【文徒】2016年(平成28)4月15日(第4巻71号・通巻758号)

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1)【記事】セブン&アイ・ホールディングスのトップ人事とトーハン
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.4.15.Shuppanjin

1)【記事】セブン&アイ・ホールディングスのトップ人事とトーハン

日経電子版「出世ナビ」の「セブンの変 2人の『創業者』並び立たず」。
「『いや、いい人ですが、実績はねえ』。当時のソフトバンク幹部に康弘氏の実績を聞いた際、こういってお茶を濁されました」
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO99499640R10C16A4000000?channel=DF180320167086
「康弘氏」とは、鈴木敏文の次男にして、セブン&アイ・ホールディングス取締役の鈴木康弘のこと。この程度の評価しかソフトバンクでは得られていなかったにもかかわらず、鈴木康弘セブン&アイ・ホールディングスにおいて最高情報責任者(CIO)の重責を担っていた。しかし、肝心の実績となるとネット事業は5期連続で赤字である。
しかも、鈴木康弘セブンイレブンの店頭経験を持たない温室育ちである。その点、セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長は正反対である。「私の課長時代」から引用しよう。
「1980年の冬、私は福島県郡山市の直営店で店員として働いていました。クリスマスイブの昼から豪雪が街を襲い、3日にわたり電気も水道も止まりました。大半の店が閉まり静まりかえった街で、セブンイレブンは店を開け続けました」
http://style.nikkei.com/article/DGXZZO99433000Y6A400C1000000?channel=DF180320167083
「翌90年3月、私は再建チームの一員としてハワイのオアフ島に降り立ちました。立場は2番手とはいえ、チームはわずか4人です。商品、システム、物流など5役も6役も担いました。
まず、10日ほど店員として働いてみると、驚くことばかりでした」
http://style.nikkei.com/article/DGXZZO99433090Y6A400C1000000?channel=DF180320167083
芸能人とも親しいらしい鈴木康弘の責任を問うことなく、セブン―イレブン・ジャパンの社長を辞めろと言われても、現場で汗を流して来た井阪からすれば「はい、わかりました」となるはずはないのである。鈴木敏文が自分の息子である康弘を抜擢したことで、セブン&アイ・ホールディングスの歯車は狂い始めたと考えるべきだろう。
セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長が退任するようだ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179356
井阪隆一がセブン&アイ・ホールディングスの次期社長と見て間違いあるまい。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160413-OYT1T50098.html?from=ycont_latest
ところで鈴木敏文トーハンの取締役には居坐りつづけるのだろうか。
http://www.tohan.jp/about/officer.html
鈴木敏文鈴木康弘親子はトーハンを「オムニチャネル戦略」のパートナーと位置付けていた。鈴木康弘は、2014年に「東洋経済」で次のように語っている。
「今後はセブン-イレブンに書籍を届けているトーハンの出版物流を活用し、グループ各社の商品も全国に配っていこうと考えている。返品についても、帰りの配送車を利用するなど検討していく。セブン-イレブンの新店にはすでに店頭受取荷物の保管場所を設け始めた」
http://toyokeizai.net/articles/-/35961
トーハンセブン&アイ・ホールディングスとの間の良好な関係を維持したいのであれば、鈴木敏文に退任してもらい、井阪隆一であるかどうかは別にして、セブン&アイ・ホールディングスの次期社長に取締役に就いてもらう必要があるのではないだろうか。トーハンの藤井武彦社長の度量が問われている。藤井は鈴木の大学の後輩である。

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2)【本日の一行情報】

日経BP社の「日経ウーマンオンライン」は、日経HRとのコラボで、転職サイト「日経WOMANキャリア」を2016年4月12日(火)にオープンした。日経HRは日本経済新聞社日経BP社が出資する日経グループ内唯一の人材情報会社である。
http://wol.nikkeibp.co.jp/atcl/trend/15/103776/041100143/?rt=nocnt

日本経済新聞社日経BP社は、5月21日、22日の両日、東京ミッドタウンにて、働く女性に向けた総合イベント「WOMAN EXPO TOKYO 2016」を開催する。7月には福岡、大阪でも開催する。
http://woman-expo.com/
http://woman-expo.com/nikkeibp/site/notice-docfile-link-download!output.action;jsessionid=E0EDD2FF5188ACEA054CB43424722824?id=211&property=fileId

小学館は、中上健次の生誕 70 年を記念して、中上健次の全創作物を完全収録した、史上初の個人電子全集を、4 月 15 日より、毎月 1 巻ずつ、全 21 巻を配信開始する。本体価格は生誕年の 1946 年にちなんで、1946 円。
http://ebook.shogakukan.co.jp/nakagami/
小説でいえば「枯木灘」と「千年の愉楽」が私のオススメ。「紀州 木の国・根の国物語」はルポルタージュの傑作であり、中上文学のバックボーンを知るには必読である。私は「枯木灘」で初めて「兄妹心中」なる歌の存在を知った。
http://sakusabe.exblog.jp/533176/
文藝春秋の和賀正樹による「熊野・被差別ブルース――田畑稔と中上健次のいた路地よ」(現代書館)も中上文学の本質を知るうえで一読の価値があろう。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5629-3.htm

◎「本屋大賞」作家の百田尚樹、サイコーだな。
本屋大賞を受賞された宮下奈都さんがTwitterをされていると聞き、アカウントを覗いたら、なんとブロックされていた! 実際にお会いしたこともなく、Twitter上でからんだこともない。それでもブロックとはよほど嫌いなのだろう。私を嫌いな作家は多いらしいので特に驚きはないが」
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/720145430667857920
「それにしても、一度も会ったこともなく、Twitter上でやりとりしたこともなく、また私自身がそのお名前も作品名も出したことがないにもかかわらず、ブロックされるというのは、かなり強烈に嫌いなんだろうな…。けど、理由がわからない」
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/720201921781366785

フジサンケイグループ広告大賞のメディアミックス部門グランプリは、日産自動車の「“やっちゃえ”NISSAN 宣言篇シリーズ」に決まった。
http://www.sankei.com/economy/news/160412/ecn1604120036-n1.html

◎アマゾンジャパンは、「Kindle」シリーズのハイエンドモデル「Kindle Oasis」を発表した。従来モデル同様に6型ディスプレイを搭載しながら重さが131gで、厚さは背面の三分の一を占める最薄部で3.4mm。外付けバッテリーを兼ねる専用の革製カバーが標準で付属していることから、これをつけていれば、1日30〜40分読書して数カ月利用できるそうだ。価格は3万5980円。
http://www.amazon.co.jp/dp/B010EJWHUC/?ref=press_wh
高いけれど、これ欲しいなあ。

◎公益財団法人サントリー文化財団(理事長 鳥井信吾)は、2016年度「海外出版助成」の申請を募集している。海外における日本理解を促進するために、日本語で書かれた優れた研究業績、または日本について書かれた書籍の外国語への翻訳および外国語での出版に対して助成している。
http://www.suntory.co.jp/news/article/12634.html

◎「スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義」の著者であるティナ・シーリグ教授の来日を記念して、CCCメディアハウスの「ニューズウィーク日本版」「ペン」「フィガロジャポン」の三誌とアマゾンが手を組み「Book Lover's Library 私の夢に火をつけてくれた3冊。」を実施している。
http://www.amazon.co.jp/b?node=4210774051
https://twitter.com/cccmh_books/status/720457841740529664

◎日本の総合出版社も「サイロ・エフェクト」に蝕まれている。「プレジデントオンライン」に掲載された、フィナンシャル・タイムズ米国版の編集長ジリアン・テットの講演「なぜ、ウォークマンはネット時代に失敗したのか――サイロ・エフェクト」を読むと、そう思わざるを得なかった。
http://president.jp/articles/-/17800
「サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠」の版元は文藝春秋だ。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163903897
文化人類学によるビジネス書なんだよね、これ。

アサツー ディ・ケイの3月単体売上高。OOHメディアが前期比159.3%。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2016/04/release_Billing201603j.pdf

カルチュア・コンビニエンス・クラブによる「枚方T-SITE」が5月中旬にオープンする。関西初のT-SITEとなる。
http://hirakata.keizai.biz/headline/28/

三洋堂書店追分店が5月22日をもって閉店。
http://kaiten-heiten.com/sanyodooiwake/
文真堂書店石原店が5月8日をもって閉店。
https://twitter.com/bunshindo_jp/status/719343418149765120
昨年11月に閉店した追浜堂 駅前店(横須賀市)の後にオープンしたのは居酒屋であった。
https://twitter.com/kuratateo/status/720453170661605381
WonderGOO 川内店、鹿屋店、姶良加治木店が5月18日をもって閉店する。鹿児島県からWonderGOOが消えることになる。
http://www.wonder.co.jp/shop/detail/?id=636
http://www.wonder.co.jp/shop/detail/?id=638
http://www.wonder.co.jp/shop/detail/?id=637

朝日新聞社はオウンドメディアを手がけるサムライトの全株式を取得し、グループ会社化する。創業者の柴田泰成は楽天リクルートという経歴である(2006年楽天入社、2012年リクルート入社、2013年サムライト設立)。朝日新聞は次のように書いている。
「サムライトは、オウンドメディアの企画やコンテンツの作成、運用などを一括して請け負うマーケティング企業で、急成長を続けている。またネイティブ広告と呼ばれる、デザインや見出しが記事形式の広告を既存サイトなどに入れる手法にも強みがある」
http://www.asahi.com/articles/ASJ4G4J0BJ4GULZL002.html
http://somewrite.com/company/
朝日新聞に悪く書かれないためにサムライトに仕事を依頼するという企業や団体も出て来るかもしれない。そこが狙いかな?

◎エブリー は、料理動画メディア「DELISH KITCHEN」初となるレシピ本「DELISH KITCHEN 毎日のかんたんお菓子」を扶桑社から刊行する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000018729.html

文藝春秋は、「本屋大賞」を受賞した「羊と鋼の森」の重版(11 刷 17 万部)を決定した。累計発行部数は 50 万 2500 部!
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016041400807&g=soc

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3)【深夜の誌人語録】

どんなに性格が暗くとも、「挨拶は明るく」が基本である。