【文徒】2016年(平成28)7月27日(第4巻139号・通巻826号)

ひとり出版社を立ち上げました。第一弾は「知られざる出版『裏面』史 元木昌彦インタヴューズ」です。刊行にあたりクラウドファンディングを立ち上げ、広くパトロンになってくれる方々を募集しています。何とぞ宜しくお願い申し上げます。
https://camp-fire.jp/projects/view/9683


Index--------------------------------------------------------
1)【記事】さんまがラジオで「週刊文春」「ポケモンGO」を論評!+α
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】さんまがラジオで「週刊文春」「ポケモンGO」を論評!+α

23日放送のラジオ番組「ヤングタウン土曜日」で明石家さんまが「週刊文春」について次のように語ったそうだ。
〈さんまによると、携帯電話などの普及により週刊誌全体の売上が落ち込み、週刊文春の場合は経営難を乗り越えるために「苦し紛れにああいう方向に行ってしまった」という。
さんまが「だから昔の文春ファンはショックを受けてるんですね。『こんな記事を文春が載せる?』っていうような時代」と語ると、スタジオからは驚きの声が上がった〉
http://news.livedoor.com/article/detail/11802007/
週刊文春」は何も政治のことばかりを語っていた雑誌ではなかったが、女性読者を意識して、相当、ナンパな方向に舵を切っているのは確かである。「週刊文春」を同日発売の「週刊新潮」と比べれば明らかである。
ヤングタウン土曜日」で語られたさんまのメディア論は「ポケモンGO」にも及んでいる。スポーツニッポンは次のように書いている。
「番組冒頭から、同ゲームの話題で盛り上がるレギュラーの『モーニング娘。'16』飯窪春菜(21)と工藤遥(16)に対し『テレビの敵に乗っかてる場合ちゃうで。演者としては(ポケモンGOを)するな』と一喝。『ゲームやネットでテレビの客をとられているやんか。さらにテレビから客がいなくなる』と、ただでさえテレビ離れが進む中、新たな娯楽の出現に対して危機感を示し、テレビ業界にいる以上は『敵チームに“面白い”とか言うな』と説いた」
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/07/25/kiji/K20160725013033920.html
ポケモンGO」に私は、音楽を部屋から外に連れ出した、かつての「ウォークマン」の影を見る。
それにしても、毎日新聞のこれって寝てても書けるような記事だろうよ。
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160721/biz/00m/010/001000c?fm=mnm
オレの師匠(ポケモンGOのね)を見習って欲しいね。先生は、この記事を書いた時点でレベル22なんだぞ。
https://courrier.jp/news/archives/57647/
さりげなく書かれているが「ポケモンGO」はARとVRの中間領域に属し、新たな時代の転換期の象徴であることは間違いない。オレは現在、レベル17。「ポケモンGO」は、シルバービジネスと日本では相性が良いはずである。このことに広告屋が気づけば面白いと思うんだよね。
また、「動員の政治学」という視点からすれば、「ポケモンGO」の動員力は、昨年ブームとなったシールズを遥かに凌駕している。私は真面目に言っているのである。
何と「ポケストップ」は東京・皇居内にも設置されているそうだ。
http://www.daily.co.jp/gossip/2016/07/25/0009320225.shtml

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2)【本日の一行情報】

◎「てのひらしかけえほんシリーズ」を始めとした、わらべきみかの書籍31点が、国内外累計413万部突破。
http://s-press.shogakukan.co.jp/article/8063/
わらべは、かつてインタビューに答えて「てのひらしかけえほんシリーズ」について次のように語っている。さすが小学館である。
「もともとは小学館の編集の方が育児休職中に僕の絵本をお子さんと読んで下さって、その時にすごく反応が良かったそうなんですね。そこで仕事に復帰された時に、『一緒に絵本を作りましょう』と声をかけて下さったことがすべての始まりです」
http://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/20141128-warabe-kimika/
わらべは、もともとはマンガ家を志して、手塚治虫のアシスタントをしていた。

ブルームバーグによれば、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが投資家のウォーレン・バフェットを抜いて世界3位の富豪となった。トップはマイクロソフトビル・ゲイツ、2位は衣類ブランド「ZARA」の創業者であるスペインのアマンシオ・オルテガ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-22/OAP9J66S972A01

◎全国学習テストで、秋田県が1位の座を独占しているとは、知らなかった。「ダ・ヴィンチニュース」が主婦の友社「最新版やる気スイッチが入る秋田県式家庭学習ノートで勉強しよう!」を紹介している。
http://ddnavi.com/news/312552/a/

◎「DIME」(小学館)のスマホレンズを私は愛用しているが、8月6日発売の女性ファッション誌「AneCan」(もちろん小学館)付録のスマホレンズは、「SNOOPY」とコラボしていてカワイイうえにクリップ式の2in1スマホレンズだ。男のオレでも欲しくなる。
http://www.womaninsight.jp/archives/221685

◎ニュース閲覧アプリ「SmartNews」は、徳間書店のモノ情報誌「GoodsPress」がプロデュースする公式Webサイトとして知られる「&GP」チャネルを開設する。
http://about.smartnews.com/ja/2016/07/25/20160725gp/
私は仕事でも、プライベートでも「SmartNews」は使ったことがない。ニュース閲覧アプリという発想は古くないだろうか。フェイスブックで充分だと思うんだよなあ。オレがズレているのか、「SmartNews」がズレているのか…。

◎子どもを守るため奔走する若い児童福祉司を主人公とする「ちいさいひと 青葉児童相談所物語」が、25日発売の「少年サンデーS増刊」で再開されたが、毎日新聞は次のように書いている。
「連載終了後、15年から電子書籍として販売されると、20〜40代の子育て世代を中心に、『子どもを産んでから普通の親と虐待する親は紙一重だと思った』『虐待してしまう親も苦しんでいる』などと共感を呼んだ。小学館によると、ダウンロードは累計で50万件、単行本は20万部を突破したという」
http://mainichi.jp/articles/20160725/k00/00e/040/145000c

◎「講談社ラノベ文庫 創刊5周年記念トークショー&サイン会」が9月10日(土)にAKIHABARAゲーマーズ本店 6Fで開催される。
https://www.gamers.co.jp/event/50024/

◎「こち亀」が連載40周年とコミックス200巻発売を記念して、「おそ松さん」「ガールズ&パンツァー」「魔術士オーフェン」「チア男子!!」「ハルチカ」「謎解きはディナーのあとで」とコラボする。しかも小説で!集英社から「VS.(バーサス)こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所ノベライズアンソロジー」が刊行される。小説を担当するのが朝井リョウ東川篤哉、石原宙という半端でない顔ぶれだ。
http://mainichi.jp/articles/20160724/dyo/00m/200/013000c

飯野和好の絵本「ねぎぼうずのあさたろう」(福音館書店)は「侠客」が主人公である。「あさたろう」という主人公の名は、むろん国定忠治をリスペクトしてのことだろう。
http://www.asahi.com/articles/ASJ7G3RFWJ7GPTFC00C.html
国定忠治といえば八木節だ。今週末に「桐生八木節まつり」が開催される。
http://kiryu-maturi.net/
(注・サイトに移動するとBGMが鳴ります)

◎大阪・中崎町の「葉ね文庫」が営業しているのは平日夜と土曜。しかも詩歌がメインだという。店主の池上きくこの昼の顔はIT企業の社員なのだそうだ。そんな池上が二階堂奥歯の「八本脚の蝶」(ポプラ社)を紹介しているのだが、私は不勉強にして、この本を知らなかった。池上は「ウートピ」で次のように書いている。
二階堂奥歯『八本脚の蝶』を読みました。若くして自ら命を絶った女性編集者の、WEB上の日記全文を単行本化したもの。
この本にあるのはすべて本物の言葉でした。むき出し、恐れを知らない。
本を愛し執着し、言葉に、思想を、すべてを中に取り込んで、そののち彼女のものとして溢れ出た言葉は、一篇の詩のようでもあって、強く私を揺さぶりました」
http://wotopi.jp/archives/39044
刊行されたのは2006年1月のこと。何故、私は素通りしてしまったのだろうか。
まだ二階堂の日記がネットに残っている。
http://homepage2.nifty.com/waterways/oquba/index.html
「八本脚の蝶」の編集を担当したのは、二階堂と同い年で同じ大学の同学年だった斉藤尚美だが、斉藤は次のように語っている。斉藤は二階堂と学生時代には面識がなかったそうだ。
「1977年生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒です。大学時代は哲学研究会に所属し、幹事長としても活躍していました。大学卒業後は出版社に就職して編集の仕事に就きます。しかし、2003年の4月26日にビルから飛び降りて、自らこの世を去ってしまいました。
2001年から亡くなる直前まで、『八本脚の蝶』というタイトルの日記をインターネット上で公開しており、その日記を、生前に近しかった13人の方に寄稿していただいた文章とともに全文収録したのがこの本です」
二階堂は国書刊行会の編集者だったという。
http://blog.livedoor.jp/genyoblog-higashi/archives/6916092.html
斉藤尚美の「つぶやき」も残っている。
http://www.poplarbeech.com/mutter/200711.html

◎私は「自分の好きな情報だけ取得しがちなウェブとは異なり、情報との偶発的な出会いがある雑誌は、ウェブでは出会えなかった店や場所へと人を動かすこともあるだろう」(WWD JAPAN)とは全く考えない。人は雑誌であろうがウェブであろうが、メディアを問わず自分の好きな情報だけ取得しがちになるのであり、情報との偶発的な出会いは何も雑誌の特権ではなく、そもそもウェブには雑誌では出会えなかった店や場所へと人を動かす力があるのではないだろうか。この程度の思考にとどまっているのでは雑誌の未来は惨憺たるものになるだろう。
https://www.wwdjapan.com/focus/column/business/2016-07-24/17399
女性誌ムラの敗北感の欠片もないような甘ったれに明日はあるまい。

◎日販は、7月29日(金)に全国公開される話題の映画「シン・ゴジラ」の公開を記念したコラボキャンペーンを、日販が運営するインターネット書店Honya Club.comと全国400書店で7月25日(月)より実施する。
http://www.nippan.co.jp/news/godzilla_2016/

ヒラリー・クリントンは副大統領候補をツイッターで発表した。
http://japan.cnet.com/news/society/35086365/
日本で言うとツイッターを武器にした政治家の嚆矢は橋下徹であろう。新聞社系週刊誌の編集長は、こういう時代の変化を理解しているのだろうか。ちなみにツイッターの全世界での利用者数は2億8630万人。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/072502204/?rt=nocnt

ベライゾン・コミュニケーションズは、米ヤフーを48億ドル(約5100億円)で買収することになった。
http://jp.wsj.com/articles/SB12093909455220993593604582209681308796106

◎個人的には大好きなファッション誌「装苑」(文化出版局)が、7月28日発売の9月号でコスチュームを特集し、「乃木坂46」と「欅坂46」の衣装デザインを12ページにわたり紹介するそうだ。
http://www.fashionsnap.com/news/2016-07-25/soen-costume-201609/

◎イギリスのメイ首相はファッション雑誌「ヴォーグ」の定期購読期間を「生涯」にしているんだって!
http://dot.asahi.com/aera/2016072200248.html

BuzzFeed Japanが10月から広告ビジネスを本格的にスタートさせるそうだ。
http://www.advertimes.com/20160725/article230369/

博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂DYデジタル、および 博報堂DYホールディングスの「マーケティング・テクノロジー・センター」は、TVCMとオンライン動画広告をかけ合せた広告効果予測プラニングのため のツール「TV Cross Simulator」(テレビ クロス シミュレーター)を開発・提供してきたが、機能アップデートとしてFacebook 動画広告のシミュレーションへの対応を開始した。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/07/HDYmpnews20160725.pdf
IBMのような企業が電博のライバルになっていくのだろうな。

トーハンも、平成28 年8 月1 日(月)〜9 月30 日(金)の予定で、「時限再販キャンペーン」を実施することになった。どうせ実施するのなら日販と同時に発表すれば良いものを!
http://www.tohan.jp/news/20160725_791.html
トーハンが版元から嫌われる理由をトーハンの経営陣は考えたことがあるのだろうか。

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3)【深夜の誌人語録】

人生は小さな決断の連続である。日々の決断がなければ、いざという時の決断などできるはずもなかろう。