【文徒】2017年(平成29)年4月19日(第5巻73号・通巻1002号)

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1)【記事】出版業界騒然!白夜書房出身の藤脇邦夫が内幕暴露小説「断裁処分」を刊行
2)【本日の一行情報】
3)【人事】実業之日本社 第111期(2017年1月期)決算と決算と3月31日付役員人事
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.4.19 Shuppanjin

1)【記事】出版業界騒然!白夜書房出身の藤脇邦夫が内幕暴露小説「断裁処分」を刊行

藤脇邦夫白夜書房の異能の営業マンであった。営業部に身を置きながら様々な書籍を企画したことでも知られる。また太田出版社から「出版幻想論」と「出版現実論」、本の雑誌社から「出版アナザーサイド ある始まりの終わり 1982-2015」などを刊行している。むろん白夜書房に籍を置きながらのことである。藤脇は2015年に白夜書房を定年退職しているそうだ。
そんな藤脇が出版業界を舞台にした実録小説をブックマン社から刊行した。その名も「断裁処分」。ここに出て来る大手出版社「集談社」は集英社講談社を合体させ、二で割ったネーミングである。自主廃業する中堅取次「細洋社」は太洋社を連想させる。「東京屋を抜いて、業界トップと言われている全販」は日販?
しかし、最大の話題となるのは「新英社」の逸話は、どの出版社がモデルになっているかということだろう。藤脇は「新英社」について次のようにスケッチしている。
「文芸書の老舗として、知らない者がいない創立一〇〇年近い出版社だが、出版社経営のマイナス面として、漫画と若者向けの雑誌がなく、その年代層には、古い時代の出版社としてのイメージしかなかった。それを変えたのが皮肉にも文庫だった。従来からの文庫の収録範囲を大きく外し、さらにかなり広くして、数少ない漫画でさえもコミックエッセイの一つとして収録してそのジャンルを確立し、その経営基盤は盤石だと思われていた。だがここ十年、出版不況の波をもろに受けて、苦しい経営状態が続いていたのは業界では既成事実となっていた」
この経営危機に陥った「新英社」は「新英文庫を始めとした、今までのすべての本の版権を担保」にしてまでカネを借りようと奔走するのだけれど…。
http://bookman.co.jp/shop/society/9784893088796/
これを読んで身につまされない出版関係者はいないのではないだろうか。KADOKAWAや新潮社といった版元の社員にとっては必読なのではないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

熊本県阿蘇市の井野書店は「お菓子な本屋さん」を謳っている。書店の中に駄菓子コーナーがあり、イートインスペースでコーヒーも飲める書店だ。スタバとかじゃないのが、いや本当にステキだなあ。
https://ja.kumarism.org/okashina_honyasan_inosyoten_info/

◎フジテレビは、8月23、24日にお台場で大相撲の夏巡業「大相撲ODAIBA場所 2017」を開催する。
http://www.fujitv.co.jp/sumo/

◎月曜日から金曜日までの午後12時半から放送される昼ドラマ「やすらぎの郷」が面白いと評判だ。そりゃあそうだろう、テレビの黄金時代にかかわったキャスト・スタッフ専用の無料老人ホームを舞台にした脚本は倉本聡で、主演が石坂浩二で、共演に元妻の浅丘ルリ子や元カノの加賀まりこが絡むという、キャスト自体がスキャンダラスなのも話題である。
http://www.oricon.co.jp/news/2089259/full/
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2089259.html
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170316-OHT1T50155.html
脚本集「やすらぎの郷 上」は双葉社から刊行されている。
http://goo.gl/QVNk9A
こういう大胆にして意欲的なドラマ企画がテレビ朝日から生まれる時代だ。フジテレビが低迷しているのは冒険に臆病であるからだ。
http://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginosato/news/0012/
冒険に臆病だとテレビに限らず、雑誌文化にしても低迷する。

三鷹開店した「よもぎBOOKS」は絵本を中心とした8坪のセレクト書店だそうだ。
https://kichijoji.keizai.biz/headline/2389/

◎40周年を迎えた小学館の「コロコロコミック」と東京スカイツリータウンがコラボカフェ「コロコロコミック伝説カフェ 〜40th ANNIVERSARY〜」を東京ソラマチイーストヤード4Fで5月13日(土)からオープンする。
https://animeanime.jp/article/2017/04/16/33508.html

KADOKAWA横浜市交通局は、コラボレーション企画として、横浜出身のアーティスト「ゆず」のデビュー20周年にあたり、オリジナル1日乗車券を発売し、ギャラリー電車を運行している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003224.000007006.html

斎藤美奈子森達也のインターネットを使っての「往復書簡」。今回の「なぜ安倍政権は強いのか」は斎藤美奈子の番で次のように書いている。
「少なくとも私たちは『敵に学ぶ』という姿勢を少しは持ったほうがいいと思う。安倍政権を罵倒して溜飲を下げたところで、ガス抜きにしかならないわけで。
『あんな本を読むと目が腐る』とかいって、親安倍派の本をみんな読もうとしないけど、戦いの基本は敵について知ることです」
http://www.gendaishokan.co.jp/article/W00114.htm
反安倍のリベラルっぽい人って、神輿会とかには縁がなく隣近所の付き合い方が下手な人が多いのではないだろうか。自宅から半径10メートル圏内の生活民主主義を苦手にしていると言っても良いように私には思えてならない。

渡部昇一が亡くなった。産経は次のように書いている。
「もっとも有名な“事件”は『神聖喜劇』で知られる作家、大西巨人さんとの論争だろう。週刊誌で、自分の遺伝子が原因で遺伝子疾患を持った子供が生まれる可能性のあることを知る者は、子供をつくるのをあきらめるべきではないか、という趣旨のコラムを書いた渡部さんは『ナチスの優生思想』の持ち主という侮辱的な罵声を浴びた。
批判者は《「既に」生まれた生命は神の意志であり、その生命の尊さは、常人と変わらない、というのが私の生命観である》と渡部さんが同じコラムの中で書いているにもかかわらず、その部分を完全に無視して世論をあおったのだ」
http://www.sankei.com/life/news/170418/lif1704180004-n1.html
大西赤人ツイッターで産経に次のように反論している。
「文脈から『世論をあおった』"批判者"には当の巨人や息子の赤人も含まれるはずだが、現実に生まれてしまった血友病の赤人は今更生まれさせない(即ちナチスに倣って殺す)わけにも行かないが、親の巨人は理性ある人間として、同様の子供が生まれないよう未然に律すべきだったという主張への批判が、何を"あおった"というのか」
https://twitter.com/MetaPoson/status/854023858982014976
https://twitter.com/MetaPoson/status/854024003308068868
朝日のほうが産経よりもバランスが取れている記事だった。
http://www.asahi.com/articles/ASK4L0S7XK4KUCVL03T.html
渡部の「神聖な義務」には目を通しておこう。ここで読める。
http://www.livingroom.ne.jp/d/h003.htm
横田弘の「障害者殺しの思想」(現代書館)も読んでおきたい。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-3542-7.htm

◎日経は次のように書いている。
「新入女性社員が過労自殺した電通について、厚生労働省は17日、社員に労使協定の上限を超える残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いで名古屋、京都、大阪の3支社の複数の幹部と法人としての同社を月内にも書類送検する方針を固めた」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17H3X_X10C17A4000001/

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3)【人事】実業之日本社 第111期(2017年1月期)決算と決算と3月31日付役員人事

実業之日本社は、2015年12月にフィスコと業務提携契約を締結したのに続き、翌2016年4月には上場企業3社を擁するシークエッジ・グループに参加することになり、経営体制を刷新した初年度となる第 111 期(2017 年1月期)決算において、売上高 34億4900万円、営業利益7億7700万円を達成し、ネットキャッシュで 7億1400万円の改善と、ここ数年続いた業績の低迷から脱却して、構造改革を果たすことに成功した。
具体的に言えば売上原価16億9800万円(対前年比87.5%)、販管費9億7300万円(対前年比64.4%)と大幅な経費削減を果たしたのである。
セグメント別の売上では、販売売上2,654 百万円(対前年比99.7%)、教科書売上284百万円(同96.3%)、広告売上232百万円(同79.6%)、デジタル売上184百万円(同113.9%)、版権料売上60百万円(同65.7%)。

増田 義和 取締役会長(再任)
岩野 裕一 代表取締役社長(再任)
福西 英俊 取締役(新任)株式会社ヴァンテージパートナーズ代表取締役
城丸 修一 取締役(再任)
武田 将宣 取締役(新任) 株式会社アートイット取締役
芦沢 泰仁 執行役員編集本部長(再任)
久保田 大 執行役員販売マーケティング本部長(再任)

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4)【深夜の誌人語録】

理性は暴走させてはならないが、感性は暴走させたほうが良いに決まっている。