【文徒】2017年(平成29)年5月26日(第5巻97号・通巻1026号)

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1)【記事】小学館 第79期(平成28年3月〜29年2月)決算および5月25日付役員人事
2)【記事】文藝春秋 5月25日内定役員人事
3)【本日の一行情報】
4)【人事】光文社 6月1日付広告および編集関係人事
5)【人事】小学館パブリッシング・サービス 5月25日発表役員人事
6)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】小学館 第79期(平成28年3月〜29年2月)決算および5月25日付役員人事

小学館は5月25日に開催の定時株主総会において、下記の第79期決算と新役員を承認のうえ、同日発表した。
◆第79期(平成28年3月〜29年2月)決算
総売上高 973億0900万円(対前期比101.8%)
〈内訳〉
出版売上 608億9400万円(同96.5%)
(雑誌) 273億6600万円(同92.7%)
(コミックス) 191億6600万円(同93.8%)
(書籍) 119億9800万円(同106.4%)
パッケージソフト) 23億6400万円(同126.9%)
広告収入 112億4600万円(同95.0%)
デジタル収入 156億9500万円(同133.8%)
版権収入等 94億7200万円(同106.1%)
経常利益 −9億3400万円
当期利益 −8億1300万円

◆5月25日付役員人事
代表取締役社長 相賀 昌宏
取締役副社長(昇任)山岸 博(全社統括)
専務取締役(昇任)桶田 哲男(編集統括・広告局)
常務取締役 片寄 聰(社長室、総務局、編集総務局、関係会社統括)
常務取締役 秋山 修一郎(ライフスタイル局、ポスト・セブン局)
常務取締役 横田 清(児童学習局、第一コミック局、第二コミック局、第三コミック局、第四コミック局)
常務取締役 宮下 雅之(経理局、制作局)
常務取締役 佐藤 隆哉(マーケティング局)
常務取締役 (昇任)相賀 信宏(デジタル事業局、児童学習局、第一コミック局、第二コミック局、第三コミック局、第四コミック局、女性メディア局、出版局、国際メディア事業局)
取締役 大西 豊(制作局、デジタル事業局、マーケティング局)
取締役 藤田 基予(広告局)
取締役 小林 健一(経理局)
取締役 海老原 高明(ライフスタイル局、ポスト・セブン局)
取締役 小室 登志和(社長室、総務局、編集総務局)
取締役 丸澤 滋(児童学習局)
取締役 久保 雅一(国際メディア事業局)
取締役 奥山 豊彦(出版局)
取締役 花塚 久美子(女性メディア局)
取締役(新任)佐上 靖之(第一コミック局、第二コミック局、第三コミック局、第四コミック局)
監査役 大木 武志
監査役 原本 茂
監査役 堀内 丸恵
最高顧問 白井 勝也
※常務取締役・黒川和彦は社長室顧問に就任。

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2)【記事】文藝春秋 5月25日内定役員人事

文藝春秋は5月25日に開催の決算役員会において以下の役員人事を内定した。6月22日に開催の株主総会および取締役会にて正式決定される。

代表取締役社長 松井 清人
取締役副社長 西川 清史 =社長補佐〔総務局、メディア事業局統括〕
常務取締役 古田 維〔経理局、経営企画室、資材製作局統括〕
常務取締役 木俣 正剛〔ノンフィクション編集局、編集総務局統括〕(情報・流通システム局担当)
常務取締役(昇任)中部 嘉人〔宣伝プロモーション局統括〕(経理局、経営企画室、宣伝プロモーション局担当)
取締役 飯窪 成幸(文藝出版局〈文藝振興事業部、出版総務部〉、文春文庫局担当)
取締役(新任)石井 潤一郎(ナンバー・クレア局、デジタル・メディア局担当)
取締役(新任)茺 宏行〔営業局統括〕(資材製作局担当)
執行役員 内田 博人(総務局担当)
執行役員 鈴木 洋嗣(ノンフィクション編集局、編集総務局担当)
執行役員 山本 喜由(営業局担当)
執行役員 蛺鳥 好之(メディア事業局担当)
監査役 飯沼 康司

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3)【本日の一行情報】

◎劇場版アニメ「聲の形」(山田尚子監督)のパッケージソフトが売れている。
https://mantan-web.jp/2017/05/24/20170523dog00m200035000c.html

草刈正雄がこれまで写真集を出したことがないとは意外だよね。「草刈正雄ファーストフォトブック」が双葉社から発売された。
https://dot.asahi.com/wa/2017052300061.html?page=1

◎宝島社と、大手水産・食品メーカーのマルハニチロが共同開発し、5月1日に発売した北欧ジャム&ソース瓶詰「kippis(キッピス)」5種(各50g、各550円税抜き)の売行が好調だそうだ。京王百貨店新宿店で行われた催事「北欧屋台」では催事開始3日目で完売。追加入荷し、会期中の8日間で1000個以上を売上げた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000521.000005069.html

講談社は創業110周年記念企画として「大江健三郎全小説」の刊行を来年7月より開始する。講談社は、というよりも「群像」は最終的に江藤淳ではなく大江健三郎を選択したということである。一九六一年の文芸誌「文學界」(文藝春秋)に発表した際、右翼団体から抗議を受け、これまで書籍化されていなかった中編小説「政治少年死す」が収録される。主人公の政治少年はインポであったが、首を吊って自殺した際に射精し、その精液の匂いを警官が嗅ぐというラストに私は強烈なインパクトを受けたものだ。
「もっと多くの死骸がそこに横たわるべきだったのだ、左翼どもの暴動、市街戦、そして雪のふりしきるさなかまで、おれたちは天皇のための銃をとって闘いつづけているべきだったのだ、二・二六のときのように」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017052502000140.html
加藤典洋が「敗者の想像力」(集英社新書)で書くように大江は占領期の日本人の屈辱を描いた例外的な作家にほかならない。占領期の日本人の屈辱を対米従属の屈辱と言い換えても良いだろう。
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0882-b/
大江健三郎全小説」の解説は全巻にわたって、ひとりが担当するというけれど、私が編集者であれば加藤を選ぶよなあ。ちなみに加藤の大江論は、「憂い顔の童子」のなかで名指しされたうえ主人公に燃やされてしまっている。文学って本来スキャンダラスなものだからね。

◎ファッション誌「NYLON JAPAN」の創刊13周年を記念し、5月26日(金)渋谷SOUND MUSEUM VISIONでアニバーサリーパーティーが開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000024165.html

◎出版社というビジネスは、他のビジネスと組むことによって相乗効果を生みやすいのではないだろうか。講談社は「日能研エスト」を創刊する。これは講談社のMOVE編集部と中学受験塾を展開する日能研が共同開発した、小学生向けの、小学生が自ら手に取って読むような、「科学」「歴史」「ノンフィクション」「文学」を中心としたノンジャンルのシリーズだという。7月23日に「超肉食恐竜ティラノサウルスの誕生!」「ワクワクする宇宙のおはなし」「イッキ読み!日本の天才偉人伝」。
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4062206714/hnzk-22
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4062206706/hnzk-22
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4062206722/hnzk-22
これは第6事業局の企画だが、第2事業局こそ、こういう発想を鍛えたほうが良いのではないだろうか。第2事業局の場合は宝島社同様に食品でも飲料でも良いはずだ。これからはコンテンツを前提とする発想では、企画の可能性を狭めてしまうはずだ。まず編集者が考えるべきは、どういうサービスを提供できるかである。断るまでもないがジャーナリズムもアカデミズムもサービスである。

集英社は、同社のファッション誌に登場するモデルやスタイリストを活用したインフルエンサーマーケティング事業を始めると発表した。同社の「Seventeen」「non-no」「MORE」などのファッション誌で活躍するモデル、タレントなどを「スペシャインフルエンサー」、読者モデルや読者ブロガーなどを「読者インフルエンサー」と位置付け、依頼企業に紹介する。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1705/24/news123.html

◎これは文藝春秋にとっては大打撃だろう。「週刊新潮」は6月1日号で「『中吊り広告』不法入手に頬被り!『文春砲』汚れた銃弾 第2弾」を掲載し、これにつづく「『文春』盗み見問題『私はこう考える』」には9人の識者がコメントを出しているのだが、コメントの最後を飾るのは元「週刊文春」編集長であり、元文藝春秋社長の田中健五であった。「ひどくみっともないことをやってしまった。それが第一の感慨です」で始まる文章は、むろん「語り」なのだろうが、迫力十分であった。
「今回の一件の背景に『週刊文春』編集長に、些かの『傲り』がなかったか、考えてみる必要はあるかも知れません。最近は、仕事術をテーマとする本まで著していたようですが、それは編集長として相応しい行為だったのでしょうか。私には少し違うような気がしていました」
https://www.dailyshincho.jp/shukanshincho_index/

須藤元気が次のようにツイートしている。
「今話題になっている大西議員のホームページに僕が推薦人になっていると知人に教えてもらいましたが僕は推薦文を書いてません。何かのパーティで一度お会いした記憶はありますが、お話すらほとんどしていません。政治家の倫理観はどうなっているんでしょうか?」
https://twitter.com/genki_sudo/status/867329907000434689

◎読売新聞に「辞任の前川・前文科次官、出会い系バーに出入り」が掲載されたのは知っていたが、一面の掲載であったそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170521-OYT1T50148.html
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/05241700/
http://bunshun.jp/articles/-/2612
朝日新聞の神田大介は次のようにツイートしている。
「心配なのは読売新聞で働く、良識ある人たちのことだ。まるで政権の機関誌のごとく使われているように見えるが、大丈夫だろうか」
https://twitter.com/kanda_daisuke/status/867522192426315777
白石草が次のようにツイートしているが、こういう現象と押し紙は関係ないのだろうか。
「最近、読売新聞が、フリーペーパーのごとく、あちこちホテルに山積みされているのを見かけるのだけど、何故かしら。今朝、ファミレスにも置いてあるよと聞きました」
https://twitter.com/hamemen/status/867196708840652800
山田道子(毎日新聞紙面審査委員)は毎日新聞で次のように書いている。
「安倍首相は読売新聞の単独インタビューを受け、憲法改正についていち早く、詳しく語り、3日付の同紙に掲載されたのだ。自民党総裁としての考えを表明するなら党機関紙である自由新報ですればいい。安倍首相は意識してないかもしれないが、読売新聞を自民党あるいは党総裁の機関紙とみなしているわけで、読売新聞は怒ったほうがいいんじゃないか」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170519/biz/00m/010/007000c?inb=tw

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4)【人事】光文社 6月1日付広告および編集関係人事

米澤 仁次
新:第二編集局長兼出版企画編集長(FLASH編集長兼務を解く)
旧:第二編集局長兼FLASH編集長兼出版企画編集長

渡辺 芿史
新:コンテンツビジネス局長兼書籍コンテンツ事業部長
旧:コンテンツビジネス局長

茂木 晃
新:メディアビジネス局企画広告部部長(ブランド事業部部長代理兼務を解く)
旧:メディアビジネス局企画広告部部長兼ブランド事業部部長代理

大枝 貴志
新:第二編集局FLASH編集長
旧:第二編集局FLASH編集長代理(編集長待遇)

二村 勉史
新:第三編集局HERS編集長
旧:第三編集局HERS副編集長

鈴木 一平
新:編集管理局校閲部部長代理(部長待遇)
旧:メディアビジネス局企画広告部部長代理(部長待遇)

加藤 純士
新:販売企画部部長代理(部長待遇)
旧:マーケティング局宣伝部部長代理(部長待遇)

中沢 淳司
新:マーケティング局宣伝部部長代理(部長待遇)
旧:第三編集局HERS編集長

坂口 貞雄
新:マーケティング局宣伝部部長代理(部長待遇)
旧:編集管理局校閲部部長代理(部長待遇)

前嶋 知明
新:コンテンツビジネス局書籍コンテンツ事業部部長代理(部長待遇)
旧:コンテンツビジネス局書籍コンテンツ事業部長

押野 学
新:コンテンツビジネス局雑誌コンテンツ事業部部長代理(部長待遇)
旧:第一編集局女性自身編集長代理(編集長待遇)

浅沼 隆之
新:メディアビジネス局広告管理部部長代理
旧:編集管理局写真室室長(部長代理)

藁品 稔
新:マーケティング局雑誌販売部副部長
旧:メディアビジネス局広告部副部長

小松 由美子
新:メディアビジネス局広告部副部長
旧:マーケティング局販売企画部副部長

山下 雄一郎
新:第二編集局FLASH編集部デスク
旧:第二編集局エンタテインメント編集部デスク

伊藤 賢二郎
新:第二編集局エンタテインメント編集部デスク
旧:第二編集局FLASH編集部デスク

羽城 麻子
新:第三編集局JJ編集部デスク
旧:第三編集局CLASSY.編集部デスク

岩本 大輔
新:マーケティング局販売企画部主任
旧:第一編集局女性自身編集部デスク

萩 岳彦
新:メディアビジネス局広告部主任(デジタル事業部主任兼務を解く)
旧:メディアビジネス局広告部主任兼デジタル事業部主任

布宮 文
新:メディアビジネス局広告管理部主任
旧:総務局総務部主任兼広報室主任

二本松 利明
新:第一編集局女性自身編集部
旧:第二編集局FLASH編集部

山部 沙織
新:第一編集局女性自身編集部
旧:コンテンツビジネス局ライツ管理部

市川 森彦
新:第一編集局女性自身編集部
旧:文芸局文庫編集部

遠藤 貴也
新:第二編集局FLASH編集部
旧:メディアビジネス局広告部

安岡 祐太朗
新:第二編集局FLASH編集部
旧:第三編集局JJ編集部

奥出 順子
新:業務部物流管理部
旧:メディアビジネス局広告管理部

阿部 ゆりの
新:メディアビジネス局広告部
旧:メディアビジネス局ブランド事業部

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5)【人事】小学館パブリッシング・サービス 5月25日発表役員人事

5月24日に開催した第53回定時株主総会および取締役会において以下の通り決定した(カッコ内は担当委嘱)。
代表取締役社長 川原 章三(営業本部 本部長)
代表取締役 相賀 昌宏
取締役 浜田 浩(CSC本部・総務本部 本部長、営業本部 副本部長)
取締役 前原 富士夫(営業本部 副本部長)
監査役 堂垣 孝夫

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6)【深夜の誌人語録】

壁を超えるばかりが能ではなく、壁を避ける術も考えたほうが良い。