【文徒】2016年(平成28)10月19日(第4巻195号・通巻882号)

Index--------------------------------------------------------
1)【記事】「Swipe Studio」中島聡の発言に注目しよう
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.10.19.Shuppanjin

1)【記事】「Swipe Studio」中島聡の発言に注目しよう

「発行部数の激減する新聞・雑誌。本当になくなってしまって良いのか?」で、中島聡は次のように書いている。
「メディアが変われば、コンテンツのフォーマットも、それに合わせて大きく変わるのが当然なのです」
「今、業界に必要なのは、写真、映像、アニメーションなどを取り入れた、スマホに最適化されたコンテンツの配布を可能にするコンテンツ・フォーマットであり、そんなコンテンツ作りを支援するオーサリング・ツールなのです」
http://satoshi.blogs.com/life/2016/10/comic.html
スマホは人々のライフスタイルを劇的に変えてしまった以上、あらゆるコンテンツはスマホに最適化される必要があるということだ。中島は次のように描写している。
「20年前、通勤・通学する人々の多くは、漫画・雑誌・スポーツ紙を読んでいました。駅のホームには必ずキオスクがあり、そこで雑誌や新聞を売っていました。朝、通学途中に読んだ漫画を友達と回し読み、それがごく普通の高校生・大学生の姿でした。
今はそんな人たちはほとんど見かけません。誰も彼も、スマホで何かをしています。LINEでコミュニケーションをする人、Instagramで写真を楽しむ人、Youtubeで映像を観る人、ゲームを遊ぶ人、ニュースを読む人。目的は様々ですが、そこに、従来型の雑誌やスポーツ紙が存在する余地はすでにないし、決して元には戻らないのです」
そう時代は元には戻らないのである。この現実を直視せず、紙の媒体の優位性を語ることは、ピエロである。もし本人がそれを気づいていないとすれば悲劇である。誤解を恐れずにいえば、スマホはありとあらゆるコンテンツが詰まっているメディアなのである。
中島聡はマイクロソフト出身のエンジニアであるようだ。中島はSwipe Studioをリリースした。
「Swipe Studioはアニメや映像、音楽、声、効果音などを編集することで、誰でも直感的に、簡単にコミックスタイルの作品を作ることが出来る。新しい映像表現を生み出す技術として注目されている」
http://animationbusiness.info/archives/623
中島はアプリを英語版でリリースしているのか!
https://itunes.apple.com/app/swipe-studio/id1148461767?ls=1&mt=8
メディアはメッセージだと喝破したマクルーハンに倣っていえば、テクノロジーはメッセージなのである。

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎ロンドンに店を構える、創業は1761年という世界最古の古書店「ヘンリー・サザラン」が紹介されている。
http://guide.travel.co.jp/article/22176/

◎11万部を超えるヒットとなった「ねこ自身」が帰って来る。光文社は10月22日に「ねこ自身 2匹め」を発売する。
http://jisin.jp/serial/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88/arekore/25979
にゃんこ堂で買うことにしよう。私の事務所から一番近い書店がここなんだよね。
http://www.sankei.com/life/news/161017/lif1610170016-n1.html

◎BLOGOS編集部がスタッフを募集している。
http://blogos.com/article/194302/

◎米ツイッターは結局、買い手が現われなかった。
http://japanese.engadget.com/2016/10/17/twitter/

北方謙三秋本治菊池寛賞を獲得した。
http://blog.shueisha.co.jp/event/index.php?ID=295

◎「みすず書房旧社屋」が幻戯書房から刊行される。買わねばなるまい。
https://twitter.com/genki89476596/status/787829842678984704
http://genkishobo.exblog.jp/23489570/
保阪正康の「ナショナリズムの昭和」も幻戯書房だ。これも買う。
http://genkishobo.exblog.jp/

◎「PLEASE」は「本屋Title」がイチ押しするファッション誌だ。
https://title-books.stores.jp/items/5805870d9821cc93be005480
北原は元「POPEYE」副編集長。Ray and LoveRock 名義でフォトグラファーとしても活躍している。そんな北原が編集、撮影等すべてのディレクションをてがけている雑誌が「PLEASE」である。
http://fashionpost.jp/fashion/fashion-news-event/62127

◎「『愛欲と妄想の20世紀巷談』 官能小説家・館淳一が語る昭和メディア」が10月24日に「Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE」で開催される。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=107869438
島地勝彦と館淳一集英社の同期入社組である。島地は「週刊プレイボーイ」に配属され、館は「週刊明星」に配属される。館が集英社を辞め官能小説家になるにあたって、島地が重要な役割を果たす。この恩義に報いるべく島地が編集長に就任すると館は最強の助っ人として島地をフォローすることになる。

◎アマゾンの読み放題サービス「Kindle Unlimited」で、アマゾンが出版社に提案した契約内容をNHKが明らかにした。
「入手した資料によると、今回の読み放題サービスでは、月額980円の購読料は50%ずつアマゾンと出版社で折半することになっています。そのうえで出版社の取り分については、書籍の価格と何冊読まれたかに応じて各社が山分けする方式です」
更にアマゾンはサービス開始から12月31日までの期間を対象に「期間限定特別条件」を出版社に提案した。
「アマゾンは読み放題サービスとは別に、もともと1冊ごとに販売する電子書籍の配信サービスを行っています。このサービスでは、1冊売れるごとに、アマゾンが出版社に対してあらかじめ取り決めた金額を支払います。今回の期間限定特別条件では、同様の支払いを読み放題サービスでも出版社に行うとアマゾンは約束していたのです」
「入手した資料と複数の関係者への取材によると、特別条件では、1冊のページ数のうち10%以上が読まれた場合、1冊販売したと見なすことになっていました」
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_1017.html
NHKに資料を提供したのは取次であった。

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

本当は成功が失敗のもとであったのである。