【文徒】2016年(平成28)1月26日(第4巻15号・通巻702)

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1)【記事】地方をいかに取り込むかがメディアのテーマだ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】地方をいかに取り込むかがメディアのテーマだ

アイドルグループ嵐のメンバーが都道府県別に登場するKIRINの新聞広告の企画展示が、熊本市の新聞博物館(熊本日日新聞本社内)で2月末まで行われている。
https://kumanichi.com/news/local/main/20160123001.xhtml
https://kumanichi.com/museum/
こんな感じである。
http://matome.naver.jp/odai/2145177689933519201
地方紙ならではの企画と言って良いだろう。東京に本社が集中するナショナルクライアントをいかに取り込むかが地方紙にとって重要なテーマだ。
表のテーマが地域活性化に挑む団体を支援することであれば、裏のテーマは地方紙の存在価値をナショナルクライアントに訴求することであろう。地方紙45紙と共同通信社が設けた「第6回地域再生大賞」だ。全日空トヨタ自動車が特別協力で、住友化学中日本高速道路西日本高速道路日本たばこ産業日本取引所グループ東日本高速道路三井住友海上火災保険、ゆうちょ銀行が協賛している。
http://www.47news.jp/localnews/chiikisaisei/taisho/
大賞(副賞100万円)は「かさおか島づくり 海社」(岡山)、準大賞(同30万円)には「沼垂テラス商店街(テラスオフィス)」(新潟)と「岡崎まちゼミの会」(愛知)。
メディアとして全国区の雑誌は地方を無視して良いのか。そんなことはあるまい。地方をどう取り込むか、全国メディアである雑誌にとっても取り組まねばならない重要な課題である。
山梨県甲府市は25日から市内の観光情報を紹介する新しいウェブサイト「甲府でしかできない50のこと」を開設。山梨県出身で、女性ファッション誌『SPUR』などで編集長を務めた集英社内田秀美ディレクターを中心に、女性誌編集者らが市内のレストランや観光スポットを取材、編集したという。こうした分野は女性誌が得意とするところ。集英社女性誌『MORE』や『セブンティーン』など8誌でも、新サイトに関する記事が掲載される予定という。
http://www.city.kofu.yamanashi.jp/welcome/kofu50things
http://www.yomiuri.co.jp/local/yamanashi/news/20160124-OYTNT50252.html
(田辺英彦)

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2)【本日の一行情報】(田辺英彦)

◎第61回小学館漫画賞は、一般向け部門が『海街diary』(吉田秋生)と『Sunny』(松本大洋)、少年向け部門『ハイキュー!!』(古舘春一)、少女向け部門『俺物語!!』(原作/河原和音、作画/アルコ)、児童向け部門『ウソツキ!ゴクオーくん』(吉もと誠)に決まった。
http://www.shogakukan.co.jp/sites/default/files/manual/20160121.pdf
http://natalie.mu/comic/news/173350
ハイキュー!!』と『俺物語!!』は集英社の発行である。少年向け部門と少女向け部門の両方で小学館の作品が受賞しなかったのは第40回(1994年)以来のことである。第40回は少年向け部門が集英社の『SLAM DUNK』(井上雄彦)で、少女向け部門は白泉社の『赤ちゃんと僕』(羅川真里茂)であった。

◎総合婚活サービスのIBJは、小学館Woman Insightと共同で「スペック格差」についての意識調査を実施し、その結果を発表した。「自分より年収が上の女性は恋愛対象ですか?」との質問に、男性の76%がYESと答えている一方、「自分より年収が下の男性は恋愛対象ですか?」との質問にYESと答えた女性は35%。当然といえば当然の結果か。
http://www.ibjapan.jp/information/2016/01/woman-insight.html

◎あれだけ何度も問題として多くのメディアに取り上げられたにも関わらず、「バカッター」はあとを絶たない。北海道の高校生が登別グランドホテルの食器洗いの大型シンクに「入浴」する姿をTwitterに投稿。ホテルは謝罪し、高校生アルバイトは解雇された。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0226120.html
「将来、誰もが十五分間は世界的な有名人になれるだろう」とはアンディ・ウォーホールの有名な言葉だ。善悪は別として、彼らは一時、有名人になることができただろう。ソーシャルメディアとはそれを実現する装置に他ならない。

◎またフジテレビがやらかした。1月18日に放送されたドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の中でのことだ。「アサ芸プラス」が伝えている。
「本編の中で、ヒロインの有村架純が病院を訪れるシーンがあったのですが、そこに放射能科と書かれた場所が一瞬、写りこんだのです。放射線を用いた診断や治療を行う放射“線”科ならば珍しくありませんが、実際の病院で放射能科というのは聞いたことがありません。なぜこんな間違いをしたのかと、視聴者の間で疑問が出ています」(テレビ誌記者)
http://www.asagei.com/excerpt/51402
おそらくは単なるケアレスミスなのだろう。そのレベルの制作陣ということだ。

◎過激派組織IS(イスラム国)に殺害されたフリージャーナリスト後藤健二氏の一周忌に際し、大阪市で1月30、31日に親交のあった演出家が「藍色のシャマール」と題した劇と座談会を開く。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012402000100.html

◎無料マンガ・小説配信アプリ「comico」で連載中の漫画「ReLIFE」(夜宵草)が2月12日発売の第5巻で累計発行部数が100万部を突破する。これに合わせてフランスでの出版も決定した。また、舞台版が今秋、東京と大阪で上演される。
http://anime.eiga.com/news/101921/
http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=2
同作はcomico初の単行本化作品で、年内のアニメ化も決定している。デジタル(無料)から紙へ、映像へ、舞台へと拡散する作品は、今後も出てくるだろう。「comico」はタテスクロール形式が特徴だから、外国人にとっても読みやすい。海外での出版はますます盛んになるかもしれない。

ドワンゴは、動画サービス「niconico」の「ニコニコ生放送」で、「電撃文庫」(KADOKAWAアスキー・メディアワークス)との合同プロジェクトとして放送している「多数決ドラマ」の第二弾『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を、2月5日(金)より放送開始する。
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1453466239
http://dengekibunko.jp/title/niconico-drama/

クックパッドの「内紛」について、日経ビジネスONLINEは「クックパッド騒動は最初から異種格闘技戦だった」と題する記事を配信。
「佐野氏から見れば、穐田氏は本業のレシピサービスの海外事業についてはシビアな一方、レシピと関連のない国内のM&A(合併と買収)には積極的な穐田氏の姿勢に納得がいかなくなったということかもしれない。
実際、穐田氏は社長就任以来、M&Aを加速してきた。知育アプリ事業、ベビー事業、電子出版事業、ウェディング事業と投資を加速。社内からも『レシピとどう関係があるのか』と疑問の声が多かったのも事実だ。」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/012200215/?P=1
いずれにしろ、「市場からこれまで以上に厳しい目で見られるのは間違いない。」

◎1991年に織田裕二鈴木保奈美主演でテレビドラマ化された柴門ふみのマンガ「東京ラブストーリー」の25年後を描いた新作読み切り「東京ラブストーリー 〜After25years〜」が、25日発売の『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)9号に掲載された。これに合わせ「東京ラブストーリー」「あすなろ白書」など、柴門作品の試し読みキャンペーンが、各電子書籍配信サイトで2月8日までの期間限定で実施中。
http://natalie.mu/comic/news/173533
http://spi-net.jp/magazine.html
講談社では2月25日発売の『Kiss』4月号に「白鳥麗子でございます!」と「のだめカンタービレ」が新作読み切りで掲載される。今年はマンガのリバイバルがブームになるのだろうか?

◎昨日の「文徒」で配信した、松本人志ツイッターで『女性セブン』の記事に怒り、『女性セブン』がニュースポストセブンで謝罪した件。松本はツイッターを更新し、「ポストセブンが早めに謝ってくれたので良かったです」と小学館側の早めの対応を評価。「これからは笑えるウソでお願いします」と彼らしい注文も忘れていない。
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2016/01/25/0008750052.shtml

インプレスR&Dは、自社開発したNextPublishingメソッドを使用して、電子書籍とプリント・オンデマンド(POD)による印刷書籍のハイブリッド出版を展開しているが、販売実績の良いタイトルを取次を経由して全国書店向け委託流通を開始する。
「新興の電子書籍市場でしか流通していなかった商品を一般書店でも扱えることで、リアル書店の売上拡大に貢献できると考えています」
http://www.impressrd.jp/news/160125/NP
http://nextpublishing.jp/
街の新刊書店にとってPODやリトルプレスは、一つの特色にはなるかもしれない。

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3)【深夜の誌人語録】(田辺英彦)

時は金なり。しかし、金銭で時間は買えない。それでいて、時間は金銭に換算され、時に多くの金銭を失うこともある。