【文徒】2015年(平成27)9月15日(第3巻175号・通巻620号)

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1)【記事】ツイッターアカウント「NHK日曜討論公式Twitter」が酷い
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【人事】「祥伝社9月14日付機構改革及び人事異動

                                                                            • 2015.9.15 Shuppanjin

1)【記事】ツイッターアカウント「NHK日曜討論公式Twitter」が酷い

NHK日曜討論公式」ツイッターが9月12日に次のように投稿した。
「いよいよ採決が迫る(?)安全保障関連法案。今朝の出演者は岡本行夫さん、柳澤協二さん、細谷雄一さん、木村草太さんです。皆さんの意見はどの出演者に最も近いでしょうか。反対意見って理解しにくいのに、賛成意見はすごく頭に入やすい…。両耳でしっかり聞くぞー。ゲスト着席!間もなく放送です」
https://twitter.com/nhk_touron/status/642849646428094464
このツイートが、安保法案に対する反対意見は理解しにくく、賛成意見は頭に入りやすいと読める内容であるため批判が殺到した。
NHKは公共放送なんでしょ。『反対派の意見は難しい』なんてツイートは不当。下手な世論誘導は有害だ。ツイートの削除を求めます」
「何だこれ??NHKは頭がおかしい。真逆ではないか?NHKは完全に病気だよ」
「逆だろうが。反対意見はわかりやすいが、賛成意見はわかりにくい。連日の国会の審議を見ていれば一目瞭然だろうが。どこまで安倍政権に尻尾振ってるんだ。それでも公共放送か、恥を知れ、屑」
「すごいねNHK。もはやどちらに肩入れしているかを隠そうともしない」
さすがに、このツイートは削除されるかと思っていたが、さにあらず。「NHK日曜討論公式Twitter」は、9月13日に次のようにツイートしたものの、問題のツイートはそのまま放置している。
「今朝のツイートについて。自分の意見と違う人の意見は耳に入りにくく、同じ意見だと理解しやすいと言う意味で書いたのですが、『賛成』『反対』という言葉を使ってしまったので、法案に『賛成』『反対』かのように誤解された方もいたようです。お詫び致します。m(_ _)m」
https://twitter.com/nhk_touron/status/642888243160084480
同じ意見だと理解しやすいと言う意味には読めないから問題なのだろけうが!しかも、お詫びとは言い難い文章であり、絵文字まで使っている。NHKが「公式」と冠しているツイッターアカウントで、ここまで言葉に対して「弛緩」してしまっているNHKに「公共放送」の資格はあるのだろうか。
NHK日曜討論公式」は、このお詫びの後、次のようにツイートしている。
「木村さんは番組で「(採決の)時機は熟している。…否決し廃案にするしかない」と番組で述べています。そのことが印象的でした。また誤解を生んでいるようです。申し訳ありません。反省m(_ _)m」
https://twitter.com/nhk_touron/status/642947247789895680
これについては住友陽文が次のように批判しているが、その通りだ。
NHKの司会者も「採決の機は熟したか?」と質問していないし、木村草太さんが『機は熟した』と言ってるのは、安保法制の正体を見極め、廃案しかないと決断する『機は熟した』という意味であり、このことを誤解した人は出席者含め誰もいないはずだった」
https://twitter.com/akisumitomo/status/642980901622693888
「それをNHK日曜討論の公式アカウントは、木村さんの発言にも、質問したNHKの司会者の言葉にもない『採決の』という言葉をわざわざ挿入して、木村さんは『採決の機は熟した』と言ったとまとめたのである。これを悪質だと言わないで何を悪質と言うのか」
https://twitter.com/akisumitomo/status/642981093281415168
「改竄」である。
赤木智弘は次のようにツイッターで吐き捨てた。
NHK公式アカウントでこれか」
https://twitter.com/T_akagi/status/642898372974669824
内田樹もこうツイートしている。
NHKがまたやらかしたようです。あのね、この政権はもうシステムごと土台から「死に体」になってるんです。それに気づかずまだ政権によいしょして出世しようとしている点で、ジャーナリストとしての感度が悪すぎです。高いお給料貰うだけの能力がありません。悪いけど」
https://twitter.com/levinassien/status/642960171006754816

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2)【本日の一行情報】

竹田圭吾の「スポーツ報道の『見どころ至上主義』は限界だ」(「東洋経済オンライン」)は、「スポーツ報道」批判として秀逸である。
「…競技そのものの魅力をありのままに伝える意識の希薄さが日本のメディアを覆い続けていることは、ゲームの内容などそっちのけで日本人選手の成績だけを断片的に伝える『注目選手至上主義』的な報道がいま現在も行われていることをみればわかる」
野球でも、サッカーでもそうだ。試合の内容そっちのけで日本人選手に焦点を当てるという単純化された方法は戦時中の大本営発表ジャーナリズムと同質なのである。
「…テレビメディアに『スポーツジャーナリズム』という概念や意識が存在すると思ったことはほとんどなかった。市民の権利と便益を守るために、権力監視の立場から客観対象を公正・中立かつ批評的に報道することをジャーナリズムと定義するならば、それを行うにはテレビはスポーツやスポーツビジネスと一体化しすぎているからだ」
これは何もテレビメディアに限っての話ではない。スポーツ新聞は相変わらず浪花節を奏でるし、全国紙においては「党派的な報道」がまかり通っている。
「メディアが個別のスポーツイベントと一体化しているゆえの問題もある。日本の陸上界の駅伝中心主義がマラソン選手の育成に悪影響を及ぼしている、といった批判を日本テレビが積極的に取り上げることはないし、高校野球の投手が夏の甲子園大会で酷使されていることを『朝日新聞』が問題視して大々的なキャンペーンを張ることもない。
その点で深刻なのは、記者がインサイダー化されてしまうことだ」
http://toyokeizai.net/articles/-/83658

◎ロングセラーとなったミシマ社の「ボクは坊さん。」(白川密成)が映画化され、「小説版 ボクは坊さん。」が集英社文庫から刊行され、ミシマ社は白川の第2弾「坊さん、父になる。」を刊行する。「坊さん」ブームがやって来た。
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=27492

◎佐賀の武雄市図書館は、今後もCCCが運営するという。9月12日付毎日新聞が次のように書いている。
「市教委の浦郷究教育長は『CCCとは互いに信頼し合い今日の図書館を築いてきた。これまで予想以上のことをしてもらったという思いもある』と述べ、今後も運営委託する方針を強調した」
http://mainichi.jp/select/news/20150912k0000e040172000c.html

大日本印刷は、銀行口座開設とカードローン申込をスマートフォンで簡単に行える「DNPスマートフォン向け銀行口座開設用アプリ」の提供を開始した。
http://www.dnp.co.jp/news/10114337_2482.html
大日本印刷はまた、生活者自身が自らの個人情報(パーソナルデータ)を管理し、データを開示するサービス事業者を選択できる「VRM(Vendor Relationship Management:ベンダー関係管理)」事業を来年4月に開始するそうだ。
http://www.dnp.co.jp/news/10114203_2482.html
大日本印刷はIT企業でもある。

◎「幻冬舎TSUTAYA オリジナル文庫フェア 今、読みたい! No.1」はユーザーの生の声が店頭にPOPとして10月31日まで並ぶ。
http://tsutaya.tsite.jp/feature/book/pop/result
http://top.tsite.jp/news/book01/i/25391802/

紀伊國屋書店の新宿本店では、村上春樹「職業としての小説家」(スイッチ・パブリッシング)が地下1階から地上8階までの全フロアで棚やワゴンに積み上げられているそうだ。
紀伊國屋は重版した3万部も買い切るという。
http://mainichi.jp/shimen/news/20150911ddm012040154000c.html

丸善CHIホールディングスの2016年1月期第2四半期決算は、売上高904億100万円(前年同期比3.4%増)、営業利益16億2800万円(5.1%減)、経常利益16億2400万円(1.5%減)、当期利益10億1300万円(7.6%減)。
売上高は、教育・研究施設、図書館などの設計・施工案件やApple製品・パソコンの修理サービス等業務が順調に推移した一方で、文教市場販売事業で円安の影響による一部商品の利益率の低下があったことや店舗・ネット販売事業における新規出店に伴う初期費用の計上、図書館サポート事業における人件費の上昇等の影響を利益面で受けたそうだ。
http://www.maruzen-chi.co.jp/ir/result/h28kt-2q-s.pdf

◎宝島社の女性ファッション誌「sweet」10月号の付録は、人気ファッションブランド「FRAY I.D」の「史上最強の女豹トート」、「大人のおしゃれ手帖」10月号の付録は、人気ブランド「ツモリチサト」とのコラボアイテム「猫プレート付き上質ポーチ」。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000213.000005069.html
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000211.000005069.html

◎中村淳彦の小学館新書「AVビジネスの衝撃」が売れている。AVビジネスも出版も同じ類の危機に直面しているのだろう。
http://www.sankei.com/life/news/150912/lif1509120018-n1.html

ソニーReader Storeで「実業之日本社 40代50代の必読書フェア 約70冊半額!」を開催中。
http://ebookstore.sony.jp/collection/R000001191/?s_pid=pc_20150911_All_MA_02_01_05_01

◎第2回「料理レシピ本大賞 in Japan」が決まった。大賞は料理部門が「ほんとに旨い。ぜったい失敗しない。ラクうまごはんのコツ」(新星出版社)、お菓子部門が「作りおきスイーツ」(主婦の友社)。
http://recipe-bon.jp/?p=2199
http://recipe-bon.jp/?page_id=2197

◎30年ぶりの新TVシリーズ放映にあわせ「ルパン三世ぴあ」が9月17日(木)に発売される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000011710.html

新宿武蔵野館ベルナルド・ベルトルッチの「暗殺の森」がリバイバル公開されるのか。この映画はロードショーされなかったんだよね。STチェーン(だったかな)で2本立てで公開されたはず。撮影はヴィットリオ・ストラーロファシズムを描いて、こんなに美しい映画になるなんて奇跡としか言えないよね。
http://cinema.pia.co.jp/news/5339/64096/

トーハンが発表した8月期月間ベストセラー。1位「火花」(文藝春秋)、2位「人間の分際」(幻冬舎)、3位「流」(講談社)、4位「スクラップ・アンド・ビルド」(文藝春秋)、5位「あっ!命の授業」(廣済堂出版)、6位「家族という病」(幻冬舎)、7位「大放言」(新潮社)、8位「BORUTO−NARUTO THE MOVIE−」(集英社)、9位「かいけつゾロリのようかい大うんどうかい」(ポプラ社)、10位「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」(自由国民社
http://www.sankei.com/life/news/150912/lif1509120021-n1.html

小玉武の「『洋酒天国』とその時代」(ちくま文庫)が紹介されている。小玉はサントリーの広報部長もつとめているし、TBSブリタニカの経営にもかかわった。
http://www.sankei.com/west/news/150913/wst1509130010-n1.html

◎「週刊ポスト」が少年Aの「実名」と「顔写真」を公開した。このことを共同通信の「47NEWS」も報じている。
http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015091401000948.html
http://www.weeklypost.com/150925jp/index.html
週刊ポスト」では佐野眞一の「1960唐牛健太郎と安保の時代」の連載が始まった。昨日、「青木昌彦・姫岡玲治を偲ぶ会」が開かれ佐野眞一も出席していた。

◎メディア・ジェネラルが、メレディスを24億ドルで買収。合併してメレディス・メディア・ジェネラルが発足することになった。アメリカのメディア再編劇はダイナミックである。
メディア・ジェネラルはTV局を71局、メレディスは17局をそれぞれ擁しており、合併により全米で3番目に大きなテレビ局チェーンが誕生することになる。また、周知のようにメレディスは出版部門が強く、「エブリデー・ウィズ・レーチェル・レイ」、「マーサ・スチュワート・リビング」、「ベターホームズ・アンド・ガーデンズ」などの雑誌をラインナップしている。アメリカのメディアは日本と違って「村」に閉じこもることがないのである。
http://www.adweek.com/fishbowlny/media-general-to-buy-meredith-for-2-4-billion/353244?utm_source=morningmedianewsfeed&utm_medium=newsletter&utm_campaign=dailynewsletter20150909

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3)【深夜の誌人語録】

人は誰でも平等に死を経験できるが、誰もが自分の死について語ることはできないということでも平等である。

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4)【人事】「祥伝社9月14日付機構改革及び人事異動

(1)新たにコンテンツビジネス推進室を設ける。
(2)デジタル&ライツ推進室をデジタル&海外ライツ推進室に変更する。

只野 孝一
新:総務経理部 部長・編集総務部 部長、コンテンツビジネス推進室 室長
旧:総務経理部 部長・編集総務部 部長、広告部 ゼネラルマネージャー

山口 一郎
新:コンテンツビジネス推進室 副課長
旧:広告部 広告営業課 副課長

石井 真由
新:コンテンツビジネス推進室 主任
旧:「Zipper」編集長

澤井 陽子
新:雑誌編集部 主任、「Zippr」編集長 兼 新コンテンツ促進室 編集長
旧:雑誌編集部 主任、新コンテンツ促進室 編集長 兼 「Zipper」編集担当