【文徒】2016年(平成28)8月10日(第4巻149号・通巻836号)

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1)【記事】「クーリエ・ジャポン」のリアルシフトについて
2)【記事】 「週刊少年ジャンプ」が踏み切った編集力の解放
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「クーリエ・ジャポン」のリアルシフトについて

講談社のウエブサービス「クーリエ・ジャポン」は佐藤優の早朝講座「社会人のための使える教養」第2弾を8月30日(火)、31日(水)、9月6日(火)、7日(水)、8日(木)の5日間にわたってフクラシア東京ステーションで毎朝7時より開講する。料金は1回1万円。
https://courrier.jp/blog/56227/
関西でも早朝講座を開催できないものか?こういうニーズは博多でもあるだろうし、名古屋でも、仙台でも、札幌でもあるはずだ。
クーリエ・ジャポン」はまた大陸トラベル、アエロフロート・ロシア航空とコラボして8月26日にSmartNewsイベントスペースで「『奇界遺産』佐藤健寿トークイベント」を開催する。こちらは参加費1500円である。
https://courrier.jp/blog/58665/
クーリエ・ジャポン」の会員は早朝講座に関しては500円、佐藤健寿トークイベントに関しては1000円の割引となる。早朝講座も500円と言わず、最低でも1000円の割引とすべきなのではないか。
私は「クーリエ・ジャポン」のこうしたリアルシフトは支持している。それだけに会員割引がいかに重要であるかを、声を大にして言いたい。会員向けではなく、会員以外に向けたリアルシフトの動員力が強まれば強まるほど「クーリエ・ジャポン」の会員が増えるという戦略を明確に持つべきなのではないだろうか。
メディアのデジタルシフトとは最終的には編集者とオーディエンスが協働関係を築くべきだと思うが、その前提条件として編集者がオーディエンスのもとに下りていかなければなるまい。リアルシフトの本質は、そこにある。メディアというよりもサービスの自覚が問われているのだ。
もう一つ言わせてもらおう。編集のみならず広告関係者にしても読者という固定観念に縛られていては駄目なのである。オーディエンスはパートナーなのである。メディアが読者を囲い込んでコミュニティを形成するといった自惚れた反動性にいつまでも依拠していてはならないのである。
http://digiday.jp/publishers/kodansha-nagasaki-nativead-videoad/

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2)【記事】 「週刊少年ジャンプ」が踏み切った編集力の解放

8月8日にリリースされた集英社の「週刊少年ジャンプ」編集部とデジタル事業部が共同開発したスマホ用アプリ「Myジャンプ」が凄い!何とユーザーが「編集長」となり、「プレイボール」「キン肉マンドラゴンボール」「ONE PIECE」など現在、過去の約230作のジャンプ作品の中から、「自分だけのジャンプ」を編集して、毎週1冊ずつ楽しめる「週刊Myジャンプ」機能が備わっているのだ。「週刊Myジャンプ」 の月額利用料は、10作品選択で480円、20作品選択で840円。
更に「My ジャンプ BEST」機能では、「世界で一冊だけのジャンプが作れる」。ユーザーは好みのエピソードを選んで購入する形となっており、10作品で250円、20作品400円で利用できる。
編集の「権利」を売るという発想である。
ソーシャルメディアの時代にあっては否応なく編集力がオーディエンスに解放されてゆくのである。編集力は編集者の特権ではなく、オーディエンスもまた編集力を駆使できるような場を創出しない限り、旧来のメディアは衰退する一方なのである。雑誌は、それぞれの立場から読者を読者の檻から解き放つ仕組みを考えなければならないはずである。
http://mantan-web.jp/2016/08/08/20160807dog00m200027000c.html
女性ファッション誌でもやればいいじゃん。

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3)【本日の一行情報】

小学館とグリーの 100%子会社である Glossom は、今夏よりインフルエンサーを軸としたソーシャルプロモーションとマーケティング領域で共同事業を展開していくことを目指して、包括的業務提携に向け具体的な協議に入る基本合意書を締結した。小学館と Glossom は、雑誌の作り手が持つ質の高いコンテンツを生み出す力と SNSソーシャルメディアが生み出すインフルエンサーのエンゲージメント力を通して、全く新しいフォーマットの提案と価値創造を、共同で行うことになる。
http://pr.glossom.co.jp/2016-08-09.html
具体的にはどうなるのか?ちょっと楽しみな提携ではある。

角川映画祭が開催されている。角川春樹が牽引した角川映画の最大の功績は、今更言うまでもないことだが、相米慎二澤井信一郎をデビュー2作目にして起用し、大ヒットを飛ばしてしまったことである。「翔んだカップル」でデビューした相米に「セーラー服と機関銃」を撮らせ、「野菊の墓」でデビューした澤井に「Wの悲劇」を角川春樹は撮らせたのである。
http://news.walkerplus.com/article/83702/
相米長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」の助監督をつとめ、澤井は野田幸男の「0課の女 赤い手錠」の助監督をつとめている。

◎2月に惜しまれて閉店した友朋堂書店吾妻店(つくば市吾妻)で7日、市民参加型の古本市「友朋堂書店一箱古本市」を開催した。
「出店者で参加した友朋堂の元書店員、徳永直良さん(52)は『友朋堂の中でまた本を売れるのはうれしいです。書店員時代に知っている方も来てくれている』と笑顔を見せた」(常陽新聞)
http://goo.gl/e3LGu6

電通の社内横断組織「電通宇宙ラボ」(www.dentsu-space-lab.jp)は、アクセルスペースとの協働により、超小型衛星のデータ解析を通じた新たなマーケティングソリューションの開発に乗り出す。またこれを機に、電通デジタルも「電通宇宙ラボ」に参画することになった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016094-0808.pdf

◎ザ・ゴールがAEを正社員として募集している。年収450万円〜700万円。月給250,000円〜。広告代理店での営業経験者(4マス経験者)が条件である。
https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3001370984/

高知新聞の記事。
「夏のお土産に、特製バッグ入り『きんこん土佐日記』単行本はいかが――。高知市帯屋町2丁目の老舗『金高堂書店』本店が現在地へ移転して8月8日で1周年になるのを記念し、6日から『きんこん土佐日記』単行本第9巻購入者に限り、特製新聞バッグのプレゼントを始めた。先着300個」
https://www.kochinews.co.jp/article/40500/
総じて新聞は書店に温かい。それが良いのか悪いのか。

◎「スタンプ? 広告? LINEの稼ぎ頭は何か」(マイナビニュース)は次のように書いている。
「2015年度および2016年度の第二四半期までの売上収益をみると、2015年度は『コンテンツ』が、2016年度は『広告』がサービス別の売上でトップシェアを占めており、特に広告はほぼ毎期ごとに収益を伸ばしている。
つまり、昨年度まではLINEは「スタンプの会社」だったのが、ようやく2016年度にきて広告収入が上回るようになってきたというわけだ。いよいよLINEも本格的にインフラとして成立してきた感がある」
http://news.mynavi.jp/articles/2016/08/08/line/

◎リンベルと東急エージェンシー北海道支社は、カタログギフト「北海道七つ星ギフト」をリニューアルした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000012798.html

◎記事のbot化は加速度的に進むことになるだろう。「techable」は次のように書いている。
「米有力紙『ワシントン・ポスト(The Washington Post)』は、人工知能を応用した独自の記事生成システム『Heliograf』により、競技の実施スケジュールやその結果、国・地域別メダル獲得数など、リオデジャネイロオリンピックに関する主な情報を自動で生成」
http://techable.jp/archives/45576
「物語」の領域でもbot化はあり得ると私は思っている。

テレビ朝日系の人気番組「大改造!! 劇的ビフォーアフターSEASONII」が愛知県の建設会社から損害賠償で訴えられているそうだ。
http://www.asagei.com/excerpt/63719

◎アマゾンジャパンへの公正取引委員会立ち入り検査、続報。アマゾンは競合サイトよりも安価で商品を取引できるよう出展者と契約を強いていたのではないかと独占禁止法違反の疑いをもたれたわけである。
http://www.corporate-legal.jp/%e6%b3%95%e5%8b%99%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9/%e4%bc%81%e6%a5%ad/7219
http://www.asahi.com/articles/ASJ885FX8J88UTIL033.html
出版の再販制が壊れたら、アマゾンの天下となるということだろう。

電子書籍レンタルサイト「Renta!」(http://renta.papy.co.jp/)は、8月9日(火)から、スマホに最適化された縦スクロールで読むフルカラーコミック「タテコミ」のサービスを開始した。
http://www.papy.co.jp/info/index.php?page=/release/160809.htm

◎NTTソルマーレが提供する「コミックシーモア」は、好きなコミック、ライトノベルなどを登録すると、発売日当日に自動購入する「新刊自動購入」機能を8月8日にリリースした。
http://www.nttsolmare.com/press/2016/0808_2.html

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4)【深夜の誌人語録】

志も大切だが妄想も大切にしたい。