【文徒】2016年(平成28)5月27日(第4巻97号・通巻784号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】小学館の第78期決算と役員人事
2)【本日の一行情報】
3)【人事】文藝春秋6月16日付役員人事
5)【人事】中央公論新社6月1日付役員人事
6)【組織変更・人事】CCCメディアハウス6月1日付組織変更と人事異動
7)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】小学館の第78期決算と役員人事

小学館の第78期決算(2015年3月〜2016年2月)が発表された。第77期は何とか売上高で1000億台を維持していたものの遂に第78期では1000億台を割ってしまった。総売上高の前期比が93.3%。雑誌、コミックス、書籍、Pソフト、広告収入は、この総売上高の前期比を下回っている。デジタル収入に何とか支えられて93.3%を実現できたというべきだろう。広告収入とデジタル収入の差が約1億円に縮まった。マンガを中心としたデジタルシフトでさえ、これだけの数字を弾き出せるということだ。21世紀の出版社にとってデジタルシフトは必須の条件である。

総売上      956.02億円  前期比  93.3%

内訳
 出版売上    631.03億円  前期比 86.9%
  雑誌     295.25億円  前期比 87.8%
   コミックス  204.33億円 前期比 90.0%
  書籍     112.81億円  前期比 85.9%
   Pソフト   18.63億円  前期比 59.2%
  広告収入   118.37億円  前期比 92.8%
  デジタル収入 117.31億円  前期比 154.4%
 版権収入等   89.30億円   前期比 93.8%
経常利益     −8.94億円
当期利益     −30.52億円

小学館からすれば「黒字」復活よりも、何としても1000億円台に売上を戻したいことだろう。そのためには多少、点数を増やすことになっても出版局を強化しなければなるまい。
また雑誌に関していえば、小学館にとって最大の強みとなっていた女性誌復権女性誌のデジタルシフトも重要な課題となるだろう。
新たに専務が生まれるのではないかという憶測も流れていたが、昇任は一切なく、役員人事においては、出版局の強化と女性誌編集局の活性化という課題を背負って、奥山豊彦、花塚久美子の二氏が取締役に新任された。これまで女性誌編集局を担当していた 藤田基予取締役は広告局を担当することになった。女性誌復権女性誌のデジタルシフトは編集と広告の協業なくしてはあり得ないはずだ。

(役員人事)
代表取締役社長 相賀 昌宏
専務取締役 山岸 博(編集・管理・営業統括)
常務取締役 桶田 哲男(広告局、女性誌編集局)
常務取締役 片寄 聰(社長室、総務局、編集総務局 関係会社統括)
常務取締役 秋山 修一郎(ライフスタイル誌編集局、ポスト・セブン編集局)
常務取締役 黒川 和彦(児童・学習編集局)
常務取締役 横田 清(第一コミック局、第二コミック局、 第三コミック局、第四コミック局、 出版局、国際メディア事業局)
常務取締役  宮下 雅之(経理局、制作局)
常務取締役 佐藤 隆哉(デジタル事業局、マーケティング局)
取締役 大西 豊(デジタル事業局、マーケティング局)
取締役 藤田 基予(広告局)
取締役 小林 健一(経理局)
取締役 海老原 高明(ライフスタイル誌編集局、ポスト・セブン編集局)
取締役 相賀 信宏(児童・学習編集局、出版局、国際メディア事業局)
取締役 小室 登志和(社長室、総務局、編集総務局)
取締役 丸澤 滋(第一コミック局、第二コミック局、第三コミック局、第四コミック局)
取締役 久保 雅一(国際メディア事業局)
取締役 (新任)奥山 豊彦(出版局)
取締役 (新任)花塚 久美子(女性誌編集局)

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2)【本日の一行情報】

◎総合婚活サービスのIBJは、小学館のマンガ誌「Cheese!」とコラボし、成婚祝い品として(1)「ふたりのなれそめマンガ」と(2)「ふたりのウェルカムボード」を共同制作し、無料でプレゼントというキャンペーンを今年いっぱい展開している。
https://www.loungemembers.com/comic/
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000182.000007950.html

宮城県多賀城市の「ツタヤ図書館」は来館30万人を突破した。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201605/20160525_13018.html

朝日新聞の「ノンフィクション取材費、ネットで支援 出版社に代わり」。
「『ノンフィクション冬の時代』と言われるなか、ネットで賛同者の寄付を募る『クラウドファンディング(CF)』で、ノンフィクションの取材費を集める試みが始まっている。十分な取材費や原稿料を出せなくなった出版社に代わって、手間ひまのかかる報道の現場を広く一般に支えてもらおうとの狙いだ。
取り組んでいるのは、講談社編集者で、ニューヨーク市立大ジャーナリズムスクールに特別研究員として留学中の石井克尚さん(35)」
http://www.asahi.com/articles/ASJ5K34N5J5KUCVL002.html
目標金額30万円のところ、26日現在で45万9500円も集まっている。
https://camp-fire.jp/projects/view/5955

トヨタは、Uber社と、ライドシェア領域における協業を検討する旨の覚書を締結した。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/12153200/

渡辺恒雄が会長を退き、主筆専任だといっても、渡辺が代表権を手放したわけではないので、読売の基本的な権力構造に変化はあるまい。山口寿一代表取締役経営主幹・東京担当が社長に昇格し、白石興二郎社長・編集主幹は代表権のある会長に昇格する。
http://www.sankei.com/entertainments/news/160525/ent1605250003-n1.html

◎LINEは、JR博多駅前で進めていた社屋の建設を断念した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC24H3R_U6A520C1000000/

カドカワ浜村弘一取締役は今でも休日には、22歳となった息子と一緒にゲームを楽しんでいる。
http://business.nikkeibp.co.jp/atclcmp/15/072800004/052000011/?P=1

◎Labitは、6月25日(土)に渋谷・道玄坂で、「つくる人を応援する」というコンセプトのもと、蔵書数1万冊を揃える書店「BOOK LAB TOKYO」をオープンする。IT分野の技術書やデザイン本、建築、自然科学などのサイエンス分野の専門書、実用的なビジネス書を多く取り揃えるという。
http://labit.com/press/booklabtokyo_open_information.html
クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で、設立資金を7月1日(金)まで募集している。
https://camp-fire.jp/projects/view/7262

◎「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)に連載されている渡辺航の「弱虫ペダル」が、8月より「BSスカパー!」で実写ドラマ化されることになった。
http://www.oricon.co.jp/news/2072253/full/

毎日新聞は「元専務」にとどめた。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事であることにも触れていない。
「…松沢成文氏(無所属)は広告代理店『電通』の元専務がディアク氏とも親交があり「ブ社と招致委の契約に絡んでいた。別の言葉で言えば竹田会長は相談していたのではないかと推察している」とただした。竹田会長は元専務と旧知の関係であることは認めたが『(ブ社は)電通から推薦を受けたことしか聞いていない』と関与を一貫して否定した」
http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20160525/ddm/041/050/157000c
産経は高橋治之の名前を出して報道。ただし、産経も高橋が理事であることには触れていない。
「2020年東京五輪招致をめぐる不正疑惑で、招致委員会理事長を務めた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は24日、「ブラックタイディングス(BT)社」と2億円超のコンサルティング契約を結ぶにあたり、大手広告代理店、電通元専務の高橋治之氏が関与しているのではないかとの指摘を否定した。参考人として出席した参院文教科学委員会で松沢成文議員(無所属)の質問に答えた」
http://www.sankei.com/affairs/news/160525/afr1605250005-n1.html
高橋は「ソラシオ汐留」や「ステーキそらしお」のオーナーとしても知られている。
http://www.sorasio.jp/
島地勝彦と仲が良いことでも知られている。
http://nr.nikkeibp.co.jp/hyakunen/20121205/index1.html
https://www.shiseido.co.jp/gb/shiseidomen/salon/chefs_3/01_4/
「コモンズ2」には小学館出身の安田征克も取締役に名を連ねている。ここも高橋とはかかわりが深いことで知られている。
http://commons2.jp/profile.html

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3)【人事】文藝春秋6月16日付役員人事

西川清史
新:取締役副社長 社長補佐(総務局、メディア事業局、宣伝プロモーション局統括)
旧:専務取締役 総務局統括(宣伝プロモーション局、メディア事業局担当)

羽鳥好之
新:執行役員(宣伝プロモーション局担当)
旧:宣伝プロモーション局長

飯沼康司
新:監査役
旧:文藝振興事業局長

鈴木洋嗣
新:執行役員(ノンフィクション編集局、メディア事業局担当)
旧:執行役員(ノンフィクション編集局担当)

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5)【人事】中央公論新社6月1日付役員人事

関知良
新:常務取締役事業戦略局長兼宣伝部長
旧:取締役文芸局長

福士千恵子
新:常務取締役グループ・メディア担当
旧:読売新聞東京本社取締役メディア局長

吉村治
新:取締役営業局長
旧:取締役営業局長兼宣伝部長

斎藤孝
新:取締役雑誌編集主幹兼学芸局中央公論編集部長
旧:学芸局中央公論編集部部長代理・局長待遇

梅粼隆明
新:取締役社長室長・労務・総務・システム担当
旧:総務局長・コンプライアンス担当

山口寿一
新:取締役(非常勤)
旧:読売新聞グループ本社代表取締役経営主幹・東京担当

柴田岳
新:取締役(非常勤)
旧:読売新聞東京本社編集局総務

村岡彰敏
新:監査役(非常勤)
旧:読売新聞グループ本社取締役経理担当

【退任】
小林敬
新:読売日本交響楽団理事長 ※6月8日付
旧:取締役会長

石井一夫
新:読売新聞東京本社取締役事業局長※6月7日付
旧:専務取締役社長室長・労務・総務・システム担当

安部順一
新:読売新聞東京本社執行役員広告局長 ※6月7日付
旧:取締役雑誌編集主幹兼学芸局中央公論編集部長

永原伸
新:日本テレビ放送網取締役執行役員メディア戦略局長※6月29日付
旧:監査役

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6)【組織変更・人事】CCCメディアハウス6月1日付組織変更と人事異動

【組織変更】
第一編集局ペン編集部の内に、国際編集プロジェクトを新設し、メディア・プロモーション局国際・開発部の業務を移管する。

【人事異動】
安藤貴之
新:第一編集局執行役員局長 兼 ペン編集部編集長
旧:第一編集局長 兼 ペン編集部編集長

石澤早苗
新:メディア・プロモーション局執行役員局長 兼 広告第一部長
旧:メディア・プロモーション局長 兼 広告第一部長

江坂健
新:第二編集局執行役員局長 兼デジタル編集部長 兼 販売局デジタルディレクター
旧:第二編集局長 兼 デジタル編集部長 兼 販売局局次長

西村緑
新:メディア・プロモーション局局次長 兼 プロモーション・PR部長
旧:第一編集局フィガロ編集部編集長

上野留美
新:第一編集局フィガロ編集部編集長
旧:第一編集局ペン編集部副編集長

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7)【深夜の誌人語録】

名刺の枠内に収まる人生に満足してはならない。