【文徒】2016年(平成28)5月30日(第4巻98号・通巻785号)

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1)【記事】アマゾンの直取引システム 「e託販売サービス
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.5.30.Shuppanjin

1)【記事】アマゾンの直取引システム 「e託販売サービス

アマゾンの直取引システム 「e託販売サービス」。年間5000万〜8000万円をアマゾンで売り上げている出版社で14年と15年の数値を比べたところ、「未利用」は5.9%アップ、「利用」は11.1%アップしているという 。
しかも、「歩戻しなし」「ジャンル別掛け率なし」「地方格差是正金なし」「在庫保管費なし」「納入手数料なし」で、年会費9000円 を払って正味は 60% 。そのうえで「今日来てもらったお客様にだけ、特別な条件を用意しました。全商品を登録していただければ、特別正味66%にさせていただきます 」と勧誘されれば、 ノーと答えるのは簡単ではない。
たとえ特別正味66%がいつまで保証されるのかわからずとも、アマゾンと再販契約を結ばない限り、その出版物に再販制が及ばず、価格決定権をアマゾンが握ることになろうとも、目先の利益に飢えている出版社が多いのが現状である。「Business Journal」の「アマゾン直取引&『取次外し』で出版社が大幅売上増…取次、無用の長物化で存亡の危機」はアマゾンのセミナーに出席した関係者の声を紹介している。
「…e託のアカウント数(2015年、個人も含む)は3500と12年に比べて15.5%増加し、登録タイトル数も33万5000点(15年)と12年に比べ31.9%増と説明。取次業者の栗田出版販売や太洋社の破綻の後にアカウント登録数が伸びていると明かし、利用出版社が増えていることを強調しました 」
「利用者が増えているのは、(1)すぐに在庫できる(取寄せ発注がなくなるので、搬入リードタイムが速くなり、機会損失を最小限に留められる)、(2)カートを維持できる(e託セントラルという専用ポータルサイトで在庫ステータスを変更できる。出版社には在庫があるのにアマゾンに在庫がないという状況を極力減らすことができる)――というのが理由だそうです 」
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15249.html

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2)【本日の一行情報】

日経BP社とアサヒビールが運営する「カンパネラ」に連載を持つ扶桑社の小林孝延第四編集局長 は次のように光文社の「つくおき本」を絶賛している。
「ブログやインスタグラムで人気を博している作りおきおかずの達人たちによる本、じつは僕の編集部でもつくっていて、『たっきーママの決定版つくりおきおかず180』と『ゆーママの簡単! 冷凍作りおき』(いずれも扶桑社)のどちらも大好評で重版につぐ重版なのですが、なんといってもこのジャンルで今そのトップを走っているのは光文社から発行されているnozomiさんの『つくおき 週末まとめて作り置きレシピ』。
すでに第2弾『もっとつくおき もっとかんたん、もっとおいしい』もリリースされていますが、どちらも近年の料理本にはないくらいのビッグヒットになっています 」
http://business.nikkeibp.co.jp/atclcmp/15/270971/051800023/?P=1

Amazonは、小学館プチコミック」で連載された「はぴまり 〜Happy Marriage !?〜」を原作にした連続ドラマを、Amazonプライム会員向けに提供している見放題・映像配信サービス、Amazonプライム・ビデオにて、6月22日(水)より独占配信する 。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000019084.html

◎「文庫川柳」をご存知か。岩手日報によれば・・・。
盛岡市大通のさわや書店本店の竹内敦店長(47)が始めた、複数の文庫本の題名を五・七・五調に組み合わせて川柳を作る遊び『文庫川柳』が、短文投稿サイトツイッター上で大きな反響を呼んでいる。店内にも川柳の投稿箱を設置しており、竹内店長は『本棚を眺めながら、思う存分発想を膨らませてほしい』と渾身の一句を募っている 」
https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20160525_5
http://morioka.keizai.biz/headline/2106/
「文庫川柳」は紀伊國屋書店グランフロント大阪店 にも飛び火。「週刊ポスト」によれば客が売り場から自由に本を持ってきて川柳を展示する 特設棚を設けた。
http://www.news-postseven.com/archives/20160526_414479.html

◎eBookJapanは、猫のセクシーポーズを集めた写真集「にゃんだふるセクシーグラビにゃ」を無料配信している。これは2月22日の猫の日に実施した「めさぜ! グラビにゃアイドル! セクシーポーズ選手権」で募集したセクシーな猫の写真を電子書籍化したもの 。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/special/st/nyannyannyan.asp
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1605/25/news171.html

講談社は電子BL(ボーイズ・ラブ)雑誌「ハニーミルク」を6月10日に創刊する。 6月3日に一部の電子書店で先行配信する。
http://honeymilk.jp/index.html
TL(ティーンズ・ラブ)も電子書籍で動いている。

◎宝島社は、「MonoMax」(モノマックス)の増刊号として、50代向けモノ雑誌「Mono Master」(モノマスター)を5月25日(水)に発売した。付録は創設から160年以上の歴史を誇る伝統の英国ブランド「Aquascutum」(アクアスキュータム)の多機能ウォレット 。
http://www.oricon.co.jp/pressrelease/26382/

電通リクルートホールディングスは、訪日外国人向けマーケティング領域での協業を開始することで合意した。このコンビは強力だ。
http://www.recruit.jp/news_data/release/2016/0526_16699.html
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0526-008932.html

◎ホームシェアリングサービスの AirbnbとCCCが提携した。
http://japan.cnet.com/news/business/35083327/

◎オープンエイトは、旅をテーマにした大人の女性向け動画マガジン「LeTRONC」(ルトロン) を創刊した。
http://open8.com/newsrelease/160526.html
http://letronc-m.com/

KADOKAWAのガールズポータルサイト「魔法のiらんど」が運営する、女の子の楽しい活動がいっぱいの「魔法のiらんどclub」は、クリエイター系女子が、自身の活動や作品、得意なことなどを発信できる「iクラBLOG」(アイクラ ブログ)のサービスを開始した。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20160526_w6ivb.pdf

セブン&アイ・ホールディングス株主総会で株主からは、鈴木敏文寄りの発言が多く聞かれた。功労者・鈴木会長の追い出し方が許せないという怒りの発言も飛び出している。「内紛」の火種は残ったとみるべきだろう。むろん、火種が噴き出すのはオムニチャネルをめぐってである。井阪社長の力量は、井阪が鈴木康弘をオムニチャネルの担当から外せるかどうかでわかるというものである。
http://www.sankei.com/economy/news/160526/ecn1605260057-n1.html
http://www.sankei.com/economy/news/160526/ecn1605260058-n1.html
http://www.sankei.com/economy/news/160526/ecn1605260059-n1.html
http://www.sankei.com/economy/news/160526/ecn1605260060-n1.html

カトパンこと加藤綾子が「Oggi」(小学館)7月号 に登場し、女性ファッション誌デビューを果たした。
http://www.oricon.co.jp/news/2072365/full/

◎5月27日付日経「不透明さ増す招致疑惑、東京は『汚れた五輪』か」で、編集委員の北川和徳は次のように書く。
「フランスの捜査で東京の票が賄賂で買われたことが裏付けられてしまえば、不正を行う業者と契約した招致委や、それにお墨付きを与えた電通も責任は免れない。『知らなかった』ではすまないのだ。20年東京大会は『汚れた五輪』として国際的にイメージダウンする。そうならないためには、捜査が不発に終わることを祈るしかないのがつらい 」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02797040W6A520C1000000/

◎ブックビヨンド(学研グループ)、西東社、新星出版社、主婦の友社主婦と生活社の実用出版社5社は共同で、 Amazon Kindleストアにて2016年5月27日〜6月9日まで「5社協賛 実用書70%OFFキャンペーン!対象200冊以上!」フェアを実施する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000009949.html
http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=4469532051

文藝春秋は、ジェイムズ・エルロイの「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」「ホワイト・ジャズ」という《暗黒のLA四部作》と、新刊「背信の都」の電子書籍版をリリースした。
この電子書籍化にあわせて、電子書籍オリジナルブックガイド「暗黒小説へようこそ ミステリーのプロが解説する、ジェイムズ・エルロイの世界」を無料で配信している。
https://www.atpress.ne.jp/news/103507

◎delyが運営する女性向け動画メディア「KURASHIRU」(クラシル)の月間再生数が1億回を突破した 。「動画タイアップ広告」の販売も開始した。
http://www.dely.jp/74/

◎「Pen」(CCCメディアハウス )のフランス語版「Pen PARIS」の第2号が刊行された。フランスの新聞『ル・フィガロ』や、日本通のフランス人に人気のジャパニーズカルチャー誌『ZOOM JAPON』に、約4万部を同梱で配布 される。
http://www.pen-online.jp/news/info/penparis-2/

◎学研プラスは「GetNavi」の猫好き編集部員・スタッフが企画・製作した猫ムック「ゲットにゃび」 を刊行した。
http://www.work-master.net/201667361
空前の猫本ブームである。

◎宝島社は、5月28日(土)、ナチュラル系ファッション雑誌「リンネル」と50代女性誌「大人のおしゃれ手帖」の合同イベント「心地よい暮らしフェスタ」を二子玉川ライズで開催 した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000380.000005069.html

◎「GetNaviweb」の「ヨシムラヒロムの一階通信」がぴあを取り上げている。
「会議室にも及川氏のイラストが飾られる。ここで『はじめに遊びがあった』というぴあのスピリッツが炸裂。なんと! 会議室の名前がイラストに描かれた人名で呼ばれるそう」
http://getnavi.jp/life/36244/

佐藤秀峰 が運営する電子書籍取次サービス「電書バト」は「楽天Kobo電子書籍ストア」で2月2日から1カ月間、電子コミック131冊を各11円で販売するキャンペーンセールを実施 したが、売り上げ総額は3億円 を超え、作家が受け取るロイヤリティ額は1位の佐藤秀峰が1億3387万7464円、2位の佐藤智美が1895万6642円と続き、3位が716万1136円、4位が595万3012円 となった。佐藤は次のように書いている。
「1億3387万7464円と言うと、紙書籍で考えた場合、単行本約300万部分の印税額と同じです。1カ月間のロイヤリティ金額としては、控えめに言っても、これまでの電子書籍の常識を打ち破る数字だと言えるのではないでしょうか 」
https://note.mu/shuho_sato/n/n736593947e6c
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1605/27/news116.html

リクルートライフスタイルは、旅行情報誌「じゃらん」の臨時増刊号「じゃらん家族旅行2016」に、旅先をVRバーチャルリアリティー)体験できるスコープ「にゃらんスコープ」を付録とし、360度動画・画像コンテンツを提供している。
http://www.recruit-lifestyle.co.jp/news/travel/nw18092_20160527

又吉直樹の小説「火花」(文藝春秋)が6月3日に台湾で刊行される。
「…台湾版『火花』が発売される同日には、Netflixオリジナルドラマ『火花』が全世界で同時配信される。
今後は中国、韓国、タイなどのアジア各国と欧米諸国向けに翻訳され、世界各地域の書店で発売される予定」
http://www.sankei.com/west/news/160527/wst1605270069-n1.html

ベネッセホールディングスは 3期連続の減収減益 。「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」 も「紙」の出版と同じ課題に直面しているということにほかならない。デジタル教材を選択した場合、iPadなり、専用端末を無料で配るくらいの大胆な戦略を打ち出す必要がある。無理を可能にするのがビジネスの本質だ。無理を無理のまま放置しておくと、横から新たなプレイヤーが出現し、旧来のプレイヤーを市場から放逐する。
http://toyokeizai.net/articles/-/118979

◎生嶋一生の「考える時間の9割はムダ」。なかなか示唆的なタイトルである。生嶋は東京大学大学院工学系研究科システム創成学科在学中である。
http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-11176-6

◎学研プラスの自動車雑誌「ル・ボラン」は創刊40周年を記念してミュージックCDを制作、タイトルは「LE VOLANT CARS MEET MUSIC DISCO DRIVE」で、6月1日より発売する。価格は税別2500円。
http://levolant-boost.com/2016/05/27/12191/

◎「BLENDA」の元編集長 ・水谷司 は、STYLICTION を起業し、20代向けガールズファッションアプリ「itSnap」 をリリースした。
「水谷さんは、時代の変化とともに紙よりもWebやスマートフォンにファッション媒体の需要が移り変わっていくことを強く感じ、『スマホでファッション』を表現したいと思い、itSnap運営会社のSTYLICTION株式会社を起業」
http://rn2btt.radionikkei.jp/topics/001709.html

◎「サンデー毎日」が「スノーデン独占インタビュー」を掲載。日本人ジャーナリストによるインタビューを初めて実現した。インタビュワーは元朝日新聞記者の小笠原みどりだ。何とスノーデンは日本の福生に暮らし、横田基地につとめていた。
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/backnumber/2016/06/12/

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3)【深夜の誌人語録】

破壊なくして成功なし。