【文徒】2015年(平成27)12月17日(第3巻231号・通巻681号)

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1)【記事】弁護士・橋下徹VSフリージャーナリスト西谷文和
2)【記事】諌山裕のブログ記事が明らかにしたこと
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.12.17 Shuppanjin

1)【記事】弁護士・橋下徹VSフリージャーナリスト西谷文和

大阪市長として任期満了を12月18日に迎える橋下徹のツイートが激しさを増しているように思う。例えば、次のようにツイートしている。
「これまで橋下に対する批判的表現は公人に対する表現として最大限容認してきました。しかしこれから橋下は私人になりますし、当事務所の信用問題にかかわりますので、今後は橋下の社会的評価を低下させる表現に対しては厳しく法的対処をしていきます。ご注意下さい。橋下綜合法律事務所」
https://twitter.com/t_ishin/status/676029187199668224
「西谷文和 @saveiraq殿 訴訟提起をします。奥下秘書は休職ごとに退職金を受け取っていない。法律上、政治活動をやっても給与は受け取れるが、それを止めるためにあえて休職させた。奥下氏の母親はパーティー券のあっせんであり大量購入ではない。橋下綜合法律事務所」
https://twitter.com/t_ishin/status/676047956756135936
「フリージャーナリスト西谷文和 @saveiraq氏は休職と退職の違いも分からないらしい。休職すれば退職金はどんどん減っていく。その間給与も支払われない。そこまでやらなくてもいいところを、あえてケジメを付けた。さらに訴訟上の主張を公開すれば名誉棄損を構成することも知らないらしい」
https://twitter.com/t_ishin/status/676052929539760129
西谷文和は12月3日に次のようにツイートしている。
「奥下特別秘書について、おさらいしておく。彼は橋下徹講演会会長である奥下素子氏のご子息。徹ちゃんのパー券など大量購入した一族の息子さんだ。徹ちゃんの選挙、住民投票の際には、『休職』して選挙活動。復職して秘書、を繰り返す。その度に退職金。課長待遇なので報酬もでかいよ」
https://twitter.com/saveiraq/status/672321286907912192
さすがに、西谷は、このツイートのその度に退職金を貰っていたとする記述を「訂正して奥下氏にお詫びします」と12月14日にツイッターで「訂正して奥下氏にお詫びします」と書いている。
https://twitter.com/saveiraq/status/676296436502302722
その一方で例えば次のようにツイートしている。
「橋下市長が私人になったら、私を提訴してくれるそうだ。裁判になれば、いろんなことが明らかになるので、意義あるものになりそう。奥下特別秘書だけではなく、彼のウソや数々の暴言についても、再度問い直せる機会になるのでは?」
https://twitter.com/saveiraq/status/676306458145763333
橋下は新聞の軽減税率適用についてもツイートしている。
「こんなところで宅配率の高い新聞だけが軽減税率の適用。そんなバカな!と多くの国民は感じていると思うが、これが政治の現実。読売新聞の完勝だね。読売新聞は徹底して政権を支えてきた。その見返りで軽減税率を勝ち取った。政権批判をしてきた朝日や毎日くらい新聞への適用を批判・返上しないのかね」
https://twitter.com/t_ishin/status/676569761006747649
新聞は軽減税率が適用される雲行きだが、出版物は「対象とする範囲の線引きが難しい」という理由から、軽減税率を適用されない可能性が大だ。
http://www.asahi.com/articles/ASHDG6SG3HDGUTFK01J.html

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2)【記事】諌山裕のブログ記事が明らかにしたこと

これは事実だ。発言の主は諌山裕。
「私はこれまで小規模なデザイン会社を転々としてきたが、どの会社も『社会保険なし、残業代なし、労働時間の管理なし』だった。つまり、労働環境としては『ブラック』なのだ。安いギャラで仕事を請け負うから、社会保険や残業代を払う余裕がない。安月給で長時間労働を強いられることになる。
おそらく、このような小規模なデザイン会社が、デザイン業界の大半を占めている。アニメ業界よりはマシだが、かといって褒められるような話でもない」
デザイン会社にしても、編集プロダクションにしても、テレビの制作会社にしても、ブラックは多い。
http://blog.isayama.info/archives/52266074.html
この諌山のブログのエントリでアメリカのデザイン業界が東京オリンピックのエンブレム公募に対し苦言を呈していることも知った。アメリカ最大のデザイン関連非営利団体「AIGA」の執行役員であるリチャード・グローフェが五輪組織委員会会長・森喜朗元首相にむけた公開書簡を発表しているそうだ。「ねとらば」の「米最大のグラフィックデザイン団体が東京オリンピックのエンブレム公募に対し苦言 『プロのデザインの価値を過小評価』」によれば、そこに次のようなことが書いてあるという。
「…今回の公募で約1万5000人もの応募者が100万円の賞金と開会式のチケットのためだけにコンペに参加しているが、作品の権利を無償譲渡することが条件になっているなど、一切のロイヤリティなどが発生しないことに言及。
これではデザイナーに対する対価が不十分で、ひいてはデザイナーの“ただ働き”につながりかねないとし、運営組織とデザイナーの関係がフェアではないとの批判が展開されています」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1512/12/news018.html

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3)【本日の一行情報】

◎ミック経済研究所がネット専業広告代理店と総合広告代理店の主要56社に対し面接取材、IRデータ、電話取材などで調査した結果によると、2014年度のネット広告代理市場の総市場規模は前年比16.0%増の7600億円となったという。二年連続での二桁成長。出版社もここに関与しない手はない。ネットと紙との間でシームレスな関係をいかに構築するかが問われている。
https://netshop.impress.co.jp/node/2411

◎就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」が「2015年しっかり休めた会社・ガッツリ働いた会社ランキング」を発表した。
■2015年しっかり休めた会社ランキング
1位 本田技術研究所
2位 東日本電信電話株式会社(NTT東日本
3位 NTTコムウェア
4位 フォーラムエンジニアリング
5位 ボッシュ
6位 NTTドコモ
7位 本田技研工業
8位 NTT西日本
9位 ドコモCS
10位 SCSK
トップ7社の有休消化率が90%以上だそうだ。一方、ガッツリ働いた会社30社の平均有休消化率は20.9%に過ぎない。「ガッツリ働いた会社ランキング」の特徴は小売業、住宅販売業、広告会社が多く見られる結果となった。博報堂が13位、アサツーディ・ケイが20位、電通テックが22位、サイバーエージェントが27位に顔を出している。電通はランクインしていない。
■2015年ガッツリ働いた会社ランキング
1位 レッドバロン
2位 積水ハウス
3位 日本通運
4位 大塚商会
5位 船井総合研究所
6位 そごう・西武
7位 ワールドストアパートナーズ
8位 東海東京証券
9位 山田ビジネスコンサルティング
10位 リコージャパン
http://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_22

◎JTBパブリッシングは、電子書籍で「電車まるごと大集合(動画付)」および「新幹線まるごと大集合(動画付)」をリリースした。これは、紙の図書+DVDで発行された「のりものDVDブック 電車まるごと大集合」、「のりものDVDブック 新幹線まるごと大集合」の素材を利用した電子書籍で、DVD部分を電子書籍内に動画として埋め込んだものである。
http://www.jtbpublishing.com/newsrelease/20151214252.pdf

徳間書店はアドテクノロジー分野におけるサービスの開発を行うアドテクスタジオと、広告事業において、業務提携することになった。目的はアドテクスタジオが持つアドテクノロジー分野における技術力・開発力と、徳間書店が持つエンターテインメント分野を中心としたコンテンツ力を活かし、メディアの広告収益の最大化を図ることである。具体的に言えば次の2つだ。
(1)アドテクスタジオは国内最大級のスマートフォンアドプラットフォーム「AMoAd」のアドサーバを徳間書店に提供することで、「アサ芸プラス」「アサジョ」の純広告案件について、入稿や期間設定、CPA最適化などの広告運用管理を可能にする。
(2)アドテクスタジオが提供するインフィード広告に特化したSSP「CA ProFit-X」と「アサ芸プラス」「アサジョ」が配信連携することで、「アサ芸プラス」「アサジョ」において純広告案件がない際に、「CA ProFit-X」が連携するDSPやアドネットワークの広告案件を配信できるようになり、収益性の高い純広告配信と、SSP経由による広告配信を最適化し、収益の最大化を図る。
http://adtech.cyberagent.io/pr/2015/12/14/%e3%82%a2%e3%83%89%e3%83%86%e3%82%af%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%82%b8%e3%82%aa%e3%80%81%e5%be%b3%e9%96%93%e6%9b%b8%e5%ba%97%e3%81%a8%e3%82%a2%e3%83%89%e3%83%86%e3%82%af%e3%83%8e%e3%83%ad%e3%82%b8%e3%83%bc/
アドテクスタジオはサイバーエージェントグループのアドテクノロジー分野における各サービスの開発を行うエンジニアの横断組織である。
https://www.cyberagent.co.jp/product/press_detail/id=11405&season=2015&category=adtech

中川淳一郎の発言。その通りだ。
「『●●●●』(某テレビ番組の名前)なんかはいっつも小学館に電話をかけてくるんですよ。「NEWSポストセブンで見たから、その記事くれ!」みたいなね。そもそも、その記事は週刊ポストや女性セブンが元ネタなんだけど、ネットでしか調べてないからNEWSポストセブンのほうに問い合わせくるんですよ。まずは元ネタを調べろってことですよ!」
http://www.news-postseven.com/archives/20151215_370997.html?PAGE=1#container

◎新潮社から佐々木敦の「ゴダール原論」が刊行されるのか!これは買いだ。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784103328926

◎「パタリロ!」の魔夜峰央による「翔んで埼玉」の復刊版「このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉」が宝島社から刊行されるが、予約が殺到し、いきなり20万部でスタートするそうだ。「ナリナリドットコム」は次のように書いている。
「復刊にあたり宝島社は当初、発行部数は2万5,000部、12月17日の発売を予定していたという。ところが復刊決定のニュースが流れると、予想をはるかに上回る予約が殺到。対応するために発売日を12月24日に延期し、さらには発売前に重版を決め、20万部もの発行部数で世に送り出すことになった」
http://www.narinari.com/Nd/20151235202.html

セーラー万年筆の社長を解任された中島義雄という名前を覚えていますか。
http://mainichi.jp/articles/20151215/k00/00m/020/072000c
ノーパンしゃぶしゃぶ」を流行語にした大蔵官僚のひとりである。
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-7939.html

◎「世田谷一家殺害事件」で被害者の遺族のひとりは、テレビ朝日が昨年末、その犯人像を推理する特別番組「世紀の瞬間&未解決事件 日本の事件スペシャル『世田谷一家殺害事件』」によって名誉などを侵害されたとして、放送倫理・番組向上機構BPO)の放送人権委員会に審理を申し立てた。
http://mainichi.jp/articles/20151215/ddm/012/040/096000c
「弁護士ドットコム」によれば、遺族の弁護士は、テレビ朝日の番組には、名誉権と自己決定権を侵害した問題と、言ってもいないことを言ったように放送した放送倫理上の問題の2点があるとしているようだ。
https://www.bengo4.com/other/1146/n_4061/

◎無料映像配信サービス「GYAO!」は、日本全国のローカルテレビ局で放送されている番組を無料配信する特設サイト「ご当地テレビ特集」を12月14日に開設した。
http://gyao.yahoo.co.jp/special/gotochitv/
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20151214_735226.html

◎フォトグラファー奥山由之とマガジンハウスの女性ファッション誌「ギンザ」による写真展「New Fashion Photography」が、原宿のフリースペースVacantで12月22日から24日まで開催される。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-12-13/ginza-okuyama-photo/

◎「こみらの!」は今井書店大垣書店、啓林堂書店、廣文館田村書店、ブックスタマ、文苑堂書店、朗月堂、中央書店、ヒバリヤ書店、オー・エンターテイメントという地域の書店チェーンが集まってコミックとライトノベルを売り伸ばすプロジェクト。
http://comirano.info/
5巻発売にあわせ「orange」(双葉社)装飾コンクールを実施していたが、最優秀賞に今井書店ゆめタウン出雲店と中央書店が選ばれた。
https://comirano.info/orange_5/

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4)【深夜の誌人語録】

正しいかどうかよりも、好きか嫌いかを大切にしたい。