【文徒】2016年(平成28)5月19日(第4巻91号・通巻778号)

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1)【記事】新聞は社説で五輪疑惑をどのように取り上げたか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.5.19.Shuppanjin

1)【記事】新聞は社説で五輪疑惑をどのように取り上げたか?

読売新聞が5月18日付で社説「東京五輪招致 不正送金疑惑は晴れるのか」を掲げた。読売は五輪招致にロビー活動は必要であるとしたうえで次のように書いている。読売は初めて「電通」の名前を出した。
「招致委は、広告大手『電通』を通じ、この会社の実績を確認したというが、ペーパーカンパニーだとの指摘もある。調査が甘かったと批判されても仕方がない。
2億円余の料金は適正だったか。それに見合うどんな活動をしたのか。検証が必要だ。
竹田氏は『守秘義務』などを理由に、十分な説明をしていない。これでは疑念は晴れまい。
やましい送金でないのなら、情報を可能な限り開示し、仏当局の捜査にも積極的に協力して、潔白を証明するしかない」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160517-OYT1T50162.html
毎日新聞も5月18日付の社説で取り上げている。タイトルは「東京五輪招致 活動費の使途を明確に」だ。
「1998年長野五輪招致でもあった買収疑惑事件を契機にIOC委員が立候補都市を訪問することが禁止され、ロビー活動などを請け負うコンサルタントへの需要が高まった。東京招致を引き寄せたと言われる『おもてなし』のスピーチも英国人コンサルタントのアドバイスだ。
東京招致委は約10社と契約を結び、活動費約89億円の中から計7億8600万円を支出した。金額は適正だったのか。国民の理解を得るためにも、使途を含め活動内容について最大限情報を公開してほしい」
http://mainichi.jp/articles/20160518/ddm/005/070/034000c
地方紙も社説で、この問題を取り上げている。やはり関心は高い。
「契約のいきさつ、具体的な業務の内容など詳細を明らかにする必要がある。暗い影を引きずったまま、4年後の大会へと進むわけにはいかない」(5月14日付信濃毎日新聞)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160514/KT160513ETI090016000.php
「五輪招致の出納記録を公開し、第三者の目で客観的にJOC声明を裏付けていく必要がある。裏金や裏帳簿、不審な資金の出し入れの有無を徹底的に調べ、潔白を証明せねばならない。信頼回復なくして東京五輪の成功はない」(5月14日付京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160514_4.html
「竹田氏は「海外コンサルなしで招致は成功しない」と強調し、陸上分野などの実績を評価してこの会社と契約したと説明した。同社とディアク氏側との関係は知らなかったとし、その後の業務停止や、契約料の使い道は確認していないとした。海外コンサルの重要性を主張する割に、経営実態の把握が甘い印象だ。第三者に契約内容などを検証してもらう方法も考えるべきではないか」(5月18日付神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201605/0009094430.shtml
「ディアク前会長は、ロシアのドーピング隠しに絡む汚職容疑で調べを受けており、世界反ドーピング機関の第三者委員会は、今年1月に公表した報告書の中で、日本側が国際陸連に多額の協賛金を支払ったとの証言があったと指摘した。トルコ・イスタンブールは協賛金を払わず、ディアク前会長の支持を失ったという、前会長の子息らの会話に基づく報告であり、具体的な根拠は示されていない。日本側は不正な資金提供を否定してきたが、疑惑をにおわすこの報告書の内容についても、さらなる説明が必要であろう」(5月15日付中國新聞
http://3coco.org/a/modules/d3pipes_2/index.php?page=clipping&clipping_id=54688
「開催まであと4年余り。東日本大震災からの復興をアピールする五輪でもある。疑惑を晴らし、世界中の人々から歓迎される大会にしたい」(5月15日付徳島新聞
http://www.topics.or.jp/editorial/news/2016/05/news_14632726815072.html
東京五輪では、新国立競技場や大会エンブレムなどの問題が続いた。開催費用の算定もずさんで、仮設会場の整備費や既存施設の改修費が、招致段階で試算した723億円から約4倍の3000億円近くに膨らむ見通しになっている。
コンサルタント料』も同様に『丼勘定』だった可能性が高い。そのツケは結局、国民に回される。『五輪だから許されるだろう』という甘い考えは通用しない。東京五輪東日本大震災からの『復興五輪』だったはず。不正の汚名を着せられ、復興の足を引っ張る五輪など、誰も望んでいない」(5月18日付愛媛新聞)
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201605184333.html
「竹田氏は、このコンサル会社を『国際大会招致などで実績のある会社』と評価した。それだけ把握しているのに、ディアク氏やその親族との関係は知らなかったという。首をかしげざるを得ない。
きのうの竹田氏の発言の中で見逃せないものがあった。招致について『寄付や協賛金がベースで、税金を一切使わない活動』と説明したことだ。
国などの資金は入っていないと強調したかったのだろうが、開催となれば多額の税金が投入される。それを忘れてはいないか」(5月17日付北海道新聞)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0059431.html
オリンピックに「清く正しく美しく」を求めている国民性を反映した社説が並んでいる。

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2)【本日の一行情報】

◎「機動戦士ガンダム」のキャラクター、シャア・アズナブルガルマ・ザビが5月17日発売の「週刊朝日」の表紙を飾っている。描いたのは、むろん安彦良和だ。
http://mantan-web.jp/2016/05/17/20160516dog00m200035000c.html
安彦良和が監督として、シャア・アズナブルの視点で描く「機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起」が公開される。ぴあは「シャア・アズナブル×ぴあ」を発売している。
http://ure.pia.co.jp/articles/-/56438
「テレビ・ステーション」(ダイヤモンド社)5月21日号も、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起」を特集し、表紙はイラストレータたむらしげるガンダムを描いている。「テレビ・ステーション」の表紙でアニメキャラクターが登場するのは、初めてのことだそうだ。
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1463451165
吉本隆明は「ヤマト」だったが、私は「ガンダム」であった。

◎スタンダードブックストア心斎橋は6月10日、「日本会議の研究」(扶桑社新書)の菅野完のトークショーを開催する。
http://www.standardbookstore.com/archives/66217800.html?utm_content=bufferf9857&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
「本屋ですが、ベストセラーは置いていません。」というキャッチフレーズで有名な書店である。

◎ぴあは、中国最大級の旅行口コミサイト「Mafengwo」(簡体字表記は下記リンクpdfを参照)と IT 関連及びデジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を運営するデジタルハリウッドと、訪日観光分野において連携し、新たなマーケティングサービスを開始。
http://goo.gl/OMyAvI

民進党の枝野幹事長は「…場合によっては、電通の担当者に、国会に来ていただくような話だと思っています」と語っている。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160517-00000963-fnn-pol
http://blogos.com/article/175844/
http://www.nikkansports.com/general/news/1648960.html
これに対して堀江貴文が次のようにツイートしている。
「まあこれはガッツリやって欲しいね。ここで腰砕けるようなら民進党本当に要らんって断言してやるわ笑」
https://twitter.com/takapon_jp/status/732739345837215746
私の周囲では、このブログが話題になっている。
http://exakta.sblo.jp/article/175312747.html
http://exakta.sblo.jp/article/175332236.html

博報堂、大広、読売広告社の4月度単体売上高。博報堂の雑誌が112.1%!大広の雑誌が124.2%!!読売広告社の雑誌が173.0%!!!
ま、大広、読売広告社の雑誌は、ラジオよりも扱いが小さいけれどね。
https://goo.gl/3sVe70

アメリカで10代の少年少女3人がセックスをフェイスブックで生配信してしまうという事件が発生したそうだ。
http://www.gizmodo.jp/2016/05/three-teens-reportedly-livestreamed-themselves-having-sex-on-facebook.html

◎学研プラスの女性ファッション誌「mer」とJリーグ名古屋グランパスがコラボして、5月21日にイベントを開催する。名古屋グランパスvs鹿島アントラーズ戦を同誌の読者モデルで、愛知県在住だった高校時代にサッカー部のマネージャーだったという「しばさき」と一緒に観戦するというもの。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000661.000002535.html

◎3月1日に完全にウェブに移行した「クーリエ・ジャポン」は、4月21日の東京に引き続き、5月22日(日)19:00から、グランフロント大阪のカフェラボでローンチ・パーティーを開催する。参加費は3500円。
http://courrierjapon013.peatix.com/

小学館の国語辞典「大辞泉」編集部は、5月18日のことばの日を記念し、「あなたの言葉を辞書に載せよう。2016」キャンペーンを開始した。
http://www.afpbb.com/articles/-/3087428

北海道新聞によれば「ザ・本屋さん」は、キクヤ図書販売と共同出店している大型書店「帯広喜久屋書店/ザ・本屋さん」の運営から19日で退く。「ザ・本屋さん」は6月中旬にJR帯広駅内に新店舗を開く。「帯広喜久屋書店/ザ・本屋さん」は、キクヤ図書販売直営の「喜久屋書店帯広店」として営業を続ける。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doto/1-0271249.html

◎「東洋経済オンライン」は安積明子による「東京オリンピック『裏金疑惑』の深すぎる闇」を掲載。安積は次のように書いている。
「今月26日と27日に伊勢志摩で開かれるG7サミットでは、主題議題とされる優先アジェンダの中に『腐敗対策』が含まれている。17日の『調査チーム』の会合では、外務省から担当者が出席して、『スポーツの腐敗について共同声明に附則として盛り込む予定だ』と説明した。
『日本で開かれるサミットでスポーツの腐敗について議論すれば、世界の笑われ者になる。我々はあなたがたを責めているわけではない。サミットの前にこれを解決すべく、協力してもらいたい』
山井氏がJOCの関係者にこう語りかけると、関係者は『お願いがある』と言い、涙声で『オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム』の名称を変更してくれるように求めた。だがここまでくれば、裏金ではないという証明責任は招致委員会を引き継いだJOC自身にあるといえる」
http://toyokeizai.net/articles/-/118487

宮脇書店春日店(高松市)が5月15日をもって閉店。
「【閉店情報】宮脇書店 春日店、
2016年5月15日を持って閉店
場所:高松市木太町2833-1
日本国内で、1日1店もの本屋が無くなっている時代、宮脇書店も例外ではなさそう」
https://twitter.com/kagawa_info_tw/status/729102379740585984
谷島屋書店曲金店(静岡市)が5月8日をもって閉店。
「谷島屋書店曲金店が5月8日で閉店するそうな。どんどん本屋がなくなっていくー」
https://twitter.com/heqque21/status/724948560781910017
オークスブックセンター横芝店(千葉)が5月31日をもって閉店。
「突然ですが、サビア横芝全館閉店に伴い、平成28年5月にて閉店することとなりました」
http://kaiten-heiten.com/oaksbc-yokoshiba/
笠原書店下諏訪イオン店(長野県)が6月5日をもって閉店。
「むぅ、下諏訪イオンの笠原書店さん撤退か。レイクウォーク出店に注力するのか。かなり力入れてるようだしなぁ。これで岡谷ー諏訪間の新田中線から全ての書店撤退か。かつては平安堂、TSUTAYA、笠原書店(長地店、イオン店)があったのになぁ・・・」
https://twitter.com/BK110/status/731865095651753984
荏原町駅前の草思堂書店(品川区)が6月26日をもって閉店。
荏原町駅前、草思堂書店です。草思堂書店は6/26(日)をもちまして、閉店致します。40年もの間支えて下さいました、皆様に心から感謝申し上げます。最後の日まで一生懸命頑張ります。足をお運び下さったら幸いです」
https://twitter.com/kobutabook/status/732569362280812547
紀伊国屋書店・新宿南店の跡地に入るのはニトリの可能性が大なようである。「東洋経済オンライン」は、次のように書いている。
「もはや大型書店より家具チェーンか――。今年7月末、劇場と洋書売り場1フロアを残して事実上撤退することが明らかになった、紀伊国屋書店・新宿南店。その跡地に、家具量販最大手のニトリが”テナント”として入居する方向で、交渉が大詰めを迎えていることが分かった」
http://toyokeizai.net/articles/-/118264

エイチ・アイ・エス小学館は協業第一弾として、小学館の情報誌「DIME」のブランドで、訪日中国人ツーリストへ向けた中国語版フリーペーパー小冊子を発刊する。
http://his.co.jp/material/pdf/n_co_20160518.pdf

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3)【深夜の誌人語録】

自由な表現とは「無主義、無規則、無方針」であることだ。