【文徒】2015年(平成27)10月1日(第3巻184号・通巻629号)

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1)【記事】街の書店はまだまだ減少する
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【人事】〈集英社10月13日付組織改正と人事異動〉

                                                                            • 2015.10.1 Shuppanjin

1)【記事】街の書店はまだまだ減少する

ジュンク堂書店難波店店長の福嶋聡が「本屋とコンピュータ」で次のように書いている。
「新刊書店は『今』を大切にする、ということである。『今』を映し出し、『今』を変えて未来を創り出す本をどんどん提供する。名著の復刊、オンデマンド出版に価値を見いださないわけではないけれど、それはあくまで二次的、付随的な仕事だ。過去の名著の提供、流通は、基本的にはそれを仕事とする図書館や古本屋に任せてもよい。
出版社には過去の遺産に寄りかかることではなく、『今』を見つめ、『今』を乗り越えて未来を拓く本を創り出すことを求めなければならない。そうした本を広く読者に提供し、利益を出版社に還流させることによってまた新たにつくられる新刊本が、図書館の蔵書となり、将来は古本屋市場を作る。そうして、本たちが自由に流通し、読者との出会いが生まれる」
http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/honyatocomputer156.htm
新刊書店は「今」に流れ過ぎてしまったため魅力を喪失していったのではないかと考えることもできるはずだ。どこぞの大手書店のようにタワー積みに精を出すのも、「今」しか見ていないからなのではないだろうか。
9月23日付毎日新聞の社説「街の書店 本との多様な出合いを」は「街の書店の消滅は、出版界の影響にとどまらず地方文化の衰退につながるだろう」と書くが、ではどうすれば街の書店を活性化できるのかは書かない。というよりも書けないはずだ。書けないのは毎日新聞ばかりではない。私にしてもそうだ。
どんなに情緒的な言辞を弄して街の書店の消滅を嘆こうとも、現実的にいえば、街の書店は、まだまだ消滅しつづけるだろう。大型書店、ネット書店、コンビニが縮小する市場において、揃って繁栄するということなど、あり得ないのである。
http://mainichi.jp/shimen/news/20150923ddm005070173000c.html?fm=mnm

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2)【本日の一行情報】

◎最初の出会いはマガジンハウスの「an・an」だったのか。中日スポーツによれば福山雅治は「2001年、雑誌「an・an」(マガジンハウス)の企画で、18歳の吹石と初対面。まるで恋人のような体を寄せ合うツーショット写真を撮って」いた。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2015092902000161.html
ところで河北新報が「an・an特別編集 女性のための防災BOOK」を紹介している。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150928_15049.html

◎10月1日から海外ネット配信にも消費税が課税されるようになった。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150929/mca1509290500010-n1.htm

JR東日本とヤフーは、東北新幹線を利用する旅行者向けコンテンツ提供サービス「たびぴた」を10月1日から12月31日までの間提供する。マンガなど電子書籍も提供される。
http://tabipita.yahoo.co.jp/promo
http://pr.yahoo.co.jp/release/2015/09/28a/

タウンワークの「激レアバイト」シリーズに講談社の「モーニング」の募集につづき、集英社の「少年ジャンプ」が一日編集者を募集。
「映画「バクマン。」の舞台にもなる集英社の編集部でのお仕事です。漫画家から上がってきたばかりの原画に入れる文字のサイズやフォントを雰囲気に併せて決定したり、一般からの持ち込み原稿をチェックした後、要約を作成し編集に所感を伝えるなど、まだ世の中に出る前の漫画に触れ、実際の漫画づくりに携わるお仕事です」
http://townwork.net/detail/clc_1942676001/joid_39442745/?vos=dtwmprsc0000060066
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1509/28/news093.html

日本テレビテレビ朝日、TBS テレビ、テレビ東京、フジテレビの在京民放5社は、テレビ番組を広告付で無料動画配信するキャッチアップサービス「TVer」(ティーバー)を10月26日(月)よりスタートさせる。サービス開始当初は、各局10 コンテンツ程度、合わせて50〜60コンテンツの配信を行うそうだ。
http://www.txhd.co.jp/news/pdf/150928.pdf

時事通信ソフトバンクの松中引退と誤報
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/451977/

集英社の男性ファッション誌「メンズノンノ」の創刊30周年プレ記念として、特別編集ムック「大人たちのメンズノンノ」が発売された。阿部寛加藤雅也風間トオル田辺誠一マーク・パンサー谷原章介桐島ローランド伊勢谷友介ARATAも「メンズノンノ」のモデルだった!
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/09/29/0008440909.shtml

赤松健の「マンガ図書館Z」の取り組みは素晴らしいものだと私は思っている。
「私が思うに、海賊版を撃滅するには、(1)海賊版と同じく無料で、(2)海賊版よりウイルス的に安全で、(3)海賊版より使いやすく自動翻訳などの付加価値も付いていて、(4)うしろめたい罪悪感と共に読むのではなく、むしろ「私は(広告収益などの面で)作者の役に立っているんだ」など、読んでいて気持ちの良いシステムになっていること・・・・が重要です。この4点がすなわち『#マンガ図書館Z』の根幹となっています」
http://twilog.org/KenAkamatsu/date-150925/asc
http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20150925/p1

アメリカでは今年1月〜5月で電子書籍の売上が10%ほど落ち込んでいるそうだ。
https://gunosy.com/articles/awLdw

みすず書房から刊行されたニック・タースの「動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか」は、「調査報道」の凄みをもってベトナム戦争の現実に迫る。
「何年ものあいだ、バムガーナーは米軍の公式交戦規定を平然と無視し、一度も重い代償を払うことなく戦争法に違反しつづけた。何人くらいの民間人がバムガーナーの手にかかって命を落としたのかは永遠の謎だが、これだけはわかっている。彼はなんの罪もない人々を、ただベトナム人であるというだけの理由で殺し、敵の戦死者として扱ったのだ。
軍はすべてを知っていながら、それでも彼が継続して軍務に就くことを歓迎した。彼の暴走を止めることはできたのに、軍はそれを助長したのである」
http://www.msz.co.jp/book/detail/07917.html

大日本印刷のプリインストール型の電子書籍端末「honto pocket」が「2015年度グッドデザイン賞」を獲得した。デザイン?
http://news.mynavi.jp/news/2015/09/30/203/
秋田協同印刷の秋田県に特化した電子書籍ポータルサイト「akita ebooks」(アキタイーブックス)が「2015年度グッドデザイン賞」を獲得した。良いアイデアだと思うけれど、これでグッドデザイン?
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1509/30/news061.html
下北沢の書店「B&B」も「2015年度グッドデザイン賞」。う〜ん…。
http://www.g-mark.org/award/describe/43190

書泉ブックマートが最後の一日にこんなツイートを投稿している。
「大学生による全共闘運動が盛んだった昭和44年ごろ、学生が機動隊に追われブックマートに逃げ込んできました。学生は裏口から逃げてゆき、残ったのはヘルメット2個と角材1本・石ころ3個でした。後日、ヘルメットは近くの交番に届けに行きました」
https://twitter.com/SHOSEN_BM_ALL/status/649079370552729600
「当時、ブックマートから御茶ノ水駅までの帰り道は危険がいっぱいでした。機動隊がグランデの前に来ると学生が通りの向こう側から石を投げていました。強化ガラスの為割れることはなかなかありませんが、ゴンゴンすごい音がしました」
https://twitter.com/SHOSEN_BM_ALL/status/649079567517290496

◎宝島社がWebメディア編集職の契約社員の募集している。
http://tkj.jp/company/recruit/

◎新人獲得をめぐる高額契約金問題をスクープした朝日新聞を訴えていた巨人軍が一審で敗訴した。朝日新聞によれば、東京地裁は「公益を図る目的の記事で、重要な部分は真実だ」としたという。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11988367.html

◎アマゾンは「NEXTMAGAZINEフェア」と称して主婦と生活社の「LEON 」「ar 」「CHANTO」「JUNON」という4誌25冊のキンドル版を50%OFFで提供している。電子版によるバックナンバーフェアである。
http://jijyoron.hatenablog.jp/entry/2015/09/30/070000

主婦の友社はβ版として仮オープンしていたコミック・サイト「コミカワ」を、投稿機能を実装して正式オープンさせた。「コミカワ」は、今後、ライトノベルや音楽、映像など、クリエイターを支援する投稿プラットフォームを志向するようだ。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/8679/

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3)【深夜の誌人語録】

ダブルスタンドードを弄するのではなく、自らをどれだけ開くかを課題にした組織を目指すべきではないのだろうか。

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4)【人事】〈集英社10月13日付組織改正と人事異動〉

(1)総務部に「情報セキュリティ室」を新設する。
(2)第2編集部「雑誌コバルト・コバルト文庫編集」を「コバルト文庫オレンジ文庫編集」と改称する。
(3)第7編集部「7編デジタル室」を、雑誌デジタル編集室(部)に移管し、「雑誌デジタル編集室」(課)に統合する。

■岩瀬 朗
新:雑誌デジタル編集室部長
旧:第7編集部部長代理(兼)7編デジタル室室長(兼)雑誌デジタル編集部部長代理(兼)雑誌デジタル編集室室長
■俵 理佳子
新:第9編集部 モア編集長
旧:第9編集部 モア副編集長
■西河 淳
新:雑誌デジタル編集室 雑誌デジタル編集室室長
旧:第7編集部 ウオモ編集長
■八巻 富美子
新:第7編集部 ウオモ編集長
旧:第9編集部 モア編集長