【文徒】2018年(平成30)2月21日(第6巻32号・通巻1206号)

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1)【記事】講談社第79期(平成28年12月1日〜平成29年11月30日)決算・役員人事報告会(2月20日講談社本社)概要
2)【記事】代々木上原「幸福書房」閉店をめぐって
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】講談社第79期(平成28年12月1日〜平成29年11月30日)決算・役員人事報告会(2月20日講談社本社)概要

◆乾智之広報室長による開会の挨拶

明日はまた一段と冷え込むという予報ですけど、今日も寒い中、大変お忙しい中お越しいただきまして誠にありがとうございます。また、開始前に少し会場の手配でバタバタしてしまい、ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。弊社は来年で110周年、本日は第79期の決算報告会になります。
通常とは少々が順番が異なりますが、今回はまず最初に広報の担務の役員が前副社長の森武文から渡瀬(昌彦)に代わりましたので、簡単に一言だけご挨拶を申し上げます。

◆渡瀬昌彦常務取締役による挨拶

ご紹介にあずかりました渡瀬でございます。今日来ていらっしゃる方々の半分くらいには、本当にお久しぶりです、またお世話になりますと申し上げるべきかもしれません。
2011年の2月まで広報室長を務めておりました。その折にはみなさんに大変お世話になり、ご迷惑もおかけしたかと思います。広報には7年ぶりの復帰になりますけど、ご承知の通り講談社、そして出版業界を取り巻く状況は日に日に激変につぐ激変であります。従いまして私の広報マンとしての知識、経験ももう錆びついているのではないかなと危惧はしておりますが、そのぶんみなさまにいろいろと教えを乞いながらやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

野間省伸代表取締役社長による挨拶

本日はご多忙の中、弊社決算発表会にお越しいただきまして誠にありがとうございます。また、平素から私共の出版活動にご理解を賜り、様々な形で皆様の媒体に取り上げていただいていることに、改めて感謝申し上げます。
本日午前10時より第79期定期株主総会が行われ、決算・役員体制など全ての議案が承認され、無事終了いたしました。決算については経理担当の吉富(伸享)取締役から後ほど説明をさせていただきますが、一言で言うと増収減益という結果になりました。社内の管理会計上ですと本業は増収増益でしたが、社屋のメンテナンス費用などのコストがかかりまして、公表する数字としては減益という格好になっております。
第78期に続く2年連続の増収増益は残念ながら達成できませんでしたが、出版業界全体の売り上げが前年比6.9%のマイナスという逆風の中にあって、前年とほぼ同水準の結果を出せたことは一定の成果だと考えております。また、紙製品の売り上げが減少する中で、電子書籍や版権ビジネスなどの事業収入が紙での減収分を上回る増収を記録し、事業収入の割合は収入総額の30%を超えるところまで成長しました。時代の激しい変化に対応するために、こうした体質改善を引き続き積極的に行っていきます。
今年は1月に門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』が第158回直木賞を受賞。また、第20回大藪春彦賞には呉勝浩さんの『白い衝動』と佐藤究さんの『Ank:a mirroring ape』が2作同時に選ばれました。文芸部門のこの幸先の良いスタートダッシュを全社の勢いにつなげていければと考えております。
次に役員の体制についてご報告します。昇任が3名です。峰岸延也さん、古川公平さん、そこにおります渡瀬昌彦さんには常務取締役に就任してもらいました。また、森武文さんには取締役相談役への就任をお願い致しました。新任は1名で、ライツ・メディアビジネス局長の吉羽治さんを新たに取締役として選任致しました。常務取締役の鈴木哲さんには今期をもって顧問に就任していただくことになりました。業務分担については後ほど金丸(徳雄)常務から説明をしてもらいます。
出版界は今、大きな岐路に立っています。これまで通りの発想と行動では、現在の厳しい逆風に立ち向かうことはできません。私たちの競争相手は今や従来の出版社だけではなく、新しいテクノロジーを携えて参入してくる新興企業でもあります。彼らは出版業界の慣習を軽々と乗り越え、私たちの思いも及ばない方向から攻めてきます。発想を変える、新分野に乗り出す、大胆なチャレンジをする。守るのではなく攻めることが生き残るために、そしてさらなる成長のために今こそ求められているのだと思います。
講談社はこれからも挑戦を続けて参ります。皆様のご理解とご協力を重ねてよろしくお願いいたします。

◆第78期(平成28年12月1日?平成29年11月30日)決算報告

売上高 1179億5700万円(前年比100.6%)
《内訳》
雑誌        558億9800万円(同89.1%)
 (雑誌)     146億9900万円(同85.9%)
 (コミック)   411億9900万円(同90.2%)
書籍        176億8700万円(同101.8%)
広告収入      46億1100万円(同98.8%)
 (雑誌)     37億9600万円(同84.0%)
 (その他)    8億1500万円(同541.9%)
事業収入      357億1600万円(同126.0%)
 その他      9億0800万円(同91.3%)
 不動産収入     31億3400万円(同100.0%)
税引前当期純利益   36億7800万円(同78.5%)
当期純利益      17億4800万円(同64.4%)

◆吉富伸享取締役による決算および事業についての説明(※上記の決算データと重複する部分については省略)

第79期の主たる出版事業の売上高は、落ち込みが続く製品売上をデジタル・版権分野を中心とした事業収入の伸長によりカバーし、合計では前年を上回りました。出版事業合計の売上高は1148億円(前年比100.6%)。不動産賃貸収入を含めた全社売上高は1179億円(同100.6%)となりました。
出版事業に関する売上ですが、製品売上は735億円(同91.8%)。事業収入のうちデジタル関連収入は249億円、国内版権収入は63億円、海外版権収入は43億円となっております。原価面では製品の直接製造費の削減には継続的に努めましたが、発行部数の減少と売上率の低下により、製品の原価率は前年を上回ることとなりました。費用面においてはパートワークの創刊宣伝費、デジタルの収入増に伴う販売費、それから社屋の修繕費、年金費用等が増加し、費用全体では前年を上回りました。以上の結果、当期の営業利益は対前年で11億円減益の19億円を、経常利益は対前年で8億円減益の43億円となりました。税引前利益は対前年で10億円減益の36億円、当期純利益は対前年で10億円減益の17億円の利益計上となりました。
紙媒体は引き続き厳しい状況が続いています。雑誌分野では市場が大きく縮小し、厳しさが増しています。ここ数年そうした状況を共有し、意識を変え、より読者に届くコンテンツを提供していく方針を掲げて取り組んできました。雑誌コンテンツを活用した書籍や写真集のヒット作品が生まれた週刊誌編集部、販売収入と広告収入が前年を上回った『VoCE』などでその成果が出てきています。書籍ではノンフィクション分野が好調。特に新書はジャンル別で年間の上位となる作品が複数出版され、市場での存在感を示しました。
一方、文芸分野では単行本、文庫は引き続き苦戦を強いられています。紙と電子との同時刊行を進め、読者が作品に触れる機会を逃さない環境を作り、市場の回復を目指します。
コミック分野では電子コミックが先行し、紙の単行本がその後に売れるという動きが顕著になってきました。読みたいタイミングで読みやすい媒体を選択するという読者の動向を捉え、コンテンツの創造と提供を進めて参ります。
デジタル・版権ビジネスは引き続き業容を拡大し、社業の第二の柱と呼べる規模になってきています。電子書籍はコミック・テキストともに売り上げが伸長し、本社の業績に大きく寄与しています。コミックでは多様化する読者動向に対応すべく、自社アプリ「マガジンポケット」の展開を拡大させ、さらに新たなアプリやウェブサービスの開発も進めています。デジタル媒体の分野では新しい取り組みが少しずつ前進を見せています。
『現代ビジネス』『mi-mollet』が話題となる記事を提供し、ユーザーの認知度と媒体としての影響力が高まってきています。また、『ボンボンTV』は登録会員数が100万人に迫り、総視聴回数が10億回を突破しました。媒体の特性を活かし、ユーザーに直接コンテンツを手掛ける環境が整いつつあります。
版権ビジネスの分野では、国内では映像化・商品化に加え、舞台やコンサートなどイベント展開を引き続き図りましたが、予定していた舞台企画が中止となるなど想定外の事態もあり、前年の収入には届きませんでした。一方、海外は新興国でのコミック翻訳出版と、米国を中心に展開している電子コミックの配信が好調で、過去最高の収入となりました。従来型の許諾にとどまらず、包括的にコンテンツを活用していくビジネスモデルの構築が進んできています。
将来のビジネスを見据えた事業投資として、バーチャルコンテンツの研究・開発を行う講談社VRラボを設立いたしました。出版とは「版」というデータをパブリックにする、との考え方に立てば、世の中にコンテンツを問う形式は紙だけにとどまる必要はないと言えます。新しいテクノロジーを積極的に活用し、作り上げたコンテンツを最適な形、最適なタイミングで世に出すということを常に心がけ、出版の未来像を模索し、新たなビジネス分野のチャレンジを引き続き進めて参ります。

◆平成30年2月20日付役員人事(カッコ内は担当局)

代表取締役社長      野間 省伸
常務取締役         金丸 徳雄(社長室、総務局、編集総務局)
常務取締役〈昇任〉     峰岸 延也(販売局)
常務取締役〈昇任〉     古川 公平(ライツ・メディアビジネス局)
常務取締役〈昇任〉     渡瀬 昌彦(広報室、第五事業局)
取締役            森田 浩章(第三事業局、第四事業局)
取締役            清田 則子(第六事業局)
取締役            鈴木 章一(第一事業局、第二事業局)
取締役            吉富 伸享(経理局)
取締役〈新任〉       吉羽 治(IT戦略企画室)
取締役相談役〈社業全般〉  森 武文
取締役《非常勤》      重村 博文
取締役《非常勤》      大竹 深夫
常任監査役         白石 光行
監査役           足立 直樹
顧問            鈴木 哲

◆金丸徳雄常務取締役による役員人事・機構改編等についての説明(上記の昇任以外の主な変更部分に絞って抄録)

まず今回の機構改変についてご説明いたします。IT戦略企画室というものを新設致しました。ここは従来のデジタルソリューション部、ブランドビジネス推進部、システム部で構成しています。社全体のデジタルシフトを推進を担うことになります。宣伝部のデジタルプロモーションの業務の一部も移管して担当することになります。また、細かい話ですが経理局では各部の担当業務の再編を行いました。
取締役の業務分担については、峰岸常務取締役は引き続き販売局、そして本日付の機構改編で新設されたIT企画戦略室も含めた販売部門全体も担当いたします。渡瀬常務取締役は従来の第五事業局に加え、広報室の担当となります。常務として編集部門全体の責任者ともなります。
鈴木章一取締役はこれまでの第一事業局に加え、第二事業局の担当になります。新しい時代に向けた女性コンテンツビジネスの構造改革をさらに進めていただきます。新任の吉羽取締役は新設するIT戦略企画室の担当となり、室長も兼務ということになります。
先ほどもお話にありました通り、森副社長は取締役相談役となります。担当局を持たずに、社業全般に渡って社長を補佐します。業界全体で取り組む案件や、業界をまたいで交渉すべき案件等を担っていただきます。なお、退任しました鈴木哲常務取締役には顧問を委嘱致しました。

◆質疑応答(抄録)

乾 2009?10年の「電子書籍元年」と言われた頃から、この報告会も年々スムースに短時間で終わるようになってしまいまして(場内笑)。今年は少しメディアの方の目線からすると突っ込みどころがいくつかあるんじゃないかなあと、私が誘発するのはよくないかもしれませんが(笑)、2?3のポイントがあるのではないかと思って構えております。
──鈴木さんが第一事業局と第二事業局、つまり男性局と女性局を一緒に担当されるわけですが、こういうケースは過去にあったんですか?
渡瀬 かつて『講談倶楽部』と『婦人倶楽部』を兼任した役員がいたかというと正直わからないんですけど(笑)。少なくとも私が入社してから40年弱の間に、いわゆる男性総合誌女性誌の両部門を同時に担当した役員は、詳細を調べなければわかりませんが、おそらくいなかったのではないかと思います。ただ、数年前にリタイアされた持田克己専務のように、ある時期は第一編集局を、またある時期は第二編集局をと、それぞれの担当役員を務められたことはあったかと思います。
──森さんは社業全般を担当されるそうですが、それは副社長時代から同じだったと思います。副社長から取締役相談役になられた理由に一番興味があるのですが。
野間 齢ですかね(笑)。いや、それに限らずですけど、年齢的なことでの我々の内規というものもそもそもございますし、今回は担当局を持たないということですので、より全社的な立場でいろいろ手伝っていただく、と。特に対外的な部分でやっていただくという考えでおります。
──これは講談社に対する批判になってしまうかと思いますが、雇用機会均等法施行から久しくなった今では出版社の役員や管理職にも女性が増えつつあります。講談社では役員の中に女性はまだ1人ですが、これは将来的に増えていくものだとお考えでしょうか。
野間 現在では女性の局長や部長も増えてきていますし、そう考えていくといずれは女性の役員の数も自然に増えていくのではないかと思っております。
──現在は講談社から大竹さんが大阪屋栗田に行って社長を務められています。講談社での紙媒体の売り上げの減り具合から考えても、例えば「取次が3つもいらないんじゃないか?」という考え方というのはないですか?
野間 今日は取次の方もここに来ていますので何とも言えないんですけど(苦笑)、別に多いとか少ないとかではなく、たぶん(取次の)役割が今後変わっていくだろうと。トーハン・日販という2つの大きな会社と他の会社とでは規模的にも全然違いますし、役割がそれぞれ変わっていく。逆に役割が変わらないと生き残れないのではないかという気がしますが、数が多くあること自体は構わないのではないかと思っております。
──営業利益は前年同期比で11億円減少して19億円とのことですが、これは雑誌や書籍などのセグメント別にはどのように積み上げられているのですか。
吉富 社内的な管理会計で行っている中での営業利益はこれと全く違った数字になっています。費用の問題などもありますし、セグメント別の積み上げにはなっていません。各事業部ごとの数字として出すのはちょっと難しいです。
金丸 不正確な(数字での)話をしても駄目だと思いますが、ご存知のようにコミックが利益を出しているということは間違いないです。現在では書籍と雑誌を一緒にした構成になっていまして、各事業局別にみればいい線行ってるという局もありますが、そこは業界の分類とは違いますので、ちょっと話がしにくいのかなと思います。
──決算の話とは異なりますが、御社はブックオフの株を持っておられます。取得された時に比べて今はかなり相乗効果が薄くなっていると思いますが、これについてはどのように考えておられますか?
野間 なかなか答えづらいですね。ブックオフは今ではヤフーさんが買われていますが、ヤフーに関していうと電子書籍や様々な面でお付き合いがあるので、そういった意味ではブックオフも一つのチャネルとして、ヤフーも含めて活用していくという考え方がないわけではない。その株を今すぐどうこうしようとかいうことは特に考えてはいません。協調できない相手ではなくなってきたなというのは、多少感想としてはありますけど。
──CCCが主婦の友社さんや徳間書店さんを傘下に収めるといった動きが進んでいます。
野間 M&Aについては当社では一昨年に買収した一迅社が現在大変絶好調で、良い業績を残しているという状況にあります。他の業種が云々ということについては今言えることではないんですが、今後もデジタルや海外など、あるいはコンテンツの分野において我々が持っていない部分を買収によって補強できるのであればやっていくでしょうし、買収によらずとも自分たちでできるのであればやっていく。あるいは昨年設立した講談社VRラボのように、他業種と提携していくなどいろいろな形がありうると思います。そういう意味ではM&Aも別に否定するものではありません。
──広告収入の中にデジタルの比率は何%ぐらいあるんですか?
吉富 昨年度1年間でいうと広告収入全体の中で30%に近いところまできています。
──デジタルにおいては単に紙の雑誌の延長線上ではなく、よりプラットフォーム的な枠組みを目指さなければならないのではないのでしょうか。
金丸 おっしゃっていることはよくわかります。ちょっと違うかもしれませんが小学館が『MERY』をおやりになっていますし、当社でも例えば第一事業局の第一事業戦略部で、『現代ビジネス』が一番わかりやすいと思いますが、会社のコンテンツを集中した我々のプラットフォームを手掛けています。今度鈴木章一取締役が担当になった第二事業局でもネットへの注力を強めています。雑誌ビジネスはどちらかというと利益重視のところがありますが、その利益の取り方が従来の紙の広告で取るというところからデジタルにシフトしてきていますので、それに対応できるプラットフォームが必要になってきていると思います。

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2)【記事】代々木上原「幸福書房」閉店をめぐって

20日で閉店した幸福書房。東京新聞は「『魔法の本屋さん』40年で幕 代々木上原駅前『幸福書房』」を掲載した。
「『いつ行ってもなぜか欲しい本がある』と評判なのは、大手取次会社からの配本に頼らず、毎朝仕入れに行くからだ。『一番楽しい仕事。まず新刊が基本だけど、お客さんの顔を思い浮かべながら、あの人はこれが好きそうだと想像しながらね』と岩楯さん。客に勧めたりはせず、『棚(に並べること)で会話をしているような感じ』という」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018021902000229.html
ちなみに私はお喋りな書店員が嫌いだ。
「弁護士ドットコムニュース」も「幸福書房」を取り上げている。
「『開店して30年は良かったです』。出版業界に勢いがあった時代には、幸福書房は代々木上原駅の北口にも店舗を出していたほど。ところが、本の売り上げはこの10年、低迷をたどる。幸福書房は雑誌を売って収益を上げ、学術書などの『硬めの本』を仕入れてきた。しかし、近年は雑誌の売り上げ部数が驚くほど減少。『昔は、『JJ』や『CanCam』といった雑誌が裏の倉庫に山積みされていたものですが、今ではそれもありません』と岩楯さんは話す。
小さな書店では雑誌の売り上げが6割か7割。幸福書房は5割にとどめていたが、それでも厳しかった」
https://www.bengo4.com/internet/n_7461/
NHK NEWS WEBも「あの老舗書店も閉店 本屋さんどうしたら残せる?」を掲載した。
「最近、電車に乗っても本を読む人よりも、スマホを見ている人の方が目立つようになりました。私たちがスマホにばかり目を落としている間に、ふと気がつくと、近所の書店は姿を消し、思わぬ本との出会いを求めて、書店をぶらつく楽しみもなくなる日が来るかも知れません。
休日や会社帰り、近所の“本屋さん”に立ち寄って、本を手に取ってみませんか」
大手出版社にお勤めのあなた、そう!あなたです。胸に手を当てて昨日一日を振り返ってみて下さい。
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0219.html
左右社から「幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ!」(岩楯幸雄)が発売された。
http://sayusha.com/catalog/books/p9784865281903
木内みどりがツイート。
「明日、『幸福書房』が閉店します。代々木上原には本屋さんが無くなるということ。
あなたの町で本屋さんがあるなら、本はそこで買ってください。アマ○ンではなく、本屋さんで」
https://twitter.com/kiuchi_midori/status/965574767532109824
祖父がベースボールマガジン社の池田恒雄だった、元産経新聞の猪谷千香もツイートしている。「弁護士ドットコムニュース」の記事を書いたのも猪谷である。
「今日、街の名物書店が40年の歴史に幕を下ろします。私も近くに住んでいた数年間、本当にお世話になりました。朝早くから夜遅くまで、1年364日、いつも変わらず迎えてくれていました。しかし、この10年は雑誌の売り上げが落ち込み厳しかったそう。記事を書きながら泣きました」
https://twitter.com/sisiodoc/status/965733290400350208
「吉野朔美劇場」に登場する「幸せ書房」のモデルとなった書店である。

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3)【本日の一行情報】

木村カエラKADOKAWAから絵本を4月下旬に発売するんだって!朝日新聞社主宰のブックフェア「築地本マルシェ」で明らかにした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004209.000007006.html

◎少なくとも私はこの本を10度は読んでいる。「ちくま学芸文庫」は偉いよね。村上一郎の「草莽論 ─その精神史的自己検証」を復刻させるなんて。
「草莽は身分が低かろうと、貧しくあろうと、草賊のたぐいでもなければ、野伏せ、山伏せの類でもない。手足は労働の土にまみえようとも、こころは天下の高士である。しかも、晴耕雨読ただこころを養うばかりではなく、ひとたび一世の動こうとする時に当っては、義侠の徒を組織して立ち、或いは百姓一揆を領導して、内乱を革命に転化せしめ得る力量の持主でなければならない。
故に、草莽こそ、天知る地知る我知るのかくれた英雄であらねばならず、また文武両道のインテリゲンチャでなくてはならない。たとえば志を得ず、一生晴耕雨読に明け暮れようとも、なおこころ屈するところなく潔士としての生涯を終る決意こそ、草莽のものである。これは言うに易く行なうに難い道である」
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480098467/
中公文庫には「幕末 非命の維新者」が収められている。非命の維新者の「起点」に大塩平八郎を置いている。解説は「バテレンの世紀」(新潮社)の渡辺京二である。
http://www.chuko.co.jp/bunko/2017/09/206456.html
http://www.shinchosha.co.jp/book/351321/

◎これ、面白そうだな。勉誠出版が刊行した山中智省の「ライトノベル史入門 『ドラゴンマガジン』創刊物語−狼煙を上げた先駆者たち」。産経が取り上げている。こういう産経のセンスには、いつもながら感服させられる。
周知のように「ドラゴンマガジン」はKADOKAWAライトノベル雑誌である。富士見書房から創刊されて1月に30周年を迎えた。山中は産経のインタビューに応えて次のように語っている。
ライトノベルについて、今ではこう再定義することができるでしょう。『マンガ・アニメ風のキャラクターイラストをはじめとした多種多様なビジュアルとのコラボレーションによって、ビジュアル文化にふれて育った中・高校生を中心とする若年層を小説(活字)の世界へと誘い、彼らのイマジネーションを喚起して小説やその物語の楽しさを知ってもらうことを目的に誕生した、ライト感覚のエンターテインメント小説』と」
http://www.sankei.com/premium/news/180219/prm1802190006-n1.html

◎宝島社の女性ファッション誌「リンネル」4月号は、南欧風住宅「カーサカリーナ」のメーカーであるカーサプロジェクトとコラボして同誌がプロデュースした住宅を販売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000640.000005069.html

集英社のファッション通販サイト「FLAG SHOP」(フラッグショップ)は、2月23日(金)より約半年間にわたって、ルミネ新宿 ルミネ2/3Fに出店する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000011454.html
こういう試みを成功させることこそ女性誌が生き残るための条件である。ここらあたりの常識を女性誌の編集者もしっかりと共有してもらいたいところだ。

◎「BUSINESS INSIDER JAPAN」に「アマゾン・ブックスと老舗書店バーンズ&ノーブル、比べてみた」が掲載された。
「次は、5番街にあるバーンズ・アンド・ノーブルへ。1階に、同社の強みと弱みが現われていた。本のディスプレイはうまい。だが無関係な商品が多すぎ。レジ付近はまるで100円ショップ。一貫性のない品揃えで店が雑然として見える。
絶望的にも感じる。コイン収集に関する本や専門書など、一部の人にしか読まれないような本のディスプレイに多くのスペースを割いていた。もっと狭いほうが、より良いサービスを提供できるのではないだろうか。だが、ある1点においては非常に優れている。本の販売だ。ディスプレイは昔ながらのスタイルで分かりやすい」
https://www.businessinsider.jp/post-162187
日本でいえば私が蔦屋書店に抱く感想と同じである。

平凡社から刊行されているイザベラ・バードの「日本奥地紀行」(高梨健吉訳)が取り上げられている。毎日新聞が掲載した「紀行作家・バードが称賛した日本 富国強兵と違う明治 貧しくとも『豊饒』 『相互扶助』根付いていた時代」。
https://mainichi.jp/articles/20180219/dde/012/040/007000c

◎韓国政府が朝日新聞に訂正を要求している。
「韓国と北朝鮮の当局者が昨年秋から年末にかけて少なくとも2回、平壌接触し、北朝鮮の平昌冬季五輪参加問題を協議したとする日本の朝日新聞の18日付報道について、韓国青瓦台(大統領府)の関係者は19日、『誤報であり、訂正報道を要請する』と記者団に述べた」(聯合ニュース)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/02/19/0200000000AJP20180219001100882.HTML
https://dailynk.jp/archives/105967

◎「アンアン」(マガジンハウス)が川夏子の単行本デビュー作である「boy meets“crazy”girl」(祥伝社)を「著者初の単行本なのだが、繊細な感情表現や人間関係の描き方は、すでに持ち味となっている」と評価している。川の描く“crazy”が本当にリアルなんだよね。
http://ananweb.jp/news/158067/

神田神保町古書店「湘南堂書店」の経営者と店員が児童ポルノ写真誌を販売目的で所持したとして児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。
https://jp.reuters.com/article/idJP2018022001001705

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4)【深夜の誌人語録】

無理をして勝ち続ける必要はない。ただ、戦い続ける覚悟は必要だ。