【文徒】2015年(平成27)8月11日(第3巻150号・通巻595号)

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1)【記事】「企業広報大賞」マツダ広報部の大失態
2)【記事】樋渡啓祐の「首長パンチ」炸裂か
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.8.11 Shuppanjin

1)【記事】「企業広報大賞」マツダ広報部の大失態

8月3日にマツダ広報部は、こうツイートした。
Twitterにて『公道でのロードスター撮影マナーに問題あり』との一部ご指摘に基づき5月当時の撮影状況を調査いたしました。ご指摘箇所でのマツダ本社の撮影事実はなく、ロードスターが登場するCMもございません。ご心配をおかけいたしました。皆様ご安全に、心優しい運転をお願いいたします」
https://twitter.com/Mazda_PR/status/628054023145328640
マツダが公道であるにもかかわらず危険走行を伴うCM撮影を行っていたというツイートに対して、広報部はその事実を否定したのである。しかし、8月7日になると事態は一転する。マツダ広報部は次のような「お詫び」をツイート。
「調査の結果、ご指摘の内容は静岡マツダによるテレビCM制作時の一般車両等の安全走行を妨げる撮影と判明しました。皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけし深くお詫び申し上げます。マツダグループ一丸となり、再発防止に取り組んでまいります」
https://twitter.com/Mazda_PR/status/629596267031560192
静岡マツダも次のようなお詫びをアップしている。
「静岡マツダ株式会社は、6月より放映を開始した弊社のテレビコマーシャルについて、発注先による制作の過程で、撮影車両が一般車両等の安全走行を妨げる走行を行なっていたこと(以下「本件撮影」といいます)が、お客様からメーカー(マツダ株式会社)へのお申し出により判明しましたので、お知らせいたします。
お客様ならびに関係各位には、多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますこと、深くお詫び申し上げます。本件撮影は、2015年5月25日に、弊社が発注した広告代理店により、静岡県道127号線(通称:西伊豆スカイライン)にて行われたものです。弊社では、本件撮影における事態の詳細及び法令違反の有無等につきまして、現在調査を行うとともに、警察に本件の報告をいたしました。この事実に基づき、当該テレビコマーシャルにつきましては、放映を中止しました。弊社は、本件を真摯に受け止め、発注先の広告代理店とともに、警察当局の指示に従うと共に、再発防止に向けた体制強化を徹底してまいります」
http://www.shizuoka-mazda.co.jp/news/index.html
マツダ広報部は、ツイッターでの指摘に際して、マツダ本社のCMに関してはチェックしたのだろう。販売会社のCMに想像力が及ばなかったのは、マツダ広報部が視野狭窄に陥っていたということにほかなるまい。しかし、マツダ広報部がユーザーの指摘を受けて、自信満々に「ご指摘箇所でのマツダ本社の撮影事実はなく、ロードスターが登場するCMもございません」と書き込んだ罪は万死に値するのではないか。
マツダにCM撮影に際して危険走行があったと指摘したユーザーはツイッターアカウントを削除してしまったのである。マツダ広報部の撮影事実はないというツイートにより、このアカウントに罵詈雑言が浴びせかけられたことは容易に想像できるというものだ。あるユーザーが次のようにツイートしていたが全くその通りであろう。
「結果的に見るとマツダ広報さんの初期対応ミスで一つのツイッター人格が消滅したことは受け止めるべき事実だけど、まとめサイトなどの煽りで今度はマツダ広報さんへの猛バッシングが始まるようでは正にSNSは憎悪増幅器でしかないと実証されちゃうわけで、総員冷静対応希望」
マツダ広報部は広報が「公聴」であることを忘れてしまっているようだ。何しろお詫びのツイートに至るまでの間にマツダ広報部は偉そうに次のようなツイートを投稿しているのだ。
「【ニュース】第31回 企業広報賞にて「企業広報大賞」を受賞。これもひとえに、皆さまの温かいご支援のおかげです。これからも皆さまと特別な絆を持ったブランドになることを目指してまいります」
https://twitter.com/Mazda_PR/status/628119552409243648
マツダは「企業広報大賞」を返上したほうが良いのではないだろうか。この件に関して新聞は通り一遍の報道しかしていない。
http://www.asahi.com/articles/ASH893TGVH89UTPB003.html

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2)【記事】樋渡啓祐の「首長パンチ」炸裂か

気になる「まとめ」である。「武雄市図書館にTSUTAYAの在庫が押しつけられる」。
http://togetter.com/li/858068
内田樹が次のようにツイートしている。
武雄市の図書館の蔵書問題は一図書館の問題という以上に、『専門家が専門的知見に基づいて技術的に管理すべき制度資本』に市場のロジックを導入した場合に何が起きるかという『社会的共通資本問題』に対する好個の回答になっていると思います。ああいうふうになるんです」
https://twitter.com/levinassien/status/630161625501204482
「この図書館の選書には『書物の価値』についての配慮がまったくありません。『誰かが儲かる』からという理由で不要な本が買われ、『コストがかかる』という理由で価値のある蔵書が廃棄される。知性や感性の成熟を支援するための制度に市場の原理が入り込むと何が起きるか、骨身にしみて知るべきです」
https://twitter.com/levinassien/status/630162934199529472
武雄市図書館の運営をCCCに委託した樋渡啓祐前市長は、TSUTAYAを運営するCCCの子会社である「ふるさとスマホ」の社長に就任している。富山県南砺市新潟県三条市、栃木県那須町、神奈川県横須賀市奈良市大阪府柏原市長崎県平戸市香川県宇多津町が樋渡を地方創生アドバイザーとして迎えている。
http://www.ccc.co.jp/news/2015/20150728_004800.html
「首長パンチ」の実態は「CCCパンチ」なのだろうか。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062166768

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3)【本日の一行情報】

◎「CanCam」(小学館)専属モデル出身の森星が講談社から「森星 スタイルブック『star』」を刊行した。森の祖母は森英恵
http://mantan-web.jp/2015/08/07/20150806dog00m200047000c.html

KADOKAWA は「電撃文庫 秋の祭典2015」を10月4日にベルサール秋葉原秋葉原UDXの2会場で開催する。
http://db2015fes.dengeki.com/

小雪が、小学館の女性ファッション誌「Precious」を9月号で卒業。創刊号から11年間にわたって「Precious」の誌面を飾ってきた。
http://www.oricon.co.jp/news/2057308/full/

◎米ツイッターの業績が低迷している。
http://www.sankei.com/west/news/150807/wst1508070003-n1.html

日本アドバタイザーズ協会が9月11日に雑誌委員会セミナーを開催する。「週刊文春」の新谷学編集長が圧倒的な影響力を生み出す編集方針、DWANGOとの協業をはじめとする独自のデジタル戦略によって進む媒体活性化など、「週刊文春」のパワーの源を公開し、さらに広告媒体としての存在感を高めるメディア展開の事例を紹介するそうだ。
http://www.jaa.or.jp/archives/seminar/%e9%9b%91%e8%aa%8c%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%82%92%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%81%97%e3%81%be%e3%81%99%e3%80%82-3/

田中角栄本が売れているそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000194.000005069.html
田中のような政治家がいたから、日本では社民主義が育たなかったのだろう。

日本雑誌協会による「マガフェス夏」が始まったと毎日新聞が紹介している。
http://mainichi.jp/select/news/20150809k0000m040048000c.html
日本雑誌協会からオレのところには何の連絡もないんだよね。専務理事には雑広協同様にタダで「文徒」も送っているはずなのだけれど。

◎マガジンハウス出身の沢田康彦が「暮らしの手帖」の編集長に就任することになった。カミさんは女優だった本上まなみ
https://twitter.com/nerikirikinton/status/629157311945125888
http://www.swing.bz/artists/sawada/sawada.html

◎ディズニーの公式ツイッターが炎上。8月9日の「なんでもない日おめでとう」ツイートを削除する。長崎に原爆が投下された8月9日を「なんでもない日」と表現したことが問題とされたようだ。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-7518.html

◎日本礼賛本がブームになっているようだ。
http://lite-ra.com/2015/08/post-1368.html

◎日本は「Nuclear Plant」を「核発電」と翻訳せずに「原子力発電」と翻訳した。原爆と原発は全然違うと考えている人が多いんだな。
http://togetter.com/li/858115

◎創業10周年を迎えた有志舎の永滝稔がブログで次のように書いている。「日本占領とジェンダー」(平井和子)とか「核兵器と日米関係」(黒崎輝)、「皇国日本のデモクラシー」(住友陽文)で知られる版元である。
「有志舎は、創業以来その出版図書目録の冒頭に書いているように、『知の力で地球上から戦争をなくす』ために出版活動をしています。しかし、だからといって直接に反戦を訴えかけるような本を出版しているわではありません。戦争を批判する精神を背後に持つ学問・研究の成果を世の中に広げていくこと、それが有志舎の使命であり、そういう地を這うような地道な出版活動によって世界の平和を実現すること、それが有志舎の創業理念です」
http://blog.goo.ne.jp/yushisha2005/e/548ca53e0de5d990b7acb123c1826ecb

◎「ネットフリックス」日本法人のグレッグ・ピーターズ代表が「プレジデント」のインタビューに応じて、そのなかで次のように語っている。
「我々が競争相手と考えるのは、ユーザーを取り囲むあらゆる娯楽だ。それはSNSかもしれないし、雑誌やゲームかもしれない。テレビ局は、動画という意味では同じカテゴリーなので、パートナーにもなりうる」
http://president.jp/articles/-/15818
雑誌にしても同じだ。競合相手はユーザーを取り囲むあらゆる娯楽なのである。同時に雑誌にとって競合相手はすべからくパートナーなのである。

◎「百田尚樹VS琉球新報沖縄タイムス」を企画する雑誌はないのだろうか。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/07/naoki-hyakuta_n_7958858.html

デジタルガレージ講談社による米国の合弁会社KAM (Kodansha Advanced Media LLC.)の北米におけるコンテンツ事業を本格的に開始する。
KAMの本格的な事業展開に合わせて、講談社は2013年末から開始しているコミックの日米同時配信サービスの対象作品数を、現在の20作品から2015年の年末までに30作品に増やし、英語版デジタルコミックの巻数を、2017年末までに現在の400点程度から5倍強の2,000点まで拡大する予定だ。
http://www.garage.co.jp/ja/pr/2015/08/20150807.html

◎「cocoon」「アノネ、」「ぱらいそ」(秋田書店)と今日マチ子は戦争を描きつづけている。「ウートピ」で次のように語っている。
「そもそもなぜ自分が戦争から目を逸らしていたのかについて考えると、怖いという思いが強かっただけでなく、描かれている人物にあまり共感できなかった、というのもあったと思います。日本では戦争に対して不思議な郷愁を感じやすいというか、憧れることはないにしても、描かれている悲しみや叙情性に惹かれやすい気がしていて。それもあって、主人公も一方的な被害者として描かれるのかもしれませんが、そこが不満だったのかもしれません」
http://wotopi.jp/archives/24905

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4)【深夜の誌人語録】

「堕落」とは想像力の自殺であり、「怠惰」とは創造力の自殺である。