【文徒】2016年(平成28)3月30日(第4巻59号・通巻746号)
Index------------------------------------------------------
1)【記事】セブン&アイの世襲経営にモノ言う株主が反対を表明する!
2)【本日の一行情報】
3)【人事】4月1日付扶桑社人事異動
4)【人事】4月1日付中央公論新社人事
5)【人事】4月1日付実業之日本社人事
6)【深夜の誌人語録】
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- 2016.3.30.Shuppanjin
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1)【記事】セブン&アイの世襲経営にモノ言う株主が反対を表明する!
共同通信の配信記事だが、産経ニュースは「セブン&アイに『世襲経営しないで』と注文 米ファンドが取締役に書簡送りけん制」を掲載している。
「セブン&アイ・ホールディングスの大株主である米ヘッジファンドが、鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)の後継者を世襲で選ばないよう求める書簡をセブン&アイの取締役に送ったことが28日、分かった」
http://www.sankei.com/economy/news/160328/ecn1603280011-n1.html
この米ヘッジファンドとはサードポイントのことである。サードポイントは株価が割安な企業に投資し、経営改革を迫って株価引き上げを狙う「もの言う株主」として知られている。昨秋、既にロイターはサードポイントがセブン&アイホールディングスの株式を取得し、経営改善を迫っていると報じている。
http://jp.reuters.com/article/seven-and-i-idJPKCN0SK2UM20151027
昨年の決算においてセブン&アイ・ホールディングスは過去最高を更新しているが、良かったのはセブン・イレブン・ジャパンだけ。株価を考えるのであれば、そごう・西武、バーニーズジャパン、ニッセンホールディングスからの投資撤退やイトーヨーカ堂の縮小を求める株主はサードポイントに限らないのかもしれない。必ずしも難癖と言えないところが「もの言う株主」の真骨頂なのであろう。
そんなサードポイントがセブン&アイホールディングスの取締役に送ったという書簡を全文公開しているサイトを発見した。日本経済新聞社出身の土屋直也が運営する「ニュースソクラ」がそうだ。この書簡によれば持病があり、健康上の問題を抱えている鈴木敏文CEOは、次男の鈴木康弘に世襲をすべく、井阪輶一をセブン・イレブン・ジャパンの代表取締役社長COOから外し、古屋一樹を暫定社長に据えようとしているが、井坂こそが鈴木の後継に相応しいと記している。
https://goo.gl/5lTMfb
(socra.netの記事に飛びます)
現在、システムエンジニア出身の鈴木康弘はCIOの肩書のもとグループのオムニチャネル戦略を牽引している中心人物であるが、昨年11月に鳴り物入りでオープンした「omni7」の評判は必ずしも芳しいものではないようだ。そもそも鈴木康弘の肩書は立派だが、業績となると失敗しかしていないのが現実だ。それだけに鈴木敏文CEOは父親として焦り始めているのかもしれない。
当初、鈴木康弘が社長をつとめていたイー・ショッピング・ブックスはセブン-イレブン、トーハン、ヤフーとの合弁会社であった。このイー・ショッピング・ブックスがセブンネットショッピングと社名変更し、5年連続で赤字を垂れ流すと、セブン&アイ・ネットメディアにセブンネットショッピングを吸収合併させ、鈴木康弘は何ら経営責任を取ることなく、セブン&アイ・ネットメディアの社長に就任し、CIOの肩書さえも掌中に収めてしまうのだ。ちなみにセブン&アイグループの「omni7」事業の物流機能を担っているのはトーハンである。鈴木康弘は出版業界との関わりが鈴木敏文同様に深いのである。
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2)【本日の一行情報】
◎花田紀凱は「週刊新潮」のスクープ「『乙武クン』5人との不倫」に乙武クン自作自演の「自己身体検査」ではないのかと疑問を呈している。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hanadakazuyoshi/20160327-00055908/
◎ハイディ矢野の「ハイディの魔法の英会話」(講談社)は、2012年9月に刊行された実用書なのだが、この本について「アルファモザイク」が「評価で暴露されてワロタ」と取り上げている。アマゾンのレビューは星五つと圧倒的に評価が高いのだが、次のようなレビューが昨年、2月4日に投稿されていたのである。
「まず最初に、ここにある★5のレビューはおそらくほとんどが、この本の制作に協力している講師が今までに受け持った大学の授業の生徒たちのものであることを述べておきます。
なぜそのようなことが言えるかというと、私自身その講師の授業に参加し、そこで、この本に★5のレビューをつけるように指示されたからです。
具体的には、『Amazonのレビューに本名で★5をつけ、その画面のコピーを印刷して持ってくるように』という旨を言われました。初めに言われた次の週の授業にすぐレビューを書いた生徒は少なかったですが、毎週々々、まだの者は必ずコピーを持ってくるようにと仰るので、素直に★5をつける生徒は徐々に増え、最終的に9割程度の生徒(人数にして40人ほど)が講師の言う通りに従っていました」
更にこんなレビューも書き込まれている。
「大学の授業で買わされ、アマゾンのレビューを星5で投稿するように教師からの指示がありましたとの報告がありますが、これは事実です(ちなみに某T大学での授業)。星5の多さに惑わされないように」
http://alfalfalfa.com/articles/148245.html
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4062179350/ref=cm_cr_dp_see_all_summary?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=helpful
◎アマゾンのブックレビューでは乙武洋匡も不倫を報じられてから炎上している。代表作の「五体不満足」はもちろんのこと、「だいじょうぶ3組」や「だから、僕は学校へ行く!」も★ひとつレビューによって炎上中。「今度本を出版される時は、著者名は、『性豪 乙武洋匡』とお願い致します」などと書かれ、荒れ放題となっているのである。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4062091542/ref=cm_cr_dp_see_all_btm?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=recent
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4062773422/ref=cm_cr_dp_see_all_btm?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=recent
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4062767473/ref=cm_cr_dp_see_all_btm?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=recent
http://rocketnews24.com/2016/03/28/729029/
◎6月号(4/28発売)で創刊15周年を迎える「月刊フラワーズ」(小学館)は、これを記念してプレミアム対談、特別付録、創刊15年記念BIGよみきり、記念イベントなどを続々実施するそうだ。
http://flowers.shogakukan.co.jp/news/news_anniversary.html
記念イベントは7月16日と17日の両日にわたって開催される。トーク&サイン会のほかに作家の原画展示やオリジナルグッズなどの販売も行われる予定だ。
http://natalie.mu/comic/news/181221
◎講談社の女性ファッション誌「with」5月号の付録は「SHIPSおそろポーチつきボーダートート」だ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000941.000001719.html
◎確かに「リテラ」が指摘するように「フライデー」(講談社)4月8・15日合併号の「岡田准一・宮崎あおい『ドロ沼不倫を乗り越え同棲愛』」を後追いしたテレビは一局もなかったようだ。ワイドショーにとってジャニーズ事務所はタブーであることを改めて確認させられた。
http://lite-ra.com/2016/03/post-2107.html
◎小学館のファッション誌「Oggi」でメインスタイリストをつとめる金子綾にとって初の著書となる「a nuance」の売行が好調のようだ。「a nuance」は昨年11月の刊行だが、この刊行と同時にウエブサイト「a nuance」を立ち上げてしまうという発想はなかったのだろうか。金子はインスタグラムで5万人のフォロワーを持つ。
http://mdpr.jp/fashion/detail/1573123
これからの雑誌編集者には立体的重層的複層的な仕組みづくりが問われているのである。
◎CHIENOWA BOOK STORE(埼玉県朝霞市)を運営する一進堂は、目的に合わせてセレクトした本が並ぶ空間を提供する法人向けサービスを開始した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000014133.html
http://www.chienowa-bs.com/business/index.html
キリスト教ブライダル宣教団がこのサービスを利用している。
http://www.chienowa-bs.com/business/case.html
一進堂は書店のリニューアルプロデュースも請け負っている。
http://www.chienowa-bs.com/business/produce.html
トートバッグもオリジナルグッズとして販売している。
http://www.chienowa-bs.com/item/index.html
「ブックカバーコンテスト」を開催していて、大賞を獲得するとデザインしたカバーを実際に店頭で使用するそうだ。
http://www.chienowa-bs.com/info/event.html
絵本「七色の旅人」は一進堂が地元の絵本作家と一緒につくったオリジナル絵本だそうだ。
https://kamereon7.stores.jp/items/54dc0e973bcba94a090008f5
◎日本サッカー協会の事務総長に就任した岩上和道は電通OB。電通でのキャリアのスタートは新聞雑誌局雑誌2部だ。
http://mainichi.jp/articles/20160328/k00/00m/050/088000c
http://handyjapan.net/members/m3.html
◎新潮社はホームページで4月1日より「作家自作を語る」をスタートさせる。「著者が作品に込めた想いを読者に直接伝えることが、新潮文庫や電子書籍に接するきっかけづくりになれば……との狙いも」あるそうだ。
http://www.shinchosha.co.jp/news/blog/2016/03/25.html
◎ヤフーの子会社であり、Web動画マーケティングにノウハウのあるGYAOと、地上波テレビ番組制作とインスタグラムプロモーションに実績のあるドレスイングは、地上波テレビ番組×インスタグラムを軸としたメディア横断型広告商品の企画・開発・提供に関して業務提携することになった。
http://www.gyao.co.jp/jp/pr/press/2016/03/gyao-8.html
◎「自家焙煎 ジロー珈琲」の「丸ごと!グラタントースト」を女性のための情報サイト「Nosh」が「丸ごとトーストの中にグラタンが…!SNSで話題のグルメが悶絶級の美味しさ!」として紹介している。こうした情報発信は純然たる編集記事かどうかは別としても、本来、雑誌の得意としているところだ。「Nosh」を運営している出版社は、どこなのだろうと私は思って、「運営会社について」をクリックしてみると…運営しているのは出版社ではなく、TBSのメディアビジネス局であった。
http://nosh.media/archives/120502
◎アライドアーキテクツは、「Yahoo!ビデオクリエイター」と連携し、中小企業を対象に、SNS向けに最適化された動画を簡単・安価に制作しSNS広告として配信できる新たなソリューションの提供を開始した。
http://www.aainc.co.jp/news-release/2016/01123.html
デジタルシフトにおいて、小回りが利くかどうかは重要な課題である。
◎無料で読める電子雑誌を発行するブランジスタは、幻冬舎が発行する、女性誌「GINGER」の創刊7周年記念として、オンラインマガジン「GINGER mirror」とは公式WEB メディア「Spark GINGER」をオープンし、運営に伴う WEB 技術提供を行う。
http://www.brangista.com/pdf/20160328_sparkginger.pdf
◎朝日新聞の編集委員・北野隆一による「『全国部落調査』復刻出版を差し止め 横浜地裁が仮処分」は次のように書いている。
「川崎市の出版社が被差別部落の所在地や世帯数を記した戦前の調査報告書『全国部落調査』を書籍として復刻出版する計画に対し、横浜地裁の有賀直樹裁判官は28日、出版や販売を禁止する仮処分決定を出した」
http://www.asahi.com/articles/ASJ3X2RPCJ3XUTIL008.html
何故、北野は出版社の固有名を書かないのだろうか。ちなみに神奈川新聞は示現舎と書いて報じている。
「全国の被差別部落の所在地などを掲載した書籍の出版をめぐり、横浜地裁(有賀直樹裁判官)は28日、川崎市多摩区の出版社『示現舎』に対し、書籍の出版差し止めを命じる仮処分を出した」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160329-00008206-kana-l14
北野は示現舎にシンパシーを抱いているのだろうか。
◎「Coming into Fashion ? A Century of Photography at Conde Nast コンデナスト社のファッション写真でみる100年」展をシャネルがシャネル・ネクサス・ホールで開催している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000253.000000930.html
◎自分に似ているモデルは誰かを診断するサービス「ダレフウ?」が期間限定で公開されている。これはハースト婦人画報社、講談社、集英社、小学館が2015年8月に開催したハッカソンにて、最優秀賞を受賞したチームが開発したものである。
http://markezine.jp/article/detail/24169
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3)【人事】4月1日付扶桑社人事異動
窪田青鳥
新:広告局 広告業務部担当部長
旧:販売局 販売事業部担当部長
小田切美樹
新:広告局 広告企画部副部長
旧:広告局 広告企画部主任
村上圭一
新:業務局 制作部部長
旧:第一編集局 第一編集局長兼 別冊ESSE編集長
池田充
新:第一編集局 ESSE編集部副編集長
旧:第二編集局 住まいの設計編集部 主任
新井教子
新:第四編集局 出版企画部副編集長
旧:第四編集局 haru_mi編集部副編集長
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4)【人事】4月1日付中央公論新社人事
斎藤孝光
新:学芸局中央公論編集部長代理・局長待遇
旧:読売新聞東京本社 編集局次長
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5)【人事】4月1日付実業之日本社人事
岩野裕一
新:代表取締役社長
旧:役員待遇第二編集本部長兼経営企画室長
増田義和
新:取締役会長
旧:代表取締役会長兼社長
深見修
新:取締役
旧:株式会社フィスコ取締役
城丸修一
新:取締役
旧:株式会社シークエッジ・インベストメント代表取締役
松崎祐之
新:取締役
旧:株式会社フィスコ取締役
芦沢泰仁
新:執行役員編集本部長
旧:第一編集本部長兼学芸出版部長兼ブルーガイド出版部長
大柴功治
新:執行役員事業開発本部長
旧:コンテンツ・ライツビジネス部長
久保田大
新:執行役員販売マーケティング本部長
旧:販売本部長兼業務部長
神代匡志
新:販売マーケティング本部プロモーショングループ部長
旧:販売本部宣伝部兼管理本部メディアプロモーション部
【解説】
フィスコと業務提携した実業之日本社がどのような経営体制を確立するかは、私も非常に興味を持っていたが、いよいよ新体制が発表されることになったわけである。
驚かされたのは実業之日本社で役員待遇第二編集本部長兼経営企画室長をつとめていた岩野裕一を代表取締役社長に抜擢したことである。ある意味で岩野は異色のキャリアの持ち主なのである。
岩野は実業之日本社において編集者としての経験が豊富なのである。専門的な出版を多岐にわたって展開する実業之日本社にあって、岩野は特定の専門に特化することなく、旅行ガイドブック、経済誌、一般書、文芸を担当してきている。しかも、岩野は実業之日本社に勤務しながら母校の上智大学の大学院に籍を置き、ジャーナリズム全般を学び直しているのだ。そうしたさなか岩野は文庫の創刊を手がけることになり、今度は編集者として文芸を経験しているのだ。
私が異色のキャリアと表現したのは、岩野が編集者としてマルチな才能を発揮してきたからではない。実は、岩野は実業之日本社の編集長以外の顔も持ち合わせている。そこが異色なのである。岩野は音楽ジャーナリストとしての顔も持っているのである。具体的に言えば1999年に音楽の友社から上梓した『王道楽土の交響楽 満洲──知られざる音楽史』は第10回出光音楽賞を受賞している。前間孝則との共著だが2001年に刊行された『日本のピアノ100年』は第18回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞を受賞している。『朝比奈隆 すべては「交響楽」のために』(春秋社)を上梓したのは2008年のことである。
http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=211240
http://www.idemitsu.co.jp/music_prize/information/list.html
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1086.html
https://goo.gl/1gMk0r
(Wikipediaに飛びます)
http://www.murapal.com/books11/mp022.html
http://www.shuppan.jp/bukai7/489--20121127.html
フェイスブックを見ていると「鉄男」でもあるようだ。
https://www.facebook.com/yuichi.iwano.1
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6)【深夜の誌人語録】
「癒着」は進歩の敵である。