【文徒】2015年(平成27)2月12日(第3巻27号・通巻472号)

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1)【記事】日販の新商品展示会、未来屋書店の企画と「街の書店」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】日販の新商品展示会、未来屋書店の企画と「街の書店」

日販は、3月5日(木)・6日(金)の2日間、商品開発部が取り扱う文具・雑貨の新商品・新企画を一会場に集め展示する「第五回新商品展示会」を開催する。本と融合した雑貨パッケージ「DULTON with マルシェ」などの日販オリジナル企画に加え、漫画・アニメグッズ、人気キャラクターグッズや生活雑貨など幅広い商品を取り揃えている。
http://www.excite.co.jp/News/release/20150209/Dreamnews_0000107156.html
書店の複合化=兼業書店化は加速度的に進むのだろうが、それこそ複合化は、その書店の地域性に根差して進めるべきだろう。「街の書店」にとって、安易な複合化は書店の経営を更に圧迫しかねまい。
鹿児島の未来屋書店で実施している企画なのだが、これは良いと思った。同時にこういう企画は、本来、地域に根差した文化拠点であるべき「街の書店」こそ先に思いついてしかるべきだと思った。
企画の概要を説明しよう。小1から小6を対象に10名を募集して、「本屋さんにしか入れない部屋、本屋さんでしかできないお仕事 みんながいつも来てくれる未来屋書店のお仕事を体験しちゃおう!」という催しである。「本屋さんを体験しよう!『シンデレラ・キッズ』」という名称なのだが、他の未来屋書店でも実施しているのだろうか。
http://kagoshima-aeonmall.com/news/event/491
ウルトラマンといっしょに1日本屋さん体験をしよう!」という企画は幕張新都心未来屋書店で企画している。
http://m-78.jp/news/n-2889/
検索するとわかるが、あちこちの未来屋書店で、子供たちに「本屋さん」を体験してもらうというイベントが実施されている。何を隠そう、このオレは小さい頃になりたい職業のひとつが「本屋さん」であった。こういう企画がイオン傘下のチェーン書店で実施されていることに独立系の「街の書店」は口惜しく、情けないことだと思わないのだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎LINEは、プラットフォーム事業としてのさらなる拡大を目的として、O2O、EC、決済、メディア、エンターテイメント領域のサービスを展開する事業者を対象とした投資ファンド「LINE Life Global Gateway」を設立するそうだ。ファンドの規模は50億円。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/931
それにしてもLINEは次々に手を打ってくる。ファンドを設立したと思えば、今度は、LINEに搭載しているモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」における、さらなる事業化の加速を目的として、子会社LINE Payを通じ、ウェブペイ・ホールディングスを買収するという。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/933
LINEを見ていると、出版は内向き過ぎる体質の企業が多いと痛感せざるを得ない。LINEのようなIT企業が狩猟型であるのに対して、出版は農耕型であるのかもしれない。むろん、農業にしかできないこともあるけれど、狩猟型の「速度」は学びたいところだ。

メガネスーパーは、 小学館の創刊25周年を迎える「サライ」とコラボし、(1)軽い掛け心地で疲れない (2)折りたためば携帯便利(3)職人こだわりの手作りを特徴とした旅メガネ「Trabit(トラビット)」を、全国メガネスーパーで2月20日(金)から発売開始する。
http://www.meganesuper.co.jp/pdf/20150209_tabimegane.pdf

トヨタの営業利益が2.7兆円!私にとって別世界の出来事である。トヨタは、アベノミクスの恩恵を最も受けている企業のひとつなのだろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/60087
そうしたなか豊田章男の人事に異を唱えているのが「Business Journal」だ。
http://biz-journal.jp/2015/02/post_8883.html

秋田テレビは開局45周年を記念して昨年「ぽちぱパーク」を立ち上げた。
「ぽちぱパークは、番組とWebサイトが連動した視聴者向けのプレゼントキャンペーンだ。番組内で出題されるクイズなどに、ぽちぱパークのWebサイトで回答することで視聴者はポイントをゲット。一定以上のポイントを貯めた視聴者を対象に、毎月抽選で賞品がプレゼントされる。例えば2時間ドラマであれば、『被害者が持っていた手帳の色は?』といった3択クイズが行われているそうだ。クイズなどに回答できるのは番組放送中に限られ、終了後は回答できない」
http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/3771/Default.aspx
http://park.akt.co.jp/
あらゆるメディアにデジタル戦略が問われているのだ。

◎2月28日に公開される、ももいろクローバーZ主演、本広克行が監督をつとめる映画「幕が上がる」は、9割が静岡で撮影され、岳南電車の駅と車内が登場する。これを記念して「幕が上がる映画公開記念切符」が発売され、2月21日(土)〜3月31日(火)の期間限定で、「幕が上がる」デザインのヘッドマークを付けた「岳南電車・幕が上がる号」が運行される。
http://ameblo.jp/fcfuji/entry-11987383231.html
この映画の原作は平田オリザの同名の小説。講談社文庫から刊行されている。
http://book-sp.kodansha.co.jp/topics/makugaagaru/

タワーレコードドラえもんとコラボして、「映画ドラえもん × タワーレコード キャンペーン」を開催する。
http://news.dwango.jp/index.php?itemid=16681

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は、審議していたテレビ朝日報道ステーション」の「川内原発報道」に関する意見をまとめた。これによれば「竜巻と火山の質問を取り違えて原子力規制委員会委員長の発言を放送したのは事実と異なる」「委員長の発言をめぐる編集についても、実際の質疑応答とは異なる印象を与え、視聴者の誤解を招いた」などとして、「客観性と正確性を欠き、放送倫理に違反している」と厳しく指摘している。看過できないのは次のような部分である。
テレビ朝日の報告書を読んで目を引いたのは、一刻を争う報道番組の制作現場で定着している複雑な『分業体制』だった。今回の事案の検証を通して、『分業体制の落とし穴』が見えてきた。報道現場の分業体制は程度の差こそあれ、他局でも進行している現実と思われる。委員会は『分業体制の問題点をきちんと検証し、各局に向けて警鐘を鳴らすのも委員会の役割だろう』と判断した」
http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/kensyo/determination/2014/21/dec/0.pdf

◎メルヘンハウスが「読み聞かせ」について丁寧に説明してくれている。
「大人が見ても意味がさっぱり分からない本に、お子様が大喜びする。こうした光景に驚かれるお客様が当店にもよくいらっしゃいます。
たとえば、谷川俊太郎/元永定正作の『もこ もこもこ』という作品があります。これは正直、はじめて中身をお読みになったご両親のほとんどは『え?』という顔をされます。しかし、子どもは大喜び!何度も読んで!とせがむお子様も多いです」
http://t.co/AVBbunsUAi
「もこ もこもこ」の版元は文研出版。
http://www.shinko-keirin.co.jp/bunken/index.html

◎ラテン歌謡好きの私には、輪島裕介の「踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽」(NHK出版新書)がメチャクチャ面白かった。
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00884542015

◎800万ダウンロードを達成したマンガアプリ「comico」を運営するNHN PlayArtの稲積憲社長が次のように語っている。
「編集者は、他の出版社では著者の“スーパーバイザー”だが、comicoでは“サポーター”。編集者は基本的にアドバイスにとどめ、作品内容を評価しない」
comico」においては読者が編集者の役割を果たし始めているのだ。
https://newspicks.com/news/822336/body/

◎男がバツイチ子持ちの編集者で、女が恋に臆病な独身書店員という設定にニヤリとさせられる。私が久しぶりに読んだ小説は、盛田隆二の「残りの人生で、今日がいちばん若い日」(祥伝社)。なかなか泣けるよ。
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396634568
百田尚樹盛田隆二ツイッターで激しいバトルを繰り広げ、その際、百田は盛田に対して「精神が低俗」と言い放っていたが、この作品を読めば精神が低俗なのは、盛田にそのような言葉を投げつけてしまった百田のほうだと言わざるを得まい。
http://news.livedoor.com/article/detail/9603566/

◎「YONDEMILL」はフライングラインが運営する電子書籍サービスである。
http://www.flyingline.co.jp/
https://yondemill.jp/
この「YONDEMILL」からスビンアウトして生まれたサービスが「Short Short」である。「Short Short」は「60分以内」で読める作品ばかりの電子書籍サービスだ。
http://www.kigurumi.asia/it/internet/4167/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
https://ss.yondemill.jp/

講談社は、季刊コミック誌ITAN」の創刊5周年記念フェアを全国のフェア参加書店でスタートさせている。
http://itan.webn.jp/?p=6181

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された「NARUTO―ナルト―」の連載完結を記念した「岸本斉史 NARUTO─ナルト─展」が、4月25日から6月28日に東京・森アーツセンターギャラリーで、7月18日から9月27日に大阪文化館・天保山で開催される。
http://naruto-ten.com/

国土交通省東日本大震災の実体験に基づいて記した、災害時の行動指針「災害初動期指揮心得」の日本語版と英語版を、世界のアマゾンで、Kindle本として無料でダウンロードできるようにした。政府も認めたアマゾンの実力!ということか。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00S8UXG9G
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000330.000004612.html

◎累計発行部数が6100万部という「花より男子」が12年ぶりに新シリーズを、紙の雑誌ではなく、マンガアプリ「少年ジャンプ+」でスタートさせることになった。
http://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0210/hwc_150210_4181551940.html

◎東京駅前の八重洲ブックセンター5階の文庫売り場には時代小説コーナーが設けられ、七つの棚に7千冊近くが並ぶ。佐伯泰英と上田秀人が2トップである。
http://www.asahi.com/articles/ASH2461YRH24ULZU00K.html
上田の本業は歯科医、兼業作家を自認している。
http://www.ueda-hideto.jp/profile.html

ブリヂストンサイクルが立て続けに雑誌とコラボした限定モデルを発売している。ひとつは、光文社の女性誌「VERY」とコラボした「HYDEE.II(ハイディツー)滝沢眞規子さん限定モデル」。
http://www.bscycle.co.jp/news/release/2015/1816
いまひとつは、集英社の「Seventeen」とコラボし開発した通学用電動アシスト自転車「ステップクルーズe」限定モデルだ。
http://www.bscycle.co.jp/news/release/2015/1810

◎「ぐんまちゃんぴあ」がエコバッグを付録にして発売された。「ぐんまちゃん」は「ゆるキャラ(R)グランプリ2014」で第1位となった「ゆるキャラ」である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000011710.html

ツイッターに利用者の個人情報の開示請求を行ったワースト3は、1位が米国の1622件、2位はトルコの356件、3位は日本の288件。日本はヨーロッパの主要国の倍以上の開示請求がある。
http://www.businessnewsline.com/news/201502100856530000.html

◎会員数210万人・取扱ブランド数5,800以上のソーシャルショッピングサイト「BUYMA」を運営するエニグモは、海外の最新ニュースや話題の情報をいち早く発信するファッションメディア「STYLE HAUS」の提供を開始した。
http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/press_20150209.pdf
エニグモはまた、“世界中の女子を可愛くする”を謳う女子向けキュレーションサービス「4meee!」、及び主婦・ママ向けキュレーションサービス「4yuuu!」を運営するロケットベンチャーを買収し、子会社化した。
http://www.enigmo.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/press_20150210.pdf

◎ファッションコーディネート相談共有アプリ「Sutarepi(スタレピ)」が紹介されている。
http://woman.excite.co.jp/article/digital/rid_E1423538479107/
「Sutarepi」を運営しているのは2012年12月に設立されたスタイルレシピ。
http://stylerecipe.co.jp/corporate_profile.html

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3)【深夜の誌人語録】前に進むことばかり考えず、たまには横にずれてみよう。