【文徒】2016年(平成28)5月18日(第4巻90号・通巻777号)

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1)【記事】国会でも取り上げられた五輪招致問題
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】国会でも取り上げられた五輪招致問題

朝日新聞の「五輪招致2.3億円、使途『未確認』 国会でJOC会長」は次のように書いている。
電通国際陸連の主催大会に関わる全世界のマーケティングなどの権利を01年から29年まで保有するが、電通の広報担当者は『ロビイストとしての実績はある、という事実を伝えたまで。取引は一切ない』とする」
http://www.asahi.com/articles/ASJ5J5VDQJ5JUTQP01Q.html
毎日新聞の石戸諭が次のようにツイートしている。
「朝刊各紙を読み比べても、疑惑のコンサルの実績を『確認』した電通のコメントは載って一言…こちら、昨日の竹田会長の国会答弁を受けて、電通の見解を掲載しています」
https://twitter.com/satoruishido/status/732342663622467584
このところ存在感を増しつつある「BuzzFeedNews」は石戸諭と山光瑛美による「東京オリンピック買収疑惑 電通に渦中のコンサルタントとのつながりを聞いた」を掲載している。そこには、こうある。
「イアン・タン氏の活動について、『確認』したとされた電通の広報担当者は、BuzzFeed Newsの取材に『複数のロビイストについて招致委から、その都度、電通に照会を受けており、その中にイアン・タン氏がいたのは事実だ。イアン・タン氏を含むロビイストについて、電通の知見の範囲内で実績を伝えただけだ。
招致委とイアン・タン氏の契約について、電通は関与していない。ブラックタイディングス社とイアン・タン氏の関係も今回の報道ではじめて知った。電通とイアン・タン氏、ブラックタイディングス社との間に、過去に取引は一切ない』と話した」
確かに一言ではない。朝日新聞の伊丹和弘はツイッターで次のように指摘している。
電通は『ロビイストとしての実績はある、という事実を伝えたまで。取引は一切ない』というが、どんな実績を伝えたのか知りたい」
https://twitter.com/itami_k/status/732350788337459200
ブラックタイディングス社について詳しく知りたいのであれば、シンガポールの「The Strait Times」に目を通しておこう。最初は「Black Tidings Publishing」として設立されたそうだ。出版社!?
http://www.straitstimes.com/sport/football/cpib-helping-french-authorities-in-2020-probe?utm_content=bufferc7577&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

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2)【本日の一行情報】

大日本印刷図書館流通センター日本ユニシスボイジャーは共同で、視覚障がい者電子図書館を利用する際に、音声読み上げとキーボード操作で読みたい本を探し、借り、読む(聞く)ことを独力でできるサイト・ビューワ(閲覧用ウェブブラウザ)を搭載した電子図書館システムを開発した。今後4社は、電子図書館サービスを利用する生活者や図書館からの要望を取り入れ、機能を拡充しながら、3年間で200図書館以上への導入を行い、30億円の売上を目指すという。
http://www.dnp.co.jp/news/10122840_2482.html

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「枚方T-SITE」が、京阪電車枚方市」駅前に、5月16日にオープンした。枚方はCCCにとっては聖地にほかなるまい。今から33年前の1983年に「TSUTAYA」は、枚方で誕生した。
「…『枚方T-SITE』には、TSUTAYAと蔦屋書店を中核として43の個性的なライフスタイルショップが大集合し、朝7時から深夜25時まで利用できる便利さ、1Fから5Fに設置した300席の椅子でコーヒー片手にゆったりと読書できるBOOK&CAFEの快適さ、スマホで簡単にレストラン予約ができてエンタメ情報も得られる楽しさを提供する画期的なデパートです」
http://www.prtimes.jp/main/html/rd/p/000000232.000000983.html
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/i/28937448/

◎Link Sports は5月16日「Q&A Sports Interview」を全面リニューアルし、 「AZrena」(アズリーナ)をリリースした。
https://azrena.com/
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000016295.html
Link SportsはスポーツITベンチャーだ。スポーツチームのために開発された、日本初のマネジメントアプリ「TeamHub」もリリースしている。代表取締役CEOは小泉 真也。
http://techable.jp/archives/35736
http://linksports.co.jp/#service
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1505/13/news034_2.html

◎マンガ家の山本直樹のツイートが話題になっている。
「Kという会社のA誌の編集長が作家部下の悪口を裏アカウントでつぶやきまくってたのがバレたんだけど、編集長は飛ばされずに告発した部下が飛ばされました、という話を拡散してくれと頼まれたので拡散しましたよ。
講談社じゃないよ」
https://twitter.com/tsugeju/status/731533319888723969

三島由紀夫賞蓮實重彦の「伯爵夫人」に決定。報道陣には、もちろん蓮實節で対応している。「ハフィントンポスト」から、その発言を拾ってみよう。
「『ご心境』という言葉は、私の中には存在しておりません。ですからお答えしません」
「まったく喜んではおりません。はた迷惑な話だと思っております。80歳の人間にこのような賞を与えるという機会が起こってしまったことは、日本の文化にとって非常に嘆かわしいことだと思っております。
もっともっと若い方。私は、順当であれば、いしいしんじさんがおとりになられるべきだと思っておりましたが、今回の作品が必ずしも、それにふさわしいものではないということで。選考委員の方が、いわば『蓮實を選ぶ』という暴挙に出られたわけであり、その暴挙そのものは、非常に迷惑な話だと思っています」
極めつけは、これだろう。
「あの、馬鹿な質問はやめていただけますか」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/16/hasumi-mishima_n_9998942.html

◎「漫画アクション」(双葉社)で連載されている「奈落の羊」(きづきあきら、サトウナンキ)の評判が良い。「ダ・ヴィンチニュース」で長谷川一秀が次のように書いている。
「今や生活のほとんどにネットが介入し、SNSにまみれた暮らしを送る時代だ。修二を嘲笑しつつも、彼のようなゲスい感情が自分にないかと問われれば、ないと言いつつ、どこか後ろめたさが残る。修二ばかりではない。安全な場所から無責任に修二を煽るリスナーたちにも、自分がいつその立場になってしまってもおかしくないかもと、かすかな不安を覚えてしまう。
それはネット社会、SNSに対して、我々が心のどこかで抱いている漠然とした不安なのかもしれない」
http://ddnavi.com/news/301426/a/

◎AFPの「『プレイボーイ』誌に時代の波、ヌード廃止と創刊者の豪邸売却」によれば、それでも90歳のヒュー・ヘフナーは編集者として現役である。
「プレイボーイ・マンションでインタビューに応じた同誌編集ディレクターのジェーソン・ブールメスター(Jason Burhmester)によれば、1972年のピーク時には700万部を誇った発行部数は現在80万部ほどだ。だが、ヘフナー氏は今も正式な編集長として、すべてのページにサインをしている。
『彼が一語一句を読んだり、ストーリーを編集する必要はないが、編集部からは週に2回、すべてのレイアウトを送っている。彼は何がどうなっているかを知りたがり、写真や記事に目を通し、あれこれ修正をかけるときもある。史上最も成功した雑誌の編集長と議論するのはタフだよ』」
http://www.afpbb.com/articles/-/3087019?pid=0
ヘフナーからすれば花田紀凱など、まだまだひよっ子である。

トーハンは、4月より、テレビ埼玉で平日の夕方に放送中の生活情報ワイド番組「マチコミ」に企画協力を開始している。トーハン・ほんをうえるプロジェクトのメンバーが「テレビ埼玉・ブックプレゼンター」という立場で番組に企画協力し、番組内のコーナー「マチコミ編集局」に「ほんをうえる」が推薦するサブカルや街ネタに詳しい著者を出演者として紹介するなどの情報提供をする。
http://www.tohan.jp/news/20160516_738.html

トーハンゴールデンウィークの書店店頭売行動向を発表した。総合で106.7%、書籍108.7%、雑誌95.6%、コミック115.6%。
書籍を具体的に見ると、文芸116.5%、児童122.9%、趣味・生活114.5%、学参・辞典119.0%。雑誌は定期雑誌が92.2%と苦戦。
http://www.tohan.jp/news/20160516_739.html

◎「Amazon.co.jpオンデマンド本セレクト」というプロジェクトが5月14日にスタートしたという。「Amazon.co.jpオンデマンド本セレクト」は、顧客から注文があった書籍を印刷して出荷するサービス「アマゾン・プリント・オン・デマンド(POD)」で人気だったタイトルをローソンの6000店舗で販売するというものだ。
http://techwave.jp/archives/lawson-sell-amazon-on-demand-books.html

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、メキシコの総合広告会社「Arrechedera y Claverol」(アレチェデラ・クラベロール)の株式100%を取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016057-0517.pdf

◎「ワシントンポスト」がハースト婦人画報社の十河ひろ美編集長について記事を書いていたのか。「クーリエジャポン」(講談社)が取り上げている。十河は4月に開催された財政制度等審議会「女性公聴会」で日本政府の巨額債務について講演している。
「『私は、普通の女性にもっと関心を持ってもらいたいのです』と十河は語る。彼女はトマ・ピケティの『21世紀の資本』をパリのファッションショーに向かう飛行機のなかで読破し、少数の特権階級に富が集中する状況について、問題意識を高めたという」
http://courrier.jp/news/archives/51829/
安全保障ではタカ派の安倍首相だが、経済政策はあまり指摘されていないけれど、社会民主主義的である。じっちゃんも国家社会主義者で、その一派は日本社会党の結党に際して流れ込んできているしね。本人も巣鴨から出てきて公職追放が解けたあと、社会党から代議士に立候補しようと思い西尾末広に相談に行くと「さすがにそれは困る」と断られたそうだ。

小学館よしもとクリエイティブ・エージェンシーが共同で「小学館よしもと新書」を6月3日に立ち上げる。第一弾は、「火花」の芥川賞作家である又吉直樹の「夜を乗り越える」だ。このタイトル良いね。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1648681.html

ベッキーがテレビ復帰した13日放送のTBS「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(金スマ)の平均視聴率が24.0%を記録した。
http://mantan-web.jp/2016/05/16/20160516dog00m200000000c.html

集英社新書から「日本会議 戦前回帰への情念」(山崎雅弘)が刊行される。
http://honto.jp/netstore/pd-book_27869659.html
菅野完、青木理、山崎雅弘による「日本会議」鼎談が読みたいものだ。出版業界は、ちょっとした「日本会議」ブームである。

小学館は、過去に刊行し、広く親しまれてきた厚紙の絵本「育児絵本・保育絵本」のデジタル復刻を開始する。1冊70円(税抜)は、小学館が1950(昭和25)年、戦後最初に刊行した育児絵本と同じ価格だそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1605/17/news046.html

◎「ITmediaニュース」によれば、九州大学は京セラ丸善システムインテグレーション(KMSI)が開発する電子教科書、講義資料の配信システム「BookLooper」を4月から全学の学生・教職員約2万7000人に導入したという。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1605/16/news118.html

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3)【深夜の誌人語録】

どんな人であっても人生は現在に晒されつづけるしかないのである。