【文徒】2016年(平成28)8月5日(第4巻146号・通巻833号)

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1)【記事】電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」の評判
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」の評判

サービス開始となったアマゾンの電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」がどのように評価されているのかまとめてみた。
「ネット書店大手である同社の参入は、出版界全体に大きな影響を与えそうだ」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20160803-OYT1T50008.html
「米国のデータでは、会員になる前と後の各6カ月間で、1人当たりの読書時間と購入額はそれぞれ30%増えたという」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASJ824FXJJ82UCLV009.html
「書籍は刊行から時間が経過したものがほとんどで、伊坂幸太郎さんや池井戸潤さんらのベストセラーが対象になっている。コミックは若杉公徳さんの『デトロイト・メタル・シティ』などシリーズ全巻が読める作品もあるが、第1巻のみなど一部に限り対象となったものも含む」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160803/k00/00m/040/154000c
「ただ新作や人気作品は少なく、集英社やKADOKAWAは開始当初からの参加を見送った」(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ02I49_S6A800C1TI5000/
「Q:月額980円ってお得なの?
A:正直に言うと微妙だ。読む傾向や読書にどれぐらいお金をかけるかによるだろう」
「Q:どういう人に向くの?
A:趣味の本を読む人は検討する価値があるだろう。たとえば、あなたが将棋ファンなら検討する価値はある。
Kindle価格540円で月刊の『将棋世界』がUnlimited。しかも、『将棋世界 2013年3月号』までさかのぼっての読み放題。『将棋年鑑』もUnlimited。『NHK 将棋講座』のテキストもUnlimitedだ。過去の名著や新しい将棋本も読める。そうなると断然、お得だ」(exciteニュース)
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20160804/E1470249043425.html
「dマガジンと異なりオフライン時でも本を読める!」
「ページごとにキャッシュするシステムではないので、いったん端末にダウンロードしてしまえば、インターネットに接続する必要はないので、飛行機の中などでも閲覧可能」
「利用を終了した本は端末から自動で削除されてしまうので、読み切っていなくても閲覧できない。再読したい場合は、再度読み放題で読むから登録が必要だ。そのためKindle Unlimitedユーザーの場合、再読する必要がなければ『読み放題で読む』。何回も読みたいので残しておきたい場合は、『1-Clickで今すぐ買う』で購入するという使い方になりそうだ」
「ラインナップは非常に多く、すべてを確認したわけではない。ただ、各ジャンルをざっとチェックしたところ、雑誌は月刊誌が多く、週刊誌は少なめ。『週刊文春』や『週刊アスキー』もなかった。小説も新刊やビックタイトルはあまり見当たらず、マンガも1巻だけ読み放題対象というケースが多いので、お試し的な意味合いも強い。この辺りはKDDIが提供しているブックパスと似ている」(Engadget日本版)
http://japanese.engadget.com/2016/08/03/kindle-unlimited/
コミックスについて「出版社別でみると、日本文芸社一迅社白泉社竹書房双葉社は相当にコミットしているようで点数が多い。自分は白泉社の少女漫画ファンなのでこれはうれしい。一方で、講談社小学館はなかよく3冊ずつ、集英社はそもそも参加していない。ラインアップへの影響はこれが大きい」(ITmediaニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1608/03/news101.html
「初回の30日間は無料で体験できるが、無料期間内にキャンセルの設定をしないと、その後自動的に課金されてしまうので注意が必要だ」(ITmediaニュース)
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1608/03/news099.html
「そのほか、短編として、『犬に聞いてみろ』(池井戸 潤)、『天上の飲み物』(三浦 しをん)、『ナベちゃんのヨメ』(辻村 深月)などをラインナップするほか、Kindleアーカイブとして、葛飾北斎の『富嶽百景』、広重の『名所江戸百景』など、国立国会図書館所蔵の作品1万点以上も読み放題に含まれる」(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/service/35086879/
「日本市場における電子書籍の月額読み放題サービスには、『Yahoo!ブックストア読み放題』(月額400円/税別)やNTTドコモの『dマガジン』(月額400円/税別)などの先行事例がある。ただ、前者はどちらかというとコミックが中心で、後者は電子雑誌のみのサービスとなる。そこへ月額980円と既存サービスの2倍超の価格とはいえ、圧倒的な物量を誇る書籍界の巨人アマゾンが参入するのだから、その影響力の甚大さは容易に想像がつく」(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/080200596/?rt=nocnt
Kindle Unlimitedの本は、同時にすべて販売もされています。というのも、読み放題の本には入れ替えがあるので、ずっと書庫に入れておきたいものは購入することができるんです」
「本は大量に存在しています。どの種類のコンテンツにも言えることですが、実際に読んでみるまでそれが自分に合うかどうかはわかりません。それが楽しさでもありますが、どれを手に取っていいのかわからないとか、お金を払って合わない本だったらイヤだという人もいます。そういった人たちが、手当たり次第にとりあえず開いて読んでみることができる、図書館のような場所がKindle Unlimitedなんです」(GIZMODO)
http://www.gizmodo.jp/2016/08/go980amazon_kindle_unlimited.html
アマゾンが次に出版業界に話題を提供するとするならば、出版社の買収なのではないか。私がアマゾンの担当者であるならば、主婦と生活社とか新潮社に狙いを定めるに違いない。

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2)【本日の一行情報】

双葉社は、コミックス累計435万部となった「orange」の公式LINEスタンプ「orange ゆるかわスタンプ♪」をリリースした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000014531.html

◎ぴあが「笑点五〇年史 1966-2016」を刊行した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000243.000011710.html

◎LINEは、渋谷区と行政サービスのIT化/高度化を通じた地域課題の解決に向けて、「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を締結した。協定の内容は、次の6つの領域で構成されている。
1) ソーシャルメディアコミュニケーション領域
LINEを使った様々な行政サービスを目指します。
2) リテラシー教育領域
区内の小中学校に向けた様々なリテラシー教育の実施を目指します。
3) 電子商取引領域
様々なサービスをオンライン上で予約・支払いできるキャッシュレスな環境の実現を目指します。
4) シェアリングエコノミーサービス領域
様々なシェアリングサービスの実現を目指します。
5) 区役所職員のワークスタイル
区役所職員のワークスタイルの改革に協力します。
6) 人的交流
両者の人材開発や研修プログラムによる交流を目指します。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1462
時代の流れは「メディアからサービスへ」である。

ジャストシステムの「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」(7月度)によればツイッターの利用状況は若年層ほど利用率が高く、10代は女性が7割、男性は6割が利用する。20代女性も69.0%。
Facebookの利用状況は、20代の女性が50.0%、10代の女性が40.0%、30代の女性が39.0%と。男性では50代が47.0%、10代は24.0%に過ぎない。
Instagramは、10代女性が46.0%と20代女性が48.0%。
LINEは、10代男性が9割、10代と20代の女性で8割以上が利用。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1013636.html

主婦の友社、HaTaMoo.、レッグスとの共同企画開発商品「S Cawaii!#FLOWER_TATTOOシール」が、 8月4日に全国のドン・キホーテで発売となった。
http://tokyo.cawaii.media/scawaii/28720/
http://www.prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000012194.html

◎「Kindle Unlimitedにないのは『週刊SPA!』『週刊ザ・テレビジョン』『週刊ダイヤモンド』『週刊パーゴルフ』『週刊ファミ通』『週刊ベースボール』『週刊ポスト』『週刊現代』『週刊女性』『週刊新潮』『週刊東京ウォーカー+』『週刊東洋経済』『週刊文春』『女性セブン』『女性自身』『FLASH』『FRIDAY』など。
あとは日経系がKindle Unlimitedにはないです。『日経Health』『日経PC21』『日経TORENDY』『日経WOMAN』『日経エンタテイメント!』『日経おとなのOFF』『日経ビジネスAssocie』『日経マネー』。女性ファッション誌も、『AneCan』『CanCan』『non-no』などがあるdマガジンのほうが強い印象です」(見て歩く者by鷹野凌)
http://www.wildhawkfield.com/2016/08/Kindle-Unlimited-magazine.html

◎ブックリスタは、オリジナルのインタビューや取材記事、そして連載コラム記事などを配信するWEBメディア「otoCoto」(オトコト)(http://otocoto.jp)を本格オープンした。もともと「otoCoto」はエムオン・エンタテインメントと協業の出版ブランドとして展開してきたが、今回は新たにwebメディア「otoCoto」を、ブックリスタ単独の取り組みとして、映画、音楽、アニメなどのエンタテインメント分野や、アートやグルメといったカルチャー分野を対象に、知的好奇心の高い30代〜50代の読者の方々が幅広く楽しめるような「大人のためのエンタメ&カルチャーに特化した記事展開」をはかるそうだ。
https://www.booklista.co.jp/corp/newsrelease/1939/

文藝春秋は8月5日(金)より1週間、佐伯泰英の時代小説「御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版」の電子書籍版を無料で配信する。佐伯の作品数は18年間で220冊超、累計発行部数は5,700万部に達するそうだ!これまで佐伯の作品の電子書籍版はリリースされていなかったが、文藝春秋では初の電子書籍化に取り組むことを記念しての施策である。
https://www.atpress.ne.jp/news/109188

全国高校野球選手権大会に合わせ、阪神甲子園球場内にあだち充の「タッチ」、「MIX」、満田拓也の「MAJOR」、「MAJOR2nd」のイラストや名シーンをつかった、全26種類のポスターが掲出される。
http://www.advertimes.com/20160804/article231575/

北原みのり鳥越俊太郎のスキャンダル問題に触れて「週刊朝日」の連載「ニッポンスッポンポンNEO」で次のように書いている。
「差別込みの日常を、私たちは生きている。その差別は日々アップデートされ、放置されている。自分をリベラルだと思っている男性ほど、差別を突きつけられると動揺するのも、よく分かる。私だって、自分の気がつかない差別を指摘されたら、動揺する。でも、分からないって所からはじめてよ、としか言いようがない。『これは差別だよ』と差別される側が説明し続けるのは、とてもしんどい」
http://dot.asahi.com/wa/2016080300165.html?page=1

講談社は、本日8月3日より「水木しげる漫画大全集」第1期デジタル版の配信を開始している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001067.000001719.html

◎「電撃文庫」(KADOKAWA)の「ソードアート・オンライン」シリーズ(川原 礫)がハリウッドで実写TVドラマ化されることになった。
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1470193704

TSUTAYAの「書店員が選んだもう一度読みたい文庫(家族小説部門)」で第1位となった西澤保彦の「方舟は冬の国へ」(双葉社)が復刊された。
http://top.tsite.jp/news/book01/campaign/29800917/?sc_int=tcore_news_recent

◎「羽海野チカの世界展〜ハチミツとライオンと〜」が、8月17日まで西武池袋本店別館で開催されている。「コミックナタリー」が紹介しているが、白泉社鳥嶋和彦社長のコメントが的確だ。
「原画展で印象に残ったのは、羽海野さんが描く非常に硬質な下町の風景。対照的に食事のシーンがすごく楽しそうに描かれている。この対比が僕にとっては印象的で、小津安二郎の映像を見ているような感覚に襲われました」
http://natalie.mu/comic/news/196991

◎8月16日発売の「DIME」(小学館)の付録は「ガリガリ君ひんやりUSB扇風機」。これは売れるよ。
http://dime.jp/genre/278520/1/

講談社の「週刊少年マガジン」に連載されている瀬尾公治の「風夏」が、TVアニメ化されることになった。
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1470198764
http://fuuka.tv/

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3)【深夜の誌人語録】

安易な楽観主義を禁じなければならないのは当然だが、悲観主義に堕落することも戒めなければならない。