【文徒】2015年(平成27)8月26日(第3巻161号・通巻606号)
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1)【記事】大衆の間隔と業界人の感覚
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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- 2015.8.26 Shuppanjin
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1)【記事】大衆の間隔と業界人の感覚
騒動が収まる気配は一向にないようだ。スポーツ報知によればアメリカのデザイナーが佐野研二郎に謝罪を求めたそうである。
http://www.hochi.co.jp/topics/20150824-OHT1T50221.html
日刊スポーツは「佐野氏盗作疑惑で座談会『取り下げ再提案再選考を』」を掲載している。「広告会社営業35歳男性Cさん」は次のように発言している。
「広告主は凝りすぎたデザインは好まない。普通のアイデアにプラスアルファしたものでいい。佐野さんのような名のあるADはそれがうまく、営業的には使いやすい」
http://www.nikkansports.com/general/news/1528056.html
「ダイヤモンドonline」にはソーシャルプランニングの竹井善昭代表による「しくじり佐野研二郎氏に足りない『リスペクト』と『許される力』」が掲載されている。そこにこんな文章を見つけた。
「つまり、多くの人が考える『日本人のクリエイティビティに対する感覚』というものに対して、『佐野氏のクリエイターとしての感覚』が真っ向対立しているところに、今回の騒動の根本的原因があると思われるのだ」
私は「大衆のクリエイティビティに対する感覚」と「業界人のクリエイティビティに対する感覚」の乖離が騒動をここまで大きくしたのだと思っている。
奥田染工場のブログも、佐野問題を取り上げている。佐々木俊尚あたりは激賞しているようだが、この文章も「大衆のクリエイティビティに対する感覚」を納得させることはできまい。
http://diamond.jp/articles/-/77265
http://blog.okudaprint.com/2015-08/2211
オリンピックの公式エンブレムについて「業界人のクリエイティビティに対する感覚」すれば「本人がパクりじゃないって言ってるんだからパクりじゃない」(植原亮輔)のかもしれないが、「大衆のクリエイティビティに対する感覚」からすれば、そうした物言いこそ信じ難いのである。
そもそも大衆からすれば、公式エンブレムに佐野が選ばれたのは「世間が選んだ選択」とは思えまい。そういう意味では業界人がソーシャルメディアを駆使して発信した佐野擁護の言説は火に油を注ぐものでしかなかったのである。「大衆」が「生活者」であるとすれば、残念ながら「業界人」は「生活者」でないことが白日のもとに曝されてしまったともいえよう。その結果、「大衆の業界人に対するルサンチマン」がネットで爆発してしまったのである。
http://netgeek.biz/archives/46534
佐野が博報堂の出身であることをもって、博報堂の「オリンピック利権」を妄想する投稿もネットでは跋扈しているが、その根っこに横たわっているのは「大衆の業界人に対するルサンチマン」に他なるまい。周知のように博報堂に「オリンピック利権」は全くない。
「ハッキリ言って、博報堂は五輪には関与できません。なぜなら伝統的に五輪は電通が仕切ることになっているからです。五輪のスポンサー集め等にしても、一切博報堂は関与できません」(中川淳一郎)
http://blog.goo.ne.jp/konotawake/e/4489bd61c1aaa1dd31befaa5dc9bff03
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2)【本日の一行情報】
◎「少年ジャンプ」(紙版or電子版)への掲載権を確約する「少年ジャンプに絶対載るギャグ賞」が2月にひきつづき開催される。
http://rookie.shonenjump.com/info/entry/2015/08/24/151050
◎田崎史郎の指摘だけれど、オレもそう思う。
「『目を疑うような二転三転』、『悲惨な迷走』をしたのは政権ではなく、朝日新聞である。朝日の社説は『論』として立派かもしれない。しかし、誤った報道に基づいて『論』を構成するなら、砂上の楼閣ではないか」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44889
◎「第18回にいがたマンガ大賞」が作品を募集している。
http://www.niigata-nippo.co.jp/life/tourist/news/20150824201104.html
「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」が10月24日(土)・25日(日)の二日間にわたって開催されるが、24日に「第18回にいがたマンガ大賞」が決定する。
http://www.niigata-animemangafes.com/p01_1432025344682.html?&n=20&s=1&c=all
◎ツイッターに「現在の相模原」としてゴジラが街を破壊する画像を投稿したアカウントに対してTBS社会部が次のようにツイートしてしまったそうだ。
「TBS報道局社会部です。 突然の書き込み失礼致します。××××さんがアップされているお写真を、ニュースで使用させて頂くことは可能でしょうか。DMをお送りしたいので、一度フォローして頂けると幸です」
「現在の相模原」という文字に目を奪われゴジラの存在に気がつかなかったようである。
http://getnews.jp/archives/1101735
◎朝日新聞記者・平和博の「『広告ブロック』時代に、メディアは何ができるのか?」によれば、インターネットユーザー約30億人のうち、「『広告ブロック』の世界的な利用者は、この1年で4割増の約2億人になり、それによって失われている広告収入は約220億ドル(約2.7兆円)」だという。
http://www.huffingtonpost.jp/kazuhiro-taira/ad-block-media_b_8028792.html?utm_content=buffere91b8&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
◎モバイル・コンテンツ・フォーラムの調査によれば、2014年モバイルコンテンツ関連市場は1兆4566億円(対前年比135%)。このうちスマートフォン等市場は1兆3026億円(同156%)。スマートフォン等市場の内訳は「ゲーム・ソーシャルゲーム等市場」が 8,938 億円 「動画・映像配信市場」1,318 億円、「電子書籍市場」 1,235 億円、 「音楽コンテンツ市場」は692 億円とつづく。
https://www.mcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2013/10/mobilecontent_market_scale2014.pdf
◎文藝春秋は「文藝春秋」9月特別号の増刷(3刷/5万部)を決定。これで累計110万3000部となった。「蹴りたい背中」(綿矢りさ)、「蛇にピアス」(金原ひとみ)を掲載した平成16年3月号の118万5000部に次ぐ歴代第2位の数字となったわけだ。「火花」の単行本は累計239万部。まさに「又吉特需」の様相を呈している。「Sankei Biz」は次のように書いている。
「出版取次大手・日販マーケティング本部の古幡瑞穂さんは『本当に幅広い層に届いている』と感心する。普段、主に漫画や雑誌を買う層が「火花」を手にしている実態が、全国の書店の売り上げデータから見て取れる。
『火花』と一緒に購入されているのは、例えば大ヒット漫画『進撃の巨人』や20、30代に人気の女性向け漫画『君に届け』の最新刊など。40、50代の女性が読者層の中心なのは他の売れ筋の文芸書と変わらないが、若い世代にもその裾野は着実に広がっている」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/150825/bsd1508250500003-n1.htm
◎「ジュラシック・ワールド」の日本国内における23日までの観客動員数が400万人超、興行収入は59億5,737万9,700円と今年一番の大ヒットとなった。
https://gunosy.com/articles/RhjLT
◎今年で7回目を数えるショッピング・イベント「VOGUE FASHION'S NIGHT OUT」が9月12日(土)に東京、10月17日(土)、18日(日)に大阪で開催される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000209.000000930.html
◎9月2日にサービスを開始するネットフリックスはソフトバンクと提携し、スマホ利用者獲得に力を入れるという。スマホ利用者に狙いを定めた最安プランは月額702円。
http://www.asahi.com/articles/ASH8S3PSDH8SULFA00G.html
◎路上のマテリアリストたる平井玄が現代書館より「ぐにゃり東京」を上梓。タイトルからして開高健の「ずばり東京」に捧げられたオマージュであることがわかる。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5734-4.htm
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3)【深夜の誌人語録】
夢を枯れさせないために一日に一回は夢を思い出すことにしている。