【文徒】2018年(平成30)2月20日(第6巻31号・通巻1205号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】時事通信金子兜太死去」と訃報するも、1時間後に削除して「誤報」を謝罪
2)【本日の一行情報】
3)【御礼】「岩本太郎『炎上!一〇〇円ライター始末記』出版を祝う会」

                                                                                • 2018.2.20 Shuppanjin

1)【記事】時事通信金子兜太死去」と訃報するも、1時間後に削除して「誤報」を謝罪(岩本太郎)

時事通信が19日の朝7時前、「戦後の現代俳句をリードした俳人文化功労者金子兜太さんが死去した。98歳だった」と速報。ところがこの「訃報」が「誤報」だったことから、約1時間後に取り消すというトラブルが発生した。産経新聞が次のように伝えている。
《同社(時事)によると、同日午前6時44分、契約社向けに速報し、6分後に5行程度の記事を配信した。しかし、午前7時55分に契約社向けに「事実関係に誤りがありましたため記事を削除します」と連絡し、午前8時半ごろには「金子兜太さんが死去したとの情報は誤りでした」と速報を訂正した。誤報記事は同社の公式サイトなどにも掲載され、削除の措置が取られた。
 記事は関係者からの情報に基づくものだったが、事実関係の確認が不足していたという》
http://www.sankei.com/life/news/180219/lif1802190024-n1.html
各紙の取材に対し、時事通信は同日午前までに境克彦編集局長名で陳謝のコメントを出した。
《誤った記事を配信し、金子様、ご家族をはじめ、関係者、読者の皆さまに多大なご迷惑をお掛けしたことを深くおわびします。事実関係の確認が不十分でした。この間の経緯に関しては厳重に調査した上で、再発防止に努めます》
https://www.asahi.com/articles/ASL2M3QBWL2MUZVL004.html
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20180219-OYT1T50047.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018021900437&g=soc
https://twitter.com/jijicom/status/965409361722933248
上記の記事のもある通り、誤報となった訃報は時事通信のニュースサイトのほか、一部のニュースサイトでも流れた。無論そちらも現在では削除されているが、時事が訂正するまでの約1時間半の間、Twitter上では速報を鵜?みにして《逝去の報。ご冥福をお祈り致します》などと追悼しながらRTしてしまったユーザーも少なからずいたようだ。また、記事が削除された後もネットニュース上にしばらく残っていたほか、訂正記事やお詫びが出るまで更に時間がかかったこともあってか、困惑の様子を呟くツイートがいくつも見られた。
金子兜太さん逝去の報。ご冥福をお祈り致します。》
https://twitter.com/kirakirast/status/965356615737098240
金子兜太が亡くなったのか? Webニュースの見出しは存在するが、本文が無いんだよ。》
https://twitter.com/prepared_mind/status/965367858770321409
金子兜太さん亡くなったというの誤報くさいのだけど、誤報なら記事を削除するだけじゃだめでしょう、ちゃんと訂正記事を出さないと。本当はどうなのかわからないじゃないか。》
https://twitter.com/pakiene/status/965375319145299968
金子兜太先生が!…と朝からどんよりしていたら、誤報でござった。良かった、よかった…じゃないよ時事通信!》
https://twitter.com/raizou5th/status/965403380523741185
《存命中の人を勝手に殺すなんて、八名信夫の件といいこれはまずいミスですね。》
https://twitter.com/highlandrail/status/965417955990192128
金子兜太先生殺さんでくれ、、》
https://twitter.com/URURING18/status/965421054574305280
《こんな誤報は驚きだ。金子兜太さんはかつて仕事でお世話になった大切なお客様。熊谷や秩父のお宅によく伺ったことがある。》
https://twitter.com/JF204/status/965418338586312704
俳人を廃人扱いか?》
https://twitter.com/com_ts1208/status/965436978165460993
金子といえば近年では例の国会前デモなどでも使われたプラカードの「アベ政治を許さない」を揮毫したことでもしられるだけに、やはりこうした突っ込みのツイートも出てきている。
金子兜太時事通信を許さない」
(と揮毫してほしい)》
https://twitter.com/furaibou21/status/965410330384871424
当然、俳人たちなどからはこうした批判のツイートも。
《俳句をやっている人や、やっていたことのある人で、金子兜太さんを知らない人はいない筈です。俳句番組での稲畑汀子さんとの議論は、お約束のようなものでした。1919年生まれなので、今年で白寿ですね。誤報とは失礼な。私も長らく俳句から離れているけど、いつか必ず再開したいと思っています。》
https://twitter.com/karintyann/status/965413128946110464
もとより98歳という高齢ゆえ、もともと金子の健康を案じていた向きは多かったことだろう。そんなわけで背景を詮索するツイートも上がっている。
《これは、関係先からの連絡を鵜呑みにして流してしまったのか。親族が虚偽でやったはずもないし。》
https://twitter.com/yujisan9/status/965429244271603712
朝日新聞の俳壇選者をしばらくお休みしているので、そういう勘繰りから来たのかなあ》
https://twitter.com/ashke66/status/965413135271174149
ジャーナリストの石井孝明は、時事が「関係者からの情報に基づくもの」とした誤報の出所を、具体的名を挙げながら推察していた。もちろん真偽は不明。
《ありゃりゃ。けど平社員で日銀をやめさせられるとき、取材に来たのは、私の師匠の師匠だった藤原作弥さん(時事の当時日銀キャップ)一人だったとエッセイに金子さんは書いてた。その筋か…》
https://twitter.com/ishiitakaaki/status/965421057157955584

                                                                                                          • -

2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎作家の如月真弘が自身の著書『山本五十子の決断2』(ファンタジア文庫)の発売に際して、Twitterのプロモツイート機能を使って宣伝したところ、カバーイラストが「成人向け」と判断されて広告出稿が中断。これを不服とした如月が解除を求めて東京スクエアガーデンにあるTwitter Japanの本社に出向いたところ、同社の高齢と見られる社員が冷たいロビーの床に「そうすることになっています」と終始ひざまずいて対応したことなどに「腸が煮えくり返りました」とツイートし、ますます炎上。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1802/14/news141.html#utm_term=share_sp

NTTドコモで「dマガジン」の運営を担当する伊藤元基(コンシューマビジネス推進部 デジタルコンテンツサービス 書籍ビジネス担当課長)が『サイゾーpremium』のインタビューに応えて、契約者数が363万人(昨年3月時点の数字)という規模にまで達した背景について語っている。
《dマガジンでは、雑誌を立ち読みで済ませるようなライトユーザーを主なターゲットにしていました。そのため、立ち読みがリアルのチャネルから電子に移ったとしても、紙の売り上げへの影響は少ない、というのが我々の見立てでした。また、『しっかり雑誌を読みたい方や、コレクションの観点で買われている方は、立ち読みをした後に紙の雑誌を購入するはずです』ともお伝えしました》
《我々の強みは、2400店舗のドコモショップのチャネルと、7500万強のドコモユーザーの会員規模。『気軽に雑誌を読みたい』という志向を持つ方々がサービスに加入しやすい環境を持っていたことが、会員数増加のひとつの要因だったと思います》
http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2018/02/post_8209/

◎1974年の創刊以来40年以上の歴史を誇る老舗健康雑誌『壮快』編集部を『女性セブン』が取材。編集長の安藤伸剛ら8人のスタッフが部内でバランスホールに腰かけたり、自分で実際に健康食品を食したりしながら特集記事を作成している様子をレポートしている。安藤は編集部が誌面作りにおいて最も拘っているのは「体験談」だなどと述べつつ、裏付けのない健康情報が垂れ流し状態で出回る最近の健康ブームに疑問を提示している。
https://www.news-postseven.com/archives/20180217_652423.html

◎北海道の北見市立中央図書館が、置いてほしい雑誌を利用者の投票で決めるイベントを「雑誌総選挙」と銘打ってこのほど始めたそうだ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/164993

江川紹子が平昌五輪での羽生結弦宇野昌磨の金銀メダル獲得を伝えるテレビ報道について、
《テレビの人へ。「日本人スゴイ!」じゃなくて、「羽生選手すごい! 宇野選手すごい!」だから。》と16日付のツイートでたしなめたところ、《日本人が凄いと気にくわないんですか?》《どうして江川さんがこうまで日本を忘れたいのかさっぱりわからない》などの返信が殺到し、炎上。
https://twitter.com/amneris84/status/964380640970883073
http://getnews.jp/archives/2017431

◎4年前の朝日新聞における「吉田清治証言」取り消しと「吉田調書」誤報という、“W吉田誤報”の責任をとって社長を辞職した木村伊量が『文藝春秋』2月号で当時のことを振り返りつつ綴った手記が『文春オンライン』にアップされた。
http://bunshun.jp/articles/-/6111

◎KKベストセラーズが「廃業支援」などを行うコンサルティング会社に身売りされた一件について、16日発売の『週刊現代』がレポート。33歳の新社長は組合との団体交渉の場で「出版事業には興味がない」「コンテンツの切り売りを進めていく」などと語ったそうだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54482

ベネトングループのエグゼクティブ・プレジデントに、6年前に引退していた創業者のルチアーノ・ベネトンが復帰。広告ディレクターとして再登板したオリビエーロ・トスカーニによる2018年春夏キャンペーンのビジュアルも先日公表された。往年の「血まみれ赤ちゃん」や死刑囚の写真などを素材に用いた広告路線も、やがて再び復活するのだろうか。
http://www.afpbb.com/articles/modepress/3161825
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000031122.html

◎CCCは蔦屋書店やTSUTAYAにおいてAirbnbの鍵受け渡し代行サービスを開始した。
https://airstair.jp/ccc-airbnb/

ローソンHMVエンタテイメントは、HMVでは初の小型書店「hmv BOOK store ミーツ国分寺」を4月7日にオープンする。
https://www.musicman-net.com/artist/73461

岩手日報社は地元出身の大谷翔平の軌跡を写真や記事でまとめた『大谷翔平 挑戦』を15日に岩手県内で発売した。全国での販売は27日からだという。
https://reut.rs/2sACDoo
http://books.iwate-np.co.jp/shopdetail/000000000101/

                                                                                                          • -

3)【御礼】「岩本太郎『炎上!一〇〇円ライター始末記』出版を祝う会」(岩本太郎)

一昨日18日(日)午後、東京・阿佐ヶ谷ロフトAでの拙著『炎上!一〇〇円ライター始末記 マスコミ業界誌裏道渡世』の出版を祝う会には70名以上の方々のご出席を賜り、また多くの皆様より心の籠ったお祝いを頂戴いたしました。本当にありがとうございました。
まずは取り急ぎご報告を兼ねて、小生のブログにて当日の会場の様子を撮影した写真(『出版人・広告人』に毎号ご寄稿をいただいているジャーナリストの堀鉄彦様に多くの写真を撮っていただきました)を掲載いたしましたのでご覧いただけると幸いです。
http://air.ap.teacup.com/taroimo/1925.html
本書は今月末には書店店頭に並ぶ見込みです。引き続き何卒宜しくご支援のほどをお願い申し上げます。