【文徒】2015年(平成27)10月8日(第3巻189号・通巻634号)

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1)【記事】雑誌情況への提言 女性ファッション誌ビジネスの苦悩
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言 女性ファッション誌ビジネスの苦悩

客 女性ファッション誌のビジネスが曲がり角を迎えているね。
主 部数減に加えて広告減に直面していると言って良いだろう。勝ち組と言われている女性ファッション誌でも広告減の問題からは逃れられまい。女性ファッション誌を俯瞰してみるならば、今後はアイテム数が減っていくことになると思うよ。出版社によってはセグメントし過ぎてしまったところもあるしね。
客 女性ファッション誌にかかわってきた編集者のなかには、他の部署では使い物にならないような人材もいるというね。
主 そこは経営陣の悩ましいところだと思うよ。
客 美容やファッションだけの狭い世界で仕事を積み重ねて来たとなると、広告ぐらいしか行き場所がなくなってしまう。その広告にしても人がダブついてきているじゃない。
主 女性ファッション誌の仕事を長く続けていると、社会性がどんどん欠如していってしまいかねないというところもあるしな。
客 女性ファッション誌が得意として来た領域におけるデジタル戦略を担うんじゃないの。
主 女性ファッション誌の関係者って変なところでデジタルに偏見があったり、無理解であったりするんだよね。それだけ紙のビジネスで儲かっていたからなのかもしれないけれど…。本とかも読まない人も少なくないし。
客 本なんかより衣装代にはカネをかける編集者もいるらしいね。
主 昔、ある社でね、流行のグローバルブランドをとっかえひっかえ身に付けていた編集者がいたけれど、その社の給料では買うことは絶対に無理なんだよね。実家が相当金持ちなのかと思ったものだけれど、聞けばサラ金から借金をして買っていた。
客 本来、出版って地味な世界のはずだけれど、女性ファッション誌はそうでない部分があるのは事実だろうな。
主 雑誌広告業界にしても女性ファッション誌に依存し過ぎてしまったツケに直面することになると思うよ。以前にも指摘したことがあるけれど、クライアントの銘柄が偏ってしまったでしょ。

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2)【本日の一行情報】

◎実写映画化された「バクマン。」が話題となっている。舞台となるのが「週刊少年ジャンプ」編集部だけに作品と現実の違いに誰もが関心を抱くだろう。編集部はセットで再現されているが、集英社労組のティッシュから画面に映らない名刺や予定表まで正確に再現されているのだという。
東洋経済オンライン」のインタビューに相田聡一副編集長が応じているが、「週刊少年ジャンプ」のアンケート主義について次のように語っている。
「これは僕の考え方なんですが、アンケート結果というものは、他の誰に勝つことよりも、自分の担当するマンガが前回よりも上がることの方が大事なんです。ずっと3位を取っていたマンガが、いきなり5位、6位になったら、そこには理由があるんですよ。もちろん他のマンガが面白かったからとか、相対的な理由もあるのですが。それでも普段5位のマンガが12位になったとしたら。明らかにこちらに理由があるわけですよね。そしたら、その原因を考えるきっかけにはなりますね。何に勝った、負けたというよりも、普段のアベレージをいかに上げるか、ということに重点を置いていました」
http://toyokeizai.net/articles/-/87054

TSUTAYAオンライン・アニメストアの9月の売上ランキングだが、「週刊少年ジャンプ」作品が原作となっているアニメがベストテンのうち5本を占めていることがわかる。
http://yukan-news.ameba.jp/20151005-76/

◎猫マンガは実業之日本社の得意とするところだ。動物園に拾われた猫たちと動物や職員たちとのふれあいを描く「ずぅねこ 〜とくがわ東どうぶつ園日記〜」(ねこまき)の重版が決定した。
http://jbpress.ismedia.jp/ud/pressrelease/56123fa4b31ac92113000001
猫なんかよんでもこない。」のテレビアニメも放映を開始した。
http://anime.eiga.com/news/101341/

◎米調査・コンサル会社のインターブランドによる企業のブランド価値調査。1位「アップル」、2位「グーグル」、3位「コカ・コーラ」、4位「マイクロソフト」とつづく。10位の「アマゾン」にいたるまで8社が米企業だ。例外は6位の「トヨタ」と7位「サムスン」である。
http://www.asahi.com/articles/ASHB625FBHB6UHBI005.html

ジャストシステムによるSNS利用調査。現在使っているSNSサービスは「LINE」が74.5%、「Twitter」が43.1%、「Facebook」が42.7%、「Instagram」が15.9%。三月時点の調査と比較するとLINE利用率は30代は67.0%から73.3%、40代は60.7%から65.0%、50代は57.9%から67.9%。50代にもグンと浸透していることがわかる。オレだって使っているからね。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000007597.html

◎マガジンハウスの「Hanako」が10月8日発売号よりリニューアル。
http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2030255

トーハン調べ 2015年 9月期月間ベストセラー。ベスト20までに三作をランクインさせたのは文藝春秋集英社。二作ランクインが幻冬舎、新潮社、講談社
http://www.dreamnews.jp/press/0000120450/

イーブックイニシアティブジャパンは、同社の創業者である鈴木雄介の半生記「でっかいことはいいことだ はみ出し者の人生論」を紙と電子で同時発売した。鈴木は「週刊ポスト」の編集長もつとめた元小学館社員である。当然、その時代のエビソードがふんだんに盛り込まれている。ともに元「週刊ポスト」編集長の坂本隆、竹内明彦も巻末に登場し、鈴木雄介の編集者としての力量を絶賛している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000469.000001485.html

◎空席となっていたフェイスブックジャパン代表取締役楽天上級執行役員だった長谷川晋が就任した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ06HU2_W5A001C1TJC000/

◎作家自らが売るための努力を惜しんではならない時代なのではないだろうか。マンガ家の田中圭一は、ツイッターを利用する。
「では、どうすれば読者が納得して発売時に買ってくれるようになるのか?…僕の出した答えが『買ってくれた人への個別のお礼(ネタ入り)ツイート』だった。ひとりひとり個別のギャグコメントを入れたお礼は『バーチャルなサイン会』みたいで、買ってくれた人にとっても価値のある呟きだと思ったからだ」
http://togetter.com/li/883363

◎ニューヨークで国連総会に出席した安倍首相が現地で開いた記者会見で、ロイター通信の記者による難民受け入れについての質問に日本人記者はざわめきたったそうだ。
「…この会見では、質問者も質問内容も予め決められていたのだ。つまり、出来レース会見だったのである」
http://www.npo-iasia.org/i/archive/2015/10/abe-conference.html
神保哲生によれば「安保法案の強行採決後初の首相会見でも、私や他のフリーの記者たちが手を挙げているのに、挙手していなかったNHKの記者を指名して失笑を買うようなことまで起きてい」るそうだ。
http://blogos.com/article/137712/

集英社のムック「大人たちのメンズノンノ」は、トヨタマーケティングジャパンとの共同企画。
http://www.advertimes.com/20151006/article205825/

東浩紀のデビュー作にして、代表作と言っても良い「存在論的、郵便的」の韓国版が出版されたそうだ。
https://twitter.com/hazuma/status/651629262617755648

毎日新聞東京本社デジタル報道センターの大村健一記者にとってノーベル賞を獲得した大村智は「父のいとこ」に当たる。
https://twitter.com/k_oomura
http://mainichi.jp/feature/news/20151006k0000m040051000c.html

梶田隆章・東京大宇宙線研究所長のノーベル物理学賞受賞の記者会見で東大広報は下手を打ったようだ。毎日新聞の石戸諭が次のようにツイートしている。
「記者会見に行ってきました。梶田先生の人柄が伝わる場だっただけに、東大広報の対応は残念でした。最後方まで先生の声が届かず『マイクの音量を上げてください』とお願いした直後に、スタッフが私語と談笑。さらに聞こえにくくなりました」
「せっかくの梶田先生ノーベル物理学賞の記者会見です。東大広報スタッフも梶田先生に敬意を払って、会見場で、せめて会見の時間くらいは私語や談笑をせずに臨んでほしいなと思いました」
https://twitter.com/satoruishido/status/651610892409278464
https://twitter.com/satoruishido/status/651611866846785540

小学館の「やせるおかず 作りおき」は、1月19日に初版7000部で発売されたが、メディアで取り上げられるごとに部数を伸ばして、「9月8日時点の発行部数は12万5000部を突破した」そうだ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20151005/1066869/?rt=nocnt

エイチ・アイ・エスは、カフェと1500冊の旅行関連書籍から構成される書店と旅行販売をミックスした国内で初めての店舗を表参道にオープンした。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000060014.html

◎堀江良文堂の堀江明社長が退任。主婦の友社の阿南一徳が幹事役となって新人研修を受けた出版関係者が「大同窓会」を開催した。
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20151007ddlk12020073000c.html

◎アデランスは光文社の「美魔女フェス2015」に「フォンテーヌ」ブランドとして協賛していた。
http://pdf.irpocket.com/C8170/ByiD/ZRdp/ov1K.pdf

◎新聞広告だけではなく、光文社は「FLASH」でもマガジンハウスとタッグを組んでいる。グラビアで「平凡パンチの女神たち 秘蔵NUDE&エロス」を企画している。
http://www.kobunsha.com/shelf/magazine/current?seriesid=101002

◎「ハーパーズ バザー日本版」「レオン」「ニキータ」などに携わった田上美幸がブランジスタの電子雑誌「Bon Mariage」(ボン・マリアージュ)の編集長に就任した。「ボン・マリアージュ」は「MARIA PREA」(マリアプレア)をリニューアルしたウエディングメディアで11月16日に創刊される。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-10-06/bon-mariage/
https://www.value-press.com/pressrelease/149985

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3)【深夜の誌人語録】

後退してでも良いから逃げるな!