【文徒】2019年(令和元)6月18日(第7巻106号・通巻1526号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】「ViVi」と甘利明と渡瀬昌彦と渡瀬夏彦
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.6.18 Shuppanjin

1)【記事】「ViVi」と甘利明と渡瀬昌彦と渡瀬夏彦

金曜日のでも紹介した記事だけれど、私も触れておく。町山智浩が「AbemaTV」で「講談社は自社の行為が正しいと思うなら質問に回答していると思う」と発言したようだが、私も全く同感である。渡瀬昌彦常務や乾智之広報室長が私たちの取材から逃げ回るのは自分たちの行為が正しいと思っていないからなのではあるまいか。
https://abematimes.com/posts/7006526
情報法制研究所(JILIS)は6月15日に第3回情報法制シンポジウムを東京大学伊藤国際学術研究センターにおいて開催したが九州大学准教授・小島立が「海賊版サイト対策と静止画ダウンロード違法化問題」を報告した。
これを踏まえて「すまほん!!」が「拙速すぎる化庁の違法ダウンロード拡大と阻止、一体何があったのか?委員振り返る」を掲載している。これは必読だ。ダウンロード違法化拡大について、衆議院議員馳浩同じく古川康山田美樹三宅伸吾らが異論を唱え、MANGA議連(マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟会長の古屋圭司が懸念を抱くなか、これを強引に推し進めようとしたのは甘利明であった。
「…最終的に、化庁案のままの国会提出が認められたとのこと。当時、推進派の甘利議員は『政治論だ』と語っていました。これで本当に『終わった、万事休すだ』と覚悟。附帯決議を付けるぐらいしかないのでは、と考えたといいます」
https://smhn.info/201906-the-truth-of-the-illegal-download-expansion-problem
この甘利こそ講談社の『ViVi』とタイアップ広告を実施した「#自民党2019』プロジェクト」のプロジェクトリーダーである
かつて講談社からミリオンセラー「五体不満足」を刊行している乙武洋匡が「note」に「『ViVi×自民党』広告記事に対する講談社のコメントには心底ガッカリした」を発表している。
https://note.mu/h_ototake/n/nda1aefb0e3ca
渡瀬夏彦のツイート。
「このテレ朝の小松アナ、辺野古にやってきてネトウヨ新聞記者をヨイショして、沖縄の民意を踏みつける報道をしたことで知られる、どうしようもない安倍応援団。権力の提灯持ち」
https://twitter.com/natsuhikowatase/status/1140018511403573248
渡瀬夏彦の実兄もまた「安倍応援団」の役割を担い、「権力の提灯持ち」の役割を果たしているのではないだろうか。『ViVi』自民党タイアップ広告の件で、取材対応の責任者は渡瀬昌彦にほかならない。テレ朝やネトウヨ新聞記者を批判するのも結構だが、実兄が何をやっているのか知ったほうが良いのではないだろうか?
講談社から発売されている幼児向けの知育絵本「はじめてのはたらくくるま」は、自衛隊の「戦車」「装甲戦闘車」「ミサイル発射機搭載車」や果ては「F35戦闘機」まで掲載しているそうだ。29ページ中、6ページが自衛隊にかかわる内容だという。帯に「街で見かける大好きな働く車たち」って。そんなに戦車が往来を行き来しているだろうか。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000319160
日共ではあるけれど、練馬区議の薬師辰哉がブログで次のように書いている。
「その内容も、例えば戦車は3種類(74式、90式、10式)をそれぞれ載せ、砲側弾薬車など一般的とは言えない車両も紹介されています。さらに、アメリカから大量購入しようとしているF-35A戦闘機や空母化しようとしているヘリコプター搭載護衛艦、潜水艦など「はたらくくるま」とは到底いえないものまで登場しています。また、表紙の陸上自衛隊の写真も帯で隠れるようになっていることも意図的だと感じます」
http://yakushi-tatuya.com/?p=595
渡瀬夏彦は「銀の夢 オグリキャップに賭けた人々」で講談社ノンフィクション賞を受賞しているが、単行本は他に「修羅の華 辰吉丈一郎がゆく」がある程度である。二冊とも講談社から刊行されている。もう20年以上も単行本を上梓していないようだ。渡瀬夏彦は沖縄タイムスの「論壇」欄には時折、寄稿しているようだが、6月17日付沖縄タイムス憲法学者の木村草太が「ViViキャンペーンと公選法 自民単独企画に寄附の疑念 モデルTシャツに経済価値」を発表している。
「ファッション誌は、若い人に情報を届ける重要なメディアであるだけに、政策論ではなく、物で釣るかのような、今回の企画展開は残念だ」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/433621
「ViVi」の公式ツイッターが漸く呟き出した。再開の一発目はコレ。
https://twitter.com/vivi_magazine/status/1140472070096216069

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2)本日の一行情報

◎宝島社は、新しい60代女性市場に向けてファッション誌「素敵なあの人」を9月14日に月刊誌として創刊する。宝島社は雑誌市場が縮小を加速させるなか2010年以降、30~60代の大人世代に向けて、「リンネル」「GLOW」「大人のおしゃれ手帖」「otona MUSE」「& ROSY」「MonoMaster」の6誌を創刊してきたが、更なる市場の拡大を目指して「素敵なあの人」を創刊する。むろん、附録誌であろう。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000875.000005069.html
今の60代は「アンアン」「ノンノ」「JJ」世代である。へぇ~高橋大輔をフィーチャーするのか。
https://twitter.com/sekishinochan/status/1139647715057344512

◎香港のデモに200万人が結集したという報道があったが、及川淳子の「11通の手紙」(小学館)を読んでおきたい。劉暁波研究の第一人者・及川淳子(中央大学准教授・中国現代社会論)が天安門事件で民主化運動のリーダーとして活躍し、獄中においてノーベル平和賞を受賞した劉暁波の遺した発言や行動や実際の出来事を下敷きにして、劉暁波の想いを現代に蘇らせた創作書簡集である。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388697

◎「Cheese」(小学館)に連載されている朱神宝の「コーヒー&バニラ」が実写ドラマ化され、7月4日から、MBSの「ドラマ特区」枠(木曜深夜0時59分)で放送される。
https://mantan-web.jp/article/20190613dog00m200087000c.html

◎「電通イージス・ネットワーク」は、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」を発表し、前回予測(2019年1月)の3.8%を今回予測(2019年6月)では3.6%に下方修正した。世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は、2018年実績が39.0%と、初めてテレビ広告費の34.9%を上回り、その割合は2019年には4割を超えて41.8%となり、2020年には44.5%へと伸長する見通しである。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019059-0613.pdf

スターツ出版は、「野いちご庫」「ケータイ小説庫」をコミカライズした電子コミック誌「noicomi」(ノイコミ)を6月14日(金)に創刊した。
https://natalie.mu/comic/news/335807

SNSエンターテインメントは、6月28日(金)16時59分まで、スマホ向け本格ヤンキーバトルゲーム「喧嘩道 全國不良番付」と、「週刊少年マガジン」(講談社)連載の「はじめの一歩」とのコラボを実施している。
http://pressrelease-zero.jp/archives/143203

◎高田夫が「週刊ポスト」で連載するエッセイ「笑刊ポスト」が「伝説の雑誌編集長」と「カントク」を取り上げている。「伝説の雑誌編集長」とは「写真時代」の末井昭であり、「カントク」とは山本晋也である。末井ほどではないにしても80年代の編集長は魅力的な面々が多かった。最近の編集長は「小役人」が多くなったような気がする。人事までもが「貧すれば鈍す」では、事態は悪化するばかりではないのだろうか。
https://www.news-postseven.com/archives/20190614_1389196.html

◎「カーサ ブルータス」(マガジンハウス)から、ムック「デザインのいい仕事場2.5」が発売された。
https://www.fashionsnap.com/article/2019-06-13/casa-nigo-verdy/

◎コミック配信サービス「まんが王国」( https://comic.k-manga.jp )をメインに、コンテンツプラットフォーム事業を展開するビーグリーは、「まんが王国」において、「月刊コミックバンチ」(新潮社)とタイアップした新レーベル「ウツツ」を6月14日(金)より配信開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000034768.html

◎光社は、9月20日より開幕するラグビーワールドカップ2019日本大会に向け、6月13日(木)から16日(日)の4日間開催されたイベント「にわかだっていいじゃない!!MARUNOUCHI RUGBY FESTIVAL」において、『VERY「ファミリーラグビー=ファミラグ)宣言」』トークショーを6月13日(木)に開催した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000045728.html
滝沢眞規子は6月6日、表参道で開催されたコスメブランド「パルファン・クリスチャン・ディオール」の体験型展覧会「MISS DIOR LOVE N’ROSES(ミスディオール展覧会/ラブ&ローズ)」のプレビューイベントに出席した。
https://mainichikirei.jp/article/20190614dog00m100009000c.html

◎角川庫恒例の夏のフェア「カドフェス2019」がスタートした。書店店頭では新海誠の「小説 天気の子」の試し読みを収録した小冊子を無料配布する。
https://features.kadobun.jp/kadofes/
私は新海誠宮崎駿のようには好きになれない。何故なんだろう。

秋田書店は、インスタグラムで投稿され、フォロワー14万人、いいね3.7万を記録している木岐彩香の恋愛マンガ「細川さんと太田さん」を電子雑誌「プチプリンセス」(毎月1日発売)で7月1日(月)より連載開する。これに先駆けて6月14日(金)より、「LINEマンガ」で第1話の先行配信を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000040601.html

◎LINEとワンダープラネットの共同事業となるスマホ向けゲームアプリ「ジャンプチ ヒーローズ」が500万ダウンロードを突破。配信地域をグローバルへと拡大し、アジアへの配信を開始する予定だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001651.000001594.html

南海キャンディーズ山里亮太の「天才はあきらめた」(朝日庫)に、結婚会見後注が殺到し、会見翌日の6月6日に8刷3万部、6月10日に9刷2万部と、わずか5日間で立て続けに重版が決定し、累計18万部を突破したという。重版分は「祝・ご結婚」特別帯で出荷された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000716.000004702.html

集英社からラグビー応援WEBマガジン「楕円球LOVE!」が創刊された。
https://more.hpplus.jp/morehapi/article/kanchan/e-news/48434/3/

◎光社の女性誌「美ST」8月号の表紙は、King&Princeの平野紫耀。表紙画像が解禁されるや予約が殺到し、Amazon、楽天HMV、セブンネット等、各ネット書店で即完売したという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000180.000021468.html

◎King & Princeは、7月1日発売の集英社の女性ティーン誌「Seventeen」8月号で嵐以来14年ぶりとなる男性グループの単独表紙を飾っているそうだ。
https://www.oricon.co.jp/news/2137662/full/

日本旅行西日本新聞社は、包括的な業務提携を締結した。これにより西日本新聞旅行の株式を日本旅行が70%取得し子会社化する。この提携によって(1)西日本新聞社グループの化やスポーツ事業に日本旅行の持つイベント時の運輸・宿泊のノウハウを生かす(2)西日本新聞社が九州各地域の魅力を発掘し、日本旅行の全国のネットワークを生かし集客力を強化する(3)記事や動画などのコンテンツなどを活用したプロモーション日本旅行の海外ネットワークで広めることなどによって、日本全国、海外からの誘客を進めていく方針だ。
https://www.nta.co.jp/news/2019/__icsFiles/afieldfile/2019/06/14/nishinihonshinbunsha.pdf

◎日刊スポーツが6月14日付で「読売テレビ報道番組にBPO議入り『再発防止を』」を公開した。
「性別をめぐる不適切な取材の模様が企画コーナーで放送され、問題となっていた読売テレビ大阪市)の報道番組『かんさい情報ネットten.』について、放送倫理・番組向上機構BPO放送倫理検証委員会は14日、この案件を審議入りすると決めた
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201906140001412.html

相葉雅紀松本潤を起用した「明治おいしい牛乳」と「きのこの山」の見開き全面広告が、6月15日付読売新聞)に掲載された。
https://www.barks.jp/news/?id=1000168170

毎日新聞のツイート。
社会学者の #古市憲寿 さんが、前回に続き #芥川賞 候補入りしました。 #直木賞 候補には、台湾育ちの#李琴峰 さんらが名を連ね、初めて全員女性となりました」
https://twitter.com/mainichi/status/1140448981174145024
「〈盗作〉の学史」の栗原裕一郎は呟く。
「しかし、新聞社のオフィシャルアカウントがこんな初歩的なミスを犯して、1時間経ってまだ訂正もないってどうなってるんですかね」
https://twitter.com/y_kurihara/status/1140470789092720641
李琴峰がツイート。
「私は直木賞ではなく芥川賞の方ですよ」
https://twitter.com/Li_Kotomi/status/1140449440689352705
再び栗原が投稿する。
「李琴峰は芥川賞候補だ、と突っ込もうかと思ったら、すでに作家本人から指摘が入っていた」
https://twitter.com/y_kurihara/status/1140469589425287168
毎日新聞はやっと訂正を出した。
「李琴峰さん@Li_Kotomiは芥川賞の間違いでした。謹んでお詫び申し上げます」
https://twitter.com/mainichi/status/1140473888968597504
ちなみに渡瀬昌彦常務+乾智之広報室長は「江戸川乱歩賞」のタイトルを間違えて発表しながら、ホームページを訂正したのは何時間という単位ではなく何日も経ってからであった。

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3)【深夜の誌人語録】

主観に溺れてはならないし、客観を言い訳にしてはならないのだ。