【文徒】2016年(平成28)2月23日(第4巻34号・通巻721号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】スマホのアプリの使用頻度から見えてくるもの(田辺英彦)
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】スマホのアプリの使用頻度から見えてくるもの(田辺英彦)

ネット行動分析サービスを提供するヴァリューズは、一般ネットユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を用いた、スマートフォンアプリの使用頻度に関するランキングを発表した。それによると、2位の「Facebook」以下に大差をつけて「LINE」が1位に。3位は「Twitter」、4位「Yahoo!JAPAN」、5位「McDonald's Japan」と続く。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000007396.html
男女別の結果もあり、男女とも5位までは総合ランキングと同じ結果だが、男性の場合、6位以下10位以内では、「Amazon ショッピングアプリ」「Yahoo! 天気」「Yahoo! 乗換案内」が総合よりランキングを上げ、トップ20ではカレンダー&システム手帳アプリ「ジョルテ」やニュースアプリ「SmartNews」など、やはりビジネスに関連したアプリがよく起動されている。女性の場合は、6位にゲームアプリの「LINE:ディズニー ツムツム」、7位に「クックパッド」、8位に「Instagram」が入っているのが特徴。他にも「ホットペッパービューティー」やフリマアプリ「メルカリ」などが人気だ。
また、60歳以上のシニア層でも「LINE」が大差の1位だが、2位は「Yahoo!JAPAN」、3位「Facebook」だった。シニア層では、スマホ最適化ツール、ブラウザをはじめ、天気やニュースなどヤフー系のサービスが幅広くランクイン。また、「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」など大手ショッピングモールのアプリもトップ20位内に入った。
調査対象がAndroidスマホユーザーによる集計なので、iPhoneユーザーとは違いがあるかも知れないが、概ね同様の結果だろう。シニア層でもこれだけスマホを使いこなしていることを、充分認識する必要があるだろう。
一方、スマートフォンネイティブといわれる若年層、特に10代では短絡的な傾向が見られる。「CNET Japan」で高橋暁子が指摘している。
ソーシャルメディアにおける検索結果も鵜呑みにする傾向にある。ソーシャルメディアの情報源と言えば、友人だったり、ネット上の匿名の人物だったりすることが多い。(中略)ツイートがデマかもしれないと考えもせず、信じ込んでいるのだ。」
http://japan.cnet.com/sp/smartphone_native/35077993/
「エムディエヌ・デザイン・インタラクティブ」で小川浩が次のように書いている。
「文字情報をメインとする新聞や雑誌の場合は、端的に内容を知らしめるタイトル+サムネイル画像、いわばヘッドラインが音楽におけるフレーズ同様 細小消費単位となる。新聞紙や雑誌というパッケージは破壊され、記事ごとに細分化されてさまざまな場所で消費される。
このように、メディアはいまや、最小消費単位のさらなる細分化、という波にさらされており、カタストロフィーというかエントロピーの増大というか、とにかくメディア業界がコントロールを失っていくという流れはもはや不可逆な傾向なのだ。」
http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/44186/

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2)【本日の一行情報】(田辺英彦)

◎3月26日に開業する北海道新幹線の開業を記念して、サントリーザ・プレミアム・モルツ 北海道新幹線開業記念デザイン」(350ml缶)が、北海道および東北エリアのスーパーマーケット、酒量販店などにて、2月23日から数量限定で発売される。
http://www.suntory.co.jp/area/tohoku/d/4103/
新幹線開業などのトピックは、かつては旅行雑誌やガイドブックに少なからぬ「特需」をもたらしたものだ。W杯や五輪などの大きなイベントは、出版業界にとっても多少のカンフル剤になるのだろうが、他力本願ではないムーブメントを雑誌や書籍がいかに起こせるかが肝要だ。

スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)の7月28日発売の新作が、漫画雑誌の連載やアニメのテレビ放送にも登場するようだ。朝日新聞は次のように書いている。
「漫画雑誌『月刊コロコロコミック』の連載は4月から、アニメ放送は7月4日からと、発売前から盛り上げる。集めて遊ぶおもちゃも売る。同時多発的な『メディアミックス』の手法は、2014年にヒットした『妖怪ウォッチ』と同じだ。」
http://www.asahi.com/articles/ASJ2M4DV6J2MULFA00H.html

◎「薔薇の名前」や「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」で知られる作家で記号論学者のウンベルト・エーコが19日、イタリア北部の自宅で死去した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201602/CK2016022002000257.html
http://wired.jp/2016/02/21/morto-umberto-eco/

◎雑誌「Quick Japan」の前編集長・藤井直樹、ももいろクローバーZプロデューサー・川上アキラ、ライター・小島和宏によるトークイベント「『モノノフがHMVで熱く語ってなぜ悪い!』〜ドームツアー『空白の週末』を埋め尽くす激論の宴!なにかが起こる60分!!〜」が、3月5日に東京・HMV&BOOKS TOKYOで開催される。
http://natalie.mu/music/news/176725
小島和宏は「中年がアイドルオタクでなぜ悪い!」を2月29日、ワニブックスより上梓する。
https://www.wani.co.jp/event.php?id=4991

◎誤解に基づく主張や煽りも含め、出版社・書店vs図書館という構図は根強いが、神奈川新聞によれば「専門図書館を併設する横浜市戸塚区の男女共同参画センター横浜で、著者を招いた講演会後に有隣堂(同市中区)が販売」するという取り組みによって、図書館の利用者が本を購入する契機にもなる。
http://www.kanaloco.jp/article/152613

ディスカヴァー・トゥエンティワンが主催する、未発売の作品を書店員が審査・投票し、「世に出したい」作品を選ぶ「第2回 本のサナギ賞」の受賞作品が発表され、大賞に百舌涼一著『アメリカンレモネード』、優秀賞には今葷倍正弥著『顔のない悪魔』が決定した。
http://fictions.d21.co.jp/sanagi/1st/
http://ddnavi.com/news/286469/a/
百舌涼一は、昨年の第4回「集英社みらい文庫大賞」で「変身なんかしたくない!」が最終選考の3作品に残ったが、受賞は逃していた。

司馬遼太郎作品を電子書籍化している朝日新聞出版、講談社、新潮社、中央公論新社文藝春秋の5社が「司馬遼太郎没後20年 5社合同フェア」を3月3日まで展開している。
https://www.atpress.ne.jp/news/91224

ハッシュタグ「#spurflower」が入った「SPUR」のツイートをリツイートすると、「SPUR」本誌(集英社)6カ月分(6月号?11月号)を抽選で10名にプレゼントするキャンペーンを実施。3月22日まで。
https://spur.hpplus.jp/fashion/news/201602/22/NiGSI1E/
https://twitter.com/SPUR_magazine/status/701622231021948929

伊豆半島の食材の生産現場を紹介する季刊情報誌「伊豆食べる通信」が創刊号(4月上旬より発送予定)の購読受付を開始した。毎号特集を変えて各号2,980円(税・送料込)で「情報誌+食材」を届ける。創刊号の特集は「しおかつお」。
http://pressrelease-zero.jp/archives/89746
http://dot-tree.com/izu-taberu/
2013年に東北から始まった「食べる通信」は、生産者をクローズ アップし、特集記事とともに彼らが収穫した食べものをセットで届けるという情報誌で、現在26地域で刊行している。
http://taberu.me/
3月5日(土)には、Good Morning Cafe千駄ヶ谷店で26地域の「食べる通信」が一堂に会して「食べる通信エキスポ&マルシェ」を開催する。
http://taberu.me/expo/
笹川陽平会長の日本財団が、「食べる通信」の協業パートナーになっている。
http://www.nippon-foundation.or.jp/

◎読書のアクセシビリティについて考えるシンポジウム「電子書籍の出版・流通と図書館の課題」が3月2日(水)にステーションコンファレンス東京で開催される。大学教授や総務省情報流通行政局の官僚、大日本印刷の盛田宏久hontoビジネス本部部長らが登壇する。入場無料。
http://www.r-iris.jp/event/r017.html

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3)【深夜の誌人語録】(田辺英彦)

言葉は恐ろしい。それに無自覚であるなら何も恐れることはない。ただ、真意を表す言葉を持ち合わせていないことを知って愕然とするだけだ。