【文徒】2017年(平成29)年5月29日(第5巻98号・通巻1027号)

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1)【記事】最新書店事情
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】最新書店事情

長崎新聞が「街角の書店生き残りへ戦略」を掲載し、「好文堂書店」や"ここでしか買えない本"をうたい、店主の城下康明さん(32)がおもしろいと思った本をそろえ紹介している「ひとやすみ書店」を取り上げている。
「1906年創業の老舗『好文堂書店』(長崎市浜町)は、14年から売り場面積を縮小しつつも、本に対する見識が深い『本のソムリエ』が推薦する本の販売などサービスの質の向上を図り、新規客の獲得を目指してる。
さらに7月1日、同じ建物内の3階にペット同伴で楽しめる県内初の店舗『DogCatista』(ドッキャイスタ)をオープンする。ペットに関する本や雑貨に特化し、今までより若い層も取り込みたい考え。担当の高橋英子主任は『ペット好き同士の情報交換の場としても活用してほしい』と語る」
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2017/05/25091247051398.shtml
https://www.facebook.com/koubundousyoten/photos/a.961279217347455.1073741833.325331130942270/961279224014121/?type=3
好文堂書店で「本のソムリエ」をつとめているのは、井手良平だ。こんな人物である。
https://www.tfm.co.jp/smile/reports/nagasaki/20150218
http://www.koubundo.net/
「ひとやすみ書店」の「今日はこれ」は「稲垣足穂 飛行機の黄昏」(平凡社)だ。基本は新刊書を扱っているが古本も扱っているそうだ。
https://www.facebook.com/hitoyasumishoten/
「カンパネラ」が天狼院書店の三浦崇典代表にインタビューをしている。
「雑誌の販売数が落ちるのはもうどうしようもない。ただ、ビジネス書は売れるということはわかっている。後は、雑誌の下げ幅の分だけ他の収益を上げれば、圧勝できるんじゃないかなと。その方法さえ確立すれば、本はいくらでも売れると思いました。それは、コーヒーを出すカフェをつくるのか、イベントを開くのか、そのほかの違う方法なのか。とにかく、まずは雑誌の落ち込みをカバーする方法をみつけようとしました」
http://business.nikkeibp.co.jp/atclcmp/15/010700011/052300016/
アマゾンがニューヨークでリアル書店をオープンした。支払いはクレジットカードもしくはAmazonアプリでのみとなる。また書籍は総て面陳されている。この動画は必見の価値あり。
http://gigazine.net/news/20170525-amazon-new-york-city-bookstore/
台湾の「誠品書店」 が日本進出を検討しているそうだ。蔦屋書店はここを真似たんだよね。
http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201705260007.aspx
5年間も勤めていた書店から290万円相当の学術書など392冊を1日で盗み出したとは!横浜市戸塚区戸塚町の商業施設「戸塚モディ」内の書店って、むろん有隣堂のことであろう。
http://www.asahi.com/articles/ASK5S7GKMK5SULOB01T.html

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2)【本日の一行情報】

◎編集長を辞めてベルリンに行くという「感性」に好感が持てる。「bis」(光文社)の中郡暖菜編集長。私にとってベルリンはボブ・フォッシーの「キャバレー」の舞台である。
https://mdpr.jp/interview/detail/1688917
プレ創刊号が発売され、ウエブサイトが立ち上がった。
https://bisweb.jp/
動画もある。この昏さ、嫌いじゃない。
https://www.youtube.com/watch?v=RlCnpdMX9xc

講談社の無料マンガアプリ「マガジンポケット」は5月24日(水)より、「マガポケ」オリジナル読み切り5作品の人気投票企画を開催する。1位を獲得した作家の新作は、「週刊少年マガジン」に掲載されるという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001338.000001719.html

大月隆寛、元気かなあ。大月の「『少年ジャンプ200万部割れ』を深刻に語るオトナたちへの違和感」における次のような指摘に深く同意する。
「思えばマンガを取り巻く商品や市場環境自体、メディアミックスありきになって既に久しいです。アニメ、ゲーム、映画のみならず、いまやソーシャルゲームやプラモデル、トレーディングカードといったキャラクター商品群も加わり、広がりを見せています。
そんな中で育った今どきの青年は、活字中心に育った私たちの世代とは異なる『読む』作法をマンガに求めているのかもしれません」
http://ironna.jp/article/6644?p=1

◎5月28日に新潟会場での開催を終えた「LaLa40周年記念原画展〜美しい少女まんがの世界〜」は7月27日〜8月8日まで名古屋・名鉄百貨店本店で開催される。
http://www.hakusensha.co.jp/LaLa40th/genga/info.html
http://otakei.otakuma.net/archives/2017052403.html

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、トルコのデジタルエージェンシー「セスリハーフラー社」の株式100%を取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017068-0526.pdf

◎オプティムは、雑誌読み放題サービス「タブホ」へのコンテンツ提供について、ぴあと業務提携を行い、「季節ぴあシリーズ」や地域のグルメ情報が満載の「ぴあ食本シリーズ」など、一挙に95誌追加する。
https://www.optim.co.jp/news-detail/21978

◎読売新聞の「アマゾン、本の直接取引拡大へ…取次介さず」は、こう書く。
「配達まで8日から2週間ほどかかる専門書のような売れ筋でない本を迅速に届けるのが狙い」
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20170526-OYT1T50018.html
SankeiBiz」の「アマゾン方針 出版社との直接取引を拡大 『取次会社』介さず集荷」は、こう書く。
「アマゾンはこれまでも取次会社抜きの取引を進めており、既に全体の販売数の約3割に達している。
直接取引でもこれまでは出版社側がアマゾンの倉庫に在庫を届ける必要があったが、アマゾン側が集荷することで出版社の手間を減らす」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170526/bsj1705260500003-n1.htm

◎すっかり有名になった前川喜平だが、もともと型破りな役人であった。
http://gimukyoikuhi.blog.so-net.ne.jp/2005-11-28
前川は、今はなき「月刊現代」にも寄稿していた。

ナクソス・ジャパンは、2 枚組アルバム「蜜蜂と遠雷 音楽集」を発売した。
http://www.naxos.co.jp/wp-content/files/press_nycc-27303-4.pdf

小学館の女性ファッション誌「CanCam」7月号の付録は2月号につづいて「魔法の自撮りライト」第二弾だ。
http://hatenanews.com/articles/2017/05/25/143431
宝島社の女性誌では実現できない小学館ならではの付録なのかもしれない。

集英社の女性ファッション誌「MORE」が、27日に発売された7月号で創刊40周年を迎えた。 表紙にこれまで最も多く登場したのは菅野美穂で20回 だそうである。
http://www.oricon.co.jp/news/2091378/full/
https://mainichi.jp/articles/20170526/dyo/00m/100/000000c

KADOKAWAは、スマートフォンライトノベルゲーム作成アプリ「ラノゲツクール」を6月1日より配信開始する。
従来のRPGツクールシリーズとは違い「文章を書く」という事のみに特化し、複雑な操作を必要とせず、誰にでも簡単に一つの作品が作れるそうだ。なお小説投稿サイト「カクヨム」で人気 の「誰にでもできる影から助ける魔王討伐」、新機軸TRPG降臨「神話創世 RPG アマデウス」、クローバーラボ「ゆるドラシル」の素材を基本素材として提供されるそうだ。
https://tkool.jp/lng/
http://gamebiz.jp/?p=185584
「生成」の時代が幕を開けるのかもしれない。

カドカワは、ゲーム情報ポータル事業を会社分割によって新たに設立する会社に承継させ、純粋持株会社体制に移行する。分割予定日は7月3日、新会社の商号は未定。 代表取締役社長は茺村弘一。
会社分割となるゲーム情報ポータル事業は、KADOKAWAが持つ「週 刊ファミ通」や「ファミ通.com」などのゲームメディアと、ドワンゴが持つ「niconico」のゲーム実況におけるゲームユーザーの一大コミュニティなどを活用した新規事業を立ち上げる目的でスタート する。
http://pdf.irpocket.com/C9468/iQkZ/hvo0/DwBI.pdf

◎「週刊新潮」は「『文春砲』汚れた銃弾」 を二号にわたって掲載したが、この余波というべきか、トーハンは類誌の実績や著者の過去実績といったデータを、他社に公開するのをやめる ようだ。「週刊新潮」の中吊り広告を「週刊文春校了前に文藝春秋の営業マンにカンニングさせていた問題をトーハンは重く受け止めており、これに日販も歩調をあわせるということなのだろうが、こうなると新潮社にも影響が及ぶのは必然であり、だから「日刊サイゾー」は次のように書く。
「新潮は、文春やトーハンに直接抗議する手段もあったはず。わざわざ誌面で公にすることで、自らの首を絞める形となってしまったようだ 」
http://www.cyzo.com/2017/05/post_32890_entry.html
「『文春砲』汚れた銃弾」 は業界内では話題だが、業界を一歩出ると話題になっていない感じがする。

元木昌彦の次のような指摘は頭に入れておきたい。
週刊新潮の追撃の刃も、中吊りを10年にわたって週刊文春に渡していた出版取次『トーハン』に対しては軟らかい」
https://www.j-cast.com/tv/2017/05/25298891.html?p=all

◎学研プラスがコクヨのキャンパスルーズリーフとコラボして発売した、中学生向け学習参考書「ルーズリーフ参考書」シリーズが発売3か月で累計発行部数11万部を突破するヒットとなったという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001118.000002535.html

電子書籍の「幻冬舎plus+」レーベルが創刊1周年を記念して期間限定で既刊作品 を全点50%オフでリリースしている。
http://www.gentosha.jp/articles/-/7947

◎マガジンハウスの女性週刊誌「anan」6月14日(水)発売2057号の表紙を 防弾少年団が表紙を飾るが、通常版とスペシャル版というカタチで表紙が二種類用意されるそうだ。
https://top.tsite.jp/news/k-pop/i/35607947/
表紙を二種類用意するという手口はヨソの雑誌でも既にやっている。「anan」なのだからヨソの雑誌でやっていないことをやって欲しかった。表紙を二種類なんてケチなこと言わずに三種類用意するとかさ。「anan」に求められているのは、普通ではないことだと思う。普通に流れると、普通以下の評価を招きはしないか。

◎ゲームの企画・開発・運営事業を展開する株式会社Cygames(サイゲームス)は、講談社と、書籍・デジタル書籍の販売に関する業務提携を締結し、コミックスレーベル「サイコミ」を7月28日(金)に創刊する。無料マンガ配信サービス「サイコミ」で連載した作品のコミックスを講談社の販売網を通じて販売するそうだ。
https://www.cygames.co.jp/press/press-16623/
7月28日(金) には一挙、7点が刊行される。
グランブルーファンタジー」 (1) 原作:Cygames 作画:cocho コンテ:楓月誠
アイドルマスター シンデレラガールズ U149 」 (1) 漫画:廾之 原作:バンダイナムコエンターテインメント
アイドルマスター シンデレラガールズ U149」 (1) オリジナルCD付き特別版 漫画:廾之 原作:バンダイナムコエンターテインメント
「神撃のバハムート TWIN HEADS」 (1) 原作:Cygames 作画:Ryota-H 脚本:蝉川タカマル
「STARTING GATE! −ウマ娘プリティーダービー−」 (1) 原作:Cygames 漫画:S.濃すぎ
「ふたりモノローグ (1) 」ツナミノユウ
「群れなせ!シートン学園」 (1) 山下文吾
「待機列ガール」 (1) 凪庵
以後、8月、9月刊行のラインナップまで発表されている。
https://cycomi.com/
講談社の「正味」は武器になる。

実業之日本社の岩野裕一 代表取締役社長は同社のリクルートサイトのなかで「私たち出版社は自ら『製造業』から『情報通信業』に脱皮しなければ、もはや社会に存在することができないところまで追い込まれています 」と述べている。
http://www.j-n.co.jp/recruit/

青春出版社の「日本人のしきたり」が100万部を突破。産経によれば平成15年1月の刊行から14年、今年2月に53刷、100万部を突破したという。
http://www.sankei.com/life/news/170527/lif1705270042-n1.html

◎東京出張に際しては帝国ホテルが定宿だったようである。
テレビ宮崎(UMK)の渡邊道徳社長(71)が熊本国税局の税務調査で、社内規定を超える宿泊代が個人の所得に当たるなどと指摘され、2015年度までの4年間で六百数十万円の追徴課税を受け、納付していたことが25日、関係者の話で分かった。納付した追徴課税は、役員報酬の引き上げで賄っており、渡邊社長の実質的な負担はなかった」(宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_26055.html
名前が「道徳」だぜ。渡辺が社長になってからは、テレビ宮崎 では男性も女性も、まず営業を経験する。
http://www.miyazaki-u.ac.jp/public/public/message/h28tvmiyazaki

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3)【深夜の誌人語録】

オリジナリティは物真似から生まれる。