『ViVi』自民党タイアップ広告炎上事件と講談社広報室の劣化 「黒幕」渡瀬昌彦常務と「実行犯」乾智之広報室長の責任を問う

週刊文春』が「ViVi炎上の裏に甘利明講談社の〝なかよし〟」を掲載!

 

週刊文春』6月27日号は「ViVi炎上の裏に甘利明講談社の〝なかよし〟」を掲載した。記事には匿名ではあるが、複数の「講談社社員」による証言が収められている。こんな具合だ。
《これを取ってきたのは広告担当の中堅社員A氏(四十代)です。仕事はできるが細かいことは気にしないタイプ。実はA氏は以前から甘利氏側と交流があり、食事をともにする間柄。今回は先方から『党の広告を出せないか』と打診され、飛びついたようです》
《マンガが屋台骨の講談社は、『漫画村』をはじめとする海賊版サイト問題で政府に法規制を求める旗振り役を担い、野間省伸社長も積極的に発信してきました。この分野で頼りになる大物議員と言えば甘利氏。自民党知的財産戦略調査会の会長ですからね》
参院選を間近に控え、社側は当初、『選挙に行こう』という内容になると聞いていました。撮影は五月下旬でしたが、スタジオで自民党マーク入りTシャツを広告代理店から手渡され、初めて内容を知った人もいたほどです。Tシャツプレゼントの応募に際し〈#自民党2019〉というタグを付けてSNSに投稿することも知らされていなかった。『だまし討ちだ』と憤っている社員も。また、担当役員は『週刊現代』の編集長を務めるなど報道に長く携わる人物で、今もニュース系雑誌も統括しているだけに冷ややかな視線を送る社員も多い。広告料は四百万円だったそうです》
記事の末尾では、今回の記事広告の制作を手掛けたというSTARBASEなる会社と講談社広報室のコメントが紹介されている。しかし、ここでも講談社広報室の劣化は止まらない。両者のコメントは矛盾しているのだ。どちらかが「噓」をついていることになるのだが、犯人は、さあ!どっちだ。
講談社様と弊社で企画を行い、自由民主党様にご提案し、ご了承を頂きました》(STARBASE)
《今回の広告企画は自民党から広告代理店を通して持ち込まれたもの》(講談社広報室)
『ViVi』自民党タイアップ広告問題の延焼はつづいた。「事実」や「真実」が隠蔽されればされるほど延焼はつづく。武田砂鉄は6月14日放送のTBSラジオ「ACTION」で取り上げている。
《僕自身も講談社に、たくさんお世話になった人もいるんだけど、それでもやっぱり腹が立ってしまうのは、講談社の広報部はこの広告記事に対して「政治的な背景や意図は全くございません」ということを回答している。「政党の宣伝じゃないですか?」という問いにも「コメントは差し控えさせて頂く」という。これはなかなか無理があって・・・》
こうした無理を無理とは全く思っていないのが広報担当の渡瀬昌彦常務であり、乾智之広報室長にほかなるまい。こうした広報対応は社内の良識派によれば「安倍総理のヤリクチを見習っているとしか思えない」のだそうだ。講談社の広報戦略は「モリカケ」流儀というわけである。
朝日新聞編集委員高橋純子も6月19日のコラム「多事奏論」で「感性に突っ込む政治『なれなれしい顔』接近中」として取り上げている。タイトルは社会党委員長だった故・土井たか子の「本当に怖いことは、なれなれしい顔をしてやってくる」との台詞を踏まえたものであろうし、『美しい顔』にも引っ掛けているのかもしれない。
《ファッション誌「ViVi」の企画、どんな世の中にしたいか、キラキラの若い女性が主張するのは素敵なことだ。しかし、そのメッセージTシャツの袖に自民党のシンボルマーク、しかも参院選を控えたこの時期にとなると、キラキラは濁ってギラギラとなり、ズブズブという音まで聞こえてきそうだが、「政治的背景や意図はまったくない」と説明してしまう講談社はあまりにもダサい。政権与党とのタイアップに政治的背景も意図もないというなら、いったい何があったのか。催眠術にでもかかっていたのだろうか》
講談社から『大江健三郎全小説 第10巻』が刊行されたことを踏まえて、次のように呟くツイートも見つけた。
《この本を出している「講談社」と、例のViViの「講談社」が同じだと思えない。大江さんは新潮社と親密(作品集を出してた)だったが、いつの間に「群像」に書くようになっていた。大江さんはViViの企画をどう思うのだろう》

 

「自民」昌彦と「反自民」夏彦

 

サイゾーpremium」が「出版社・書店の未来は赤信号⁉百田騒動、LGB、配送遅延……根深〜い出版業界の諸問題」を掲載していた。
《まず業界で問題視され続けているのが、ネトウヨ本、ヘイト本の増加。少し以前までさかのぼると、ケント・ギルバートの『中国人と韓国人の悲劇』が講談社+α新書から発売され、同レーベルの上半期の新書部門売り上げ1位になったのが2017年のこと。「あの講談社までヘイト本を……」と当時から驚く人が多かったが、ケント・ギルバート氏はその後も宝島社、KADOKAWAといった大手をはじめ、PHP研究所、SBクリエイティブ、徳間書店まで各社から単著を出版。数字の稼げるベストセラー作家になった》
講談社からは3〜6歳向け絵本として『はじめてのはたらくくるま』が刊行されているのだが、この内容の偏向ぶりも話題になっていることは前号で報じた通り。何しろ29ページ中6ページも自衛隊に誌面が割かれているのだ。74式、90式、10式の戦車、砲側弾薬車、F-35A戦闘機などが紹介されている。この手の絵本としては、こうした偏向ぶりは確かに異様ではある。次のようなツイートを投稿する心情は理解できる。
《ひえー!あの「はたらくくるま」に自衛隊がたくさん紹介されてるんだって! 集団的自衛権容認のもとで自衛官になる人が減り、子どもの頃から自衛隊になじませようという意図?! 講談社、最近、妙ですね。》
その「妙な講談社」のエンジンの役割を果たしているのが渡瀬昌彦常務取締役にほかならず、渡瀬の「親衛隊長」が乾智之広報室長なのである。もし本田靖春が存命であれば、こんな二人とは手を切ったことであろう。
ところで、渡瀬夏彦という名のジャーナリストをご存じだろうか。『週刊金曜日』の常連執筆者と言ってよいかもしれない。「どうなる衆議院・沖縄補選 『オール沖縄』優位も自公は組織票固め」(2019年4月19日2:08PM)とか、「辺野古『反対者リスト』作成に国が関与の疑い 人権侵害の指摘も」(2019年2月20日9:52AM)など、沖縄関連の記事のブロパーのような活躍ぶりを見せている。一読、夏彦の記事の論調は「反自民」である。
この渡瀬夏彦講談社常務取締役の渡瀬昌彦は実の兄弟なのである。渡瀬夏彦が健筆をふるう『週刊金曜日』は岩本太郎の「『ViVi』自民党広告で炎上 甘利明氏と講談社の接点!?」を掲載しているが、「岩本さんの取材はお断りします」という、非民主的な取材対応を指示しているのが渡瀬昌彦であり、女性誌『ViVi』が自民党からカネを貰うことを容認しているのも、講談社においては編集部門のトップの座にある渡瀬昌彦常務なのである。
もっと言おうか。29ページ中、6ページを自衛隊の兵器に割いている絵本としては異様な構成と言わざるを得ない知育絵本『はじめてのはたらくくるま』を堂々と売っている版元の編集部門のトップに立っているのも渡瀬昌彦常務である。ツイッターで差別的で不適切と言わざるを得ない表現を使ったツイートを放置しておく版元の編集部門のトップに立っているのも渡瀬昌彦常務なのである。
講談社から昨年9月に刊行された『INNOVATION ECOSYSTEM ニッポンは甦る!』は甘利明が会長をつとめる自民党知的財産戦略調査会の議論をまとめたものだが、知的財産戦略調査会事務局長の山際大志郎も名前を連ねているが、要するに甘利明のヨイショ本以外の何ものでもない。編集部門のトップに立つ渡瀬常務が了解しない限りは刊行できなかったはずだ。
私たちはこの本を神保町界隈の書店店頭で見かけることはなかったが、それは恐らく買取企画であったためだろうか。もっとも山際大志郎によれば昨年10月1日の「丸善・丸の内本店 週間ベストランキング」では1位にランクインしたそうである。いずれにしても、こうした書物を出すまでに講談社は「政治」に飲み込まれていったのである。私の知人の講談社関係者によれば「政治家のケツを舐めてしまった」のである。政治家のケツをとっくの昔に舐めておきながら、乾智之広報室長に「政治的な背景や意図はまったくない」と言わしめた「黒幕」も広報部門を担当する渡瀬昌彦常務にほかならないのである。私は何度も指摘して来たことだが、「黒幕」は渡瀬常務なのであり、「実行犯」は乾広報室長なのである。「民主」夏彦は「反動」昌彦をどう評価しているのか?

 

田中康夫YouTube公式チャンネル」が本質を衝く!

 

田中康夫が舌好調である。YouTubeの公式チャンネルで『ViVi』シリーズを四弾にわたって公開している。
第一弾は6月19日 に公開した《Vol.543 「このたびの自民党との『ViVi』広告企画に政治的な背景や意図はまったくございません。」©大日本雄辯會講談社 「おもしろくて、ためになる」錯乱コメントで炎上商法に参戦だぁw》であった。ここで田中康夫は、ここまで炎上してしまった理由を「政治的な背景や意図はまったくございません」という意味不明な錯乱コメントを出した『週刊現代』編集長の経験を持つ乾智之であるとはっきりと指摘している。そもそも乾や渡瀬昌彦常務には田中が言うところの「小さな声を聴く力」(これ、公明党の惹句なんだね)を決定的に欠如させてしまっているのだ。
第二弾は6月20日 に公開した《Vol.544 沈黙中の平野啓一郎中沢けい高橋源一郎内田樹いとうせいこう島田雅彦閣下の解説キボンヌw 幻冬舎『日本国記』では炎上を煽ったのに、講談社『ViVi』では鎮火に努め》であった。
田中が名前をあげている文学者や評論家は幻冬舎の『日本国紀』問題では見城徹に批判的なツイートを投稿していたが、『ViVi』問題では一切沈黙してしまっている。田中によれば高橋は「群像新人賞」の選考委員をつとめており、中沢は群像新人賞を受賞しており、いとうは講談社の社員だったし、島田は野間文芸新人賞を受賞していることが彼らの「忖度」の背景にあると喝破している。平野は講談社現代新書から7月に「『カッコいい』とは何か」を刊行するそうだ。中上健次が生きていたならば激高していたとは、田中ならずとも思うところだ。
第三弾は6月22日 に公開した《Vol.545 電通ガー!自民ガー!と昂奮気味な皆さまに告ぐ 問われるべきはチキンだった大日本雄辯會講談社「傾営患部」! 法律でなく道義で捉えられない「斜怪学捨」西田亮介閣下の転向w》である。
ここでも田中は乾広報室長の「出たがり」体質を揶揄している。また、本田靖春を担当していた渡瀬昌彦常務の「転向」にも触れているではないか。「異議なし!」である。今や講談社の「傾営患部」を代表するのが渡瀬昌彦常務なのである。そう乾広報室長が「政治的な背景や意図はまったくございません」と取材に対して答えたのは田中が指摘するように後ろめたかったからにほかならないのである。むろん、田中も渡瀬昌彦が渡瀬夏彦と兄弟であることも、しっかりと触れていた。
第四弾は7月1日付で公開した《Vol.551 甘チャンに任せてしまった大日本雄辯會講談社『ViVi』の痛手! ニャンと社主「野間家」と血縁だったYaʼssyも 明治神宮で挙式の斜怪派・平野啓一郎閣下の「沈黙は金」に学ばないとね!》を発表した。参考資料の中でにゃんと「文徒アーカイブ」へのリンクも張られている!
講談社OB、元『週刊現代』編集長の元木昌彦もこの問題に触れて、こう書いている。
女性誌ViViのネット版で、自民党とのタイアップ広告を出したことにも批判が巻き起こっている。文春はこれを取り上げ、自民党の知的財産戦略調査会の甘利明と親しい広告担当がいて、甘利から打診されて飛びついたと報じている。広告料は400万円だったそうだ。
講談社は昨秋、甘利の政策本を出しているという。この時期に、あからさまな自民党の広告を出すなど、私には理解不能だが、批判に対する講談社広報のいい分が火に油を注いだ。
「政治的な背景や意図は全くございません」というのだ。これではダメだ。広報の責任者は乾、編集の最高責任者は渡瀬という。ともに一緒に仕事をした仲間である。乾はフライデー時代、数々のスクープをものにした。私に対しても、悪いものは悪いと直言する硬骨の編集者だった。
渡瀬も、本田靖春をはじめ、ノンフィクション・ライターたちの信頼の厚い、人柄のいい編集者であった。役職が人を変えたのだろうか。心配である。》
私は乾にしても渡瀬にしても単純に「役職が人を変えた」のだとは思っていない。恐らく「地」を出してしまったか、その生き方において「変節」を遂げてしまったのである。

 

またまた乾智之広報室長がやってくれた!

 

BuzzFeed News』の籏智広太がツイートしていた。
《様々な議論を巻き起こした、「ViVi」と自民党の広告キャンペーンサイトが、6月21日に削除されていたことがわかりました。
講談社側は「批判を受けたものではない」としています。期間終了との説明ですが、期間が記事に付記されたのは「終了」の2日前。経緯をまとめました。》
《削除されたViViの記事に「本広告企画は6月21日をもって終了」と付記されたのは19日。
当初は期限に関する説明もなく、もともと決まっていた期限とはいえ、削除の説明も一切ないことから、SNS上では「中止」との誤解も。》
BuzzFeed News』は籏智広太による「自民党講談社『ViVi』のコラボ広告が削除される『批判を受けたものではない』」を公開し、こう書いている。
講談社広報室は、掲載期間が切れたためで、一連の批判などを受けた削除ではない、と説明している。》
《ただ、BuzzFeed NewsがWEB上に残されたアーカイブを確認したところ、記事に「本広告企画は6月21日をもって終了いたします」と付記されたのは、6月19日になってから。掲載開始から9日経っており、「終了」の2日前のことだ。
キャンペーンを始めた当初は記事やツイートにも掲載期間や削除を説明する表記はなかった。このために「突然の打ち切り」という誤解も拡がっており、SNSでは「何も言わずに中止?」などという声も出ている。》
またまた乾智之広報室長がやってくれたようである。むろん、渡瀬昌彦常務と緊密に連絡を取りながらのことであろう。「掲載期間が切れた」といっても籏智広太によれば「本広告企画は6月21日をもって終了」と記されたのは6月19日のことだ。正確を期していうと、「*本広告企画は6月21日をもって終了いたします(6月19日付記)」と書かれていたのである。削除する、たった二日前に掲載期間を告知するというのは、「掲載期間が切れたためで、一連の批判などを受けた削除ではない」と言い訳をするためのものではなかったのか。講談社の広報室はモリカケ体質に磨きをかけようとしているのだろうか。だからかなのか、憲法の木村草太も関心がある様子だ。こんなツイートを投稿している。
《BuzzFeedNewsが…確認したところ、記事に「本広告企画は6月21日をもって終了いたします」と付記されたのは……「終了」の2日前……。
キャンペーンを始めた当初は記事やツイートにも掲載期間や削除を説明する表記はなかった。》
ツイッター民の反応を見てみよう。「掲載期間が切れたためで、一連の批判などを受けた削除ではない」という乾智之節に納得しているアカウントは私が調べた限りではなかった。
《ほんとだ。ページ表示しないな。カード表示はする。結局当選者がいるのかいないのかわからないし(いないorいても名乗らない)政治的意図があるにしろあるにしろ(無いわけない)キャンペーン自体「無かった」ことにするのかね。めちゃくちゃしつこい追加取材を期待。》
《まるっきり盛り上がらないコラボ企画……いや、ある意味、盛り上がったんだけど、講談社側がまるで盛り上げようとしなかった不思議企画。》
《いやー、ひどいねえ》
《しかし、大講談社が随分恥ずかしい話だな》
《最後まで言い訳で逃げる後ろ姿が見苦しい事この上ない》
《「予定期間を過ぎたので」ツイートもHPもすべて削除。なんかおかしいなあ…》
《21日に終了と言いつつ、19日に終了って、さすが自民党に関わるのは、捏造改ざんは当たり前ってことかな?》
《話題の自民党メッセージTシャツのページ、削除されてます。さて、政治的背景はない、との講談社の説明だったのになぜ? Tシャツ、当たった人はいるの?どうなってるの? 不思議だなー。》
《「批判を受けたものではない」のになぜか削除しちゃうパターンきたー!》
《ViViのツイッターからいつのまにか自民党のコラボ企画のツイートが削除されてた。ViViのサイトからもキャンペーンのページがこっそり削除されてる。講談社は「政治的な背景や意図はない」って言ってたのになんで削除したんだろう?「削除したこと」には政治的な意図はなかったのでしょうか?》
パブリックアフェアーズ専門メディア 『PublicAffairsJP』 創刊編集長・藤井宏一郎の呟きである。
《この問題、社会的にはまだ議論が尽くされていないと思うので、今後の検証のために、削除せず残してほしかったですね。とりあえずキャッシュはこちらです。
ツイートのキャッシュ  https://bit.ly/2Y7p7nh
広告のキャッシュ https://bit.ly/2L655G6
デジタル通の広報室長であれば知っているように削除しようともキャッシュは残るのである。藤井は更に次のようにツイートしている。
《おっしゃる通りです。その上で「議論になっているのだから、期間後も残してほしかったですね」という意味でした。本件には期待してないですが、キャンペーン期間後も削除しない記事広告なんていくらでもあります。
https://www.vivi.tv/post7339/
https://www.vivi.tv/post18102/
https://www.vivi.tv/post19901/
上智大学新聞学科准教授の国枝智樹が藤井にリプライしている。
《確かに残ったままの広告多いですね。掲載期間終了前に即削除するような類(差別表現等)ではないけれど、期間後残してはおきたくない案件、ということでしょうか。
大手出版社としては面倒な案件だったとしても、堂々と現場を守る主張をするか、議論の場を設けることに期待したいです。》
渡瀬昌彦常務、乾智之広報室長が広報を仕切る前まで講談社は、もっと正々堂々としていたものである。渡瀬―乾ラインは講談社の信用を落とす広報に関しては超一流のようである。
問われるべきは講談社のガバナビリティであり、コンプライアンスなのである。コンプライアンスってのは要するに「渡世の義理」だ。「渡世の義理」といってもゴロツキストには何のことやらチンプンカンプンだろう。ゴロツキストのゴロツキストたるゆえんである。
「現代ビジネス」は中島岳志と武田砂鉄による対談の後編「安倍政権について何を書いても『正論』になってしまうという現実」を発表した。武田砂鉄が次のように発言している。
《今年、講談社ノンフィクション賞が「本田靖春ノンフィクション賞」という名称に変わるそうです。その一方で、昨年、講談社の刊行物で売れに売れたのはケント・ギルバート氏の本であり、今年は、『ViVi』が自民党とコラボ広告を出した。かつて本田靖春氏が出した時評集『今の世の中どうなってるの』(文藝春秋)に「自民党を信任した人たちに問う」とのタイトルのコラムがあり、そこには「生活保守主義もよいけれど、あなた方はそれと引き換えに、危険な賭けに荷担しているのです。そうは思いませんか」とありました。どう受け止めるのでしょう。》
この対談の担当編集者は分かっているはずだ。渡瀬昌彦常務がものの見事に「変節」してしまったのだ。この「変節」に乾智之広報室長はブレーキをかけるどころかアクセルを踏んで加速させてしまったのである。講談社にとって悲劇的なのは、渡瀬常務自身が自らの「変節」に自覚が全くないことだろう。渡瀬常務は、そういう性格のである。若いうちは「調子が良い」を「人柄が良い」と誤解されることもあるのだろうが、常務ともれば、経営に混乱をもたらすだけではないのだろうか。