【文徒】2016年(平成28)1月28日(第4巻17号・通巻704)

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1)【記事】出版科学研究所のデータに出版の未来はない!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版科学研究所のデータに出版の未来はない!

客 出版科学研究所が2015年の紙の出版物の推定販売額を発表した。
主 昨日の「文徒」でも触れておいたよ。前年比5・3%減の1兆5220億円。1950年の統計開始以降で最大の落ち込みとなったってね。たださ、出版科学研究所の数字はトーハンのデータをベースにして、全体を推測しているわけよ。つまり、必ずしも正確じゃない。出版社の直販やアマゾンの「e託」の数字はカウントされていない。そんなことよりも、出版の未来を考えるのであれば紙の出版市場が縮小しつづけていることに悲観したり、絶望したりすることは、あまり生産的ではない。
客 君の頭のなかはデジタルシフトでいっぱいだからね。
主 今年から電子書籍も調査対象に加えているよね。これが1502億円で、前年比31.3%増と物凄い高度成長を遂げているけれど、日経なんかは「紙の落ち込みを補うほどには伸びていないのが実情だ」と書いている。しかし、雑誌のデジタルシフトを考えた場合、販売額は意味を持たないと思うよ。基本的には雑誌のデジタルシフトは「0円」提供だからね。主たる収入源は圧倒的に広告になるわけよ。
客 出版科学研究所に言わせると「雑誌市場の衰退が一気に進んだ」となるわけだけれど。
主 出版の未来を見据えた場合、投稿サイトの数字なんかも出版市場に繰り込んで考える必要がある。ウエブマガジンもそうだよね。デジタル革命で出版のカタチが劇的に変わろうとしているわけさ。昔の基準で出版市場を考えちゃ駄目だし、昔の基準で算出された数字に振り回されていたのでは成長のチャンスを見逃すことになってしまう。
客 紙の出版物の推定販売額だけで言えば、まだまだ減りつづけるんだろうね。
主 これも口を酸っぱくして言っているけれど、紙の出版物が絶滅することなんて絶対にないよ。雑誌にしても歌舞伎のように生き残るタイトルもあるだろう。そこも、しっかりと見てゆく必要がある。それに国内市場だけじゃないでしょ、これからは。
客 君のオススメは東南アジアなんだろ。しかも、紙ではなくデジタルで海外市場に挑戦すると。
主 そうそう、雑誌のデジタルシフトを考える場合、動画も避けて通れないだろうしね。動画に臆病にならず、果敢に取り組んでいくことが大切だと言っておく必要もあるだろう。テレビではなく、雑誌ならではの映像を提供するということだけれど、こういうテーマを前にしてワクワクして来なけりゃ駄目だよね。

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2)【本日の一行情報】

オリコン の「2015年 書籍 年間マーケットレポート 」における出版社別売上のベストテンを「ネタとぴ」が紹介している。
1位 講談社  954.6億円  前年比93.7%
2位 集英社  902.9億円  前年比102.1%
3位 KADOKAWA 877.3億円 前年比93.0%
4位 小学館  543.4億円   前年比88.1%
5位 学研   264.6億円  前年比89.5%
6位 宝島社  215.3億円  前年比93.5%
7位 新潮社  184.8億円  前年比100.4%
8位 文藝春秋 177.8億円  前年比136.8%
9位 スクウェア・エニックス  162.9億円  前年比83.7%
10位 昭文社  131.4億円  前年比90.8%
https://netatopi.jp/article/1001561.html

◎ICT総研による「2016年 モバイルニュースアプリ市場動向調査」。モバイルニュースアプリのアクティブユーザー数は2016年3月末には3,385万人に達する見通しだという。2013年3月末には303万人にしか過ぎなかった。利用率1位はYahoo!ニュース(アプリ版)、2位はスマートニュース、3位はLINE NEWS。利用者の満足度では1位がNewsPicks、2位はAntenna、3位がLINE NEWS。
http://ictr.co.jp/report/20160126.html

アサヒ飲料は、3月3日のひなまつりに向けて、全国の幼稚園・保育所を対象とした“「カルピス」ひなまつりプレゼント”を実施する。1982年から毎年、親子の読み聞かせに適した絵本の企画・制作に協力し、1万園に寄贈される「カルピス絵本」は、「ひなまつりの ちらしずし」(作・絵:宮野 聡子、講談社)だ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000017282.html

◎米ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は、メディア部門トップのケイティ・ジェーコブス・スタントン、プロダクト部門トップのケビン・ウェール、エンジニアリング部門トップのアレックス・ロエッター、人事部トップのブライアン・シッパーという幹部4人が退職することを明らかにした。「バイン」の責任者であるジェーソン・トフも退職するらしい。
http://jp.reuters.com/article/twitter-managementchanges-dorsey-idJPKCN0V310Y

◎ぴあは、対戦格闘ゲームストリートファイターV」のオフィシャルファンブック「ストリートファイターぴあ」を発売する。1,400円(税込)。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20160126_740731.html

学研メディカル秀潤社は、インドネシア現地法人を設立し、医師と歯科医師向けのeラーニング事業を立ち上げる。
http://www.ind-news.asia/news_JyDl3wRlf.html

徳間書店は、小松左京の最後の長篇であり、未完のまま終わった「虚無回廊」を電子書籍として発売する。リリース日の1月28日は小松の誕生日、今年で生誕85周年となる。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000016935.html

◎フジテレビは次のような「お詫び」をホームページ上に掲げている。
「1月22日(金)午後7時から放送した『ヒデ&ジュニアのニッポン超安全サミット〜知って得する身近なキケン回避法教えます〜』で、確認不足により、不適切な日本地図を引用してしまいました。お詫び申し上げます。今後はこのようなことのないよう、チェック体制を強化して再発防止に努めてまいります」
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/160122anzensummit/
これだけでは何が何だかサッパリ事情が呑み込めない。「不適切な日本地図」って何?と誰しもが思うだろう。「ねとらぼ」は次のように書いている。
「番組内で使用されていたのは、四国がなぜかオーストラリアの形に置き換えられた日本地図。放送後、インターネット上では『なぜそんなことを』『何をどうしたらそんな間違いが起きるのか』と不思議がる声が多くあがっていました」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1601/25/news141.html

講談社から小保方晴子の手記が出版される。タイトルは「あの日」。
http://mainichi.jp/articles/20160127/k00/00e/040/218000c
ジャニーズ事務所を退社した飯島三智の手記が発売されれば話題になるだろうな。
http://lite-ra.com/2016/01/post-1921.html

◎「LINE MUSIC」は、就活準備・就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアと業務提携し、共同で実施するプロモーション企画として、「音楽のある就活」プロジェクトをスタートさせた。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1221

シンガポールのNear Pte. Ltd.と、博報堂博報堂DYメディアパートナーズ、およびデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムDAC)は、スマホの位置情報を利用した広告配信サービスを今春スタートさせる。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/25771

◎1月26日付日刊スポーツ「政界地獄耳」は次のように書いている。
自民党ベテラン議員は『テレビは官邸の圧力に屈してキャスターやコメンテーターを入れ替えて白旗を掲げた。新聞も編集幹部らが相変わらず首相との懇談にはせ参じて忠誠を尽くすことや、軽減税率導入などで厳しい原稿が書けない。雑誌がその間をぬって政権を揺るがす。少し政権は雑誌メディアを侮ったかな』とつぶやいた」
http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1596785.html
雑誌は怖い!

◎「週刊文春」が報じた甘利明TPP担当大臣の金銭授受疑惑スクープについて田原総一朗は次のように語っている。
「『週刊現代』、『週刊ポスト』も昔はそうした取材をやっていたんだけど、最近やらなくなってしまった。ここのところ『週刊新潮』も少し物足りない。そういう意味では今、『週刊文春』が頑張っていると言える」
http://blogos.com/article/157047/
怖いのは「週刊文春」だけ?

テレビ朝日が「週刊文春」にホームページで謝罪した。
「この事案は、週刊文春のスクープによって明るみにでたもので、視聴者に正確な情報を伝えるなどの観点から、週刊誌名を明示すべきでした。週刊文春並びに視聴者の皆様におわびいたします」
http://www.asahi.com/articles/ASJ1V66XPJ1VUCVL021.html

楽天は、「楽天市場」において、バーチャル試着サービス「バーチャル・フィッティングルーム」と最適な衣服サイズを提案するサービス「フィット・アドバイザー」の試験提供を開始した。
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2016/0126_01.html

◎アマゾンジャパンは、注文後、商品を1時間以内で配送するAmazonプライム会員向けサービス「Prime Now」(プライムナウ)のサービス対象エリアを1月26日から拡大した。関東では横浜市を加え、関西でも大阪市吹田市豊中市摂津市守口市兵庫県尼崎市伊丹市でサービスを提供することになった。
http://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/20160126/ref=amb_link_79891249_1?pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=center-1&pf_rd_r=1T7J4EH98Q94F4CMATBZ&pf_rd_t=2701&pf_rd_p=284400949&pf_rd_i=home-2016

◎「月刊日本」編集部は、次のように書いている。
「…朝日新聞が権力寄りの報道をし始めた時、日本は戦争に突入するということです。その意味で、朝日新聞は日本政治の今後を読み解く上で重要なメルクマールなのです。朝日新聞は『左翼新聞だ』と批判されることが多いですが、彼らが今後も左翼新聞であり続けられる状況が続くことを願っています」
http://gekkan-nippon.com/?p=8487
2月号の「櫻井よしこ大批判」は面白かった。山崎行太郎って良いよね。山崎と千坂恭二の対談が読みたい。昔は、そういう野蛮な企画を実現してくれる雑誌があったんだけどなあ。今はない。というか、山崎も千坂も知らないという編集者が多いんだよね。

◎「週刊実話」(日本ジャーナル出版)に連載されている森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」を私は楽しみにしている。
「これほどの原油安が起きた原因は、OPEC石油輸出国機構)のなかで減産の合意ができないからだ。ただ、なぜ合意できないのかについては諸説ある。最も直接的な見方は、サウジアラビアとイランが国交断絶に至るほどの対立をしていて、減産の話し合いができないというものだ。それはそうなのだが、もう一段階の深読みがある。サウジの背後に米国がいるというのだ。米国が、対立する産油国のロシアの経済に打撃を与えるために、サウジに減産しないように働きかけているというのだ」
http://wjn.jp/article/detail/0021014/

主婦の友社は1月26日、コミックサイト「コミカワ」をアップデートし、新たにパートナーサイト作品の掲載機能を実装した。その第1弾として、竹熊健太郎が編集長を務めるコミックサイト「電脳マヴォ」と提携。「電脳マヴォ」で人気の作品が「コミカワ」でも読めるようになった。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000489.000002372.html

東京新聞の「立川駅前“書店戦争” オリオン書房の牙城にジュンク堂が来月進出」。オリオン書房の店頭での売上が激減することは間違いあるまい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201601/CK2016012702000156.html

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3)【深夜の誌人語録】

人は後悔したことを必ず後悔することになる。だから後悔するな。