【文徒】2019年(令和元)11月8日(第7巻202号・通巻1622号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】ついに『藝春秋digital』がスタート!
2)【本日の一行情報】
3)【人事】光社 11月1日付機構改編と人事
4)【人事】主婦と生活社 12月11日付組織改編と人事
----------------------------------------2019.11.8 Shuppanjin

1)【記事】ついに『藝春秋digital』がスタート!(岩本太郎)

藝春秋』もいよいよデジタル展開が本格化してきた。昨11月7日より同誌では初のデジタル定期購読サービスの『藝春秋 digital〈シェアしたくなる教養メディア〉』が「note」でスタートした。月額900円(税込)で、最新号のコンテンツ(毎号約70本)と過去の記事が読み放題。オリジナル連載コラムの毎日無料配信や記事の単品販売。同誌執筆陣による読者イベントも定期的に開催するという。
https://bungeishunju.com/
リリースではその「創刊」コンセプトがこんな具合に謳われた。
《創刊から約100年もの間、読者に愛され続けた「藝春秋」は、月間アクティブユーザーが 2000 万人を超えるnoteを基盤として、紙の雑誌とは異なる層へと新たな読者の獲得を目指します》
https://www.pieceofcake.co.jp/n/ndbc8ab80116f
村井は『BUSINESS INSIDER』や『TechCrunch Japan』の同日付記事にも登場。2011年に藝春秋に入社。『藝春秋』には2015年に異動し、森友・加計問題で自殺した近畿財務局職員の父親の独占手記や許永中の独占告白などを担当した。今年の夏を前に編集長から「そろそろデジタル版に力を入れたいので、やってくれないか」と声を掛けられたのだという。
https://www.businessinsider.jp/post-201838
村井は同日さらに、ピースオブケイクに出資している日本経済新聞傘下の『日経ビジネス』にも登場。デジタル版を引き受ける条件はただ一つだけ。「コンテンツ課金がしたい」だったという。つまり同じ社内で先行した『春オンライン』や『Number WEB』とは違い、紙の雑誌と同様に金を払って読む雑誌としての藝春秋』をウェブ上で成立させることを大前提に置き、その目的のもとに「note」の機能を有効に活用しようと考えたわけだ。
《「雑誌で読む体験をスマホでできるように」というのが今回の基本的なコンセプトなので、見出しの付け方など細かな微調整はしますが、基本的にはそのまま載せていきます。読まれる体が全然違うという指摘はその通りだと思いますが、縦組みを横組みにして、タイトルを変えて写真を追加するだけで、同じ記事なのかな?と思えるほど違った見え方になると個人的には思っています》
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/110700839/
『TechCrunch Japan』には春とピースオブケイクの間で行われた事前の交渉の様子がもう少し詳しく紹介されている。当初「自前」でのデジタル化も考えたが断念。「note」のCXO(Chief experience office=最高経験責任者)である深津貴之(UI/UXデザイナー)の協力をあおいだ。
《村井氏たちのデジタル版のイメージはPVを重視したニュースサイトではなく、コンテンツ課金を軸にしたサブスク型のメディア。深津氏にその話をしてみたところ、ゼロからそのシステムを構築するのはハードルが高く「まずはプラットフォームとして完成しているものを活用して、実際にどれくらい売れるのかを検証したほうが良いのでは」というアドバイスと共に、noteを含む複数サービスを教えてもらったという》
https://jp.techcrunch.com/2019/11/07/bunshun-digital/
ピースオブケイクCFOの鹿島幸裕もさっそくツイート。
《月間藝春秋(原ママ)がnoteに!藝春秋digital 大正12年創刊の雑誌のデジタル版はすごい》
https://twitter.com/mampukuz/status/1192311540369645568
同じくデザイナーの松下ゆきもこう呟いた。
藝春秋がnoteに noteについて聞くと、よく藝春秋についても触れられてたから感慨深い》
https://twitter.com/yuki_doro/status/1192313769898041344
創始者菊池寛による「私は頼まれて物を云うことに飽いた。自分で、考えていることを、読者や編集者に気兼なしに、自由な心持で云ってみたい」との100年前の「創刊の辞」の精神が、いよいよデジタルの場へと本格的に持ち込まれようとしているのだ。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

会田誠はやはり今回の「ウィーン芸術展公認撤回」報道に不満があるようだ。例えば「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」は「安倍政権を批判的に扱った作品」などと報じられたが、実際には4年前、同作品が東京都現代美術館での展示で撤去要請を受けた際も「あくまで架空の首相だ」と説明していた。しかしそれも忘れられていたらしい。
https://www.j-cast.com/2015/07/26241126.html
やむなく今回も本人が説明のツイート。
《1、僕は物真似芸人でなく、似せる技術などないので、そもそもその方向は最初から当然避けた。
2、僕が拵えたかった架空の首相は、僕の考えに従って、非常にジレンマに満ちた人物にしたかった。そこで現実の安倍首相との対応関係を考えるのは不要な制限を自ら設けることだった。自由に人物を作るために、安倍首相からは離れた。
3、この作品は安倍首相が国連で演説するより前に作った。安倍首相の英語力の高低は昔も今も特に興味はない。
4、以上のことを今回のイタリア人キュレーターはちゃんと理解していなかったかもしれない》
https://twitter.com/makotoaida/status/1190629985171599361
https://twitter.com/makotoaida/status/1190630202302324737

集英社の人事担当者が東京都内の私立大学で行われた企業説明会の席上で「女性はジャンプ漫画の編集にはなれませんか?」との質問に対し「前例が無い訳ではありませんが週刊少年ジャンプの編集には『少年の心』が分かる人でないと……」と答えた――との投稿が、その質問者と思しきユーザーによりツイートされたらしい。ウェブ上では大きな話題となり、一時は《「少年の心」というワードがトレンド入りするほどだった》という。ただし、このツイートは現在、非公開になっているらしく読むことはできない。
https://otapol.com/2019/11/post-84211.html
『ハフポスト日本版』や『BusinessJournal』が集英社に取材している。集英社広報部はいくつかの大学で企業説明会に参加したことを認めたうえで、次のように回答したそうだ。
《過去に前例がないわけではありません。“少年ジャンプ+”に女性が配属されていますし、ヤングジャンプなどで女性の編集者が配属されたこともあります。女性ファッション誌の編集部であれば、性別関係なく女性のおしゃれ心を理解できることが必要ですし、少年マンガであれば少年の心がわかることが大切でしょう》
https://www.huffingtonpost.jp/entry/jump_jp_5dc155b3e4b0bedb2d52abe2?ncid
https://biz-journal.jp/2019/11/post_126647_2.html

ドワンゴで8年間《各種のゲームデバイス、PS Vita, Wii U, 3DS, Nintendo Switch上でのニコニコプレイヤーの実装をずっとやってき》た末に去る10月31日付で辞めたという元社員がブログで退職の辞を寄稿。退職を考えた理由は《ぶっちゃけていってしまえば、ニコニコがもうダメだからです》とのこと。
《細かい問題はいくらでもありますが、一つにまとめてしまうと、専門知識を持っていない中途半端に偉い人が自分に口出しできる部分に口出しをすることで仕事をした気になって本来するべき意思決定をどこまでも先送りする。部下はそれに振り回され、そういう状態に対抗する手段が存在しない。
そういう組織になってしまったことが問題なんじゃないかと思います。これは組織を作ることを専門にしている人から見ると、典型的な例だったりするのでしょうか?》
https://meg-nakagami.hatenadiary.org/entry/2019/10/31/202455
ライターの昼間たかしも自身の過去のニコニコ体験も交えながらレポートしている。
《かつてニコニコ動画や生放送には「そこにいくだけでなにかがある」という期待があった。ネット以前の時代には、駅前の広場や公園、尖ったライブハウスや飲み屋が持っていた「場」の機能をネット上につくったのがニコニコであった。(略)そうしたものが失われ、凡庸な動画配信サービスとして守りに入っていく中で、硬直化は止まることを知らないということか》
https://otapol.com/2019/11/post-84327.html

◎依然くすぶり続ける「あいトリ」補助金不交付問題。7日に開かれた化審議会政策部会では複数の委員から「あってはならないこと」「萎縮効果が生じた」などと批判が相次いだという。
https://www.asahi.com/articles/ASMC74CQVMC7UCVL00P.html

◎「表現の不自由展」問題で、自身もネット炎上経験を持つ美術家・美術批評家の黒瀬陽平が『弁護士ドットコム』に登場。「あいトリ」や「表現の不自由展・その後」運営への疑義のほか、今後の芸術祭運営に与える影響を懸念している。
《いくら芸術家たちが『表現の自由』を訴えたとしても、不交付決定は民意によって支持されている、という状況を作られ続けてしまうと、反論するためのコストが跳ね上がってしまいます。これは大変に危機的な状況になってしまったわけで、 『展示再開できて良かった』『無事終わって良かった』と喜んでいる場合ではありません》
https://bengo4.com/c_18/n_10325/
津田大介は自身の立場からさっそくtwitterで反論。黒瀬発言は「あいトレ」の中間報告をベースにしているが、同報告は多くの事実誤認を含んでいると批判した。
《あと、これだけ長いインタビューなのに歴史修正主義の台頭や差別の問題にビタイチ触れないのはさすがに不自然・不誠実じゃないですかね》
https://twitter.com/tsuda/status/1191089360252198912

朝日新聞のフォトグラファーで東北(特に福島)の取材をライフワークとする福留庸友が「note」に「なぜ日本の新聞写真は心に響かないのか」と題して寄稿。
《「せっかく字が説明してくれているニュースを、写真という証拠でさらにわかりやすく説明する」そんな役割を日本の新聞メディアは写真に、強く、強く求めます。
でも、NYTの特集を見てください。写真の詳細な状況どころか、場所の説明すらないものもあります。撮影された場所が、記事が話題にしている場所かどうかすらわからない。でも、被害の深刻さ、そこに暮らす人の不安な様子、大災害の中でも淡々と生きようとする人間の姿がこの災害がどういうものであったか、雄弁に語ってくれています。
「とにかく画力があればいいんだよ」
「これさえ見れば記事の言いたいことも伝わるだろ」と言わんばかりです。
そう。詳細は記事を読んでもらえば良いのです》
https://note.mu/yosukefkdm/n/n8550ebe46c67?fbclid
その勢いで朝日新聞の紙面を大きく変えていってもらいたいものだ

ADKグループのADKマーケティング・ソリューションズは、日本テレビとの共同で、10月27日に放送された『第37回全日大学女子駅伝』内でCM放送時に中継映像画面を表示するピクチャープラスピクチャー(PPP)企画を実施した。同大会を特別協賛するスターツコーポレーションのCM放送時に、120秒間に渡って中継映像画面を並列で表示。駅伝中継でのPPP企画は民放キー局では初の試みだという。
http://screens-lab.jp/article/21023

◎「野間芸賞」「野間芸新人賞」「野間児童芸賞」「野間出化賞」が決定。「芸賞」は松浦寿輝『人外』(講談社)、 「芸新人賞」は古谷田奈月『神前酔狂宴』(河出書房新社)と千葉雅也「デッドライン」(『新潮』9月号)、 児童芸賞は戸森しるこ『ゆかいな床井くん』(講談社)が受賞。今回が第1回となる「出版化賞」には新海誠東野圭吾講談社『なかよし』と集英社『りぼん』、同特別賞には白石麻衣と生田絵梨花が選ばれた。
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2019/20191106_nomaprize.pdf
松浦寿輝、古谷田奈月、千葉雅也が同居することに違和感はないが乃木坂46までが同居するとなると、さすがにショーマンシップが過ぎるのではないだろうか。

◎『Yahoo!ニュース』の「本屋大賞2019」ノンフィクション本大賞はブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)が受賞。
https://www.shinchosha.co.jp/ywbg/

◎『Newsweek日本版』は「山本太郎特集」で通常の1.5倍の売れ行きを記録したそうだ。編集長の長岡義博が『AbemaNews』に出演。《普段は高齢者の男性の方に買って頂いているが、今回はいつもより明らかに若く、40~50代が中心で、特徴的なのは女性に買って頂いている》とのこと。
https://times.abema.tv/posts/7027157

◎TAC出版より「カジュアルに着物を楽しむファッション&カルチャー誌」を謳う新雑誌『KIMONOanne. 』が創刊された。
https://www.excite.co.jp/news/article/Japaaan_108133/
https://mikan-incomplete.com/girls/news-girls/58778

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3)【人事】光社 11月1日付機構改編と人事

〈機構改編〉
▼第三編集局JJ Web編集室をJJ net編集室と改める
▼第三編集局CLASSY. Web編集室をCLASSY.ONLINE編集室と改める
▼マーケティン局PR推進室をコンテンツビジネス局に移管する
▼メディアビジネス局にID戦略室を新たに設ける
▼コンテンツビジネス局ライツ事業部を廃止する

〈人事〉

大給 近憲
新:取締役メディアビジネス局長(委嘱)
旧:取締役

古川 仁
新:メディアビジネス局担当役員付(局長待遇)
旧:メディアビジネス局長 兼 デジタル事業部長

末光 達郎
新:メディアビジネス局ブランド事業部長 兼 ID戦略室長
旧:メディアビジネス局ブランド事業部長

小林 健
新:編集管理局校閲部長
旧:編集管理局校閲部副部長

小松 伸司
新:第一編集局Mart編集長
旧:第一編集局Mart副編集長

森川 正人
新:メディアビジネス局デジタル事業部長 兼 ID戦略室担当部長
旧:メディアビジネス局デジタル事業部副部長

穴井 則充
新:編集管理局校閲担当部長
旧:編集管理局校閲部長

西口 徹
新:第一編集局Mart編集部担当部長
旧:第一編集局Mart編集長

奥野 隆久
新:コンテンツビジネス局書籍コンテンツ事業部担当部長
旧:コンテンツビジネス局ライツ事業部長

外山 
新:総務局総務部担当部長[光社サービス株式会社(出向)]
旧:メディアビジネス局広告部担当部長

押野 学
新:メディアビジネス局ブランド事業部担当部長
旧:コンテンツビジネス局雑誌コンテンツ事業部担当部長

海老沢 朋也
新:メディアビジネス局広告部部長代理
旧:メディアビジネス局広告部部長代理 兼 デジタル事業部部長代理

山崎 喜宏
新:第二編集局FLASH編集長代理
旧:第二編集局FLASH副編集長

竹内 展之
新:第二編集局FLASH編集長代理
旧:第二編集局FLASH副編集長

畠山 雄一
新:総務局システム部プラットフォーム開発室長(副部長) 兼 情報システム部副部長 兼 メディアビジネス局ID戦略室副部長
旧:総務局システム部プラットフォーム開発室長(副部長) 兼 情報システム部副部長

川原田 康高
新:マーケティング局書籍販売部副部長 兼 コンテンツビジネス局PR推進室副部長
旧:マーケティング局書籍販売部副部長

飯野 岳夫
新:マーケティング局書籍販売部副部長 兼 コンテンツビジネス局雑誌コンテンツ事業部副部長
旧:コンテンツビジネス局書籍コンテンツ事業部副部長 兼 雑誌コンテンツ事業部副部長

酒井 直子
新:マーケティング局販売企画部副部長 兼 コンテンツビジネス局PR推進室副部長
旧:マーケティング局PR推進室副部長 兼 販売企画部副部長

萱島
新:コンテンツビジネス局コミック編集室副編集長 兼 雑誌コンテンツ事業部副部長
旧:コンテンツビジネス局コミック編集室副編集長 兼 マーケティング局宣伝部副部長

近江 裕嗣
新:マーケティング局PR推進室副部長
旧:マーケティング局PR推進室副部長 兼 販売企画部副部長

小都 一郎
新:出版局翻訳副編集長
旧:出版局翻訳編集部デスク

小林 晃啓
新:芸局庫副編集長
旧:芸局庫編集部デスク

山下 雄一郎
新:第二編集局bis副編集長
旧:第二編集局bis編集部デスク

水澤 薫
新:第三編集局CLASSY.副編集長
旧:第三編集局CLASSY.編集部デスク

岩本 大輔
新:マーケティング局販売企画部副部長
旧:マーケティング局販売企画部主任

吉野 陽
新:マーケティング局書籍販売部主任
旧:コンテンツビジネス局書籍コンテンツ事業部主任

和田 記代子
新:コンテンツビジネス局書籍コンテンツ事業部主任
旧:コンテンツビジネス局ライツ事業部主任

海田 みちよ
新:コンテンツビジネス局雑誌コンテンツ事業部主任 兼 書籍コンテンツ事業部主任
旧:コンテンツビジネス局雑誌コンテンツ事業部主任

北岡 直美
新:総務局総務部主任
旧:総務局総務部

園原 行貴
新:芸局芸図書編集部デスク
旧:芸局芸図書編集部

二本松 利明
新:第一編集局女性自身編集部デスク
旧:第一編集局女性自身編集部

倉石 園子
新:第三編集局JJnet編集室デスク
旧:メディアビジネス局ブランド事業部


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4)【人事】主婦と生活社 12月11日付組織改編と人事

〈組織改編〉
編集本部内に編集第6部を新設し、編集本部編集第1部ジュノン集、同アール編集を移管する。

〈人事〉

倉次 辰男
新:常務取締役 編集本部長 兼 編集第6部長
旧:常務取締役 編集本部長 兼 編集第1部長

寺田 
新:編集本部編集第1部長 兼 写真編集室長
旧:編集本部編集第1部週刊女性編集長

栃丸 秀俊
新:編集本部編集第1部週刊女性編集長
旧:編集本部編集第1部ジュノン編集長

笹沼 彩子
新:編集本部編集第6部ジュノン編集長
旧:編集本部編集第1部アール編集長

足立 春奈
新:編集本部編集第6部アール編集長
旧:編集本部編集第1部アール副編集長