【文徒】2016年(平成28)4月1日(第4巻61号・通巻748号)

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1)【記事】羽海野チカのツイートに表現者としての覚悟を見た
2)【記事】「報道ステーション」が西村欣也の暴言を謝罪
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.4.1.Shuppanjin

1)【記事】羽海野チカのツイートに表現者としての覚悟を見た

3月のライオン」(白泉社)の羽海野チカが次のような一連のツイートを書いている。羽海野に絡んだ他社の編集者は、「3月のライオン」が傑作であるということを見抜けないほど鈍感な感性の持ち主なのであろう。また、「3月のライオン」を批判するにあたって「ライトノベルなんだよ」と言い放つほど、文学の最前線からは無縁な編集者なのであろう。
「年配の他社の編集さんになぜ将棋を?と訊かれ『棋士と漫画家は似た所があるような気がして』と答えたら『どこが!?だって棋士は命をかけてるんだよ!?』と。あと『ライオンはさぁライトノベルなんだよね。もっと棋士の深い所を描いてよ』と。彼は漫画とライトノベルを何だと思ってるんだろう」
https://twitter.com/CHICAUMINO/status/714448728103342080
「私たちが命をかけていないとお思いか」
https://twitter.com/CHICAUMINO/status/714449522701651969
「漫画もライトノベルも将棋も大好きな私はその全てをバカにされた気持ちになった」
https://twitter.com/CHICAUMINO/status/714450306742915072
「だいぶ前の話なのに、ふと急に思い出してはギギギとなる。でも他社の編集さんなのでもう会うことも無く。でも私はきっと一生思い出してはギギギとなる。 ギギギとうめきながら原稿に向かう。 ただただがんばろう」
https://twitter.com/CHICAUMINO/status/714452145966227456
「でも私はがんじょうなので大丈夫。 ごめんね。しんぱいをかけてしまいました。ごめんね。だいぶ頑丈になってきたので、だいじょうぶ。 ありがとうね。 心配をかけてしまうような事を言ってしまって反省。漫画頑張ります!!ありがとう」
https://twitter.com/CHICAUMINO/status/714456508029730816
「ライオンはさぁライトノベルなんだよね。もっと棋士の深い所を描いてよ」と言ってのけるバカが棲息できるのが出版業界なのだろう。私はこうしたバカよりも、羽海野の「面白いと思ってもらえるようにいっぱい考えて、コツコツ濃く描こう」という姿勢に深く共感する。「コツコツ濃く」は表現にとって本当に大切なことだと思う。

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2)【記事】「報道ステーション」が西村欣也の暴言を謝罪

3月30、「報道ステーション」は巨人軍をめぐる報道で「放送は控えるべきだった」と謝罪した。
14日の放送で「報道ステーション」は、巨人軍選手による金銭授受問題で、日本野球機構が問題の調査を司直の手に委ねないよう「読売グループの巨大な力を持っている方が圧力をかけているんじゃないかと感じます」と朝日新聞編集委員が語る映像を流したが、これについて「テレビ朝日として、このコメントがどのような取材に基づくものだったか把握しておらず、確認の取材を別途していませんでした。こうした表現はより慎重に判断されるべきでした」と31日でキャスターを降板した古舘伊知郎に謝罪させたのである。この編集委員の実名を番組では伏せていたが、読売新聞は伏せることなく報じた。
「14日の放送では、巨人軍の選手が公式戦の試合前の円陣で行う『声出し』に絡んで、選手間で現金のやり取りが行われていた問題を報道。その中で、朝日新聞編集委員(当時)の西村欣也氏のインタビュー映像が放映され、西村氏は『声出しの問題も含めて第三者委員会では限界があるんで、もう司直の手に委ねる(しかない)』『なぜ、それをコミッショナーがしないかというと、読売グループの巨大な力を持っている方が圧力をかけているんじゃないかと感じます』とコメントした。
しかし、野球賭博問題が発覚した昨年10月以降、巨人軍が警視庁に相談し、同庁が捜査を進めていることは、テレビ朝日も含めた報道各社のニュースなどで明らかになっていた」
西村欣也は読売新聞グループの報知新聞(現スポーツ報知)出身のスポーツ記者。報知では読売ジャイアンツ番記者であった。読売新聞に「(当時)」とあるのは、西村が朝日で目出度く定年を迎えたからであろう。
http://www.sankei.com/entertainments/news/160331/ent1603310003-n1.html
三年前、私は次のような記事をブログで発表している。
http://d.hatena.ne.jp/teru0702/searchdiary?word=%C0%BE%C2%BC%B6%D5%CC%E9

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3)【本日の一行情報】

ミクシィは「モンスターストライク」の北米におけるマーケティング活動を開始した。Facebookで1つの共通動画を配信後、8セグメントに分けたターゲットに向けて、それぞれに合った動画を配信するのだそうだ。
http://mixi.co.jp/press/2016/0329/16406/

ウッチャンナンチャン内村光良は、読売新聞夕刊で4月4日から長編小説「金メダル男」の連載が開始される。連載をまとめた文庫本が6月25日に中央公論新社から刊行されることも決まった。内村自身が監督としてメガホンをとる同名映画の公開は10月22日。こうしたメディアミックスが上手くいけば、次は日本テレビでドラマ化するのだろう。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1603/30/news038.html
http://kinmedao.com/index.html

◎映画「暗殺教室〜卒業編〜」が公開初週の土日2日間では、観客動員数544,641人、興行収入639,193,900円と大ヒットを記録。
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1459240267
さらに集客を伸ばし、既に観客動員数100万人を突破したそうだ。
http://www.cinemacafe.net/article/2016/03/30/39287.html
映画においても「ジャンプ」ブランド強し!である。

◎ぴあもレシピ本にチャレンジ。「日本一かんたんなオーブンレシピ」を刊行。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000192.000011710.html

◎ 「FORBES」のParmy Olsonによれば、米アウトブレインは「パブリッシャー数社とテキスト形式でニュースを配信するチャットボットの導入を協議している」そうだ。
「先行事例は既にいくつかある。ニュースメディア『クオーツ(Quartz)』がリリースしたiPhoneアプリは、ユーザーとチャットで会話しながら最新ニュースを提供している。また、フォーブスも先月開催されたモバイルワールドコングレスでTelegramのボット機能を使ったニュース配信サービスのローンチを発表した。人々が毎日使うメッセンジャーアプリにチャットボットを導入すれば、何億人ものユーザーにリーチすることができる」
http://forbesjapan.com/articles/detail/11675

◎「Yahoo!ニュース 個人」に山本一郎が「政治資金ごまかした松田公太さん、逆恨みで乙武洋匡さんの不倫旅行を暴露」を発表。これに対して松田は自らのブログに「『Yahoo!ニュース 個人』に掲載された乙武洋匡さんの記事について」をアップして反論。これに対し山本は再び「Yahoo!ニュース 個人」に「松田公太さん、乙武洋匡さんの不倫旅行暴露に関し謎の釈明記事をブログにアップする(修正あり)」で自らの正当性を主張している。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160328-00055955/
http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12144736065.html
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160330-00056009/
「Yahoo!ニュース 個人」の存在感が高まりつつあるのは間違いあるまい。

◎「ザ・ベストマガジン」はオレも愛読していた。
http://www.news-postseven.com/archives/20160330_397186.html
あの頃、雑誌は自由だった。むろん、例外的に「週刊文春」のように自由を謳歌している雑誌もある。「週刊文春」に「雑誌の自由」を独占させてしまっていて良いのだろうか。

白泉社を代表するマンガのひとつ「パタリロ!」は1978年に「花とゆめ」で連載開始となり、現在に至るも「別冊花とゆめ」と「メロディ」で掲載されて来たが、紙媒体からウエブの「花LaLa online」に移籍することになった。
http://mantan-web.jp/2016/03/30/20160329dog00m200036000c.html

◎「“京女”のいいとこおしえます! non-no×京都女子大学」は京都女子大学京都市)が取り組んだ集英社の女性ファッション雑誌「non-no」とのプロジェクトで生まれたミニマガジンだそうだ。
http://univ-journal.jp/5949/

主婦の友社は、同社が運営するコミックサイト「コミカワ」からコミックスを刊行することになった。第一弾は「働く!バス娘」(犬吠あか太)。電子書籍限定のコミックスとして、「ぬかロイド花子」(鈴木ポガ子)「CLAPTRAP」(徳永サトシ)の2作品も、4月6日より配信開始する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000515.000002372.html

東洋経済オンラインの「スクープ!クックパッド、社内大混乱の真相」で、「東洋経済 記者」の山田泰弘は、次のように指摘している。
「社内では、穐田氏の代表執行役復帰を求める署名活動も始まっている。クックパッドの国内の正社員は約240人。すでに7割強が賛同して署名を行ったという。近く開かれる見通しの取締役会に署名を提出するなどして、最終的には取締役を動かし、佐野氏の執行役解任につなげようとする動きだ」
http://toyokeizai.net/articles/-/111714
佐野陽光はクックパッド株の約44%を所有する大株主だが、社員からの人気はないようである。一波乱ありそうだな、これは。

◎「週刊新潮」が「週刊文春」に比べて暗い理由がわかったような気がする。「週刊新潮」の酒井逸史編集長が「マイナビニュース」のインタビューに応えて次のように発言している。
「…実は『週刊新潮』は中吊りや新聞広告で自ら『スクープ』と謳ったことはないはずです。よその雑誌では『特大スクープ!』とかよく目にしますよね。なぜ、『週刊新潮』の本体が『スクープ』という言葉を使わないかというと……ちょっと自虐的で卑下した意味合いも含めてのことなりますが、『所詮、われわれは週刊誌』という意識があります」
こういう屈折、オレは嫌いじゃないけどね。酒井編集長は、こうも語っている。
「…『週刊新潮』は10年選手以上じゃないと、長い記事は絶対に書かせない伝統が残っています。もちろん、短い記事は経験が浅くても書くことはありますが……。20代のうちは、データマン(原稿の材料となる情報、資料を集める役割)として取材をきっちりやる」
http://news.mynavi.jp/articles/2016/03/31/shukanshincho/

幻冬舎文庫20周年記念フェアのキャラクターは、三代目J Soul Brothersの岩田剛典がつとめる。
http://top.tsite.jp/entertainment/j-pop/i/27682465/?sc_cid=tcore_a99_n_adot_share_tw_27682465

講談社は、ともに別冊少年マガジンで連載中の「進撃の巨人」と「ふらいんぐうぃっち」の特製コミックを、「旅するコミック」として各100冊ずつ用意し、抽選で最初の読者を選ぶ。抽選で選ばれたならば、届いたコミックを楽しみ、感想をSNSでシェア。またコミックに記載されている専用サイトにアクセスし、コミックのおおまかな位置情報(市町村まで)を登録する。読み終わったコミックは、また他の誰かに渡すというように回し読みを重ねていく。回収できた「旅するコミック」は作者に届けるそうだ。
http://shingeki.net/upload/shingeki.net/files/special_travellingcomic.html
全国回し読みイベントなのだが、何冊回収できるか見ものである。全く旅をせず終わってしまうケースも出て来るのだろうな。

◎光文社が「ねこ自身」ならば、KADOKAWAは「ザテレビニャン」と来た。「東京ニャーカー」ではなかった。
https://netatopi.jp/article/1001880.html

はてなソーシャルブックマークサービスはてなブックマーク」は、ソニーのニュースアプリ「ニューススイート」(News Suite)と、ニュースサービス分野で連携を開始する。今後、はてなソニー「ニューススイート」は、新しいオンラインニュースコミュニティサービスの開発と、インフィード型ネイティブ広
告商品の開発および販売に取り組むという。
http://hatenacorp.jp/press/release/entry/2016/03/30/153000

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4)【深夜の誌人語録】

自由から自由になって不自由になるほど馬鹿げたことはあるまい。