【文徒】2015年(平成27)4月1日(第3巻61号・通巻506号)

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1)【記事】昭文社のデジタルシフトは紙を見限ることできない
2)【記事】まずは「お詫びと訂正」から
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】昭文社のデジタルシフトは紙を見限ることできない

地図出版ということもあるのだろうが、昭文社は早くからデジタルシフトに取り組み、結果を出して来た出版社のひとつである。しかし、だからといって昭文社が紙の出版物から撤退したわけではない。デジタルシフトを成し遂げたことによって、紙の出版物の役割を再認識したに違いない。
具体的に言えば、ユーザーが気に入ったスポット・お店の写真や情報を投稿・共有できる無料コミュニティアプリ「ことりっぷ」iPhone版や訪日外国人観光客向け無料観光アプリ「DiGJAPAN!」をリリースする一方で、日本全国の訪れるべき観光スポットと地図が一体となった地図本「旅地図 日本」やキャンプ初体験のファミリー向けに、オートキャンプ場を厳選収録したガイドブック「親子でチャレンジ!オートキャンプ」首都圏発版、京阪神・名古屋発版を、4月6日より発売する。
http://www.mapple.co.jp/corporate/news/2015/03/5144.html
http://www.mapple.co.jp/corporate/news/2015/03/5411.html
http://www.mapple.co.jp/corporate/news/2015/03/5415.html
http://www.mapple.co.jp/corporate/news/2015/03/5420.html
デジタルを紙に従属させるのではなく、紙をデジタルに従属させるのでもない。紙も、デジタルもという対等な両立の上に出版の未来は構想されるべきなのではないだろうか。翻って、例えば雑誌広告ビジネスにおけるメインストリームを歩んで来た女性ファッション誌はどうか。相変わらずデジタルを紙に従属させるという差別意識に絡め取られているのではないだろうか。
過去の成功の再現を紙だけで成し遂げようとする発想は、雑誌の未来にとって、もはや反動でしかあるまい。紙とデジタルを両立させることで、雑誌は最も自由なメディアになれるという確信が私たちには必要なはずである。

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2)【記事】まずは「お詫びと訂正」から

3月30日付文徒で「テレビ朝日早河洋会長(朝日新聞の政治部出身である)」と書いてしまったのは、私たち痛恨のミステーク。早河会長はテレビ朝日のプロパー。テレビ朝日では主に報道畑を歩んだ。朝日新聞の政治部出身は吉田慎一社長である。ここに訂正し、お詫び申し上げる。
http://biz-journal.jp/2014/03/post_4411.html
それにしても古賀茂明が止まらない。「田中龍作ジャーナル」にも登場。
「一番アタマに来たのは(古館さんが)『結構我々もいい番組やってるでしょう』と。あれはぜんぜん逆でいい番組を作っているのはプロデューサーなんです。
ビデオはプロデューサーが戦って戦って、いろんな横やりを全部蹴飛ばして(作った)。逆に古館さんはなんだかんだとケチつけて『こんなことはやりたくない』(と言う)。毎日トラブルですよ」
このプロデューサーも「報道ステーション」を去ることになった。
http://blogos.com/article/108969/
http://blogos.com/article/109055/
日刊ゲンダイ」の「古賀茂明氏だけじゃない TVから一掃された“反政権”言論陣」は次のように書いている。
報ステでは、月〜木曜のコメンテーターだった朝日新聞恵村順一郎論説委員も3月いっぱいで降板する。昨年9月放送の慰安婦問題の検証で、「慰安婦問題は消すことのできない歴史の事実」とコメントしたのが、同10月のテレ朝の番組審議会で『ちゃぶ台返し』と非難された。ちなみに、審議会委員長の見城徹幻冬舎社長は安倍首相の『メシ友』だ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158477/1
見城とバーニングの周防郁雄社長も昵懇の関係にあるようだ。
http://www.dainipponshinseikai.co.jp/coram/burning_1209.html
エイベックスの松浦勝人社長は、周防の言ってみれば子飼いだが、エイベックスには見城徹が非常勤ではあるものの取締役として名前を連ねている。
http://www.avex.co.jp/group/organization.html
話は、ここで終わらない。エイベックス・ピクチャーズはエイベックスのグループ企業の一つだが、講談社集英社小学館およびアニメ関連企業9社と組んで合弁会社「アニメタイムズ社」を立ち上げた。
アニメタイムズ社の取締役には古川公平(講談社)、茨木政彦(集英社)、都築伸一郎(小学館)が名前を連ねている。アニメタイムズ社は、エイベックス・グループの運営する映像配信サービスである「dビデオ」「UULA」向けのアニメ作品調達窓口となる。ここまで繋がっちゃうんだよね。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1198740
爆笑問題の太田も干されるのかしらん。太田はラジオ番組「爆笑問題の日曜サンデー」(TBSラジオ)で安倍晋三首相のことを「まず安倍って言うバカ野郎は…」
「総理大臣でもバカはバカでしょ」
「私は個人的にバカだと思っていますけど」
「安倍っていう男のやっていることは、幼稚すぎると思うんだよね。何か自分の都合の悪いことは会いませんみたいなことは、いくらなんでもバカにし過ぎなんじゃないの」
「なんで日本を守らないの。沖縄は日本ですよ。何で日本を守らないの?あのバカは」
などとバカ扱いをしたそうだ
http://hosyusokuhou.jp/archives/43400943.html
http://news.livedoor.com/article/detail/9949996/

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3)【本日の一行情報】

◎「アルスラーン戦記」がテレビアニメ化され、4月5日よりMBS・TBS系で放映されるのを記念して、JR新宿駅中央通路(山手線、中央線ホーム行き通路)に超ワイド看板が掲げられたが、何とそこに「進撃の巨人」の調査兵団が描かれている。ともに「別冊少年マガジン」(講談社)で連載中であることから実現したそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1503/30/news054.html

◎「トカナ」にアップされた「善戦する日本のポップカルチャーの裏で囁かれる2つの残念なこと」は次のように書き出されている。アメリカでは「少女マンガ」が急成長を遂げている。
「3月、米国のポップカルチャービジネス情報誌「ICv2」は、2000年以降、縮小してきた北米における英語版日本漫画の売り上げが13年の8%成長に続いて14年も拡大していることを報告した。特に目立つのは、小学館集英社小学館集英社プロダクションの3社の共同出資で米国に設立された日本のアニメ・漫画の翻訳版を販売する企業『ビズメディア』が出版する少女マンガだ。20%増などの数字を挙げている」
http://tocana.jp/2015/03/post_6083_entry.html

インプレスR&Dは、岩波書店との協業で岩波文化を代表する歴史的名著をPOD(プリント・オンデマンド)で復刻・販売しているが、これをKindle向け電子書籍化し、一律300円で販売を開始した。協業は、選書・解説文の作成を岩波書店が行い、制作・製品化・流通をインプレスR&Dが担う。矢内原忠雄の「満洲問題」や田辺元の「正法眼蔵の哲学私観」が300円というのは、私にとっても魅力的である。
http://www.impressrd.jp/news/150330/NP

電通総研による「女性×働く」調査結果によれば、働き続けている「仕事継続層」は全体の約2割、一度仕事を中断し再開した「仕事中断・再開層」が約4割、仕事を辞めたままの「仕事中止層」が約4割。また、有職女性の9割以上(92.6%)に管理職志向なし。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0330-004003.html

電通は、Eコマース(EC)領域の発展と顧客サービスの強化を目指し、情報発信ポータルサイト「New Commerce Hub」(URL:http://hub.dentsu-ec.jp/)を立ち上げた。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0331-004004.html
マガジンハウスの「コロカル商店」が取り上げられている。
http://hub.dentsu-ec.jp/interview/colocal_1.html

◎海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は、世界10か国で開校を目指す「カドカワ・コンテンツ・アカデミー」に最大4億5000万円を出資するという。産経ニュースは次のように書いている。
「…年内にはインターネットを活用した通信教育も開始する。総事業費は約10億円で、KADOKWAが5億円を出資するほか、紀伊国屋書店(東京)とパソナグループも出資。紀伊国屋書店は国内外店舗で卒業生の作品販売やイベントを、パソナは卒業生の就職支援などを担う」
http://www.sankei.com/politics/news/150330/plt1503300037-n1.html
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20150330_i4dng.pdf

◎広島の黒田博樹投手のLINEスタンプが発売当日にランキング1位を獲得。
http://withnews.jp/article/f0150329003qq000000000000000G0010901qq000011750A
広島−ヤクルト戦(マツダスタジアム)のテレビ中継視聴率が、広島地区で平均34・9%を記録した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150330-00000034-dal-ent
黒田ブーム到来。

◎小川桃果は「中高一貫の名門校で物理の教師として働きながらAV撮影に臨み、5月には作品がリリースされる予定」だという。タイトルは「新人 Dear TEACHER 現役の教師AVデビュー 小川桃果」。売れそうだ。
http://www.news-postseven.com/archives/20150330_312735.html

◎第19回手塚治虫文化賞の「マンガ大賞」は、ほしよりこの「逢沢りく」(文藝春秋)に決定!小泉今日子が「鉛筆だけの素描のように描かれた、ゆるいタッチのこの漫画を侮ることなかれ。私、最後には号泣してしまいました」とまで絶賛した作品である。文学賞には慣れっこの文藝春秋でも、マンガ大賞には感激もひとしおだろう。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11679175.html
http://hon.bunshun.jp/category/aisawa-riku
映像化されることは間違いない作品である。

KADOKAWAの「週刊アスキー」は5月26日発売号をもって印刷版を休刊、6月よりネット/デジタル化に完全移行する。「週アスPLUS」は月間800万UU超。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/319/319713/

大日本印刷とトゥ・ディファクトは、著者を招いたセミナー型イベント「〜hontoで学ぶ〜」を4月から定期的に開催することになった。
http://ict-enews.net/2015/03/31honto/

朝日新聞社は、中央区銀座6丁目の所有地に、地下2階地上12階建ての新ビル「銀座朝日ビル(仮称)」を建設することになった。3〜12階をラグジュアリーホテル、1、2階は商業施設で構成し、2017年秋に竣工予定。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000009214.html
新聞の収入減を不動産ビジネスで補う。

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4)【深夜の誌人語録】

頭でっかちを戒めて、手で考え、足で考えたい。