【文徒】2015年(平成27)6月24日(第3巻117号・通巻562号)

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1)【記事】BOOK☆WALKERで本を買うと100円分のコインが貰えるというけれど
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】BOOK☆WALKERで本を買うと100円分のコインが貰えるというけれど

BOOK☆WALKER」は「カドフェス2015」を実施しているが、対象の紙書籍と「出版社:KADOKAWA」の電子書籍を各1冊以上(紙書籍と電子書籍で合計2冊以上)購入すると、BOOK☆WAKERで電子書籍を購入する際に使えるコイン(100円分)がプレゼントされる。1000円の書籍を買うと10%分が電子書籍購入にしか使えない仮想通貨ながら返金されるということだよね。
これは再販売価格維持契約違反ではないのだろうか。敵はアマゾンだけではないのである。「Amazon Student」プログラムの10%ポイント還元特典が値引きであり、再販売価格維持契約違反であるとして、アマゾンとの取引を中止した中小出版社があったことを思い出しても良いだろう。
BOOK☆WALKER」は言うまでもなくKADOKAWAの関連会社である。アマゾンという黒船ばかりではなく、KADOKAWAという日本を代表する大手出版社までもが法定再販制に引導を渡そうとしているのである。
しかも、KADOKAWAはアマゾンとの取引において取次を外してしまうなど、KADOKAWAの経営陣は、自分たちの利益しか考えないような施策を連発している。
真剣に法定再販を維持しようと考えるのであれば、ここで見て見ぬふりをすべきではあるまい。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000657.000001227.html

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2)【本日の一行情報】

江川紹子の「非難轟々の【元少年Aの手記『絶歌』】で軽視される『言論の自由』と出版の意義」は読んでおきたい。
「…『加害者の出版には被害者の承諾を得るべき』との見解を、『表現の自由』に敏感であるべきメディアの多くが、きちんとした解説や論評もないまま報じたことには疑問を感じる」
「…死者13人、重軽傷者が6300人もいる地下鉄サリン事件のようなケースでは、被害者一人ひとりの承諾を得ることなど不可能な話だ。『加害者は被害者の了解がなければ出版してはいけない』などと、一般化して議論できる話ではない。もっと冷静な受け止めが必要だ」
表現の自由財産権のうえで問題になりそうな新たな法を作って規制しなくても、すでに法的手段は用意されている。メディアは、そこをきちんと伝える必要があるのではないか」
http://biz-journal.jp/2015/06/post_10453.html
「絶歌」の全文をネットに掲げて嬉々としている輩が世の中にはいるようだが、これこそ明確な違法行為である。

◎ビデオリサーチ+電通総研共同リポートによれば、スマホの利用は「全体では、平日は朝の通勤時、昼時、夕方〜夜の三つの山があり、午後8〜12時がピークになるのは、全年齢に共通していた。また全年齢層とも、外出先よりも自宅で使っている時間が長かった」。
http://dentsu-ho.com/articles/2665
スマホによってパソコン離れが進んでいるはずだ。

◎戦時期に作られた国家総動員体制が戦後経済の復興をもたらし、戦時期に成長した企業が高度成長を実現したと考える野口悠紀雄1940年体制史観からすれば、安倍政権の掲げる「戦後レジームからの脱却」は、経済政策から見るならば1940年体制の復活そのものであり、「戦後レジームへの執着」にほかならないという。
戦時期に作られた国家総動員体制が戦後経済の復興をもたらし、戦時期に成長した企業が高度成長を実現したと考える野口悠紀雄1940年体制史観からすれば、安倍政権の掲げる「戦後レジームからの脱却」は、経済政策から見るならば1940年体制の復活そのものであり、「戦後レジームへの執着」にほかならないという。
岸信介も、安倍晋三保守主義者ではないということになる。野口の「戦後経済史 私たちはどこで間違えたか」(東洋経済新報社)はなかなか刺激的な論考である。
実は野口は7年前に新潮社から「戦後日本経済史」を刊行していて、内容はほぼ同じなのだが、安倍政権の誕生によって、リアリティが格段に増しているのである。野口のような「保守」が今や絶滅の危機にあるのだろう。
http://store.toyokeizai.net/books/9784492371183/

電通の20カ国・地域を対象にした「ジャパンブランド調査2015」によれば、日本に対する好意度が最も高い地域は、「ベトナム」(2年連続)と「台湾」。日本でやりたいことの第1位は「日本食を食べる」。興味のある日本製品カテゴリーを聞くと、「医薬品」「化粧品」「アパレル・ファッション」がトップ3。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0622-004078.html

◎美人時計を展開するBIJIN&Co.は、集英社の「週刊ヤングジャンプ」に連載中の「干物妹!うまるちゃん」、人気アイドルグループ「私立恵比寿中学」とコラボし、「美妹(びもうと)時計!!」をリリースした。
http://blog.bijint.com/2015/06/himono/
http://prom.bijint.com/umaru/

講談社ノンフィクション賞を受賞した清武英利の「しんがり 山一證券 最後の12人」(講談社)のドラマ化が決定。今秋WOWOWで放映される。
http://www.cinemacafe.net/article/2015/06/22/32090.html

日本ユースホステル協会は、旅の教育的価値に着目した若者向けフリーペーパー「Hostelling Magazine」 (ホステリングマガジン)を創刊したが、海外情報は「地球の歩き方」とコラボしているそうだ。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201506171196/

◎この人の櫻井よしこ批判は、イデオロギー抜きであるだけに迫力がある。問題としているのは「週刊ダイヤモンド」5月30日号のコラム「オピニオン縦横無尽」で取り上げたスイスにおける徴兵制の話である。
「私の間違い指摘に対して、『かつて女性にも兵役がありましたが、現在は任意とされています。この点で、男女を問わずというのは少し古い情報で、間違いです』と櫻井様は説明されました。しかし、これも間違いです。
念のためにスイス大使館に確認したところ、『現在も過去にもスイスの女性に徴兵制の義務はありません』との回答を得ました。『男女を問わず、国民は徴兵の義務を負う』と書いて間違いを指摘され、では実際はどうなのかと改めて調べてみても、櫻井様は正しい答えに辿り着けなかったのです。
このままの状態で記事を世に送り出し続ければ、どんな結果になるかは説明するまでもないでしょう」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_6.html
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_10.html
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_22.html

◎6月22日、アマゾンで大規模なシステム障害が発生した。注文履歴は見られず、注文内容の変更ができない状態だったそうだ。「Amazonで注文履歴が見れないトラブル発生し、利用者阿鼻叫喚」などツイッターでも大騒ぎとなった。しかし、アマゾンからの詳しい説明は6月23日午前11時17分現在なされていない。アマゾンは、このままダンマリを決め込むつもりなのだろうか。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1506/22/news134.html

学研教育出版および学研教育アイ・シー・ティーは、総務省より「教育現場におけるクラウド導入促進方策に係る調査研究の請負」を受託、その一環である「教育ICTの新しいスタイル クラウド導入ガイドブック2015」が公表された。
http://gakken-ep.co.jp/news/201506/20150622.html
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000065.html

アメリカでの話だが、日本でもそうなるし、そうなるべく舵を切らないと雑誌は新聞にもまして衰退してゆくだろう。島田範正は次のように書いている。
「…雑誌広告に関してで、一般向け雑誌(consumer magazine)のデジタル広告が2019年にプリント版の広告を上回るだろうということです。デジタル広告のCAGRは17.6%もの勢いで伸びて行き、紙の雑誌の広告収入減少を埋め合わせる(と)いうのです。業界誌( trade magazine )でも、傾向は似ているとのこと。米国の雑誌のデジタル化は進んでいるんですね」
http://blogos.com/article/118134/

ブックファーストは「小学館女性誌発 おしゃれレシピ本を買って、キレイアイテムを手に入れよう!」と題してオリジナルキャンペーンを実施中。「腸を整えればキレイにヤセる 美人を生む『美腸ダイエット』レシピ」「SUPER BEAUTY SWEETS」「酔いどれスヌ子の麗しごはん」「3皿で、おもてなし」4点のうちいずれかを購入するとKOSE(コーセー)コスメ4点セットのサンプルがもらえる。
http://blog-imgs-75-origin.fc2.com/p/i/r/pires7/shogakukan.jpg

博報堂の次世代型クリエイティブプロジェクト「恋する芸術と科学ラボ」は、東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム(通称GPSS-GLI/プログラム長:佐藤徹教授)と、「新しい時代の環境創造」をテーマに連携した。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/21875

船戸与一の「満洲演義」全9巻を再読していることもあって、笠原十九司の「海軍の日中戦争 アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ」(平凡社)はストンと腑に落ちた。戦後、海軍は平和的、開明的、国際的であったという海軍善玉論イメージが定着してしまったが、笠原によれば海軍が日中戦争を全面化し、やがて南進論により昭南島を占領し、遂には日米開戦に陸軍を引きずり込んでしまったのである。
http://www.heibonsha.co.jp/book/b198992.html

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3)【深夜の誌人語録】

最初から誰かに頼ってしまっては、誰も助けてくれなくなるはずだ。