【文徒】2016年(平成28)3月4日(第4巻42号・通巻729号)

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1)【記事】「ろくごまるに」VS「KADOKAWA」トラブルの顛末
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「ろくごまるに」VS「KADOKAWA」トラブルの顛末

KADOKAWAはてなが立ち上げた小説投稿サイト「カクヨム」で現在までのところ最も話題を呼んでいるのは、昨日も紹介したラノベ小説家ろくごまるがKADOKAWAを告発する「カドカワ 富士見と独占契約したけど本が出ないハートフル物語」であるようだ。星印が1711、フォロワーが877となっている(3月3日19時30分現在)。
ろくごまるにツイッターのタイムラインを閲覧してみると、KADOKAWAとの交渉が開始されたようである。ろくごまるにツイッターで報告している。
「昨日03/01
夜中に電話とpdf付きのメール到着。
 pdfの内容は今回の不手際に関する調査報告で、簡単に説明すると『不幸な偶然が重なってこのような事態になっただけで他意はない』だそうだ」
https://twitter.com/rokugomaruni/status/704969572009443328
次のようなツイートはKADOKAWAの対応に皮肉を込めてのものだろう。
「良かった! 作家を塩漬けにして虐める悪い人は居なかったんだ! とは別に思わず、はあそうですかという感想。
あとは電話で03/02に御相談する場所の打ち合わせ」
https://twitter.com/rokugomaruni/status/704969689844228096
当然、話し合いは噛み合わなかった様子である。
「本日03/02
予想していたように話はかみ合わない。予想と違って、カクヨムを何とかして助けよう! って感じはほぼなし。これは驚いた」
https://twitter.com/rokugomaruni/status/704969860204220417
電子書籍は早急に出すそうだ。この件で、まだ『早急』という言葉の使用にも少し驚く。話をきくと、イラストレータさんのやりとりも必要なので確約出来ないが五月か六月だそうだ。ここでの『早急』は仕方あるまい」
https://twitter.com/rokugomaruni/status/704969982292045824
「かみ合わぬわね。今後このようなことは起きないようにと、誠心誠意謝られても、今後新たに権利の発生する仕事をソチラとする気がないんだから」
https://twitter.com/rokugomaruni/status/704970122738282499
最終的には電子書籍版をリリースすることで合意はしたようである。
「終わり。これ以上つつくと、祟る側から祟られる側になりそうなんで、もうあんまりこの話はしないと思います。七月になっても電子版が出なかったら『ハートフル物語 第二部阿修羅編』が始まるかもしれません」
https://twitter.com/rokugomaruni/status/704971147167735808

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2)【本日の一行情報】

集英社のアプリマンガ誌「少年ジャンプ+」に連載中で、4月よりアニメ化され、テレビ放映が決まっている「とんかつDJアゲ太郎」だが、作品内でアゲ太郎やDJオイリーが行っているクラブイベント「LARD CITY」が、4月16日にSHIBUYA WOMBで開催されることになった。
http://animeanime.jp/article/2016/03/01/27225.html

◎「ぼくたちは戦場で育った」(集英社インターナショナル)の著者であり、サラエボに開設予定の「子どもの戦争博物館」の館長であるヤスミンコ・ハリロビッチと同書の翻訳を担当した作家の角田光代、「オシムの伝言」「ユーゴ紛争」で知られるジャーナリストの千田善によるトークセッション「戦場、それでも僕たちは笑った」が3月17日に武蔵野プレイス内フォーラムで開催される。「子どもの戦争博物館」開設のためのチャリティイベントである。一般参加コースが1000円、限定サイン本コースが3000円、30名限定のプレミアムコースが1万円で特別懇親会に参加できる。
http://www.shueisha-int.co.jp/blog/?p=11627
https://www.facebook.com/SenjoNoKodomotachi

講談社文庫は綾瀬はるか松坂桃李で映画化された「万能鑑定士Q」シリーズと、北川景子ディーン・フジオカでドラマ化された「探偵の探偵」シリーズがコラボする小説「探偵の鑑定」を3月15日と4月15日の2ヶ月連続で刊行する。周知のように「万能鑑定士Q」シリーズの版元はKADOKAWAであり、「探偵の探偵」シリーズの版元は講談社である。「探偵の鑑定」を刊行するにあたって講談社KADOKAWAの「鑑定士×探偵」共同フェアも開催している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000911.000001719.html
ふたつの作品が映像化を経て、今度は小説に合流し、そして、その先は「探偵の鑑定」の映像化であろう。そこでも講談社KADOKAWAはコラボできるわけだ。

講談社の雑誌「クーリエ・ジャポン」が、このたびメディア形態を一新し、月額利用料980円(税別)の会員制ウエブメディアとなった。ウエブ版の特徴は(1)編集部が厳選した翻訳記事を毎日配信する。(2)世界の潮流を先取りするテーマを一週間にわたる特集として掲載する。(3)読者の人気を集めた過去記事をアーカイブとして提供する。(4)編集部が選んだ候補記事の中から全訳を読みたい記事をリクエストできる。(5)編集部が主催するイベントやセミナーに割引価格で参加できる。
http://courrier.jp/announce/?utm_source=newsrelease20160301&utm_medium=newsrelease&utm_campaign=launch

◎3月10日に発売される徳間書店のアニメ情報誌「アニメージュ」 4月号」の付録は「おそ松さん」のアニメ絵を使ったオリジナルトランプ!これは売れるよね。
http://ure.pia.co.jp/articles/-/53209

◎湘南蔦屋書店は及川仁、横田徹、綿井健陽を招いてトークイベント「10歳からのジャーナリズム入門」を開催する。
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/campaign/27776048/?sc_int=tcore_news_lifestyle
「しずこさんと『暮しの手帖』展」も開催している。
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/campaign/28013171/
湘南蔦屋書店では、こういう書店人が「人文 哲学思想」を担当している。
https://twitter.com/SHONAN_T_philo

船橋市に本店を置き、本八幡など10店舗を展開する書店「ときわ書房」が創立50年を記念してフェア「50年後も読みたい本 〜信じよう、本の力を!〜」を開催している。小冊子「50年後も読みたい本」を無料で配布している。
http://funabashi.keizai.biz/headline/1398/

◎大手出版社で京都の三月書房を知らない販売マンがいた…。う〜ん。驚きを通り越して、私は呆れてしまった。ブログで「本屋としても、一過性ですぐに忘れられる芥川賞なんかよりも、古典がじっくり売れる方がよほどありがたいような気がします」と書く書店である。
http://3gatsu.seesaa.net/
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sangatu/

◎「フィナンシャル・タイムズアメリカ版編集長のジリアン・テットを東洋経済オンライン編集長の山田俊浩がインタビューしている。ジリアン・テットの「サイロ・エフェクト」(文藝春秋)は読んでおこう。サイロ化とは、要するにタコツボ化のことだ。
「生え抜きの幹部が部門において権力を掌握すると、過去を踏襲することによって、その権力を維持しようとします。その部門を変えずに維持しようという気持ちが起きてしまうのです」
「残念ながら、多くの人が自分の専門分野に固執してしまう。ビジネスでも何でも視野狭窄になってしまう人が多い」
「部門がはっきり分かれていると、部門の論理が前面に出てしまい、いわゆる常識といわれているようなことが、まったく通じなくなります」
「今、新聞社は普通の紙の新聞、デジタル、動画などの部門が分かれていると思います。読む側にとっては、それがどんどんとミックスしてきて収斂してきているのにもかかわらず、です」
「サイロは権力構造によって引き起こされることが多々ある。過去ばっかり振り返っている人は、どうしてもサイロに陥りやすいのです」
http://toyokeizai.net/articles/-/107348
出版業界は業界をあげてサイロ化していると断定しては言い過ぎだろうか。

◎今春から、大阪屋の取引書店で「楽天ポイントカード」が利用可能になる。
「大阪屋は、全国約1,600店舗の書店と取引を行っています。今回の提携により、大阪屋が今春をめどに新たに提供を開始する、パソコンを利用したPOS(販売時点情報管理システム)端末を導入する取引先書店は順次、『楽天ポイントカード』の加盟店として同サービスの提供が可能となります。これによりお客様は、書籍をはじめとする販売商品の購入時に、『楽天ポイントカード』を提示することで、楽天グループの各種サービスで使える『楽天スーパーポイント』を貯めたり、同ポイントを支払いに使ったりすることができるようになります」
http://corp.rakuten.co.jp/news/update/2016/0301_01.html

朝日新聞社が主催し、光文社の女性ファッション誌「JJ」、女子大生やOLで構成される「ハレ女委員会」が協力し、今回で5回目となる「Ready for Lady春の学園祭」に三重県が参加し、「JJモデル×三重県知事トークイベント」が実施された。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201603018445/

朝日新聞山梨県での夕刊発行を、3月をもって終了することになった。佐賀、大分に次いで3県目だそうだ。産経によれば「朝日新聞によると、読者の生活様式の変化などから夕刊の購読者が減ったため、山梨県での夕刊発行を終了。朝刊と夕刊の記事を一本化した「統合版」の朝刊を発行する」という。
http://www.sankei.com/life/news/160301/lif1603010031-n1.html

◎西武・そごうのプライベートブランド「LIMITED EDITION」(リミテッド エディション)」からこの春デビューするシューズは、光文社の女性ファッション誌「VERY」とコラボすることで生まれた。
https://www.sogo-seibu.jp/leshoes/

消費者庁健康増進法第32条第1項の規定に基づき、ライオンに対して勧告を行った。
「ライオン株式会社が『トマト酢生活トマト酢飲料』と称する特定保健用食品に関し、日刊新聞紙に掲載した広告は、健康の保持増進の効果について、著しく人を誤認させるような表示であり、健康増進法第31条第1項の規定に違反するものであるところ、かかる行為は、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認められました」
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1529.pdf
朝日新聞によれば、こういうことだ。
「ライオンはこの商品について昨年9月から11月にかけて、全国紙と地方紙計14紙に掲載した広告に、『臨床試験で実証済み、驚きの血圧低下作用』などと記載した。
だが、トクホで許可された表示は『血圧が高めの方に適した食品』などで、高血圧を改善する効果については認めていない。消費者庁は『健康の保持増進効果について著しく誤認させる表記』と判断したという」
http://www.asahi.com/articles/ASJ315FDSJ31UTIL03P.html

PHP研究所ヨドバシカメラの「電子書籍振替配信」サービスを採用することになった。
ヨドバシカメラの「電子書籍振替配信」サービスは、ヨドバシカメラ電子書籍ストア以外の電子書籍書店で購入済みの電子書籍コンテンツを、ヨドバシカメラ電子書籍ストアからダウンロードし、ヨドバシカメラが提供する電子書籍ビューアアプリ「Doly」で読めるようにするものである。
http://www.yodobashi.com/ec/support/news/160301082809/index.html

◎坂爪真吾「性風俗のいびつな現場」(ちくま新書)が、刊行3週間で3万部を突破したという。「貧困女子」問題を扱っているのだが、タイトルの勝利だな。
https://www.atpress.ne.jp/news/92576

◎1990年に週刊誌として創刊され、今は月刊誌として刊行している情報誌「東京ウォーカー」だが、dマガジン、ブックパスなどの電子雑誌読み放題サービスで、3月30日にデジタル版週刊誌として復活する。その名も「週刊 東京ウォーカー+」。
http://ddnavi.com/news/289571/a/

◎メディアドゥが本社を一ツ橋の「パレスサイドビル」5階に移転することになった。
「当社は成長を加速するため人材採用を積極的に行ってまいりましたが、今後も事業拡大に伴う急速な従業員増加が見込まれるため、本社を移転することといたしました」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1334270

「ちゃお」小学館)4月号で中学3年生のときわ藍が漫画家デビューした。ときわ藍は「第77回小学館 新人コミック大賞」の少女・女性部門大賞を受賞している。
http://www.oricon.co.jp/news/2067786/full/

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3)【深夜の誌人語録】

無駄を無駄に終わらせてしまっては徒労しか残らない。無駄こそ無駄に終わらせてはならないのである。