【文徒】2015年(平成27)10月23日(第3巻194号・通巻644号)

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1)【記事】デジタルシフトからソーシャルシフトへ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】デジタルシフトからソーシャルシフトへ

ジャンプフェスタ2016」が12月19日(土)、20日(日)の両日、幕張メッセで開催される。
http://www.jumpfesta.com/
「ジャンプ」を冠する紙の雑誌があり、デジタルシフトも成し遂げ、投稿機能も充実させ、誰でも参加できるイベントを開催し、そこで物販も行われる。「ジャンプ」に限らず、マンガは紙、デジタル、リアルの三拍子を揃えやすいのだろう。しかし、だとしても、マンガの現在をすぐ傍で見ていて、他の雑誌にかかわる編集者は何も刺激されないのだろうか。最も危機感を覚えるべきは女性誌のはずだ。私はデジタルシフトなくして女性誌や情報誌、ライフスタイル誌の未来を想像できないのだけれど。
週刊ファミ通」(KADOKAWA)が「編集者たちがやりたい企画で2ページの記事を作り、どれがおもしろかったかを読者の皆様に選んでいただくという、やりたい放題特集“2ページ企画コンペ”」に取り組んでいる。今回が3回目だという。であれば、そろそろ気がつかないのか。読者は編集者の作った2ページに投票するだけでは満足できなくなっていることを。投稿サイトの隆盛を踏まえていえば、読者は自ら作った2ページをノミネートしたいはずである。
http://www.famitsu.com/news/201510/20091050.html
そうデジタルシフトは必ずソーシャルシフトをともなうのである。即ち、雑誌は「市場」から「広場」への「拡張」が求められているのであって、その逆ではあるまい。情報発信に特化するのではなく、情報媒介へと開かれてゆくのである。メディアの「本質」に回帰すると言って差し支えあるまい。ECにしてもそうだ。雑誌が取り組むべきECは「広場」としての機能も待ち合せなくてはならないはずだ。リアル(イベントなど)に対するアプローチにしても、同じである。

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2)【本日の一行情報】

ブラウザゲーム刀剣乱舞-ONLINE-」を題材にしたコミックス「刀剣乱舞学園〜刀剣乱舞-ONLINE-アンソロジーコミック〜」が白泉社から刊行される。
http://www.inside-games.jp/article/2015/10/20/92241.html

◎新聞広告大賞は資生堂レディー・ガガを起用した正月広告に決定。これは予想通りの大賞である。広告主部門の新聞広告賞には鹿島建設キッコーマン、静岡中島屋ホテルチェーン、小学館パナソニックの5作品が選ばれた。
http://www.pressnet.or.jp/adarc/pri/2015.html
「小学一年生」は四世代にわたって読み継がれているんだよね。この小学館の広告は良いなあ。

◎10月21日、午後4時過ぎ、LINEに障害が発生し、正常に利用できない状態が10分程度つづいたそうである。
https://twitter.com/NAVER_LINE/status/656744153762557954
http://ggsoku.com/2015/10/line-issue-1021/

リボルバーは誰でも簡単にオンラインコミュニティを作成したり既存のコミュニティに参加できる、ソーシャルネットワークプラットフォームを提供するサービスをもって2012年に起業された。
https://revolver.jp/#about-co
代表取締役兼CEOは小川浩。次のように語っている。
「今は誰もがスマホを持つ時代になりました。いつでも、どこでも情報を手に入れられる時代です。ただ、"誰もが発信できる"かと言うと、まだまだです。日本にある400万社という企業のうち、まだ40%しかホームページと言えるものを持っていません」
http://somewrite.jp/media/somewrite/8335
リボルバーが提供する「dino」は誰でも簡単にオウンドメディアを構築し、運営できるメディアパブリッシングプラットフォームだそうである。リボルバーの自社メディアである「LAWRENCE」(ロレンス)も「dino」によって構築・運営されているが、創刊8カ月で月間200万PVを突破、月間訪問者も50万人に達し、「LAWRENCE」のFacebookページのいいね!数は20万を突破したそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000010629.html
これが「LAWRENCE」である。
http://lrnc.cc/

博報堂DYメディアパートナーズが、博報堂DYスポーツマーケティングデータスタジアムと共同で実施したアスリートの総合的なイメージを測定する「第31回 アスリートイメージ評価調査」によれば、ラグビーワールドカップ2015の認知度は、「内容まで詳しく知っていた」と「名前だけ知っていた」を合わせた数値が2015年3月調査の36.2%から59.5%に大きく上昇した。「勢いを感じるアスリート」第7位にラグビー五郎丸歩がランクインしている。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/report/20151021_11171.html

楽天リサーチが「電子書籍に関する調査」をインターネットで実施。これによれば、直近1年間の読書で、約8割が紙の本を読んだと回答(79.0%=紙のみ:57.2%、紙も電子も:21.8%)。電子書籍を読んだ人は24.2%(電子のみ:2.4%、紙も電子も:21.8%)と、ほぼ4人に1人となった。
電子書籍を読む際に最もよく利用する端末は、全体では「スマートフォン(43.4%)」、「タブレット(25.2%)」、「ノートパソコン(12.4%)」の順番。世代別で見ると、20〜50代は「スマートフォン(平均45.5%)」がトップで、60代は「タブレット(29.6%)」、「電子書籍リーダー(23.5%)」で読む人が「スマートフォン(14.7%)」を上回った。
http://research.rakuten.co.jp/report/20151021/

◎米「ニューヨーカー」ウエブ版がアクションアドベンチャーゲームメタルギアMetal Gear)」シリーズのクリエーターである小島秀夫コナミを退社したと報道したそうだ。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/19/hideo-kojima-konami-resign_n_8334908.html
コナミは否定しているが、退社する可能性は高いのではないだろうか。

◎「図書館戦争 THE LAST MISSION」がヒット。10月10日の公開から9日間で観客動員数66万人、興行収入8.5億円をあげた。
https://gunosy.com/articles/a6P2g

◎ディー・エル・イーが小学館の「月刊コロコロイチバン!」で、「秘密結社 鷹の爪」のマンガ連載を開始する。
http://www.dle.jp/jp/news/docs/taka_corocoro_press_151021.pdf
東京ガールズコレクション」の商標はディー・エル・イーが所有している。
http://www.dle.jp/jp/news/docs/tgc_line_press_151020.pdf

◎LINEの田端信太郎が次のように述べている。
アメリカでは、セットトップボックスやスマートテレビの普及により、すでに端末側で、視聴者に合わせたテレビCM差し替えも可能になっていますよね。そういう動きが今後、日本でも必ず起きてくるし、結果的にテレビのビジネスモデルも変わらざるを得なくなるでしょうね」
http://www.advertimes.com/20151022/article206967/
西田宗千佳は講談社新書「ネットフリックスの時代」で次のように書いている。
「…現在起きているのは、ライフスタイルの変化にともなってコンテンツを消費するサイクルが破壊され、消費者と作り手のあいだに断絶ができはじめている、ということである。ライフスタイルの変化の中核にあるのは、スマートフォンが自分にとってもっとも身近な家電であり、すべての情報の入り口になりはじめていることであり、時間の利用方法が変わってきている、ということである」
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062883405

◎シムサム・メディアが「コスプレチャンネル」を創刊。販売は東京カレンダー。定価は815円+税。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000015896.html

◎パソコンを使えない若者が増えている。スマホの普及が一因だ。
http://mainichi.jp/shimen/news/20151016ddm013040003000c.html?fm=mnm

ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの著書「ボタン穴から見た戦争」「死に魅入られた人びと」「戦争は女の顔をしていない」という三冊を出版していた群像社だが、代理人に増刷を断られてしまったそうだ。
「アレクシエーヴィチの作品は、今後、あらたに版権を取得した出版社から刊行されることになると思います。小社の本をお届けできなかったみなさまには、ぜひ新しい装いの本でアレクシエーヴィチの作品をお読みいただければ、最初に刊行した出版社としても喜ばしいことです。
また、小社で刊行しております本には、アレクシエーヴィチが注目した「小さき人々」の世界と通ずる本がたくさんありますので、みなさまにはこの機会にぜひとも関心をお寄せいただき、これからの読書の対象に選んでいただければ、幸甚このうえありません。小さな出版社の営みにご注目いただけますよう、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」
http://www.gunzosha.com/20151021message.html
http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/21/gunzosha_n_8353632.html
群像社ロシア文学が専門の出版社である。
http://www.gunzosha.com/
http://musa276.blog74.fc2.com/blog-entry-93.html

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3)【深夜の誌人語録】

仕事には未来に対する責任が必ずともなうはずである。