【文徒】2015年(平成27)5月25日(第3巻95号・通巻540号)

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1)【記事】出版社11社が結集する合同プロジェクト「堂場瞬一の100冊」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版社11社が結集する合同プロジェクト「堂場瞬一の100冊」

ハイブリッド書店サービス「honto」を運営する大日本印刷DNPグループの書店およびトゥ・ディファクトは共同で、小説家の堂場瞬一による執筆作品数100作をむかえることを記念した出版社合同プロジェクト「堂場瞬一の100冊」に参加し、6月26日(金)にドットDNPで特別トークショーを実施する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000009424.html
堂場瞬一の100冊」は10月に講談社から刊行予定の単行本『Killers(仮)』で執筆作品数100作を迎えることを記念し、90作目から100作目までカウントダウンを行う出版社合同のプロジェクトである。朝日新聞出版、KADOKAWA角川春樹事務所、河出書房新社講談社実業之日本社集英社小学館中央公論新社早川書房文藝春秋が結集している。
http://www.doba.jp/
堂場は新潮社から一冊も出していない。新潮ミステリー倶楽部賞の候補に名前を連ねたことはあるが、受賞しなかった。
江戸川乱歩賞を獲って、華々しくデビューするつもりだったんですけど(場内笑)、乱歩賞は1回、最終選考まで行って落ちました。それと新潮ミステリー倶楽部賞という厳しい新人賞ですね。なにが厳しいかというと、最終選考の場に呼ばれるんです。選考が終わるまで待ってなきゃいけない。最終選考と授賞式を一緒にやってしまうので、おあずけ食った人間は、隅のほうで指をくわえて見ているしかない。その新潮ミステリー倶楽部賞は2回、最終候補に残りました。
いずれなにかの賞を獲るだろうと思っていたんですが、3回も続けて最終で落ちてしまうと、疲れましたね。それで気晴らしのつもりで出した小説すばる新人賞が、なにかのまちがいで獲れてしまったわけです」
http://www.sakuranbo.co.jp/livres/sugao/2011/06/post-9.html
「夏の雷音」(小学館)の舞台は、神保町。冒頭に登場するのはキッチン南海の、堂場によれば神保町のソウルフードたるカツカレーだ。当然のごとく「いもや」、「共栄堂」、「揚子江菜館」「山の上ホテル」も登場する。
http://www.shogakukan.co.jp/books/09386414
堂場瞬一は読売新聞の出身だ。

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2)【本日の一行情報】

◎「ジ・エコノミスト」は、マスコミが安倍首相に土下座している風刺画を掲載していた。「The media in Japan Speak no evil」だって!
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6553.html
党首討論ポツダム宣言について問われ「つまびらかに読んでおりません」と発言したことも話題になっている。
http://sun.ap.teacup.com/souun/17416.html
http://article9.jp/wordpress/?p=4899
松井孝治の「解説」は読んでおいて損はなかろう。
http://blogos.com/article/112613/

◎第1回「少年ジャンプ+連載グランプリ」が実施される。グランプリは1本以上が必ず選出され、「少年ジャンプ+」での連載権のほかジャンプコミックスからの単行本刊行も確約される。「少年ジャンプ+連載グランプリ」の最大の特徴は審査に読者が関与することだ。まず「少年ジャンプルーキー」で読者投票→ジャンプ現場編集による連載会議→「少年ジャンプ+」の読者投票→ジャンプ編集長+副編集長による最終審査という過程を経てグランプリが決定する。
http://rookie.shonenjump.com/etc/entry/rensai
ソーシャルメディアの時代は読者を「読む立場」に固定してはならないのである。読者は作者であり、編集者であるという視点が必要なのである。編集力を内側に閉ざすのではなく、外側にいかにして開いていくかを考えなければならないのである。

◎「2015年度 日販懇話会」を開催。平林彰社長が「書店」の価値を高めることをビジョンとした新中期経営計画「Breakthrough」をスタートさせたことを報告した。
「これは2017年度までの3か年の中期経営計画となるが、ここで打ち出す戦略の背景として、近年の出版物の売上減少傾向について触れ、不採算を理由とした書店数の減少と来店客数の減少が主要因になっているとした。その対策として、書店経営の採算性向上に向けたマージン改善を実現する出版流通改革の完遂と、来店客を取り戻すために『書店』から広がる新空間の創造および個客接点の拡大が必要であり、それを新中期経営計画の柱に掲げたと述べた」
http://www.nippan.co.jp/news/%e3%80%8c2015%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%80%80%e6%97%a5%e8%b2%a9%e6%87%87%e8%a9%b1%e4%bc%9a%e3%80%8d%e9%96%8b%e5%82%ac/
自由が丘にグループ会社ダルトンの旗艦店となるDULTON with BOOK&CAFEもオープンさせるそうだ。

◎「ヴォーグ・ファッションズ・ナイト・アウト 2015」(VOGUE FASHION’S NIGHT OUT 2015)が9月12日(土)に東京で、10月17日(土)に大阪で開催される。2014年の東京開催では、604店舗が参加し、来場者数は約230,710人、参加店舗の売り上げは約20億9677万円に達したそうだ。
http://www.fashion-press.net/news/17055

◎「楽天の不安要素は、M&A価格に比べてのれん代の割合が高いことだ」という指摘は鋭い。しかも海外展開は苦戦している。
http://biz-journal.jp/2015/05/post_10036.html

◎「現代ビジネス×ネスプレッソ」スペシャルとして、魚住りえが伝授する「ビジネスパーソンのための話し方講座」が5月28日(木)に開催される。
https://eq.kds.jp/g-business/6480/

◎5月25日に創刊となる小学館のP+D BOOKS(ピープラスディー・ブックス)。現在入手困難となっている昭和の名作の数々をペーパーバック書籍と電子書籍で同時に同価格(価格は各販売サイトで確認)で発売・配信するという企画だが、松本清張の「山中鹿之助」は小学館の雑誌「中学生の友」に1年間にわたって連載された作品だそうだ。
http://www.shogakukan.co.jp/books/09352201

ライトノベル作家豊田巧による鉄道エンタメ・ミステリーの新作「レールライド 上り列車に見知らぬトランク」が「すこし不思議文庫」から刊行される。「すこし不思議文庫」は発行がインターグローで、発売が主婦の友社となっている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000386.000002372.html
http://www.intergrow.co.jp/sukoshi/
インターグローはゲーム会社だ。
http://www.intergrow.co.jp/about-us/
豊田巧もゲーム会社の出身。タイトーの広報担当だった。豊田の「RAIL WARS!-日本國有鉄道公安隊-」(創芸社クリア文庫)は、累計発行部数60万部だそうだ。

インフォコムのグループ会社でネットビジネス事業を担う「アムタス」が運営する電子書籍配信サービス「めちゃコミック」は、グリーの提供するSNSGREE」で「めちゃコミック for GREE」の展開を開始した。販路拡大である。「めちゃコミック」は、2015年3月期で売上高が120億円を突破し、月間利用者数は500万人を記録している。
http://www.infocom.co.jp/info/press/2015/p15052001.html

◎「溜池家の流儀 AV夫婦の仲良しマル秘夫婦生活」が双葉社から刊行された。AV監督の溜池ゴローと元AV女優にして、現在、作家の川奈まり子が文字通り私生活を公開している。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-30875-4.html?c=30597&o=date&
川奈は保守系論客としての才能がある。
https://www.facebook.com/marikokawana?fref=ts

◎「おたぽる」の「『日之丸街宣女子』をめぐる大論争は集英社にまで飛び火! 渦中のマンガ家・高遠るい/富田安紀子 両者の主張を聞いた」(昼間たかし)。高遠は、こう主張している。
「あれだけ差別扇動を継続的に行って刑事犯を出しているような団体と関わりの深い人間を、出版界におけるリーディングカンパニーが使うのはうかつだよね、という話だったんですよ。
 竹書房や宝島社で描いている分には、俺は言いませんよ。でも『ジャンプ』の会社でしょ。だから集英社が『脇が甘いな』という失望が、最初のツイートなんです」
一方、富田はこう主張する。
「もちろん、自分の中に『日之丸街宣女子』で示したような考えがあるのは事実ですけれども、学園モノも描けばファンタジーも描いてきました。今回『グランドジャンプ』で原作を担当した作品は、“国際霊柩送還士”がテーマですから外国人も出てきますが、そこに韓国人が出てきているわけでもなく、在日とのいざこざを描いているわけでもない。でも、“作品が悪いんじゃなくて、人が悪い”なんて言われたら、それはもう“思想警察”じゃないですか」
富田は朝日新聞出版の「新マンガ日本史」で徳川吉宗を描いているが、当初、東条英機を振られたそうだ。
「…当初は『東条英機を描いてほしい』という依頼があったそうだが、富田氏は担当編集者に『自分はこういう考えの持ち主ですけれども、頼んでいいと思います?』と正直に申告。『ダメですね』と返答され、もう朝日新聞出版から仕事は来ないかと思っていたら、『これなら大丈夫でしょう』と徳川吉宗の回の執筆を依頼されたのだとか」
http://otapol.jp/2015/05/post-2966.html

岐阜市徳間書店が手を組んだ。岐阜市出身の早見俊が織田信長の文化人としての側面を描く書き下ろし歴史小説「醒睡の都 岐阜信長譜」歴史小説を執筆。書籍デザイン会社のムシカゴグラフィクスが6月1日に創設する無料サイト「歴史行路」に連載する共同企画を発表。月1回連載。完結してから徳間書店から書籍として刊行される。
http://www.asahi.com/articles/ASH5L5RSBH5LOHGB012.html
http://www.yomiuri.co.jp/local/gifu/news/20150518-OYTNT50225.html

◎「Business Joournal」がリリースした「壊滅寸前の出版業界、救いようのない惨状 交通費削減で徒歩強要、給料不明、モラルゼロ…」。三社の事例が紹介されているが、どこなのだろう?
http://biz-journal.jp/2015/05/post_10052.html

◎「かんたん が おいしい!」(新潮社)が10万部と売れた足立洋子の「どんぶり+もう一品」(マガジンハウス)も売れそうだ。「ずぼら丼」という言い方に象徴されているようにオレでもできるレシピが並ぶ。ただ、足立レシピは超簡単で美味いけれど「太る」ような気がする。
http://getnews.jp/archives/965294
「痩せる」のであれば主婦の友社から刊行された「粉豆腐ダイエット」か。「粉豆腐」は長野県飯田市を中心に古くから伝わる食材で、高野豆腐を粉末状にしたものなんだって。
http://matome.naver.jp/odai/2143223668901086101

又吉直樹と堀本裕樹による「芸人と俳人」の版元はKADOKAWAではなく集英社だ。
http://www.news-postseven.com/archives/20150523_324205.html?PAGE=1#container
三省堂書店・有楽町店で、トーク&サイン本お渡し会が開催される。
http://blog.shueisha.co.jp/event/index.php?ID=254

◎市営書店がオープンする!河北新報によれば「八戸市は21日、自然科学やアートなどの本のセレクトショップ『(仮称)八戸ブックセンター』を、来年夏にも市中心部に開設すると発表した」という。全小学生を対象に書店で使える2000円分のクーポンを配る事業も実施しているとは!
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201505/20150522_22002.html

双葉社の「コミックハイ!」が、5月22日発売の6月号をもって休刊となった。
http://natalie.mu/comic/news/148049

◎俳優・萩原流行の妻の記者会見をフジテレビの情報番組「グッディ!」が生中継。代理人の弁護士から「放送しているなら止めて。規則に反している」と注意を受け、生中継を中止した。
http://www.asahi.com/articles/ASH5Q6KLDH5QUCVL032.html

◎癌と戦い続けたアイドル丸山夏鈴が亡くなった。
http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/402843/
ブログが痛々しい。
http://ameblo.jp/pukarin-cho/

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3)【深夜の誌人語録】

情況を俯瞰して見る癖を身につけたい。