【文徒】2015年(平成27)2月10日(第3巻26号・通巻471号)

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1)【記事】ラジオシャック倒産と大型書店の危機
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ラジオシャック倒産と大型書店の危機

全米で家電量販2位のラジオシャックが倒産したニュースで、私も新聞報道を鵜呑みにして渋谷陽一同様にアマゾンに敗北した結果だと思っていた。
http://ro69.jp/blog/shibuya/118303
BLOGOSで次のように書いている文章を発見した。
「フォーブスによると、ラジオシャックは1984年に携帯電話の販売を開始して以来、73百万台の携帯電話を販売している。また同社はソニーウォークマンやCDプレーヤーの売上でトップに立っていた。ところがスマートフォンの登場で、CDプレーヤーなどは時代遅れになってしまった。そこで同社はスマートフォンの販売に力を入れ、売上の半分をスマートフォンに依存するようになっていた。ところが2007年にアップルがiPhoneの発売を始めた時、同社はiPhoneの直売を強化するため、ラジオシャックのような再販業者のマージンを切り下げた。それが同社の利益を直撃した、ということのようだ」
ラジオシャックは、売るものがなくなってしまったのである。これは日本の家電量販店についても言えることである。家電しか売らなかった家電量販店も何でも売るアマゾンのようにならなければ生き残れないのである。これは日本の家電量販店についても言えることである。具体的に言えばヨドバシカメラのyodobashi.comではネット書店同様に紙の出版物を扱い、ヤマダ電機スマホに特化したうえで紙も電子も扱うハイブリッド書店として「やまだ書店」を運営しているのも、こうした文脈から理解できよう。
http://blogos.com/article/105179/
一方、ブログ「本屋のほんね」は、大型書店は儲からなくなったと書いている。
「書店は巨大化する一方!という話をよく聞きますが、実は2014年、足元では複合店の坪数を除いてしまうと、200坪台でベスト10入りしてしまうような事実が進行してたんですね。5位の店舗でも400坪ありません。一時のメガショップ出店ラッシュから考えると、大きく様変わりしています。
これは巨大な書店では坪数に応じた収益をあげられず、地代家賃負担に耐えられない既存店が増えた結果、出店戦略上、メガショップはもう出店しないという経営判断が働いたケースが多かったからではないかと推測しています。大型書店はすでに儲からない業態になってるんですね」
http://d.hatena.ne.jp/chakichaki/
儲からない業態となった大型書店がどうなるのかといえば、出版物以外の商品を、出版物をPOPのようにして売るしかなくなるのである。湘南T-SITEがその典型である。cccは湘南T-SITEにとどまらず、二子玉川では蔦屋家電を蔦屋書店とともにオープンする。
http://futakotamagawa.tsite.jp/

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2)【本日の一行情報】

◎「週刊少年ジャンプ」に連載されている「僕のヒーローアカデミア」の魅力が読者によって語られている。みんな画力を絶賛している。
http://matome.naver.jp/odai/2142325998149286601

◎ベネッセは、住所や氏名などの個人情報を入力せずにプリぺイドカードで受講できる通信教育講座「BenePa(ベネパ)」をスタート。プリペイドカードはローソンで販売する。教材は算数や英語など32種類で、税込み500円。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150207-OYT1T50082.html
ダイレクトメールの発送も再開した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07H3Y_X00C15A2TJC000/

黒野伸一の「限界集落株式会社」が反町隆史主演でドラマ化され、NHKで放映されているが、続編にあたる「脱・限界集落株式会社」が小学館から刊行された。
http://getnews.jp/archives/806638

◎蔦屋書店がなかなか手強い存在だと思うのは、大手出版社から刊行された出版物絡みのイベントだけではなく、例えば函館蔦屋書店では「『うちでお茶する?』のコツ100」の出版記念イベントなども企画してしまうからである。「『うちでお茶する?』のコツ100」の版元は雷鳥社。しかも著者の三宅貴男を招いての単なるサイン会ではない。三宅は青森で台湾茶中国茶・紅茶・日本茶専門店であるコノハト茶葉店の経営者だが、コノハト茶葉店による「お茶会」を企画したのである。店内にキッチンがないとできないイベントである。
http://www.hakodate-t.com/event/4384/
http://raichosha.co.jp/book/create/cr28.html
http://blog.shop.connacht.jp/?eid=870735

イスラム国に対して「力の行使は避けられない」と明言したリベラル派の藤原帰一のツイート。
「力の行使が必要な状況は存在しますが、その状況が生まれてしまったこと自体、少なくとも国際関係を専門とするものにとっては、それだけでもう敗北なのです。そして、力の効果を過信すればそれが新たな災厄を招いてしまう。再びブレヒトを引用すれば、そう、ぼくたちの生きている時代は暗い」
http://togetter.com/li/780028

高橋源一郎は「この世界が生きるに値する場所だと信じさせることしか」テロリストを真に滅ぼす方法はないとツイートしている。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/02/08/genichiro-takahashi-terrorism_n_6638674.html

岡田斗司夫って要するに吉本所属の単なるタレントだったんだろうな。唯一、まっとうに読める「オタク学入門」が竹熊健太郎の「パクリ」というのでは言論人としてハナシにもならないよね。
http://news.livedoor.com/article/detail/9761452/
http://www.buzznews.jp/?p=953037
月額1,080円で一般メンバーになれて、毎月最低でも2回以上、岡田の書斎やスタジオに招待されるメンバーになると月額10,800円!
http://synapse.am/contents/monthly/otaking
オレの事務所は狭いけれど、いつでも開かれているよ。

廣木隆一監督の「娚の一生」がバレンタインデーの2月14日(土)より公開される。原作は小学館より刊行されている西炯子のマンガだ。
http://openers.jp/article/894236

◎この琉球新報の記事によれば沖縄には「沖縄の自己決定権拡大や『主権回復』を求める議論」が存在するということだろう。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238566-storytopic-3.html

◎元東京地検特捜部長で弁護士の河上和雄が死去。三好徹の弟であった。
http://www.47news.jp/CN/201502/CN2015020901001345.html

◎同じマンガが2誌を舞台に連載されることになった。双葉社の「漫画アクション」と秋田書店の「ヤングチャンピオン」は、京都を舞台にした今井大輔の「古都こと」を交互に連載することになった。「漫画アクション」が第1、3火曜、「ヤングチャンピオン」が第2、4火曜に発売されるから、週刊での連載となる。「漫画アクション」では女性目線から描く「チヒロのこと」、「ヤングチャンピオン」では男性目線から描く「ユキチのこと」が掲載されるという。火曜日発売を盛り上げる販促企画とも言えそうだ。この2誌によるコラボ連載は他にも企画されているようだ。それにしてもマンガ誌の世界は次から次に新しい試みが出て来る。新しい試みの出て来ないジャンルは、市場から弾かれてしまうのかもしれない。
http://mantan-web.jp/2015/02/09/20150208dog00m200049000c.html

◎「東洋経済オンライン」の1月のPVが9304万にも達していた。今後、電子商取引(EC)やマイクロ課金にも乗り出すという。山田俊浩編集長は次のように語っている。
「例えば、『iPhone』の記事は見出しに『iPhone』とついただけで伸びる。ところが、『アップル』だと駄目なんです」
「以前は2千〜3千PVの記事が大量にあったけれど、いまは全部1万は超えます。絶対1万いくと思って記事を出すので、いかなかったら原因を考えます」
http://withnews.jp/article/f0150209000qq000000000000000W0091001qq000011477A

◎「CTSS Japan」という企業をご存知ですか?同社は、これまでイラクアフガニスタン、ナイジェリアや南スーダンなど、世界でもっとも治安が悪く、厳しいセキュリティ対策が要求される国々で、クライアントを守るためのさまざまなセキュリティ対策を提供してきたそうだ。
http://www.ctssjapan.com/
社長のニルス・ビルトは元海軍大将で、菅原出との共著で、並木書房から「海外進出企業の安全対策ガイド」を刊行している。
http://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/bookreview/2014/140403b.html
イスラム国」人質問題で、「CTSS Japan」が日本政府のために動いていたらしい。内田樹がロイターの記事を翻訳しているのだが、そのなかに「CTSS Japan」の名前が出て来る。
http://blog.tatsuru.com/
菅原出は英危機管理・セキュリティ会社G4S社(旧ArmorGroup)の日本法人G4S Japan取締役という経歴を持つ国際ジャーナリストである。朝日新聞出版から「リスクの世界地図: テロ、誘拐から身を守る」を刊行している。
http://i-sugawara.jp/

実業之日本社から刊行された、たなの「ごはんのおとも」は、路地裏の料理店「ひとくちや」にあつまる人たちと心まであたためる8つのレシピをフルカラーで描いたマンガだ。ちょっと興味&食欲をそそる。映像化されれば、グンと伸びそうな作品だ。
http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-41402-7

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3)【深夜の誌人語録】木を見て森が見られればシメたものである。