【文徒】2016年(平成28)3月7日(第4巻43号・通巻730号)

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1)【記事】ラクーンの卸・仕 入れサイト「スーパーデリバリー」に出版社が出展
2)【本日の一行情報】
3)【人事】プレジデント社 役員人事
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.3.5.Shuppanjin

1)【記事】ラクーンの卸・仕 入れサイト「スーパーデリバリー」に出版社が出展

ラクーンが運営する卸・仕 入れサイト「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引できる卸・仕入れサイト である。2002年2月から運営を 開始し、1,104社が出展し、商品掲載数は約54万点にも及ぶ。メーカー側からすれば、全国49,633店舗への販路拡 大ツールとして効果を発揮している。(数字はすべて2016年1月末現在)
http://www.raccoon.ne.jp/company/service/superdelivery.html
小方 功 代表取締役社長は次のように語っている。
「弊社のコアコンピタンスは、“アパレルと雑貨を中心とした中小企業の商習慣に精通し、eコマースと決済の専門家集団であること”です。十数年間BtoBに携わる事で当社が取得したこのコアコンピタンスは、他社が簡単に真似できるものではありません。現在弊社の事業は、スーパーデリバリー(アパレルと雑貨の企業間取引eコマースサイトの運営)、Paid(企業間取引に関する決済マーケットの運営)、売掛債権保証事業(企業間における売掛債権の保証)、COREC(Web上で一元管理できる企業間取引のクラウド受発注システム)の4つです。これからもこれらの事業を発展させながら、コアコンピタンスを活かした中小企業のための複数の事業を展開していく予定です 」
http://www.raccoon.ne.jp/company/message.html
この「スーパーデリバリー」に徳間書店河出書房新社、文溪堂、こぐま社、ロクリン社など新たに 8 社の出版社が出展し、 出版物の販売を開始した。 既に 2015 年 12 月に偕成社ほるぷ出版がスーパーデリバリーに出展し、 書店以外の小売店へ絵本の販売をスタートしている。その結果、多くの小売店から反響が あったため、スーパーデリバリー内に新たに本ジャンルを立ち上げ、本格的に出版物の 販売に取り組むことになったということだ。
これによりスーパーデリバリーでは、これまで扱っていた絵本に加え、実用書、ムック 本、図鑑などのジャンルにも取り扱いを拡大するため、スーパーデリバリーを利用する小売店は幅広いジャンルの出版物を直接出版社から仕入れることが可能となる。スーパーデリバリーは年内に仕入れ可能な本 10,000 点の掲 載を目指 すそうだ。
もともとスーパーデリバリーは少量多品種をネットを介して卸すBtoBのオンラインマーケットであり、そういう意味でも出版商品との相性も良いといえよう。
http://www.superdelivery.com/p/do/psl/6022/
http://www.raccoon.ne.jp/company/history.html
出版社はスーパーデリバリーに出展することで、新たな販路を開拓できる。ベビー服の横で絵本を販売する、食器の横でレシピ本を販売する、ペットショップで猫 の本を販売する ことが可能になるというわけだ。ベビー用品店やペットショップという小売店の側からしても、本を仕入れる仕組みがこれまではなかった。これをスーパーデリバリーは実現したのである。
インターネットを使った取引のため営業コストを 最小限にでき、販売先を選ぶ機能により取引する小売店を出版社が決めることができるの で、バッティングなどの心配もなく販路を自由に広げることができるという。
また、決済もス ーパーデリバリーが代行するため商品代金の未回収リスクや手間も一切ないそうだ。

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2)【本日の一行情報】

◎韓国の2015年の広告費は10兆7270億ウォン(1兆円強)。前年より6.2%増。新聞は1兆5011億ウォン(約1400億円)で、前年比0.5%増。ケーブルテレビは、1兆7768億ウォン(約1660億円)となり、前年比16.7%増。地上波テレビは、1兆9702億ウォン(約1840億円)で、前年比0.2%減。雑誌は4167億ウォン(約389億円)で、前年比4.8%減。地上波テレビと雑誌は四年連続で減少している。モバイルは、1兆2802億ウォン(約1200億円)で、前年比52.6%増となっている。
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/23489.html

◎1971年に私家版として限定千部刊行された荒木経惟の幻の写真集「センチメンタルな旅」が河出書房新社によって復刻される。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309277004/
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/i/28013342/?sc_int=tcore_news_recent

◎「第58回 日本雑誌広告賞展」と「第54回 JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール展」が東京・汐留のアド・ミュージアム東京で4月9日まで開催されている。
http://dentsu-ho.com/articles/3723

◎熟年誌「いきいき」4月号に「孝太郎、進次郎、佳長、息子3人の母 宮本佳代子さん〜妊娠6か月で離婚後、シングルマザーとして働き続けて33年。今60歳、人生の第二ステージへ〜」が掲載される。小泉純一郎と離婚以来、メディアに登場するのは初めてなのではないか。
http://www.e-ikiiki.net/subscription/201604/number.html
http://www.news-postseven.com/archives/20160303_390542.html?PAGE=1#container
美人である。
http://matome.naver.jp/odai/2144153605549328201/2144187851953810403
http://susumu2009.xsrv.jp/?p=1698

KADOKAWAは3月3日にコミック14誌の電子書籍化に踏み切った。「ヤングエース」「B's-LOG COMIC」「ドラゴンエイジ」「コミックフラッパー」「コンプティーク」「月刊ASUKA」「月刊コミックビーム」「月刊少年エース」「コンプエース」「コミック電撃だいおうじ」「月刊コミックアライブ」「月刊コミックキューン」「電撃G’sコミック」「CIEL」の14誌である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002179.000007006.html

無印良品有楽町(東京・千代田区)は「MUJI BOOKS」(ムジブックス)というコーナーで本を集客のキモにしている。選書は、松岡正剛氏の監修のもと編集工学研究所。
「去年9月のリニューアルでムジブックスという2万冊の本のコーナーを作り、集客の要とした。本は洋服売り場やワイン売り場に並んでおり、無印良品の商品とムジブックスの本が混在する新しい取り組みだ。改装してから、売上は15%アップしたという。本を購入した客は、商品の購入頻度が上昇し、1.6倍となった」
http://top.tsite.jp/news/buzz/o/28024640/?sc_int=tcore_news_recent
MUJIキャナルシティ博多無印良品有楽町、無印良品上海淮海755に続き、4月15日にリニューアルオープンする無印良品アトレ恵比寿でも展開する。
http://ryohin-keikaku.jp/news/2016_0303.html

◎「世界から猫が消えたなら」(小学館文庫)が100万部を突破した。5月に映画が公開されるし、まだまだ部数を伸ばしそうである。
http://www.cinemacafe.net/article/2016/03/02/38381.html

集英社マンガ雑誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中の天野明のマンガ「エルドライブ【elDLIVE】」が2017年にアニメ化される。アニメを手がけるのは「おそ松さん」のstudioぴえろだそうだ。コミックスは第5巻が発売となったばかりである。テレビアニメ化とコミックスの発売を記念して、天野の代表作である「家庭教師ヒットマンREBORN!」全42巻と「エルドライブ【elDLIVE】」1巻が、「少年ジャンプ+」で3日午後8時から48時間限定で無料配信された。
http://mantan-web.jp/2016/03/03/20160303dog00m200007000c.html

◎Vungleが3月3日より日本でサービスを開始した。Vungleは、動画広告によるアプリビジネスにおける広告収益を可能にするインフラを提供している。「MarkeZine」は次のように書いている。
「Vungleは、2億人以上のユーザー、25億以上の月間ビュー、18,000を超えるグローバルアプリへの配信面を持つアプリ内動画広告プラットフォームを提供。動画広告をゲーム機能にシームレスに溶け込ませ、UX向上を伴ったプレースメントを行えるのが特徴で、アプリデベロッパーの最適なマネタイズと、 広告主の効率的な広告表示を実現する」
http://vungle.co.jp/
https://markezine.jp/article/detail/24038

有隣堂ヨドバシAKIBA店が25坪の直営カフェを併設した「複合型書店」として3月11日にリニューアルオープンする。
http://www.nichima.co.jp/news/entry/2485.html

紀伊國屋じんぶん大賞2016 大賞受賞記念講演会「生き延びるための社会学 岸政彦×上野千鶴子」が4月18日に紀伊國屋サザンシアター (紀伊國屋書店新宿南店7F)で開催される。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20160304143000.html

電通は、マスメディアの接触を推定するアクセスログとウェブオーディエンスデータ(Cookie ID/広告ID/Twitterのユーザ ID)を統合することで、マスメディアとウェブ広告の相乗効果を最大化し、新たな価値を提供する統合マーケティングプラットフォーム「STADIA(β版)」(スタジア・ベータ版)を開発 した。現在、「STADIA(β版)」の本格運用による統合マーケティングの実践に向けた取り組みのひとつとして、テレビの視聴行動や番組の嗜好性に基づいてウェブ媒体向けに広告を配信する「視聴ログターゲティング」の実証実験を開始 している。要するにテレビ視聴のデータを活用してネット広告を配信するということだ。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0304-008689.html
電通に限らず広告代理店はテレビ広告という最重要な利益源を何としても死守しなければならないのだろう。

◎学研プラスが刊行した青文字系読者モデル・村田倫子の初書籍「りんこーで」が、発売1週間で重版が決定した 。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000345.000007512.html

◎「ペヨング ソースやきそば」 !「ヤ」を「ヨ」に変えただけであることがかえって話題となるだろうな。
http://mainichi.jp/articles/20160305/k00/00m/040/140000c?fm=mnm

◎「週刊ダイヤモンド」が契約記者を募集している。通常業務+特集内記事10ページ対応の場合 で月収50万円。
http://tenshoku.mynavi.jp/jobinfo-126966-5-1-1/

芥川賞作家の又吉直樹日本テレビ系ニュース番組「NEWS ZERO」 のキャスターを月1回のペースでつとめることになった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030402000267.html

幻冬舎広岡達朗 の「巨人への遺言 プロ野球 生き残りの道 」を3月16日に刊行するが、これに先立ちダイジェスト版電子書籍 を100円でリリースした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000007254.html

◎「クックパッド」の2月の月間利用者数が6,269万人(前年同月比11%増)となり、6,000万人を突破 した。特筆すべきはスマホからの利用者数が4,753万人(前年同月比20%増) となっていることだ。
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2016_0304

◎第22回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」が発表された。
大賞は「ジャニーズ女帝 怒りの独白5時間」(「週刊文春」1月29日号) 。
スクープ賞は「武藤貴也は議員宿舎で僕を奴隷にしたほか一連の報道」(「週刊文春」9月3日号)と「『農水相辞任』当夜にくちづけした『中川郁子』の不倫現場」(「週刊新潮」3月12日号)の2作。
話題賞は「「下着ドロボー」が「大臣閣下」にご出世で「高木毅」の資質ほか一連の高木毅議員の報道」(「週刊新潮」10月22日号)と「紀香 愛之助 爛漫の同棲愛」(「女性セブン」6月11日)。
予想されたこととはいえ文春と新潮が強い。
http://zasshi-journalismsyo.jp/

◎PayPal Pte Ltd.とジャパンEコマースコンサルタント協会 の「中小EC企業向け2016年EC戦略白書」 によれば1年以内で商品を購入したことがあるサイトは、1位が「楽天市場」で68.2%、2位が「Amazon」で65.9%、3位が「Yahoo!ショッピング」で31.2% 。
http://jeccica.jp/news/%E4%B8%AD%E5%B0%8FEC%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%90%91%E3%81%912016%E5%B9%B4EC%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%99%BD%E6%9B%B8.pdf

◎累計120万部を突破した、柳広司によるスパイ・ミステリ「ジョーカー・ゲーム」 (角川文庫)シリーズがテレビアニメ化されることになった。これを記念してアニメビジュアル特大帯バージョンの文庫本が発売 される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002186.000007006.html

国立市議会議員 の藤江竜三がツイッターに投稿。
谷保駅前のKENブックスが三月十五日で閉店。これで昔から国立市にある本屋は増田書店だけに・・・ 」
https://twitter.com/fujie_ryuzo/status/705261945889239040
くまざわ書店 つくば店が4月10日(日)をもって閉店。
https://t.co/zlBsGvbM2j
http://lsupport.tsukuba.ch/e288562.html
宮脇書店 長野大豆島店が3月28日(月)をもって閉店。
https://twitter.com/d_groov/status/704538704510001152
タケシマのフランチャイズ店 から独立していた三郷市竹島書店戸ヶ崎店 が3月6日に閉店した。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20160304_01.html
四街道市のマキノ書店も閉店。
https://twitter.com/Luft_Kopf/status/703866660973846528
熊本市の八重州書店江津店 も閉店。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20160229_01.html
「2年程前 入居するスーパーの店舗改装に伴い店内を改装したばかりだった」興文堂書店一宮店(高知)も閉店。
http://kaiten-heiten.com/kobundoshoten-ichinomiya/
立川の駅ナカ書店であるpaper wallが1月に閉店していた。オリオン書房直営でcafe業態を併設していた。
https://twitter.com/dekunobo72/status/706374057369817090
https://twitter.com/PW_tachikawa/status/685748424528891904
姫路市の楽学書館Bigin誠心堂が3月21日をもって閉店。
http://budou-chan.jp/2016/03/06/bigin-20160305/

主婦の友社は、雑誌「小悪魔ageha」(発行元:ダナリーデラックス )の受託販売を開始 した。主婦の友社は既に姉妹誌の「お姉さんageha」(偶数月7日発売、発行元 medias)を隔月発売しており、今回の取り組みによって、奇数月月初をベースに 刊行する「小悪魔ageha」と「お姉さんageha」が毎月交互に発売されること となった。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/9310/

電通ベトナムの篠田学社長の発言。
「組織も変わってきていて、以前は日本本社にレポートしていましたが、現在はイギリスが海外本社なので、イギリスにレポートをしています。イギリスが海外事業に関する責任を持っているのです」
http://hochiminh.keizai.biz/column/16/

◎昨年12月からアマゾンの弁当部門ベストセラー一位にランキングされている文藝春秋が刊行したレシピ本 「てんきち母ちゃんの朝10分あるものだけでほめられ弁当」 にかかわった編集、宣伝、営業のママさんが 10分弁当を実践する動画をYouTubeで公開している。ピーマンの肉詰め弁当だけは14分16秒かかっているのだが、そういう嘘の無さに好感が持てるんだよなあ。こんなところにも文春ジャーナリズムが健在なのである。
https://youtu.be/uYNRF5K2yqQ
https://youtu.be/8hpiU-LUb3Y
https://youtu.be/14fS0_34cBg

◎「南林間」西口の明和堂書店は昨年7月に閉店したが、今年の1月31日、フェイスブックに次のような文章を残していることを遅ればせながら私は知った。
「明和堂書店のお客様へ
みなさん寒い日が続きますが、お元気でいらっしゃいますか?
早いもので閉店してから、本日で半年が経ちました。
私は大好きであった「読書」を数十年ぶりに再開しました。
収入が無くなってしまったために、古書店での購入という笑えない話ですが・・・
日常生活はきちんと規則的に過ごしておりますのでご安心ください。
昨夜も当店の古くからのお客様である、80代の一人暮らしのおばあちゃんから、「浴室から水があふれて室内に侵入してきちゃったから助けて」と連絡がはいり、パイプの詰まりと排水溝の掃除をして問題解決!
そんな感じで、南林間には、毎日出かけているのですが、不思議とどなたともお会いしませんね。
お会いしたい方は沢山いらっしゃるのですが夢の中での再会で我慢しています。
私にとって、ひとつある大きな問題は、当店の廃業の主因となった、仕入先の取次Kの倒産にかかわることです。
詳しくは後日改めて書き込みたいと思いますが、7か月前に取引の停止を連絡し、長年にわたり請求額100%の支払い続け、請求額がゼロになっても担保保証金を還してもらえないことです。
3か月後の約束が半年に延びさらに年明けにはと延長され、1月下旬までには必ずと、最後の約束と信じたのに連絡もいただけないまま、反故にされました。(まだ今日が終わるまで10時間程ありますが・・・)
取次K及び今春に経営統合されるはずの取次Oとの取引先の書店、版元の皆さま同じ轍を踏まぬようお気を付けて下さい。
ひとまず近況とお知らせでした」
https://www.facebook.com/meiwado/?fref=ts
「取次K」が栗田出版販売であることは間違いなかろう。

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3)【人事】プレジデント社 役員人事

3月3日付
阿部 衛
新:執行役員 経営企画本部 本部長
旧:取締役 経営企画本部 本部長

4月1日付
平林 昭一
新:執行役員 マーケティング本部 本部長
旧:マーケティング本部 本部長

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4)【深夜の誌人語録】

他人の嫌がることに率先して取り組むことが競争力を育むのである。