【文徒】2016年(平成28)2月24日(第4巻35号・通巻722号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】小学館と業務提携した「ベビカム」について
2)【本日の一行情報】
3)【資料】太洋社・中間決算書送付および弊社の状況ご報告
4)【資料】太洋社・損益計算書平成27年7月1日から平成27年12月31日まで]
5)【資料】太洋社・貸借対照表(平成27年12月31日現在)
6)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】小学館と業務提携した「ベビカム」について

設立20周年を迎えたデジタルブティックがベビカムに社名変更したのは、代表取締役の安西正育の誕生日にあたる2月20日付のことである。社名変更から、まだ一週間も経っていない。
「1996年に設立した株式会社デジタルブティックでは、インターネットのコミュニティを活用する事業に取り組み、1998年から運営する妊娠出産育児コミュニティ『ベビカム』が年間800万人以上の方々に利用され、日本最大級のサイトとして認知されるようになりました。これから、さらにベビカムの利用者を増やしていくとともに、コミュニティに関連する事業を拡大する目的で、この『ベビカム』というブランドを社名といたしました」
http://www.digitalboutique.jp/about/main3.html
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000007518.html
「ベビカム」が妊娠出産育児関連のサイトとして日本最大級に成長したからといって、「ベビカム」をもって会社の歴史がスタートしたわけではない。始まりはサーファーのコミュニティ「SurfLink」を1995年11月に開設したことだ。翌1996年2月に会社を設立している。
http://company.babycome.jp/about/history/
当初、運営していたコミュニティサイトは、「SurfLink」の他にスノーボーダーのための「SnowboardLink」と「@SHIBUYA」だった。渋谷の「club asia」でライブイベントを開催したりもしている。
http://www.sonoran.co.jp/taro/itsme/97_07/index.html
代表取締役の安西正育は慶応義塾大学工学部を経て九州芸術工科大学(現九州大学)大学院に入り、1984年に日本ユニバック株式会社(現日本ユニシス)へ入社している。1988年にはアップルコンピュータ株式会社(現アップルジャパン株式会社)に入社し、マルチメディア担当課長をつとめる。1995年にアップルを退社して「SurfLink」を立ち上げるのだ。そんな安西が何故に妊娠出産育児コミュニティのアイデアに辿り着いたかといえば、妻の妊娠時の体験から、妊娠・育児中の女性が悩みを共有したり、 相談したりする場所が必要と感じたからだそうだ。
「『妊娠している時って、本当は幸せを思いっきりかみしめられる時期なのに…』妻が私に言ったこの言葉が、BabyComesTrueプロジェクトの構想の始まりでした」
http://mtane0412.com/apple-revolution-private-school-4/
http://www.digitalboutique.jp/about/ceo.html
そんなベビカムが小学館と業務提携することになった。両社がそれぞれに持つ強いノウハウや資産をデジタルテクノロジーによって統合的に結びつけ、妊娠・出産・子育てをサポートする日本・アジア最大の統合サービスを目指しての業務提携だという。次のような取り組みを始めとするビジネス構築を開始するそうである。
「・雑誌・書籍の価値あるコンテンツをネットやアプリ等のデジタルテクノロジーと融合させて発信する
・役立つコンテンツ作りに、小学館の企画・編集力と、ネットユーザからのCGM等を最大限に活かす
・膨大なコンテンツやデジタルテクノロジーをもとに、まったく新しいコンセプトのサービス・ビジネスを創造する
・アジアを含めたグローバル展開を想定したビジネスを構築する」
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000007518.html

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2)【本日の一行情報】

◎太洋社は「中間決算書送付および弊社の状況ご報告」を出版社、書店に通知した。太洋社帳合の書店で帳合変更の目途がついたのは、約50社の約350店舗。2月末時点の帳合変更による売掛金の回収実績は約9億400万円に過ぎないことがわかった。
東京商工リサーチによれば「太洋社の現状は、2月8日に取引先向けに開催した説明会の報告に比べて財務状況が傷んでいる」。要するに太洋社の売掛金管理が杜撰だったのである。もちろん、だからこそ生き延びることができた書店もあったのだろうけれど、そうした書店が太洋社から帳合変更することはできまい。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20160222_03.html

◎書林沼袋店が3月19日をもって閉店。
「沼袋の書林も3/19で閉店。これはショック。本当に街から書店が消えていくなぁ」
https://www.instagram.com/p/BCDH8tzjW2N/
http://kaiten-heiten.com/shorin/
北九州市小倉のアミ書店が2月29日をもって閉店。
https://twitter.com/093hidering/status/701980950062759936
「おたぽる」の「大手書店にも経営危機のウワサが……太洋社の自主廃業をめぐり、日本の書店と出版社の苦難は終わらない」は、太洋社の自主廃業で「首都圏のターミナル駅周辺に多くの店舗を構える大手書店」が「閉店するのではないかというウワサが飛び交っている」と書いている。それは太洋社が発表した「中間決算書送付および弊社の状況ご報告」によれば売掛金が12億円強あるとされている書店である。
http://otapol.jp/2016/02/post-5762.html
次のようにホームページに記載しているのは芳林堂書店である。
「現在、問屋変更にともなうトラブルの為、各店とも雑誌、書籍とも新刊・既刊の入荷が止まっており、店舗、ホームページでのご注文がお受けできない状態になっております」
http://www.horindo.co.jp/

◎マンガ家の竹宮惠子氏の自叙伝「少年の名はジルベール」(小学館)が面白そうだ。私も「風と木の詩」に「共犯幻想」(斎藤次郎+真崎守)などとともに影響を受けた読者の一人である。買わなくちゃ。
http://www.news-postseven.com/archives/20160221_386628.html
http://www.shogakukan.co.jp/books/09388435

◎「アニメ!アニメ!」に掲載された昭和女子大現代ビジネス研究所研究員・豊永真美の「フランスの日本マンガ市場、最新事情 第4回 2016年のマンガ市場の展望」を興味深く読んだ。「フランスのマンガ市場の特徴として、日本で人気のコミックのタイトルの大半は仏語翻訳されている」のだそうだ。フランスでも集英社「ジャンプ」ブランドのマンガが強い。
「KUROKAWAは「ワンパンマン」について、地下鉄広告やテレビCM、書店には平積みのためのスタンドを配布するなど大々的な宣伝を行い、結果として初版65000部を売り切り、現在10万部まで売上を伸ばしている。出版直後は売上で書籍部門3位にランクインした(https://twitter.com/tonarinoyj/status/689769604411863041)」
http://animeanime.jp/article/2016/02/21/27089.html

◎「ジャニーの伝言」の著者・小菅宏は集英社の編集者出身である。「週刊セブンティーン」「週刊プレイボーイ」「月刊プレイボーイ」などで仕事をしていた。
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784904209424
http://www.cyzowoman.com/2016/02/post_18974.html

◎NMB48の須藤凜々花が「統治・自律・民主主義−パターナリズムの政治社会学」で知られている政治社会学者・堀内進之介と組んで「ドリアンと哲学」を幻冬舎から刊行する。内山奈月と南野森による「憲法主義」(PHP研究所)のケースがあるだけに買ってはみようと思うのだが、版元が幻冬舎なんだよなあ。そこに一抹の不安を覚えるのは、オレだけだろうか。一抹の不安とは、編集者が妙に作り込んでしまうのではないかという、ね。
http://www.gentosha.jp/articles/-/5034
https://www.php.co.jp/kenposyugi/

◎「BOOK UAMOU」は三省堂書店池袋本店限定キャラクターグッズのようである。
http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/items/666

◎遂に2月25日に「relax」が一号限りの復活を果たす。マガジンハウスが富士重工と組んだプロジェクトである。
「10年ぶりの復刊に際して、当時のエディトリアルスタッフが集結、アートディレクターも当時と同じ小野英作氏が担当します。
ホンマタカシ若木信吾佐内正史大森克己といったrelaxらしいフォトグラファーのページも充実していて、当時の読者が30代後半になった2016年の今、もう一度楽しめる内容を目指します。
『Sunday People』『君になりたい』『オッス!帰宅部』『格闘センセイ』『Our Favorite Shop』などなど、当時の人気連載をアップグレード。
表紙は大人気だったGeoff Mcfetridge氏のイラストレーション。
おまけとして特製シールも!」
https://www.facebook.com/relax.legacy.project/?fref=nf

◎JR新大阪駅在来線改札内の商業施設「エキマルシェ新大阪」では、書店「ブックスタジオ」にて対象の「SAVVY」(京阪神エルマガジン社)、「MORE」(集英社)、「With」(講談社)、「CLASSY.」(光文社)の四誌にスイーツ販売店舗でお得なサービスが受けられるサービスチケットを付けるキャンペーンを展開している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000010107.html

昭文社は、「まっぷるマガジン」シリーズなど当社旅行ガイドブックの読者限定無料アプリ「まっぷるリンク」が、この2月に累計400万ダウンロードを突破したと発表した。
http://www.mapple.co.jp/corporate/news/2016/02/6526.html

◎カカクコムが女性向けキュレーションサイト「キナリノ」と連動させたショッピングモール「キナリノモール」を立ち上げたのをご存じですか?
https://kinarino-mall.jp/
https://kinarino.jp/contents/201601-03%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%8E%E5%AA%92%E4%BD%93%E8%B3%87%E6%96%99.pdf

◎ゲイ・エロティック・アーティストとして世界的にも有名な田亀源五郎のマンガ「弟の夫」(双葉社)の評価が高い。「読めばすぐ、設定とキャラ配置が巧みで絶妙なことに気づきます」と朝日新聞小原篤が絶賛している。
http://www.asahi.com/articles/ASJ2M3VLBJ2MUCVL002.html

◎確かに今やBBSは死語である。
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1602/22/news022.html

◎グーグルが検索結果の右側に出る広告枠を廃止した。「Gigazine」は次のように書いている。
「新しい画面レイアウトでは、右側に表示されていたGoogle AdWordsの広告の表示が廃止されるかわりに検索結果の上部に広告が最大で4つ挿入されるようになるとのこと。これは、検索シェアを着実に伸ばしているモバイル端末における表示との統合を狙った変更とみられています」
http://gigazine.net/news/20160222-google-redesign-sidebar/
時代の変化に抗するのではなく、時代の変化とともにどんどん変えてしまうのがグーグルの流儀である。ともかく逡巡しない。

◎総16頁フルカラーの「親の雑誌」サービス!5冊で7万円也。
http://tsunagariplus.cocolomi.net/oyanozasshi/

◎ベルリン映画祭で金熊賞を獲得したジャンフランコ・ロージについて検索していると、イタロ・カルヴィーノという美しい名前が不意に飛び込んで来た。ベネチア映画祭で金獅子賞を獲得した「Sacro Gra」は、カルヴィーノの「見えない都市」(河出文庫)に触発された作品なんだって!
http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_17.html
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309462295/
http://mainichi.jp/articles/20160221/k00/00m/040/075000c

◎全国に 1,200 店舗、年間の課金ユーザーが 1,600 万人を超えるゲオショップを運営するゲオと映像配信プラットフォームの企画・開発・運営を手がけるエイベックス・デジタルは、映像配信サービス「ゲオチャンネル」を開始した。
http://www.geonet.co.jp/wp-content/uploads/2016/02/2681_20160218-geochannel_start1.pdf

◎左寄りと言われている大衆紙デーリー・ミラーとサンデー・ミラーを発行する英国有数の新聞社「トリニティ・ミラー」は、日刊紙「ニュー・デー(New Day)」を創刊するそうだ。イギリスでは30年ぶりの日刊紙の創刊となる。
http://www.afpbb.com/articles/-/3077861

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)での連載が40周年を迎える秋本治の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」。これを記念して「こち亀展」が9月に日本橋高島屋で開催されることになった。
http://www.oricon.co.jp/news/2067264/full/

◎「暗殺教室」の「週刊少年ジャンプ」連載が3月をもって終了する。3月25日には実写映画「暗殺教室〜卒業編〜」が公開される。テレビアニメも放映中だし、フィナーレに向けて大いに盛り上がりそうだ。
http://www.oricon.co.jp/news/2067163/full/

◎「龍角散」の武藤毅マーケティング部元部長が逮捕された。
「武藤容疑者は都内の広告製作会社社長と共謀し、広告制作の委託料名目で、平成17年10月〜25年4月、49回にわたり、龍角散から計約8800万円をだまし取ったとされる。武藤容疑者から持ちかけ、詐取金の7割を武藤容疑者、3割を広告制作会社で分けていた」
http://www.sankei.com/affairs/news/160222/afr1602220021-n1.html
架空広告発注でタイ人女性と不倫していた。

◎2月26日にオープンする「ジュンク堂書店 立川高島屋店」で2月20日、地元小学生を招き、店内見学と開店準備作業を体験するイベントが開催された。
http://tachikawa.keizai.biz/headline/2122/

◎ネオアルドの「絵ノベル」は累計販売数が10万冊を突破したそうだ。
http://www.dreamnews.jp/press/0000127336/

◎サイモンアンドシュースター、ハーパーコリンズ、ハーレクイン各社の電子書籍売上構成比は減少傾向にある。
http://on-deck.jp/archives/20153560

電通は「2015年(平成27年日本の広告費」を発表。総広告費は、6兆1,710億円、前年比100.3%となり、4年連続で前年実績を上回った。媒体別にみると、「新聞広告費」(前年比93.8%)、「雑誌広告費」(同97.7%)、「ラジオ広告費」(同98.6%)、「テレビメディア広告費」(同98.8%、地上波テレビと衛星メディア関連の合計)を合計した「マスコミ四媒体広告費」は同97.6%。これに対して「インターネット広告費」は前年比110.2%。「インターネット広告費」が「日本の広告費」を牽引したことになる。雑誌では、これまで主軸であった「ファッション・アクセサリー」や「化粧品・トイレタリー」は減少している。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0223-008678.html

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3)【資料】太洋社・中間決算書送付および弊社の状況ご報告

平成28年2月22日
お取引出版社様
お取引書店様
株式会社太洋社
代表取締役 國弘晴睦

中間決算書送付および弊社の状況ご報告

 先日は、お忙しい中、弊社の説明会にご出席賜わり誠にありがとうございました。
 その席でお約束致しました弊社の平成27年12月末現在における中間決算書(貸借対照表および損益計算書)が確定しましたので、ご送付申し上げるとともに、説明会後の弊社の状況につき、ご報告申し上げます。
 中間決算書のうち、損益計算書につきましては、次のとおりです。すなわち、この中間決算期においても、帳合変更によって主要得意先を失った影響が及んだことなどから、中間売上高は6,321百万円にとどまりました。これに対し、経費削減策の徹底等を行ったものの賄いきれず、中間経常損失306百万円を計上するに至りました。また、財務安定化の観点から、九州支店の売却による利益を計上したものの、当中間期純損失194百万円を計上するに至りました。次に、貸借対照表につきましては、説明会の際に配布した平成27年6月30日現在のものと比べ、純損失が拡大した点を除き、大きな変動はありません。とりわけ、貸倒引当金については、その計上基準に変更を加えていないため、変動は生じておりません。
 ところで、説明会でお約束しました弊社資産の精査における最も重要なポイントである弊社のお取引書店様に対する売掛金の焦付きの予想につきましては、極めて由々しき自体が生じたことをご報告しなければなりません。(※)
すなわち、売掛金額が1,210百万円の大口お取引書店様につき、これまでも売掛金の遅滞が認められたことから焦付き懸念があったものの、同書店様におかれましては、これまで築き上げられた書店としてのネームバリューその他の業界における地位・声望などに鑑み、事業譲渡や資本参加などの方法による支援によって売掛金の焦付き懸念は一掃されるものと業界内でも信じられていたところ、今般の弊社による帳合変更のお願いを契機として具体的な対応策が模索される中、その進展は捗々しくなく、かえって、そうした支援策の具体化が危ぶまれる事態が生じかねない状況に直面することになりました。(※)
もし、こうした事態が現実化すれば、およそ売掛金額の半分近くが焦付くことになります。さらに、その他の主要遅滞売掛先の財務状況の精査をすすめたところ、いずれも、業容が悪いうえ、取得していた抵当権や連帯保証などによる回収も、それら担保の内容が当初取得時に比し劣化していることが明らかとなってきたため、それら売掛金の焦付きも億単位に及ぶこともありえる状況が判明しました。こうした状況については、当社の予想を大きく裏切るものであり、弊社における状況判断の甘さや債権管理の杜撰さを深くお詫び申し上げるほかありません。
 また、帳合変更の進捗状況については、およそ50社350店舗に係る帳合変更の見通しがついてきたものの、それ以外の書店様におかれましては、先の説明会における弊社の見通しの甘さに基づく説明の不十分さが影響したと反省しているところですが、書籍等の供給停止に係る危機感が正確に伝わっておらず、いっこうに帳合変更が進んでいない情況であります。こうしたことから、弊社のお取引書店様に対する売掛金についても、帳合変更に伴う回収実績は平成28年2月末時点でおよそ9億4百万円にとどまる予想であり、誠に遺憾ながら、今後は、帳合変更をされないお取引書店様に対しては、帳合変更を諦め、個別取立の強化を検討せざるをえない事態に至っております。
 他方、説明会でご説明申し上げた弊社資産精査のもう1つの柱である資産売却については、次のとおりであります。
 先ず、不動産ですが、最も高額での売却が予想される戸田の物流センターについては、その一部を賃貸している企業との間で立退交渉がすすむ一方、現時点で既に15社の引き合いがありますが、境界確定や戸田市への法令に基づく申請・審査などで、なお売却までには時間を要する見込みであります。また、神田商品センターについては、2社が既に内覧をすませ、今後、具体的な交渉へとすすむ運びであります。さらに、四国支店の土地建物、長崎市の更地および川口市の更地についても、売却へ向けての準備を加速させつつあります。いずれにせよ、現時点では、未だ売買契約の締結に至った物件はありません。
 次に、保有株式の売却ですが、説明会でご説明どおり、それら発行会社その他の関係者との間での売却条件の詰めがすすんでおり、1億円前後の現金化はほぼ間違いない状況に至りました。
 以上が、今般ご送付致しました平成27年12月末現在の弊社の中間決算書の補足説明と現時点における資産・負債の精査結果その他の弊社の状況の中間報告であります。なお、弊社では、こうした状況を踏まえ、自主廃業に向けて当初より予定していた事業規模の縮小に伴なう人員の縮小計画について、これを前倒しし、全ての従業員を対象として、雇用形態の変更を含む人員削減策を平成28年2月19日付を持って実施しました。
 この度のご報告内容は、弊社にとっても当初の予想とは大きく相違するものであり、弊社の財務状況が相当程度傷んでいる実態が浮きぼりとなっております。誠に申し訳なく、深く深くお詫びする次第であります。
 こうした状況を踏まえて、弊社では、書籍等の供給を継続して頂いているお取引出版社様にご迷惑をお掛けすることのないように、現時点では、主に、帳合変更が現に進んでいるお取引書店様からの注文・取引に係る書籍等について供給を継続して頂けるように取次業務内容を慎重に点検するとともに、今後は、新らたに帳合変更をすすめられるお取引書店様に配慮して、必要な書籍等の供給を継続しうるよう適宜相応の対策を講ずる所存であります。そこで、お取引出版社様におかれましては、誠に恐縮ですが、これまでと異なり、配本先にもご留意頂いたうえ、既に帳合変更の手筈が整ったお取引書店様への書籍等の供給に遺漏なきようご協力お願い申し上げます。
 また、お取引書店様のうち、未だ帳合変更につき何らの決断を下されておられない書店様におかれましては、この度ご報告申し上げた弊社の状況をご理解頂いたうえ、直ちに帳合変更の手続に着手のうえ、速やかに所要の手筈を整えて頂きたく、伏してお願い申し上げる次第であります。(※)
なお、誠に心苦しい次第でありますが、弊社の状況は本書面にてご報告申し上げたとおりであるため、お取引出版社様による書籍等の供給は困難の様相を極めつつあるとともに、弊社の財務状況の悪化が明らかになったことに鑑み、今後の帳合変更については、これまでと異なり、帳合変更に伴なって返品された在庫にかかる販売正味金額合計から仕入正味金額合計を差し引いた差額をお取引書店様にお支払いすることができなくなる虞れがあることを念のため申し添えます。
 最後になりますが、弊社においては、この度、このような報告しかできませんことを誠に不甲斐ないと反省するとともに、深く深くお詫び申し上げます。(※)
いずれにせよ、弊社においては、最終的に弊社の清算がどのような姿になるにせよ、この度の帳合変更にかかるお取引出版社様およびお取引書店様に対する一連のお願いは、先の説明会でもご説明申し上げましたとおり、あくまでお取引書店様に対する書籍等の供給を継続して頂いたうえで、お取引書店様がこれまで築いてこられた顧客様からの信頼を損なうことなく営業を継続しうることを目的としたものでありますから、弊社としては、とことん帳合変更をすすめ、それに伴なって回収しえた売掛金をもって、お取引出版社様に対する買掛金の返済原資の充実を図る所存ですので、ご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
以上

(※注・改行を「文徒」編集部が加えています)

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4)【資料】太洋社・損益計算書平成27年7月1日から平成27年12月31日まで]

科目 金額
千円 千円
売上高 6,321,638
売上原価 5,722,486
売上総利益 599,150
販売費及び一般管理費 940,143
営業損失 340,993
営業外収益
  受取利息及び配当金 23,983
  雑収入 40,310 64,293
営業外費用
  支払利息 4,165
  有価証券評価損 7,485
  貸倒損失 0
  雑損失 18,228 29,879
経常損失 306,579
特別利益
  固定資産売却益 140,419
  貸倒引当金戻入益 0
  その他特別利益 8,968 149,388
特別損失
  減損損失 35,000
  貸倒引当金繰入損 0
  その他特別損失 347 35,347
税引前当期純損失 192,538
法人税、住民税及び事業税 1,877
法人税等調整額 0
当期純損失 194,416

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5)【資料】太洋社・貸借対照表(平成27年12月31日現在)

科目 金額 科目 金額
〈資産の部〉 千円 〈負債の部〉 千円
流動資産 6,586,133 流動負債 6,822,183
 現金預金 1,770,467  支払手形 64,023
 受取手形 1,220  買掛金 4,699,810
 売掛金 4,746,453  短期借入金 900,000
 リース投資資産 8,328  リース債務 1,319
 商品 375,000  未払金 939,326
 未収入金 39,036  未払法人税等 1,521
 その他流動資産 5,376  未払事業所税 0
 貸倒引当金 △ 359,750  未払消費税 6,499
  預り金 30,147
固定資産 1,566,714  返品調整引当金 177,000
有形固定資産 1,166,861  その他流動負債 2,534
 建物 632,486
 建物附属設備 113,487 固定負債 807,464
 構築物 27,665  リース債務 19,099
 機械装置 155,021  繰延税金負債 75,229
 車両運搬具 21,406  退職給付引当金 441,030
 什器備品 124,579  役員退職慰労引当金 30,876
 リース資産 180,253  預り保証金 241,227
 減価償却累計額 △ 1,364,364  負債合計 7,629,647
 土地 1,276,324
〈純資産の部〉
無固定資産 14,462 株主資本 523,200
 ソフトウェア 14,462
資本金 180,000
投資その他の資産 386,390 利益剰余金 448,216
 投資有価証券 13,835  利益準備金 45,000
 関係会社株式 28,823  その他利益余剰金 403,216
 長期貸付金 299,052  別途積立金 1,500,000
 保証金 64,536  圧縮積立金 157,391
 敷金 19,391  繰越利益余剰金 △ 1,254,175
 貸倒引当金 △ 40,250
自己株式 △ 105,016
純資産合計 523,200

資産合計 8,152,847 負債・純資産合計 8,152,847

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6)【深夜の誌人語録】

仕事において「鈍感」や「遅刻」は悪意でしかない。