【文徒】2017年(平成29)年5月25日(第5巻96号・通巻1025号)

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1)【記事】編集者とは?末井昭と鈴木正文について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】編集者とは?末井昭と鈴木正文について

少年時代に実母のダイナマイト心中を体験した末井昭が自らの半生を描いた「素敵なダイナマイトスキャンダル」(ちくま文庫)が冨永昌敬監督によって映画化されることになった。
http://eiga.com/news/20170523/1/
「【緊急速報】末井昭さん『素敵なダイナマイトスキャンダルちくま文庫が来春映画化決定!
この幻の怪書、植本一子さん推薦帯付きで復刊も決定!!
今週には一部書店様に並び始めますが、今回は新刊のような全国一斉配本はございません。購入をご希望される方はお近くの書店様にご予約をお願いします」
https://twitter.com/chikumabunko1/status/866867437441998848
末井は平凡社から「結婚」を刊行した。
http://www.heibonsha.co.jp/book/b284868.html
末井は、ここでも自らの経験を語っている。
http://www.heibonsha.co.jp/files/kekkon_tameshiyomi.pdf
6月13日 (火)に青山ブックセンター本店で末井と北村早樹子によるトークイベントが開催される。
http://www.aoyamabc.jp/event/marriage/
末井が活躍したのは「エロ」と「ビジュアル・アート」と「ギャンブル」の世界であったが、ブランド広告が大量に入る男性誌のなかで、「GQ JAPAN」の鈴木正文編集長は今も現役の突出した存在である。鈴木は何歳になっても知的不良であることをやめない。大したものだと思う。「GQ JAPAN」のエディターズレターで「エマニュエルとブリジット」を取り上げている。
鈴木によれば…。フランスで大統領選に勝利した39歳のエマニュエル・マクロンの妻ブリジットは25歳年上だそうである。エマニュエルの高校時代の教師であり、在学中に二人は恋仲になったが、結婚の望みは叶えられず、その望みはエマニュエルが29歳になった際にブリジットが離婚して実現する。二人が出会ったとき、ブリジットの娘はエマニュエルの同級生だったのか!日本であればエマニュエル・マクロンは週刊誌ジャーナリズムの餌食になっていることは間違いない。
「核戦力すら有して独立を堅持せんとしつつもEUを通じた永遠平和への模索もつづけることにしたフランスの現実主義と、この国の指導者が求める憲法の書き換えを求める現実主義とは、どこかで似ているという者もいるかもしれないけれど、エマニュエルとブリジットをめぐるエピソードは、2つの国の民衆の、基本的人権個人主義的自由にたいする信念に、大きな隔たりがあることを痛感させた。この差は大きい、と僕はおもう」
こういう文章は逆立ちしても岸田一郎には書けまい。
https://gqjapan.jp/magazine/letter/20170522/editors-letter-170

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2)【本日の一行情報】

集英社の「MAQUIA ONLINE」が月間170万UU、1,500万PVと好調だ。新ブロガー組織「オトナ★美セレブ 」も発足させた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000011454.html

東京放送ホールディングス日本経済新聞社テレビ東京ホールディングスWOWOW電通博報堂DYメディアパートナーズの6社は5月23日、有料の動画配信サービスを提供する新会社「株式会社プレミアム・プラットフォーム・ジャパン」(仮称)を共同で設立することになった。各社のコンテンツや独自コンテンツなどを配信する新サービスを来年4月に開始する。
出資構成は東京放送HDが31.5%、日経が16.6%、テレビ東京HDが14.9%、WOWOWが14.9%、電通が14.8%、博報堂DYMPが7.3%。日経とテレ東HDをあわせれば、東京放送HDと同じ31.5%になる。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017067-0523.pdf
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170523/k10010992491000.html
出版業界でも複数の会社が結集してプラッチフォームを立ち上げるべきである。実現を前提とする有志を集めて実現させるのである。実現しないヨタ話は、もう聞き飽きた。

萩尾望都の「ポーの一族」が宝塚で舞台化され、2018年1月に花組によって上演される。
http://flowers.shogakukan.co.jp/news/news_20170523.html
http://www.asahi.com/articles/ASK5R5SR6K5RPTFC00Z.html

◎文禄堂高円寺店の新刊台では、ブレイディみかこの「子どもたちの階級闘争」(みすず書房)が売れているそうだ。
https://twitter.com/AyumiBooks_K/status/867179330572476416
デヴィッド・グレーバーの「負債論 貨幣と暴力の5000年」(以文社)によると反緊縮派とアナキストは非常に親和性が高いそうである。彼女のブログにそう書いてあった。
http://blog.livedoor.jp/mikako0607jp/archives/52176926.html

白水社から刊行された根井雅弘の「ケインズを読み直す」は、1996年刊行の「ケインズを学ぶ―経済学とは何か」(講談社現代新書)が元になっているようである。
http://www.hakusuisha.co.jp/book/b285621.html
https://twitter.com/jimbunshoin/status/867209716413235201

深谷かほるの「カンナさーん!」(集英社)が渡辺直美主演でTBSでドラマ化されるが、深谷は次のように語っている。
「連載中から、万一実写化するなら渡辺さんしかいないと言ってました。渡辺さんのビジュアルのみならず、ラジオのお喋りで、その思慮深さや優しさに感動しておりました。なので今回も、私から要望したんです! 夢が叶って嬉しいです」
http://www.comicsync.com/normal/2017/05/18/ID2189/
「カンナさーん!」の新シリーズ連載が6月15日発売の「月刊YOU」7月号からスタートする。

ハースト婦人画報社は週5日勤務の長期アルバイトを募集している。仕事内容は「エル・ジャポン」「エル・オンライン」「エル・ガール・オンライン」編集部でのアシスタント業務で、時給1000円だ。
http://www.hearst.co.jp/aboutus/careers/(type)/part?_ga=2.45279204.1329345710.1495599621-1821695121.1491972036#job_5683

東京電力パワーグリッド、大日本印刷朝日新聞社の3社は、6月1日から、東京都の上野恩賜公園において東電PGが所有する配電地上機器を活用した国内初のデジタルサイネージサービス「うえのビジョン」の共同実証試験を開始する。
http://www.dnp.co.jp/news/10135611_2482.html

宇野亞喜良の「定本 薔薇の記憶」(立東舎文庫)は雑誌広告関係者にとって必読書のはずだ。宇野は昭和9年(1934)年生まれだ。現在83歳!
http://rittorsha.jp/bunko/16317432.html
げみ×梶井基次郎の「檸檬」も立東舎なんだよね。リットーミュージックの子会社なのだろうけれど、良いセンスの編集者がいるんだろうな。
http://rittorsha.jp/items/16317419.html

◎斎藤直子の「結婚差別の社会学」(勁草書房)は被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」を取り上げている。
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b283182.html

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3)【深夜の誌人語録】

読書によって自らの言葉を鍛え上げるのである。