【文徒】2018年(平成30)6月1日(第6巻100号・通巻1274号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】〝非海賊版〟無料サイト「漫画ビレッジ」が登場
2)【本日の一行情報】
3)【人事】文藝春秋 6月21日付役員人事
4)【人事】中央公論新社 6月13日付役員人事

                                                                                • 2018.6.1 Shuppanjin

1)【記事】〝非海賊版〟無料サイト「漫画ビレッジ」が登場(岩本太郎)

また新たな漫画の無料サイトが登場。ただし今度は海賊版ではないらしい。ウェブクリエイターの「けんすう」こと古川健介が30日にTwitter上で公開を告知した。「漫画ビレッジ」というのがそのタイトルだ。
試しに覗いてみると一番上にいきなり「NARUTO」が出てきたりするのだが、コンテンツそのものを勝手に載せているのではなく「ジャンプ+」にリンクで飛ぶ形だった。要は正規のコンテンツホルダーが既に開設しているサイトの無料サービスへのリンクを集めたものらしい。当然、そうなると閲覧可能な作品は元サイトが公開しているものに限られて「全話読み放題」といった形にはならず、今のところは本数も限られている。
https://www.manga-village.com/
古川はかつて掲示板の「したらばJBBS」の運営企業で社長を務めたほか、リクルートでも3年ほど新規事業を担当した経歴の持ち主。少し前「note」に「TOKYO INTERNET」という連載も寄稿していた。
今回の「漫画ビレッジ」は《いろいろな漫画が無料でブラウザ読めたら最高だよね!っていうので友達のエンジニアさんに相談したら作ってくれました!》とのこと。
https://twitter.com/kensuu/status/1001638862379147265
https://note.mu/wakusei2nd/m/m7d057537426a
友達のエンジニアというのはフリーエンジニアの遠山晃のようだ。遠山自身も少し遅れて以下のような告知のつぶやきをしていた。
《最近作っていたWebサービスをリリースしました!通称「合法漫画村」です。マンガ好きな人はぜひ使ってみてくださいー。》
https://twitter.com/Vexus2/status/1001634931523518464
さっそくネットメディアがめざとくこれを見つけてレポート。『KAI-YOU』は「漫画村」の〝後継〟と思しき「漫画タウン」がTwitterアカウントで《漫画村のパクリサイトが誕生! でも合法だし見やすいからオススメだよ!》などとツイートしていることも引用しながら《話数が限定されているものの、無料漫画が一覧になっていてリンク先から閲覧できるという点はメリットと言えるのではないだろうか》と評価している。
http://kai-you.net/article/53972
https://twitter.com/mangataun/status/1001655378633867264
『ITMediaNEWS』も「個人が構築 無料漫画のリンク集めた“合法”サイト」と題してレポート。上記のツイートのほかに、直接取材したのか遠山の次のコメントも紹介している。
《私は漫画が大好きで漫画アプリ系もいっぱい使っているんですが、どのアプリでなにが何話まで読めるのか知りたい、アプリ入れずともサクサク読みたいと思って開発しました》
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/30/news126.html
そんな告知効果も表れてか、アクセス数も急速に伸びて行っているらしい。遠山もさらに反響を報告のツイートを続けている。
《漫画ビレッジ、おかげさまで500万PV/month行きそうな勢いでアクセスきてるんですが、インフラ系2500円/monthで余裕で捌けているので、とてもいい時代になったなぁと思いました。》(30日17時43分)
https://twitter.com/Vexus2/status/1001745937969045504
《夜になって想定を遥かに上回るにアクセス来てて、2台じゃ捌ききれないくらいになっている・・・。シリーズコンテンツ拡充とか次の最新話公開がいつを表示とかいつまで無料とかとか、機能拡充やりたかったけど、一旦サイト安定化させるかぁ》(同22時10分)
https://twitter.com/Vexus2/status/1001812992076365824
折しも前々日の28日には「LINEマンガ」が、無料サービスを従来の「1週間に1話」から「23時間に1話ずつ」のチャージ形式に改めるなどの大型リニューアルを7日から実施すると発表した。無論「漫画ビレッジ」もLINEマンガにはリンクしており、こうした正規の無料サービスが内容面でブラッシュアップを重ねていけば、当然その影響も及ぶことになろう。
https://www.jiji.com/jc/article?k=000001103.000001594&g=prt
http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/59046/

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎『現代ビジネス』での魚住昭による連載「大衆は神である」第3回目は「エリートの階段に乗り遅れた男が、沖縄から上京して見た夢」と題して、いよいよ講談社の創業者・野間清治の生涯へと入っていく。
《群馬の尋常師範学校をビリから3番目の成績で卒業し、臨時教員養成所を経て、沖縄県立中学の国語教師に派遣され》た野間が、やがていかにして岩波茂雄や滝田哲太郎、正力松太郎といった、日本の大衆メディアの草創期を担った巨人たちとも並びうる存在になっていったのか。今回は沖縄時代の野間が友人に宛てた手紙や、その野間に中学時代に生徒として教わったあの徳田球一が『獄中十八年』(講談社文芸文庫)の中で述べた〝野間像〟などの引用も交えながら彼の人となりに迫っている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55801

◎『日刊ゲンダイ』の連載「喜怒哀楽のサラリーマン時代」では、かつて『女性セブン』の記者や『週刊女性』編集部などを経てテレビの芸能リポーターとして活躍した石川敏男へのインタビューが進行中。週刊誌時代の思い出に触れた第2回目ではこんなエピソードも披露。
《「その頃(引用注:『週刊女性』時代)に知り合ったのが、梨元勝さん。当時、彼は講談社の『ヤングレディ』の記者をしていて、以来、40年来の親友であり、ライバルでした。87年に郷ひろみ二谷友里恵と結婚するのですが、そのことを梨元さんに内緒で話したら、週刊誌の発売される前日に梨元さんが友里恵パパの二谷英明さんに突撃し、出演していたテレビのワイドショーで放送されたこともあった。でも、彼が8年前に亡くなった時は、おそらく僕が最後の見舞客だったろうし、葬儀委員長も務めさせていただきました》
篠山紀信南沙織の結婚では、「週刊平凡」に石川さんが取材した内容と酷似する記事が掲載されたこともある
「僕が箱崎IC付近で南さんをつかまえて聞いた話の内容が、そっくりそのまま『週刊平凡』に載っていたのです。印刷所が同じだったから、記事を盗み見されたのでしょうね。最近、『週刊新潮』が発売前の中吊り広告を勝手に入手していたとして『週刊文春』に抗議してましたが、昔はこんな話はよくあったことなんですよ」》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/230068

◎その『日刊ゲンダイ』ではライターの大西桃子が出版界のギャラ未払いの実例などをレポートする週1連載「ザ・未払い 私のギャラはどうなった?」も続行中。去る29日付の第11回目では大西自身が遭遇した、書籍の原稿料19万円を未払いのまま国税庁の査察を受けて倒産した編集プロダクションでの事例について、元社員による証言をもとに同社の内情に切り込んでいる。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/229987

クラウドソーシングサイト運営大手のランサーズが、フリーランスのためのクレジットカードを、そのフリーランス自身と共同開発するプロジェクトを始めた。まずは先月末よりカードデザインなどに参加するフリーランスの募集(最大10名)がスタート。
https://www.lancers.co.jp/news/pr/15125/
ちなみにフリーランスライターである私(岩本)は現在クレジットカードを持っていないが、3月に渋谷で開催された「町の書店」に関する某トークイベント(参加費は500円)に出席しようとしたところクレジットカードの保持者以外は予約ができないシステムだったため、会場まで直接行ったものの受付で「現金のお取り扱いはしていません」とワンコインでの支払いもできずに参加を断られたものだった。この先クレジットカードを入手したら町の書店なんかに買い物に行くの止めてやろうかと一瞬思った次第だ。

◎『MORE』公式サイト「DAILY MORE」が28日にリニューアル。既にユーザー
の約9割がスマホ経由になっていることなどを鑑み、導線を縦スクロールに変更するなどのUI改善を行ったほか、インフルエンサー集団「モアハピ部」の人員増なども行っている。
https://more.hpplus.jp/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000011454.html

ニトリホールディングス上席執行役員の田岡敬が「第一線で活躍するビジネスパーソン」へのインタビュー連載を『Agenda note』でスタート。第1回目にはTwitter日本法人代表の笹本裕が登場し、まだナローバンド時代だった1990年代後半にリクルートで電子メディア事業の立ち上げ(エイビーロードのインターネット版)などを担当した時代に遡って語り始めている。
https://agenda-note.com/career/detail/id=195
https://agenda-note.com/career/detail/id=201

◎先日も紹介した沖縄防衛局職員による『お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない!「軍用地投資」入門』(すばる舎より4月刊)について、地元紙の琉球新報は社説で「問題の本質は無断出版ではない」としつつ、次のように批判。
《米軍基地が返還されて跡地利用が進めば、税収も雇用も増えることは、那覇新都心北谷町の西海岸エリアなど目に見える形で現れている。にもかかわらず軍用地は「安定的で長期的な収入が見込める」とうたい、「リスクは基地返還」などとして、あたかも米軍基地が沖縄に多大な経済的なメリットを生んでいると強調している。(略)戦後、米軍に強制的に土地を奪われ、対価としてわずかな地料が設定された。復帰後は政府による米軍基地維持政策の一環とされた。それが金融商品と化し、さらに基地被害を受けない県外在住者の投機対象となっている現状は、基地経済の「ひずみ」の一つだ。投資目的の地主の増加が今後の返還跡地の開発に悪影響を与えることも懸念される》
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-727900.html

秋葉原万世橋近くに「怪文書自動販売機」なるものが設置されているらしい。飲料など普通の自販機が20台ほど並ぶコーナーで2014年10月頃から販売を始めているそうで、値段は1品につき490円。『おたくま経済新聞』が現地を訪ねて実際に怪文書(?)を購入しつつレポートしている。
http://otakei.otakuma.net/archives/2018052805.html

◎埼玉県朝霞市の書店「CHIENOWA BOOK STORE」では5月21日からフェミニズムの本のフェア(FEMINISM FOR EVERYBODY)を開催。『ハフポスト日本版』が「フェミニズムの本は売れない?」と題してレポートしている。同店では
本1冊または文具や雑貨を1点購入するごとに1円を朝霞市の児童館に寄付する「1Book for Asaka」という地域振興プロジェクトも実施中とのこと。
https://twitter.com/CHIENOWABOOK/status/998487185157341184
https://www.huffingtonpost.jp/reiko-hidani/book-20180528_a_23442221/

鳥取県米子市に本拠を置く今井書店グループは、雑貨などを扱う傘下企業の「まちラボ」を通じて食品販売に本格参入する。東京都羽村市で食品スーパー「福島屋」を運営する企業「ユナイト」と業務提携のうえ、まちラボの直営で、雑貨などの小売りとカフェを併設した新業態店「SHIMATORI」の一角に福島屋の商品を販売するコーナーを開設するそうだ。SHIMATORIは今年4月に今井書店米子市内で運営する「本の学校今井ブックセンター」内に1号店を開業している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31159640Q8A530C1LC0000/

京都市内の書店・誠光社で店主を務める堀部篤史毎日新聞のコラム「このごろ通信」で書いているところによると、同店には最近外国、特に台湾や韓国、中国などのアジア圏の観光客が多くなり、村上春樹宮沢賢治の本(もちろん日本語)を買い求めて行ったりするらしい。先日には台湾生まれの小説家である温又柔によるブックトークイベントも開催したそうだ。
http://mainichi.jp/articles/20180528/dde/014/070/004000c

◎福岡県行橋市は28日、「観光・イベント」「移住・定住」「農産物・水産物の開発・高付加価値化」の3分野に関して電通九州との間で包括的業務提携を締結した。同市が取り組むビーチサッカーやビーチバレー大会の全国PRに向けて連携していくという。電通九州が九州の自治体との協定を結ぶのはこれが初めてとのこと。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_kitakyushu_keichiku/article/420191/
https://mainichi.jp/articles/20180529/ddl/k40/010/471000c

◎TBSではソーシャルメディアを活用した新しい報道番組「Dooo(ドゥー)」が5日からスタート。各界で活躍するゲストとの対談を軸にスマートフォンSNS向けに最適化した形でニュースを届けるという。番組MCには地域活性化を目的としたイベントを展開するウェブサイト「ジモコロ」やウェブマガジン『BAMP』の編集長を務める徳谷柿次郎などを起用する。5日の初回ゲストには鴎来堂代表、「かもめブックス」オーナーの柳下恭平をゲストに迎えて「本屋の閉店相次ぐ 本の未来は?」をテーマに放送するそうだ。
http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cfettp01805304371.html

◎「ゲーテ・インスティトゥート東京」(東京ドイツ文化センター、東京青山 )で『1968年-転換のとき:抵抗のアクチュアリティについて』が開催中だ。
「激動の1968年から半世紀がったった今日、私たちはどこに立っているのでしょうか。2018年5月、シンポジウム、展示、ワークショップ、16本の映画シリーズ上映、有名アーティストによるライブ・パフォーマンスやトークを通じて、この50年の社会政治的展開をクリティカルに考察します。 」
日独の1968とその後の50年を対照させようという連続イベントだ。
本日(6月1日)は、佐々木美智子(ゴールデン街「ひしょう」のおミッちゃん=秋田明大の昔の恋人)のフィルム上映とトークイベント出演がある。
6月3日に上映される足立正生『性遊戯』(1968年)に出演しているガイラ(小水一男)は、北野武主演のサンカ映画『ほしをつぐもの』を撮っている。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/zei.html

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3)【人事】文藝春秋 6月21日付役員人事

6月21日開催の株主総会、取締役会を以て正式決定される。

中部 嘉人
新:代表取締役社長(経営企画室担当)
旧:常務取締役 宣伝プロモーション局統括(経理局、経営企画室、宣伝プロモーション局担当)

古田 維
新:専務取締役 社業全般、社長補佐(経理局担当)
旧:常務取締役 経理局、経営企画室、資材製作局統括

飯窪 成幸
新:常務取締役 編集総務局、文春文庫局、文藝出版局統括(ノンフィクション編集局、週刊文春編集局担当)
旧:取締役(文藝出版局、(文藝振興事業部、出版総務部)、文春文庫局担当)

石井 潤一郎
新:常務取締役 総務局、ナンバー・クレア局、メディア事業局統括(デジタル・メディア局担当)
旧:取締役(ナンバー・クレア局、デジタル・メディア局担当)

茺 宏行
新:取締役 営業局、宣伝プロモーション局統括(資材製作局担当)
旧:取締役 営業局、宣伝プロモーション局統括(資材製作局担当)

内田 博人
新:執行役員(総務局担当)
旧:執行役員(総務局担当)

鈴木 洋嗣
新:執行役員(編集総務局、宣伝プロモーション局担当)
旧:執行役員(編集総務局、宣伝プロモーション局担当)

山本 喜由
新:執行役員(営業局担当)
旧:執行役員(営業局担当)

蛺鳥 好之
新:執行役員(メディア事業局担当)
旧:執行役員(メディア事業局担当)

大川 繁樹
新:執行役員(文春文庫局、文藝出版局担当)
旧:文藝出版局長(第二文藝部担当)

河野 一郎
新:執行役員(法務・広報部、ナンバー・クレア局担当)
旧:総務局長(法務・広報部担当)

飯沼 康司
新:監査役
旧:監査役

〈退任〉(カッコ内は旧職)
松井 清人代表取締役社長)
西川 清史(取締役副社長)
木俣 正剛(常務取締役)

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4)【人事】中央公論新社 6月13日付役員人事

松田 陽三
新:代表取締役社長
旧:読売新聞東京本社常務取締役広告担当

関 知良
新:常務取締役書籍編集局長
旧:常務取締役事業戦略局長 兼 文芸局長

梅崎 隆明
新:常務取締役社長室長・労務・総務・システム担当
旧:取締役社長室長・労務・総務・システム担当

吉村 治
新:取締役営業局長 兼 営業管理部長
旧:取締役営業局長 兼 営業管理部長

三木 哲男
新:取締役雑誌・事業局長
旧:学芸局長

渡辺 恒雄
新:取締役(非常勤)
旧:取締役(非常勤)

白石 興二郎
新:取締役(非常勤)
旧:取締役(非常勤)

山口 寿一
新:取締役(非常勤)
旧:取締役(非常勤)

前木 理一郎
新:取締役(非常勤)
旧:読売新聞東京本社編集局総務 兼 政治部長

村岡 彰敏
新:監査役(非常勤)
旧:監査役(非常勤)

〈退任〉(カッコ内は旧職)
大橋 善光(代表取締役社長)
※6月22日付で読売テレビ放送代表取締役副社長に就任予定
斎藤 孝光(取締役雑誌編集主幹 兼 学芸局中央公論編集部長)
※6月1日付で読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員兼読売新聞グループ本社社長室次長に就任