【文徒】2018年(平成30)5月31日(第6巻99号・通巻1273号)

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1)【記事】アマゾンと「国家」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】アマゾンと「国家」

NHKの報道番組「クローズアップ現代+」でアマゾンが取り上げられたと「KAI-YOU.net」は報じているが、そのなかで次のように書いている。
「凄まじい勢いで規模を拡大してきたAmazonだが、一方でアメリカではAmazonの強い影響によって、去年だけで7000近い小売店舗が廃業になったとされている。小売業の壊滅的な状況を受けて、トランプ大統領Amazonを名指しで批判し、対決姿勢を強めている」
http://kai-you.net/article/53937
米アマゾンはパトリシア・コーンウェルの新作小説を独占配信するという。「フォーブスジャパン」は次のように書いている。日本でも小説やマンガの独占配信を必ず仕掛けて来るのではないだろうか。
検屍官シリーズで知られる米国のベストセラー作家、パトリシア・コーンウェルの新作小説が、アマゾンの書籍出版部門『アマゾンパブリッシング』から独占配信されることが明らかになった。
これはネットフリックスにならい、オリジナルコンテンツの拡充を目指すアマゾンが、ついに出版界にそのトレンドを取り入れた画期的動きだ」
https://forbesjapan.com/articles/detail/21338
アマゾンはクラウド最大手でもある。日経は5月30日付で「スタートアップ集まれ アマゾンが狙う『経済圏』」を掲載している。
「米アマゾン・ドット・コムが日本のスタートアップ企業にクラウドサービスを広げる。10月、JR目黒駅近くに専門の支援拠点を設け、人工知能(AI)などの新技術を導入しやすくする。支援拠点は本拠を置く米国以外では日本が初めて。クラウド最大手の同社はこれまで主に大手企業向けにビジネスを展開してきたが、スタートアップを巻き込み、経済圏を広げる」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31141300Q8A530C1TJC000/
アマゾンはある種の「国家」を志向しているとさえ言えるのかもしれない。現実の「国家」との摩擦は増えることになるのではないか。日本でもアマゾンは日米租税条約を盾にして法人税を納税していない。

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2)【本日の一行情報】

文藝春秋は中部嘉人常務を代表取締役社長に、古田維常務取締役を専務取締役に、飯窪成幸、石井潤一郎の両取締役を常務取締役に6月21日付で昇格させる人事を内定した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3114959030052018000000/
https://www.sankei.com/life/news/180530/lif1805300043-n1.html
https://mainichi.jp/articles/20180531/k00/00m/040/041000c

◎2017 年7〜12 月のABC公査において「VERY」の販売部数に誤りがあったことがわかった。VERYバッグ in サイズ 2 月号(11/7発売)とVERYバッグ in サイズ 1 月号(12/7発売)の2号分の販売部数を、光文社が申告漏れしたことによる。
誤 126,193 部→正 135,041 部

ベネリックは、仙台パルコ 本館8Fに、集英社オフィシャルショップ「JUMP SHOP 仙台店」を6月29日(金)にオープンする。
http://www.shonenjump.com/j/jumpshop/camp_shop_sendai/

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所によって毎年発表されている「メディア定点調査」。これによればメディア総接触時間は過去最高の396.0分(1日あたり/週平均)。昨年より18.0分の増加。内訳を見てみると「携帯電話/スマートフォン」(12.9分増)、「パソコン」(7.3分増)、「タブレット端末」(4.9分増)とデジタルメディアの増加が大きく、「雑誌」(0.4分増)を除くマスメディアは減少している。
ここで着目すべきは微増ながらも「雑誌」が接触時間を増やしていることだ。「雑誌」は暇つぶしの読み捨てメディアではなくなりつつあるのだ。
またデジタルメディア(「パソコン」「携帯電話/スマートフォン」「タブレット端末」の合計)が全体に占めるシェアは50.4%となり、調査開始以来、初めて過半数に達した。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/05/HDYmpnews20180528.pdf

◎作業用手袋の総合メーカーである東和コーポレーションは、作業用手袋「トワロン」が50周年を迎えることを記念し、同じく連載開始50周年を迎える「あしたのジョー」とタッグを組み、特別限定仕様の「トワロン×あしたのジョー」を全国のホームセンター・ワークショップで6月1日より1年間の期間限定で発売する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000174578/
ぴあから刊行されている「あしたのジョーCOMPLETE DVD BOOK」は現在3巻まで刊行されているのだが、これが良いのよ。いずれにしても泪橋を逆に渡るというテーゼは私も共有している。
http://corporate.pia.jp/news/detail_50complete_dvd_book_13.html

◎「週刊少年マガジン」(講談社)に連載されている「七つの大罪」がパチンコ化された。
https://yugi-nippon.com/pachinko-new-machine/post-19548/

◎「週刊少年サンデー」(小学館)に連載され、今年で生誕40周年を迎える「うる星やつら」とサンキューマートの390円グッズがコラボする。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000002319.html

◎AFPが伝えるところによれば大坂なおみ男性誌「GQ」で「テニス界で最もクールな存在」と評されたそうだ。
http://www.afpbb.com/articles/-/3176379

◎こう書かれれば著者も嬉しいだろう。白井聡の「国体論──菊と星条旗」(集英社新書)について書評するにあたって松本裕喜はこう書き起こしている。
「『国体』という言葉には思い出がある。もう30年も前の話だが、『戦後史』をテーマにした事典の項目選定の編集会議で、鶴見俊輔さんが『終戦の決定に際してあれだけ論議された『国体』はどこへ行ったか』と提起され、自身その項目を執筆された。そこで鶴見さんは、『国体とは何か。それは戦後史のなかでどこへ行ったのか。それらは、戦後史のなかでさらに問いつづけられる必要がある』と書かれている」
http://webronza.asahi.com/culture/articles/2018051800003.html
私が白井の「国体論──菊と星条旗」を読んで思ったのは、加藤典洋との違いということだ。白井には「地べた」がないのではないかと。もっと言っちまえば白井と加藤とは「政治と文学」の対立を孕むものではないかということである。

高野ひと深の「私の少年」が発表媒体を「月刊アクション」(双葉社)から「ヤングマガジン」(講談社)に変えることになった。5月28日発売「ヤングマガジン」26号には巻頭カラー52ページで初登場を果たした。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw3549592
高野自身が次のようにツイートしている。
「【告知】本日28日発売ヤングマガジン26号『私の少年』19話52ページ掲載して頂いております。4巻からの続きのお話となっておりますので、続きがきになる?という方おりましたらぜひ!巻頭カラーは単行本ではモノクロになってしまうのでよかったら…!佐野ひなこさんの絹のようなお肌が目じるしです」
https://twitter.com/tknht3/status/1001102300419538945

小島慶子「幸せな結婚」(新潮社)の刊行記念トークイベントとして小島慶子×武田砂鉄「これからの夫婦の形」が6月25日(月)19:00〜20:30(開場18:30)より、la kagu(ラカグ)2F レクチャースペースsokoで開催される。この組み合わせは「いいね」だ。
http://www.shinchosha.co.jp/news/article/1230/
小島の小説家としての実力は「わたしの神様」(幻冬舎)や「ホライズン」(文藝春秋)で証明済みである。小島はこんなツイートをしている。
「我が家も夫は息子たちが0歳の時から密接に関わっており、息子たちが15歳と12歳の現在に至るまで父子の繋がりは実に深いものがあります。母子も父子もそれぞれに関係を深めることができると実感しているため、男はママには敵わない説は迷信に一票」
https://twitter.com/account_kkojima/status/1001047495630188546

◎仏の「フィガロ」オーナーであるセルジュ・ダッソーが93歳で死去。戦闘機ラファールを製造する兵器メーカーのトップだ。
「…保守派政治家として上院議員やパリ南郊にあるコルベイユエソンヌ(Corbeil-Essonnes)市の市長も務めたが、脱税や票買収疑惑といったスキャンダルにも見舞われた」(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3176335

◎「PRESIDENT Online」で夏野剛は次のような認識を明らかにしている。
「テレビとネットはとかく反目し合うライバルのように言われることが多いのですが、実は共依存の関係になっている部分も多々あります。踏み込んだ発言をすると、テレビはすでに、壮大なネット文化の中の一部として取り込まれてしまったのかもしれません」
http://president.jp/articles/-/25210

◎何も「ぴあ」に限ったことではあるまい。ぴあの矢内廣社長がラジオ番組「企業の遺伝子」で次のように語ったという。
「機能性だけだと無味乾燥にも映るわけです。だから機能性とは全然関係なく、情緒性を一緒にセットすることによって、ぴあワールドができあがるはずだと思ったんですよね」
http://diamond.jp/articles/-/169555
「情緒性」こそが「らしさ」を培い、鍛えるのだ。最近の雑誌を見ていると、「情緒性」を失っているものが多いんだよね。これじゃあ人から利用(=消費)されることはあっても好かれはしない。

◎宝島社の40代向け女性ファッション誌「GLOW」8月号(6月28日発売)の付録は、「DEAN & DELUCA(ディーン&デルーカ)」の保冷バッグ3点と保冷剤1点の「保冷4点セット」。まさに鉄板付録である。昨年は発売から1週間で約50万部が完売しているのだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000682.000005069.html
「GLOW」が力を入れるのは付録だけではない。7月号から「稲垣吾郎の『大人男子ライフ』」の連載を開始した。
https://www.oricon.co.jp/news/2112484/full/

朝日新聞社は2018年3月期決算を発表した。連結売上高は前期比2・9%減の3894億円。減収は6年連続となった。最終利益は35・9%増の120億円。2年連続の増益である。
http://www.asahi.com/shimbun/company/short_financial_result_032018a.pdf

◎総合広告電通賞はNTTドコモに決まった。NTTドコモの受賞は初。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018060-0529.pdf
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/71LIST.pdf

有川浩の「旅猫リポート」(講談社)が実写映画化される。
http://tabineko-movie.jp/

◎トレードマークの狐のお面と歌唱力を武器に動画投稿サイトの「歌ってみた」カテゴリで人気が急上昇しているシンガー・ソングライター 伊東歌詞太郎にとって初の小説となる「家庭教室」の売行が好調のようだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004586.000007006.html

auが「Netflixプラン」を提供する。5分間の通話定額「スーパーカケホ」と組み合わせると、月額料金が初年度5500円?という価格設定に収まる。
https://jp.techcrunch.com/2018/05/29/engadget-au-netflix/
https://japan.cnet.com/article/35119914/

◎「幻冬舎大学」と「Reader Store」のコラボ企画として、原田マハを迎えて、特別講座「原田マハが迫る!新たなゴッホの人間像とは!?」を6月22日(金)に開催するが、「Reader Store」は初回購入特典の講座参加券付きで、特別小冊子を収録した限定版「ゴッホのあしあと」を、「Reader Store」にて独占配信する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000286.000006388.html

◎「月刊バーズ」(幻冬舎コミックス)が6月30日発売8月号をもって休刊する。
https://natalie.mu/comic/news/284242

集英社の女性向け漫画誌「YOU」が10月15日発売11月号をもって休刊する。創刊38年目の休刊である。
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/05/30/0011306921.shtml

集英社は「週刊少年ジャンプ編集部」名義で「お詫びと訂正」を発表した。
「本誌連載中『銀魂』に登場する『天元教』(24号、25号)ならびに『天阮教』(26号)は、創作上の架空の宗教であり、実在する宗教法人天元教』とは一切関係ありません。ご迷惑をおかけした団体ならびに関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。今後は、作中の同名称を変更させていただきます。読者の皆様には、ご理解を賜りますようお願い申し上げます」
https://www.shonenjump.com/j/2018/05/28/20180528_oshirase001.html

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3)【深夜の誌人語録】

追い込むのではなく解き放つのである。