【文徒】2016年(平成28)8月29日(第4巻161号・通巻848号)

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1)【人事】集英社 平成28年8月25日付役員人事
2)【決算】集英社 第75期(平成27年6月1日〜平成28年5月31日)決算報告
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【人事】集英社 平成28年8月25日付役員人事

代表取締役社長 堀内丸恵

専務取締役 東田英樹
営業部門(雑誌販売部、コミック販売部、書籍販売部、マルチコンテンツ販売部、宣伝部、コンテンツ事業部、広報部、読者サービス室、広告部)、業務部門(資材部、制作部)担当

専務取締役 加藤潤
出版部門(文芸編集部、文庫編集部、校閲室、新書編集部、学芸編集部、出版管理室)、第1〜第5編集部、デジタル事業部、ライツ事業部、ジャンプ・コミック出版編集部、ジャンプ・ノベル編集部担当

専務取締役 塩野嘉和
管理部門(社長室、人事部、厚生部、総務部、経理部)、編集総務部、関連会社担当

常務取締役 柳本重民
雑誌販売部、コミック販売部、書籍販売部、マルチコンテンツ販売部担当

常務取締役 石渡孝子
第6〜第10編集部、整理編集部、雑誌デジタル編集室、ブランド事業部、コミュニケーション・デザイン室、女性誌企画編集部担当

常務取締役[昇任] 高梨雄二
経理部、編集総務部、資材部、制作部担当

常務取締役[昇任] 鈴木晴彦
第1〜第5編集部、ジャンプ・コミック出版編集部、ジャンプ・ノベル編集部担当

常務取締役[昇任] 廣野眞一
宣伝部、コンテンツ事業部、広報部、読者サービス室担当

取締役 小林桂
ブランド事業部担当

取締役 茨木政彦
デジタル事業部、ライツ事業部、新書編集部、学芸編集部、出版管理室担当

取締役 田中恵
第6編集部、第10編集部、女性誌企画編集部、広告部担当
(兼)第10編集部部長(兼)広告部部長

取締役 村田登志江
文芸編集部、文庫編集部、校閲室担当
(兼)校閲室部長

取締役 渡辺隆
社長室、人事部、厚生部、総務部担当
(兼)社長室部長

取締役[新任] 北畠輝幸
第1編集部、第2編集部担当
(兼)第1編集部部長

取締役[新任] 隅野叙雄
雑誌販売部、コミック販売部、マルチコンテンツ販売部担当
(兼)コミック販売部部長

役員待遇[新任] 田中純
第4編集部担当
(兼)第4編集部部長

監査役 大岩健治

監査役 大川真希子

監査役(非常勤) 相賀昌宏

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2)【決算】集英社 第75期(平成27年6月1日〜平成28年5月31日)決算報告
平成28年8月25日付

売上高 122,957百万円(前期比:100.7%)
[内訳]
雑誌売上 68,315百万円(前期比:95.5%)
 ※コミックス含む 内訳 雑誌:31,587百万円 コミックス:36,728百万円)
書籍売上 12,914百万円(前期比:85.1%)
広告売上 9,838百万円(前期比:93.7%)
その他 31,889百万円(前期比:127.8%)
 ※内訳 Web:12,182百万円 版権:12,133百万円 物販等 7,575百万円)

税引前当期純利益 9,540百万円(前期比:120.7%)
当期純利益 5,836百万円(前期比:141.3%)

【解説】出版市場が縮小し、大手出版社といえとも前期比100%の売上を維持するのが難しいなかで、0.7ポイントにせよ、集英社が第75期決算において前期を上回る売上高を達成していることは驚きに値する。
何故、前期を上回れたのか。売上高の内訳をみると、これまた驚かざるを得ない。これまで出版社の中核をなしていた雑誌、書籍、広告の売上高は、ことごとく前期を下回っているのである。「その他」だけが前期比127.8%と気を吐いているのである。しかも「その他」の売上高は書籍や広告の売上を上回っているし、雑誌扱いのコミックスを除いた純然たる雑誌の売上すら上回っている。ここに集英社の経営の土台構造が大きく変わろうとしていることを見てとっても良いかもしれない。経営のシフトチェンジが上手く進んでいるということだ。
書籍にベストセラーが生まれるのであれば、書籍売上において前期を上回ることはあるだろうが、いくら「週刊少年ジャンプ」のコミックスが下支えしているとはいえ、雑誌売上や広告収入が前期を上回るということは、現段階では考えにくいことである。今期以降もまた前期を上回る売上高を達成するには、「その他」を伸ばしていくことが絶対に必要なのである。
「その他」の内訳は Webが121.82億円 版権が121.33億円 物販等が75.75億円となっているが、Webや版権においては広告売上を上回っている。恐らく、ここ数年で「物販等」の売上が広告収入を上回るはずである。「物販等」の中核をなすのは、通販事業である。こうした集英社におけるシフトチェンジを担っているのがデジタル事業部、ライツ事業部、ブランド事業部、コンテンツ事業部ということになろうか。
役員人事に関しては鈴木晴彦、廣野眞一の両氏が常務取締役に昇任したことに着目しておこう。この二人がポスト堀内体制において重要な役割を果たす可能性が大なのではないか。

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4)【本日の一行情報】

実業之日本社は「ブルーガイド・ポシェ」をデジタルシフトし、スマホで閲覧できるようにした。有料である。
http://www.j-n.co.jp/news/?article_id=371

ジュンク堂池袋本店で、8月31日まで「『ロジャー・フェデラー伝』(実業之日本社)発売記念フェア Thank you God for giving us ROGER FEDERER」が開催されている。
http://honyade.com/?p=30664

双葉社高野苺の「夢みる太陽」最新6巻の発売を記念し、動画コミュニケーションアプリ「SNOW」との共同開発によるスマホ向けモーションスタンプを期間限定でリリースした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000014531.html

東洋経済オンライン編集長の山田俊浩による「エイベックスは、このまま行くとダメになる」は、山田によるエイベックスの松浦勝人社長CEOに対するインタビューである。
「…CDだけを取ると、ものすごく悪いように見えますけど、音楽業界全体、ライブやデジタルの分野まで含めると右肩上がりです。そこの中できちんとやっていくためには、頭の中がCDになっているものを、ライブやデジタルに切り替えなければいけない。でも、考え方を変えるのって難しい。昨日も新卒の社員が言っていました。『社長はそう言いますけど、上司はCD何枚売れたか?って聞いてきますよ』って」
http://toyokeizai.net/articles/-/132727
出版業界も同じようなものである。

◎「ライブ・エンタテインメント」が急成長している。15年の市場規模は過去最高の5000億円を突破しているという。「日経エンタテインメント!」は次のように書いている。
「パッケージ売り上げが不振の今、『ライブが音楽産業の中心的ビジネスモデルへと移行しつつある』(笹井氏)とされ、アーティストにもライブに重点を置く動きが見られることから、音楽市場はさらなる発展が見込まれる」
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO05034590Q6A720C1000000
女性ファッション誌も「ライブ化」、私の言葉で言えば「リアルシフト」を真剣に考えるべきだ。

白泉社は「花とゆめ」、「LaLa」、「LaLa DX」、「花LaLa online」のイチ押し6作品を集めたフェア「白泉少女漫画団〜勇者よ、めざめよ〜」を9月5日より全国約2500書店で開催する。
http://www.hakusensha.co.jp/mangadan2016/

◎腕輪型のウェアラブルおもちゃ「Moff Band」を販売するMoffと学研教育みらいは、保育園や幼稚園向けのICT教育ソリューションの開発と販売について業務提携することになった。
提携第1弾として、Moffのウェアラブル製品「Moff Band」を使用し、園児たちの想像力を掻き立てるよう演出を実現する「おとしばい」を発売する。
http://ict-enews.net/2016/08/25gakken-kyoikumirai/

跡見学園女子大学のマネジメント学部生活環境マネジメント学科横井ゼミ2・3年生18名はコンデナスト・ジャパンが主催するイベント、「VOGUE FASHION’S NIGHT OUT 2016」に参加するそうだ。
http://www.atomi.ac.jp/univ/news/detail/257/

クックパッドの前社長で現在は取締役兼執行役の穐田誉輝は自身が保有する同社株式の大半を売却し、主要株主から外れることになった。
https://cf.cpcdn.com/info/assets/wp-content/uploads/20160825154926/20160825ir.pdf

◎「THE PAGE」の「開局から4か月あまりで700万DLを突破 AbemaTVは『マスメディア』を目指す」。AbemaTVに関する次のような箇所は押さえておきたい。
「民放のテレビ局と同じくCM広告を募るビジネスモデルで、7月から広告営業を本格的に開始した」
「4月11日の本開局以降、テレビCMによる宣伝を展開したほか、7月16日には全国各地に計1000万部の新聞折り込み広告を配布」
「視聴者で最も多いのが35歳以下で、60%強を占める」
「一方、視聴者のうち女性の比率は30%弱にとどまるため、今後は女性の視聴者拡大にも力を入れる」
http://goo.gl/KEVKSX

GMOインターネットグループGMOペパボが運営するのハンドメイドマーケット「minne(https://minne.com/)」は、文化出版局刊行の女性向けファッション誌「装苑」(http://soen.tokyo/)」とタッグを組み、ハンドメイド作品の新しい表現の場を提供するプロジェクト「minne×装苑 クリエイターズコラボ」の第2弾で作品の募集を開始した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002006.000000136.html

◎「東洋経済ONLINE」による「『広告宣伝費を削った63社』ランキング」。「この5年間で広告宣伝費を減らした会社のランキング 」であり、「安倍政権が発足する直前と比較することで、アベノミクスの恩恵をあまり受けられなかった企業ということになる」のか。 10位まで紹介しておこう。
1位 パナソニック
2位 任天堂
3位 ニコン
4位 ニッセンホールディングス
5位 東芝
6位 ディー・エヌ・エー
7位 三越伊勢丹ホールディングス
8位 JVCケンウッド
8位 住友商事
10位 カメイ
http://toyokeizai.net/articles/-/132865

講談社VRアイドルプロジェクト であり、スマホVRバイスでアイドルのライブを見ることのできる 「Hop Step Sing!」の第一弾として「キセキ的Shining! 」がリリースされた。ライブ映像の一部をYouTubeに360度動画として公開 している。
http://getnews.jp/archives/1511685

講談社YouTube番組 「ボンボンTV」は新番組「コミックエリートラボ」を配信開始する。主任研究員の前野智昭江口拓也講談社の人気コミックを研究し、オーディエンスにその作品のエリートになってもらおうという企画だ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001090.000001719.html

文藝春秋は、「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香のショートエッセイ「コンビニエンスストア様」をAmazonのプリント・オン・デマンド(POD)書籍として発売する。価格は税別200円。
https://www.atpress.ne.jp/news/110454
こういう柔軟さが文藝春秋の持ち味である。

電通は、伝統芸能「能」の可能性をテクノロジーで拡張する「テク能プロジェクト」を立ち上げた。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016104-0825.pdf

中央公論文芸賞東山彰良の「罪の終わり」(新潮社) に決定。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20160825-OYT1T50129.html

花王の広告から高畑淳子が消えることになった。
http://www.sanspo.com/geino/news/20160826/sca16082605020002-n1.html

日本電気NEC)は、KADOKAWAグループの物流会社であるビルディング・ブックセンターBBC)から「画像・重量検品ソリューション」 を受注したそうだ。
「画像・重量検品ソリューション」は、NEC独自の画像認識技術と重量計を活用し、検品対象の商品を予め登録した商品の画像・重量情報と照合することで、商品の品目と数量を瞬時に特定するものであり、バーコードなどの商品識別情報や人手による目視確認がなくても自動で正誤の確認を可能とし、物流現場の出荷検品業務の効率化と品質確保を同時に実現できるという。
BBCでは従来、誤出荷防止のため、キャラクターグッズなどバーコードをつけられない商品について、出荷前に二重、三重に人手で確認を行ってきた。今回BBCは、これらの商品の出荷検品を行う2つの物流ラインに「画像・重量検品ソリューション」を導入し、約30%程度の業務効率化 を期待しているそうだ。
http://jpn.nec.com/press/201608/20160826_01.html

◎メディアドゥは、グローバルでクリエイティビティに特化した子ども向けSNS「Creatubbles」(クリエイタブルズ)を展開するシンガポールのCreatubbles Pte. Ltd.と資本業務提携し、日本での事業展開で協業するそうだ。
http://www.mediado.jp/corporate/1358/

◎8月27日発売の10月号で創刊35周年を迎え た講談社の女性ファッション誌「with」は 人気ブランド「スローブ イエナ」とコラボしたパンジー柄のトートとビッグサイズの折りたためるエコバッグのセットを付録 にしている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001083.000001719.html

◎扶桑社のファッション誌「 Numero TOKYO 」(ヌメロ・トウキョウ)は創刊100号を記念して、東京ミッドタウンの「イセタンサローネ」にポップアップストア「Numero TOKYO 100 POP-UP STORE in ISETAN SALONE」を9月7日まで オープンしている。
http://www.fashionsnap.com/news/2016-08-26/numero100-popupshop/

三省堂書店旭川店は、9月30日をもって閉店。
https://www.books-sanseido.co.jp/news/4544
三省堂書店大丸札幌店が28日、丸善札幌北一条店(同市中央区北1西3)が9月4日に閉店するが、北海道新聞は次のように書いている。
「札幌中心部での相次ぐ閉店について、出版業界に詳しいライター永江朗さん(58)は『以前のように、集客力があるからといってテナントの家賃で優遇されなくなってきたことも一因』と強調する。その上で『市場規模に比べて過剰だった書店が淘汰される段階にあり、大型店舗でも整理統合する動きが全国で広がっている』と背景を指摘する 」
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/sapporo/1-0309276.html

◎「Business Journal」の「ベネッセ、経営危機的状況突入へ…会員激減&赤字拡大、脱却図ったDM商法へ逆戻り」は次のように書いている。
「原田氏はDM頼りの営業からの脱却を進めたが、うまく行かなかった。社長を更迭したベネッセHDは方針を大転換し、DM依存に逆戻りした。使い古され効果が薄れてきたといわれる、名簿を使った旧来のDM手法に逆戻りせざるを得ないほど、経営は深刻な状態にあるということだ 」
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16463.html

◎アペルザは、マイクロアドの子会社であるエンハンスと業務提携を行い、製造業従事者に特化したターゲティング広告 FOCUS-M(フォーカス・エム)の提供を開始 した。同時にダイヤモンド社の「ダイヤモンド・オンライン」とも協力し、ダイヤモンド社保有するオーディエンスデータとの連携を行い、ユーザーデータに対する精度向上を目的とした共同研究と、また広告配信枠の両軸での連携を行っていくそうだ。
http://goo.gl/ecMYzO

小林秀雄賞 は森田真生の「数学する身体」(新潮社) 、新潮ドキュメント賞石井妙子の「原節子の真実」(新潮社)に 決まった。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20160826-OYT1T50080.html

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5)【深夜の誌人語録】

積極果敢とは誤解を恐れずにいえば、横取りを怖れないことである。