行われ、その後千葉市美術館所蔵の作品を外部で開催し、いつの日か千葉市美術館本体で、という流れを想定しており、少しずつ前に進んでいます」
https://twitter.com/kumagai_chiba/status/655627806223654912
コレクションして一度も展示しないというのは税金の無駄遣いなのでは?「春画」が猥褻とは、私にはどうしても思えない。ところが、警視庁は「春画」を掲載した「週刊ポスト」(小学館)、「週刊現代」(講談社)、「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)、「週刊大衆」(双葉社)の四誌に口頭指導していたそうだ。読売新聞は次のように書いている。警視庁は、言わば「合わせ技」を問題にしているようだ。
「同庁幹部によると、春画そのものは違法となる『わいせつ図画』に当たらないが、別ページで女性のヌード写真を掲載したり、掲載作品の一部が男女の性器が見える内容だったりしたことから、『わいせつ性が強調される』として配慮を求めたという」
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151019-OYT1T50097.html
産経の「春画はわいせつ? 文春編集長の休養“処分”に波紋 宇多田ヒカルは『当時の日本人を身近に感じられた…』」は良記事であった。
http://www.sankei.com/life/news/151018/lif1510180014-n1.html
産経抄」は更に踏み込んで次のように書いているが、その通りだと思う。
「明治の初期、廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、仏像は破壊の対象にすぎなかった。それを日本人がありがたがるようになったのは、お雇い外国人として来日したフェノロサが、『すばらしい芸術だ』と称えてからだ。歴史が繰り返しているとすれば、すこし情けない」
http://www.sankei.com/column/news/151020/clm1510200004-n1.html

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2)【本日の一行情報】

◎TBS日曜劇場「下町ロケット」が18日に2時間スペシャルでスタートしたが、平均視聴率は16・1%と好スタートを切った。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/10/19/kiji/K20151019011343800.html
むろん原作は池井戸潤。しかも直木賞受賞作。原作の小学館文庫は累計で130万部を突破している。テレビドラマ化により、更に売り伸ばしが期待できよう。続編の「下町ロケット2ガウディ計画」が11月5日に発売となる。
http://www.shogakukan.co.jp/pr/rocket/
http://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/cast_staff/

Netflixの独占配信により映像化される又吉直樹の「火花」のスタッフ・キャストが決まった。林遣都波岡一喜門脇麦が出演し、全10話の総監督を廣木隆一が務める。
http://realsound.jp/movie/2015/10/post-307.html

インプレスR&Dは、プリント・オンデマンド(POD)を利用した新しい出版流通網を、出版社を含むすべてのコンテンツ保有企業を対象にサービス提供を開始した。このPOD出版流通網は、書籍取次による委託販売を主とする「伝統的出版」、電子書籍書店による電子メディア販売の「電子出版」に次いで、第三の出版方式である「POD出版」の新しい流通網を志向する。PODを設置した書店自ら印刷・製造して販売するため、販売価格の決定権は書店側にあり、非再販商品になるそうだ。
http://www.impressrd.jp/news/151016_2/NP

◎世界の100ヶ国以上の旅行者や出張者に利用されているという旅程管理アプリ「トリップケース」(TripCase)の日本語版がリリースされた。
http://jp.sabretravelnetwork.com/images/uploads/TripCaseSep15JPSR.html
http://jp.tripcase.com/

文藝春秋は、ラグビーワールドカップにおける日本代表を特集した「Sports Graphic Number」緊急増刊号の4刷り(5万部)を決定。これで累計発行部数は20万部。
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2015/10/19/kiji/K20151019011349850.html

北条司のマンガ「シティーハンター」生誕30周年を記念した切手セットが発売される。現在は、リメイク作「Angel Heartエンジェル・ハート 2ndシーズン」が「コミックゼノン」(徳間書店)で連載されている。
http://anime.eiga.com/news/101415/
北条司原画展」も新宿住友ビルで開かれている。
http://www.comic-zenon.jp/2015/10/post-6.html

日清シスコは、女性向け実用誌「Mart」と共同開発した第1弾「シスコーン×Mart 焦がしキャラメル味」が好評であったため、第2弾「シスコーン×Mart 抹茶味」を11月2日から期間限定で発売する。
https://www.nissin.com/jp/news/4785

◎日刊スポーツによれば「タレントでモデル紗栄子(28)が、資産約2000億円の前沢友作氏(39)と交際していることが18日、分かった」そうだ。前沢はファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの創業者にして社長である。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1554566.html

◎林智彦が「『緊デジ』問題を読み解く11の疑問(後編)」において、「緊デジ」は、「実質半年で6万点電子化」という目標設定に、すでに無理があったし、そのベースとなった「デジタル機構」の「100万点電子化」に合理性はないと鋭く指摘している。
しかし、何よりも問題なのは、私も昨年来、指摘しているように「版元名もない書名だけのリストをサイトに公開して、あとは秘密、という態度」に他なるまい。これをクリアしなければ、何を主張しても疑いの目で見られてしまうのだ。思い起こせばJPOは設置を約束した第三者委員会を遂に発足させることなく今日に至っている。こんないい加減なJPOをこのまま放置しておいて良いのだろうか。
http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35072110/

◎結局、アマゾンは「やらせレビュー」で1114人を訴えた。日本でもやってもらいたいところだ。
http://www.47news.jp/CN/201510/CN2015102001001101.html

嫌韓嫌中本も日本自画自賛本も同じ穴の貉であるケースが多い。
http://netgeek.biz/archives/53362

◎Hatenaがオウンドメディアの編集長を募集している。
http://hatenacorp.jp/recruit/career/owned-media-editor-entry

◎私は「妊娠小説」で従来の文学史を鮮やかに転覆させてみた斎藤美奈子の大胆不敵な快刀乱麻を時には抱腹絶倒しながら一貫して支持して来た。ちょうど半藤一利が「左翼」に見え始めたころから、私は斎藤の文章をニヤつきながら読めなくなってしまったのである。斎藤の快刀乱麻に衰えは全くないのだが、いつのまにかそれは「芸」ではなくなってしまったといえば良いのかもしれない。この「ニッポン沈没」にしてもそう。私は「芸」を楽しむのではなく、ついつい「論」を真剣に読んでしまうのだ。
「今度の選挙結果は彼らが提唱する方法論の限界を図らずも露呈したのではないか。『お任せ型から参加型へ』は政治参加の第一歩としては正しい。デモも正しい。しかし重要なのは、デモを議会に結びつける第二歩だ。代議制を笑う者は、代議制に泣くのである」
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815262/

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、急成長するブラジルのモバイル広告市場に対応するため、同国のモバイルマーケティング・エージェンシー 「Pontomobi Tecnologia Informatica, Ltda.」の株式100%を取得。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/1015-006270.html
電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、インドにおいて顧客企業の関心が高まり市場が活性化しているアクティベーション領域に強みを持つマーケティング会社「Fountainhead Entertainment Pvt. Ltd」の株式90%を取得。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/1019-008415.html

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3)【深夜の誌人語録】

創造力は前例を破壊するためにある。