【文徒】2015年(平成27)10月5日(第3巻186号・通巻631号)

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1)【記事】「緊デジ」約300社の4万6350冊の実態を掴めず!?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「緊デジ」約300社の4万6350冊の実態を掴めず!?

毎日新聞によれば「東日本大震災の被災地での電子書籍制作を支援する復興関連事業を会計検査院が調べたところ、少なくとも1687冊の電子書籍著作権の問題などで配信できない状態になっていたことが分かった」という。
いわゆる「緊デジ」で電子書籍化された6万4833冊のうち1687冊が配信できていないのではなく、日本出版インフラセンター(JPO)が調査できた約40社の1万8463冊のうち9%強にあたる1687冊であるということを強調しておきたい。
残りの約300社の4万6350冊については、出版社から回答は得られなかったそうだ。補助金が(言うなれば税金が)、JPOに約9億9千万円も投じられた事業のうち約300社の4万6350冊の実態が掴めなかったということではないのか。
想像すべきは、こういう報道を一般の人々が目にしたとき、出版業界に対して、どういうイメージを抱くかである。「だらしない」と思うかもしれないし、あるいは「税金の無駄遣いをしているんじゃないの」という疑念を持たれても致し方ないのではないだろうか。もし、他の業界でこうしたことが起きたとき、出版社系週刊誌はどう報じるかを考えてみよう!
http://mainichi.jp/select/news/20151003k0000m040084000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151002-OYT1T50095.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02HA7_S5A001C1CR8000/
河北新報は次のように書いている。
「事業をめぐっては、東北の情報発信が目的の一つなのに電子化された東北関連の書籍は全体の3.5%の2287冊にすぎないことが判明。JPOや経産省が当初、対象書籍の冊数や被災地の企業に発注した金額を把握していなかったことも分かっている」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201510/20151003_73024.html

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2)【本日の一行情報】

大洋図書は、ポッチャリ系男性のためのファッション&ライフスタイル誌「Mr.Babe」(ミスターベイブ)を10月26日に創刊する。そりゃあ日本初だろうよ。エロ系出版社のゲリラ精神がなければ、この手の企画は決して日の目を見まい。
https://www.atpress.ne.jp/news/76023

富士重工業は、レガシィ改良モデルを発売するにあたり、マガジンハウスとコラボして、ライフスタイル誌「relax」を2016年2月に復刊する特別プロジェクトを立ち上げた。
http://www.fhi.co.jp/press/file/uploads/news/2015_1001_01-3.pdf
10月29日より2016年2月までフリーペーパーが限定配布される。
http://www.relax-legacy.jp/
フェイスブックも立ち上げられた。
https://www.facebook.com/relax.legacy.project

◎12月に北海道・真駒内で開催される「第84回 全日本フィギュアスケート選手権大会」
読者限定チケット予約受付というアイデアは、ぴあならではのものだろう。「フィギュアスケートぴあ」が発売された。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000011710.html

祥伝社として、これはヒットさせたいところだ。都陽子のマンガ「わたしはあなたの犬になる」第一巻が刊行された。
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396766535

相田みつをとキティのコラボだって!ダイヤモンド社が日めくり「幸運日めくり ハローキティにんげんだもの 〜毎日が楽しくなる31の言葉〜」を発売した。こういう企画って、ひょっとするとひょっとすることがあるんだよね。
http://www.work-master.net/201541788

KADOKAWAは、「電撃文庫」の公式サイトと電撃ブランドの総合モバイルサービス「電撃モバイルNEO」を一体化し、新たに電撃文庫のファンクラブサービス「電撃文庫CLUB」をスタートさせた。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20151001_h2v6g.pdf

◎純国産ブランドのニューヨーカーと朝日新聞出版のメンズファッション誌「アエラスタイルマガジン」がスペシャルジャケットをコラボ、これを記念したトークイベントが10月9日にニューヨーカー銀座店で開催される。
http://www.newyorker.co.jp/news/2015/09/1074/

レディー・ガガが「ビルボード」のウーマン・オブ・ザ・イヤーに決定した。
http://www.vogue.co.jp/celebrity/news/2015-10/01/lady-gaga

◎8月18日付で桐原書店の買収を発表していたTACが10月1日付で買収を中止することになった。
「株式会社桐原書店が出版する代表的な出版物の一部についての出版権が、事業の譲受けを予定していた当社子会社の株式会社TAC桐原書店に期日である本日までに移転されないことが確実になりました。当社としては、これらの出版物が有効に移転されないのであれば、事業譲受の目的の実現は不可能であると考えております」
http://kot-book.com/tac-kirihara-acquisition-stop/

◎10月1日付で学研マーケティング学研教育出版学研パブリッシングと合併し、「株式会社学研プラス」となった。
http://gakken-plus.co.jp/news/201510/20151001.html

◎学研プラスがムック「THE VILLAGE VANGUARD」を発売。遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」の初の公式本なのだそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000561.000002535.html

三菱自動車は、学研の小学生向け学習まんが「まんがでよくわかるシリーズ」の「電気で走るクルマのひみつ」を全国の小学校約23,000校および公立図書館約3,000館に寄贈した。
http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2015/news/detail4921.html

◎「朝日新聞デジタル」の偽サイトが現われたようである。
http://digital.asahi.com/info/information/articles/SDI201510013509.html
朝日新聞出版も同じように警告を発している。
http://dot.asahi.com/info/2015100200057.html

◎CCCが運営する海老名市立中央図書館の公式サイトが何者かによって改ざんされた可能性があるようだ。システム不具合を理由に閲覧中止となっている。
http://www.j-cast.com/2015/10/01246625.html

◎「某一流広告代理店○○堂に勤める現役OLが中出しAVデビュー」だそうだ。
http://www.dmm.co.jp/mono/dvd/-/detail/=/cid=tkwanz413/

電通は、「妖怪ウォッチ」などを手掛けるレベルファイブと米国に共同出資会社「LEVEL-5 abby Inc.」(レベルファイブ アビー)を8月31日付で設立していた。米国アニメ専門チャンネルDisney XDでの「妖怪ウォッチ」のアニメ放送が10月5日より開始される。電通の出資は49%、レベルファイブが51%。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/1001-004216.html

東宝は、スマートホアプリ「コミコミ」を運営するコミック・コミュニケーションに出資する。「コミコミ」には講談社小学館も出資している。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05040/aeb8264a/f44b/4757/9872/b07ed82b32de/20150929170818107s.pdf

◎JR青梅線中神駅前にある「Mulberry Field」。
「…カフェで何もオーダーしなくても、ふらりと立ち寄って本棚を見に来てくれる客は大歓迎だ。そこで、ブックコーディネーターの久禮(くれ)亮太さんに協力を仰ぎ、本を手に取ってもらいやすくするため、入り口近くにバーゲン本コーナーを設けたり、売れた本から客の好みを読み取って棚の品ぞろえを見直して客の興味を喚起するような工夫を試みた。すると、独自にセレクトした本に興味を持って足を運んでくれたり、実際に買ってくれる人も増えてきたという」
http://www.asahi.com/and_w/interest/SDI2015092933061.html
久禮は、あゆみBOOKS小石川店の元・店長である。「Mulberry Field」での仕事についてブログで次のように書いている。
「書棚は、店の内装に溶け込むシックな茶色に塗装されていますが、新刊書店で多く導入されているのと同型のスチール什器で、一般的な規格と同じ80センチ幅の棚で6段組みのものが10本、店奥の角地にL字の壁面に沿って置かれています。書籍を棚にぎっしり背挿しにするのではなく、表紙・カバーを見せる面陳を多用してゆとりがある置き方をしていますが、1,000冊以上は在庫できます。
今回はひとまず、この10本の棚のうち5本を「セレクト棚」とすることにしました。いくつか掲げたテーマやキーワードに沿って本を組み合わせメッセージを伝えるような、「文脈棚」とも言われるかたちです。550冊ほどを選び、既存の棚をほぼすべて入れ替えることになりました。
残りの半分は、おもに文芸書の単行本や文庫、コミックが並んでいる棚です。こちらは、一般的な書店の並び方のままにしておくことにしました。便利な駅前書店というこの店のもう一つの役割からすると、普通の棚を普通のやり方で、ちゃんと手をかけて回すことができれば、それだけでいいという面もあります」
http://www.seikyusha.co.jp/wp/rennsai/kureshoten02.html
久禮の実力は本物だ。棚を見る限り、久禮の実力は内沼晋太郎よりも、遥かに上だと思う。

◎第28回柴田錬三郎賞集英社主催)が中島京子の「かたづの!」(集英社)に決定。
http://www.sankei.com/life/news/151001/lif1510010033-n1.html

集英社Webマンガ投稿コミュニティ「あしたのヤングジャンプ」がオープンした。「少年ジャンプ」の投稿サービス「少年ジャンプルーキー」と同じシステムを使って簡単に投稿できる。
http://ashitano.tonarinoyj.jp/guide/author

◎ファッション雑誌「ヴォーグ」フランス版の元編集長、カリーヌ・ロワトフェルドがユニクロコレクションを手がけた。
http://www.fashion-headline.com/article/2015/10/01/12487.html

◎「文化庁メディア芸術祭 富山展」にはKADOKAWAが一枚噛んでいる。
http://www.mediaarts-toyama.com/about/
10月12日(月)にはウォーカー総編集長の玉置泰紀によるトークイベントが開催される。
http://www.mediaarts-toyama.com/news/397/
富山には角川の実家があった。角川春樹辺見じゅんも富山で生まれている。ちなみに、春樹、じゅん、歴彦の実母は鈴木冨美子である。
「出発のベルが鳴り、ドアが閉まりかけようとした頃、ホームに立っていた角川が『最後にもう一度だけ歴彦を抱かせてくれ』と頼んだのです。半ズボンを履いていた小さな歴彦を私は窓越しに、角川に渡しました。
歴彦は6歳になっていたとはいえ、他の子と比べても小柄だったのです。歴彦を抱き抱えたとたん、角川は一目散にホームを駆け出して行きました。下駄の高くなる音が走り去り、私は声にならない悲鳴を上げたことを覚えています。ドアは丁度閉まったところでした。
角川はすべてのタイミングを見計らっていたのです。周囲のことなどもはやそのときは眼中にありませんでしたから、動き出した汽車の窓から顔を出して『歴彦!歴彦!』と私は泣きながら叫び続けました」
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/kado4.htm
http://sai-zen-sen.jp/editors/blog/works/1964-1964.html

◎CCCメディアハウスの「Pen」10月15日号が荒木経惟を特集している。題して「天才写真家75年の軌跡 切なくて、アラーキー」。
http://www.pen-online.jp/magazine/pen/pen-392-araki/

◎日販は9月20日から27日まで、第36次日本出版友好訪中代表団一行12名を中国へ派遣し、中国国家図書館への表敬訪問および視察を行った。
団長は日販の平林彰社長。副団長が集英社の堀内丸恵社長。団員は、清水保雅(講談社常務取締役)、井手靖(小学館マーケティング局ゼネラルマネージャー)、吉村治(中央公論新社取締役営業局長兼宣伝部長)、関谷幸一(KADOKAWA取締役専務執行役員)、山本憲央(株式会社中央経済社代表取締役社長)、井上直(ダイヤモンド社営業局局長兼大阪支社長兼営業部部長)。
http://www.nippan.co.jp/news/%e7%ac%ac36%e6%ac%a1%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%87%ba%e7%89%88%e5%8f%8b%e5%a5%bd%e8%a8%aa%e4%b8%ad%e4%bb%a3%e8%a1%a8%e5%9b%a3%e3%82%92%e6%b4%be%e9%81%a3/

◎グラフィックデザイナー大久保裕文がオーナーをつとめる湯島のバー「道」が紹介されている。
http://gqjapan.jp/new-york-minute/shop/20151001/yushima-bar-michi

◎「週刊現代」OBの元木昌彦は次のように書いている。
週刊現代編集長の鈴木崇之氏が第一事業局企画部担当部長に異動し、山中武史氏が新編集長になった。私が知るかぎり、彼は事件ものにも関心を持っていると思う。事件ものはカネがかかるからやらないなどという週刊現代週刊ポストの風潮を変えてもらいたいものである」
http://www.j-cast.com/tv/2015/10/02246817.html?p=all

◎アマゾンジャパンの社員が事実上退職を強要されたとして東京都労働委員会に救済を申し立てた。
http://www.asahi.com/articles/ASHB14GHTHB1ULZU00L.html

ロンドンブーツ1号2号の田村淳が「ポリタス」に「永遠に『敗戦』が続く国で」を発表した。
http://politas.jp/features/8/article/465

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3)【深夜の誌人語録】

問われているのは、未知に既知をいかに貢献させるかである。