【文徒】2016年(平成28)1月5日(第4巻1号・通巻688号)

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1)【ご挨拶】あけましておめでとうございます。
2)【記事】実業之日本社の業務提携について
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【ご挨拶】

あけましておめでとうございます。
昨年もいろいろとありましたが、今年もいろいろとあることでしょう。
出版も広告も転形期に直面しているのですから、いろいろあって当然でしょう。
そうしたなか私たちは、私たちにできることに全力投球する所存です。
もちろん、浅学菲才の身なれば、皆様のご助力 なくしては無力であること百も承知しております。
今年もまたご指導ご鞭撻に加え、厳しいご叱責のほど何とぞ宜しくお願い申し上げます。

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2)【記事】実業之日本社の業務提携について

◎12月25日、実業之日本社フィスコが業務提携を発表した。
「今回の業務提携は、金融および経済コンテンツのオンライン配信に強いフィスコと、編集および出版事業に長い実績を持つ実業之日本社の強みを持ち寄り、事業シナジーを図るというものです。具体的には、実業之日本社の編集力をベースにしたコンテンツをフィスコの自社媒体『FISCO(アプリ版・ウェブ版)』やヤフーファイナンスなどポータルにてオンライン配信することや、フィスコの有する金融および経済コンテンツを実業之日本社の出版ルートで刊行することなどを想定しております。」
http://www.fisco.co.jp/uploads/20151225_fisco_pr.pdf
フィスコは、1994年、株式会社三爾(現サンジ・インターナショナル)の一事業部として設立され、QUICK社、ロイター社向けの情報提供を開始した。翌1995年文京区に株式会社フィスコを設立。三爾フィスコ事業部から配信事業及び月刊誌発行事業等を引継いだ。
代表の狩野仁志氏は慶應義塾大学卒、安田信託銀行入行(現みずほ信託銀行)、33才の時にBayerischeLandesbank東京支店入行、45才の時にABNAMRO銀行東京支店入行、50才の時にフィスコ代表取締役社長に就任、2004年にリサーチアンドプライシングテクノロジー株式会社(RPテック)と経営統合した。
その後、2007年に株式会社フィナンシャルプラス、シグマベイスキャピタル株式会社を子会社化、2011年にイー・旅ネット・ドット・コム株式会社及びその子会社(株式会社ウェブトラベル、株式会社世界一周堂、リストン株式会社)を子会社化、2012年に株式会社ネクス、2013年に株式会社ディアンドジョイン、2014年に株式会社ジェネラルソリューションズをそれぞれ連結子会社化している。ジェネラルソリューションズとディアンドジョインが吸収合併し株式会社フィスコIRと商号変更。
ネクスは2013年に株式会社ネクス・ソリューションズを子会社化し、Care Online株式会社(現株式会社ケア・ダイナミクス)の株式を取得。2015年には株式会社ダイヤモンドエージェンシーが株式会社フィスコダイヤモンドエージェンシーに商号変更。同年、株式会社ネクスグループが株式会社SJIの株式を取得し連結子会社化している。時価総額は約137億円。めまぐるしくM&Aを繰り返して成長してきたわけだ。
専業トレーダーは、フィスコの株価の推移に関して旧ライブドアを思い出すと記している。
http://hiroshitttt.tumblr.com/post/27486496749/7182012-%E7%B6%9A%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%B3
ライブドアの連想は、あながち的外れというわけでもない。フィスコ筆頭株主は株式の45.88%を占めるシークエッジ インベストメント インターナショナル リミテッドである。フィスコと同じ住所にオフィスを構えている。同社の代表・白井一成は、ライブドア時代の堀江貴文とコンシューマー向けローン事業及びこれに付帯する事業全般を目的とした合弁会社ライブドアファクタリング」を設立している。白井が、2004年に上梓した『企業進化ダイナミズム―私はいかにして巨額負債を解消し自律的再生を果たしたか』(六法出版社)の帯には、堀江貴文氏と仲良く並んだ写真と共に、堀江氏の推薦文が載っている。ちなみにフィスコの社員数は2013年段階で40名に満たないようだ。グループ全体で働く従業員は137人だ。
http://www.sequedge.com/japanese/group.php
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784897704845
https://kmonos.jp/3807.html
ともあれ、いずれ実業之日本社経営統合するか同社を連結子会社化したとしても不思議ではない。
今回の実業之日本社との業務提携は、株式市場には好感をもって受け入れられなかったのか、直近で急騰していたフィスコの株価は大きく値を下げたようだ。
https://www.traders.co.jp/news/news_top.asp?filter=&type=1&newscode=964903&page=3
出版社が生き残る道はどこにあるのか。大手、老舗、中堅、中小、それぞれの立場によって違ってくるのだろうが、デジタルを視野に入れつつも、出版の本分を守りつづけるのは難しい舵取りになるに違いない。
(田辺英彦)

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3)【本日の一行情報】(田辺英彦)

◎劇画家、上村一夫の没後30年を記念した「わが青春の『同棲時代』上村一夫×美女解体新書展」が1月3日から文京区・弥生美術館で開催中。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2015122602000194.html
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html
上村一夫が宣弘社でイラストレーターをしていたときの同僚に阿久悠がいた。

グリーンモンスターは、楽天アプリ市場において、独占的にインセンティブ付広告を提供する業務契約を締結した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000009745.html

◎韓国書店大手の教保文庫によると、12月16〜22日のベストセラー総合ランキングでアルフレッド・アドラーの心理学を平易に解説した『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健共著/ダイヤモンド社)の韓国語版が45週連続で1位になったようだ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2015/12/25/0800000000AJP20151225000600882.HTML

毎日新聞によると、昨年10月1日にリニューアルオープンした神奈川県海老名市立中央図書館について、市民2人が海老名市長を相手取り、指定管理者(共同企業体)との基本協定を解約し、市が負担した図書館機能以外の改修費など約5億円を企業側に返還させるよう求める訴訟を横浜地裁に起こした。
http://mainichi.jp/articles/20151225/k00/00e/040/232000c
海老名市立中央図書館に関しては、サイトに掲載された画像を無断でそのまま使っているのではないか、という疑惑も浮上。ネットを中心に追及の声が高まっている。
http://getnews.jp/archives/1324480
http://www.asahi.com/articles/ASHDW5S0RHDWULOB009.html

電通子会社である電通テックは、タイ政府の外資に対する新たな税制・金融優遇政策に伴い、アジア各地に展開するプロモーション領域の専門会社を統括する新会社「プロモテックIHQ(アイエイチキュー)」をタイのバンコクに設立し、2016年1月1日より営業開始した。
http://dentsu-ho.com/articles/3529

◎2013年に『Seventeen』(集英社)の専属モデルを卒業し、芸能界を引退していた立石晴香が、テレビ朝日スーパー戦隊シリーズの新作『動物戦隊ジュウオウジャー』(2月14日スタート)で芸能活動を再開させる。
http://www.oricon.co.jp/news/2064491/full/

AKB48高橋みなみの新書『リーダー論』(講談社)は初版6万部でスタートしたが、発売翌日には異例のスピードで増刷が決定した。
http://www.oricon.co.jp/news/2064421/full/

小学館は、WEBマガジン「REAL KITCHEN & INTERIOR(リアルキッチンアンドインテリア)」を12月24日に創刊した。
http://www.work-master.net/201551512
http://realkitchen-interior.com/

◎新潮社から本の総合情報サイト「Book Bang」がスタートした。
http://aoringo-book.com/news-bookbang
http://www.bookbang.jp/

◎バリューHRは、1月よりクックパッドダイエットラボと業務提携し、食生活改善サービス「症状別レシピ」配信サービスの提供を開始。
http://www.valuehr.com/docs/archives/455

◎中学3年生、14歳での受賞が話題だが、ときわ藍AKB48木崎ゆりあのいとこでもあったのか。
http://news.dwango.jp/2015/12/26/69129/idol/
http://mantan-web.jp/2015/12/25/20151225dog00m200000000c.html

交通新聞社は、タブレット端末用の時刻表アプリ「デジタルJR時刻表」のサービスを昨年5月28日に開始したが、スマートフォンで利用できる時刻表アプリ「デジタルJR時刻表Lite」のサービスをiPhone向けに昨12月25日よりスタートした(データは2016年1月号データから開始)。Android版は1月下旬にリリース予定。
http://www.kotsu.co.jp/files/4214/5093/5138/press.pdf

大日本印刷の「DNP家計簿アプリ レシーピ!」がダウンロード数200万を突破。これを記念して「ポイントごほうびキャンペーン」を実施中。
http://p-prom.com/user/?p=4645
http://receipi.jp/gohobi-campaign/

講談社スマートフォン向けコンテンツを展開するエブリスタが運営するコミックサイト「ヤングマガジン海賊版」が、「eヤングマガジン」に名称を変更し、リニューアルした。
http://anime.eiga.com/news/101770/

旭川のファッションに特化したウェブマガジン「RUICA(ルイカ)」が12月中旬、創刊した。
http://asahikawa.keizai.biz/headline/273/
リクルートHDが発行していたフリーマガジン「R25」は昨年10月、デジタルに全面移行したが、フリーマガジンは「紙」で出す意味はないのだろう。マーケットが小さくとも、ウェブなら様々な展開が可能だ。

◎読売新聞によると、昨年8月にKADOKAWAが出版した小学生向けの学習教材である角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』(全15巻)が累計発行部数で120万部を超える売れ行きとなっているという。
「従来の学習漫画シリーズよりも小ぶりなサイズであることや、歴史の流れをつかむ『東大流』という最新の歴史教育メソッドを取り入れたことなどが好調の背景にあるようだ。」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/ichiran/20151228-OYT8T50064.html
「日本の歴史」は小学館集英社・学研の3社がマーケットを独占していた。2012年に学研がリニューアル版を出し、集英社も創業90周年企画として『学習まんが日本の歴史』(全20巻)の改訂を行った。教育現場にタブレットが全面的に導入され、学習漫画の新たな戦場(マルチメディア&インタラクティブ)ができるまでは、こうした「紙」のヒット商品でのパイの奪い合いが続くのだろう。

◎ファッション&ビューティマガジン「チョキチョキガールズ(CHOKi CHOKi GiRLS)」が、12月28日発売の2月号をもって休刊した。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-12-28/chokichokigirls-final/

トーハンは、12月下旬より「湊かなえ Next Million Project」を全国約1,500書店で展開。2016年も新刊発売やメディア化で注目される湊作品の常設コーナーを設置するという。
http://www.dreamnews.jp/press/0000124933/

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4)【深夜の誌人語録】(田辺英彦)

「先入観は罪。固定観念は悪だ」。本城雅人が書いた小説の登場人物の言葉である。