【文徒】2015年(平成27)6月23日(第3巻116号・通巻561号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】日本文芸社「のぞえもん」騒動
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.6.23 Shuppanjin

1)【記事】日本文芸社「のぞえもん」騒動

太田出版は「絶歌」の重版を決めたが、日本文芸社藤崎ひかりのマンガ「のぞえもん」1巻を発売即日重版したにもかかわらず、回収を決めたと「おたぽる」が報じている。「のぞえもん」は「ドラえもん」をパロッたロリエロマンガである。日本文芸社は親会社がTVアニメ「ドラえもん」を手がけているADKであることを忘れてしまったのだろうか。「おたぽる」は、次のような書店関係者のコメントを紹介している。
「『のぞえもん』を発行する日本文芸社は、現在ADKの100%子会社になっています。ご存じの通り、アサツーディ・ケイADK)は『ドラえもん』のアニメ版権を持っている会社ですから……。外部からのクレームにしては回収の決定・対応があまりに速いですし、実際、外部からクレームが入ったという話も聞きません。今回の件は内部の決定、指示でほぼ間違いないでしょう」
日本文芸社の経営陣は「のぞえもん」が「ドラえもん」をパロッたエロマンガであることを知らなかったのかもしれない。重版が決まって、そのことに気がつき、大慌て?まさか!
http://otapol.jp/2015/06/post-3146.html
藤崎ひかりツイッターアカウント「ひかり@3日目A13b」は6月18日、次のように呟いている。
「一部で情報が出ちゃったのでもう言っちゃいますが、『のぞえもん』の増刷ストップになりました。内容の一部に不備があった、と編集部からは聞いています。なので販売は今店舗においてある分のみになります」
回収ではなく増刷がストップになった模様である。ただ、アマゾンで「革共同政治局の敗北1975〜2014 あるいは中核派の崩壊」を買うことはできたが、「のぞえもん」で検索しても「のぞえもん」の「の」の字も出て来ない。
「詳しい事情、今後の展開(続きは?とか単行本は?とか)については僕ではわかりませんのでお答え出来ません…。お問い合わせはコミックヘヴン編集部の方へお願い出来ればと思います」
「読んでくれたみなさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。 楽しんでくれた、応援してくれた方の気持ちに水をさしてしまって、本当に申し訳ありません。 僕の方でなにかしら補完するようなものを提供できたらと思ってます…!」
「ただ、どことも『モメてない』と言う事だけはお伝えしておきます。だってモメてたら僕に詳しい事情説明あるはずだもんね。ないということはモメてない、と言う事です」
日本文芸社は作者に増刷を中止した事情すら知らせないのか。そのことが私には驚きである。
https://twitter.com/pedori
「のぞえもん」を表紙に掲げている「コミックヘブン」7月号は現在3000円弱で取引されている。
http://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/B00Y7IJ1VU/ref=tmm_other_meta_binding_used_olp_sr?ie=UTF8&condition=used&sr=8-1&qid=1434934381

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎「オレの婚約者は、落合氏が編集した『完全自殺マニュアル』のもっとも推奨した通りの方法で自殺したからである」と書くネットニュース編集者の中川淳一郎は、「絶歌」に対して次のように評価している。
「一応、最後にこの本が出る意義については説明しておこう。 何もない。まさに外道
http://biz-journal.jp/2015/06/post_10431.html

神戸新聞によれば、兵庫県明石市泉房穂市長は「同市犯罪被害者等支援条例に基づき、市内の書店と住民に販売、購入について『配慮をお願いする』と述べた」という。記事には次のようにあるので私としては少し安心した。
「泉市長は『私個人の思いで、強制はできない』とした上で『書店は売らないでください、市民の皆さんは買わないでくださいという思い』と述べた」
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201506/0008137192.shtml

◎札幌の「くすみ書房」閉店を踏まえた北海道新聞のコラム「卓上の四季」は、次のように書いている。
「<本と宿命の出会いをするには偶然が必要だ>と思想家の内田樹(たつる)さんは言う。確かに、ネット通販や電子書籍は便利である。しかし、書棚の迷路をさまよう体験は捨て難い」
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/season/2-0026984.html
さまように値する「書棚の迷路」を擁することは、「街の書店」にとって経営的に耐えられないという現実を直視したい。

◎奥村宏は「『朝日新聞』問題」(集英社新書)の書評で次のように書いている。
「『会社を守る』ことよりも、『反対意見に耳を貸さない』組織体質そのものを変えることが必要なのではないか」
http://toyokeizai.net/articles/-/72653
マスコミがビジネスとして、あまりに巨大化してしまった弊害ということなのだろうが、インターネットの出現により、足元を脅かされている焦りが、そうした弊害に更に拍車をかけているにちがいない。

◎KADOKAWAは、「東京ウォーカー」の刊行形態を隔週から月刊に変更した。日経によれば「デジタルへの移行を加速して生き残りを目指す」という。だったら紙から完全に撤退したほうが良いのではないだろうか。紙版の「東京ウォーカー」はムックとして残せば良い。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ19HW1_Z10C15A6TJC000/

◎最近、私はできる限りネット書店で本を買わないようにしている。しかし、黒石狂児がオススメの「革共同政治局の敗北1975〜2014 あるいは中核派の崩壊」(白順社)はアマゾンで買った。新刊書店で「絶歌」に出会うのは簡単だが、「革共同政治局の敗北1975〜2014 あるいは中核派の崩壊」を発見するのは、そう容易いことではあるまい。えっ!これ重版になっているのか…。
http://www.hakujunsha.com/books_002.html

電通は、国際パラリンピック委員会(IPC)から2015年〜2020年の日本における独占マーケティングエージェントに指名され、IPCのスポンサーシップパッケージならびにIPCが管轄する10種目のスポーツのスポンサーシップパッケージを、日本企業に対して独占的に販売する権利を取得した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0619-004077.html

◎6月18日放映の「アメトーーク!」(テレビ朝日系)は又吉直樹率いる「読書芸人」が登場し、それぞれオススメ本を紹介しているが、又吉の趣味が良いのは当然としても、光浦靖子若林正恭の両人も、とても趣味の良いセレクトをしている。このセレクトで素晴らしいフェアが企画できると思う。
http://top.tsite.jp/news/i/24306243/

小学館発のコミックアプリ「MangaONE〜マンガワン〜」は、藤田和日郎の「からくりサーカス」全43巻、島本和彦の「吼えろペン」全13巻を期間限定で全巻公開するそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1506/19/news079.html

◎「戦国BASARA検定」の公式問題集「戦国BASARA検定 公式問題集」がぴあから発売される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000011710.html
アクションゲーム「戦国BASARA」は10周年だ。

◎「本シェル」は、お得に購入できる「Kindle本」が見つかるアプリだ。
http://littlelight.jp/news/20150615/

◎NHK出版の代表取締役社長に就任した小泉公二は、八戸高校、上智大学法学部を卒業し、1979年日本放送協会に入局。報道局エグゼクティヴ・プロデューサー、編成局編成主幹・衛星放送センター長、関連事業局長などを経てNHK出版という経歴だ。
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/8,80755,15,27,html

学研教育出版から発売された「My歴史まんが 中学歴史」「SciencAR(サイエンサー)中学理科」は、品川女子学院高等部と共同開発した中学生向け学習参考書。同校の「現役高校生の意見がデザインやページの構成、本のタイトルにまで反映されている」そうだ。
http://resemom.jp/article/2015/06/22/25259.html

在日米軍司令部が日本語版公式フェイスブックを始めた。
https://www.facebook.com/USForcesJapan.J

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

仕事に色や香りがつかないのは一歩踏み込む勇気が足りないからだ。