【文徒】2016年(平成28)年11月9日(第4巻209号・通巻896号)

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1)【記事】高橋秀樹のブログ「メディアゴン」が鋭い指摘をしている
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】高橋秀樹のブログ「メディアゴン」が鋭い指摘をしている

11月4日のテレビ朝日報道ステーション」を私は見ていないのだが、サイバーエージェント社・藤田晋社長がゲストコメンテーターとして出演し、高橋秀樹のブログ「メディアゴン」のエントリによれば「番組の正味放送時間(CMを除いた放送時間)のほぼ4分の1を使って自社宣伝が放送された」そうだ。これでは「ステマ」と指弾されても致し方あるまい。
「さて、『AbemaTV藤田氏に聞くテレビとニュースのこれから』と題して、ニュースを装ってはいるものの内容は以下のようなありさまだ。
・藤田社長によるAbemaTVを、視聴するためのアプリの紹介。
・おなじく、アプリが1000万ダウンロードを達成した報告。
・誰でも知っているようなおざなりのテレビ発達史(VTR)
・AbemaTVが熊本大震災で役立った話(VTR)
・AbemaTVスタジオとテレビ朝日スタジオ『報道ステーション』の同時中継。
これを『ステマ』と呼ぶには、本当のステルス・マーケティングに対して失礼だと思えるほどの露骨な宣伝である」
言うまでもなくAbemaTVは藤田のサイバーエージェントテレビ朝日によるジョイントビジネスである。それだけに「報道ステーション」の「報道番組」としての見識が問われよう。
http://mediagong.jp/?p=19902
高橋はエントリ「<厚労省が立ち入り調査>電通への強制調査に恐怖するテレビ局・IT企業・新聞社」でも次のような鋭い指摘をしている。
「しかし一方で、早く帰っては仕事が終わらない実態がある。そこでしわ寄せが来るのはテレビ局の場合、下請けプロダクションから派遣されているディレクターやADである。
彼ら彼女らもプロダクションと三六協定を結んでいるが「みなし残業」という仕組みで、残業代は既に給料に含まれているという扱いをされていることが多い。
それから、マクドナルドで有名になった名ばかり管理職というのがテレビ局やIT企業、新聞社には意外と多い。ある程度の年齢になった記者などは平社員ではなく役職がつくのである。
この人々には残業代もつかないし、法律違反にもなりにくいので、ここぞとばかりに多くの仕事が回ってくる。管理職といっても名ばかりで平社員と同じ労働待遇であると認定されれば違法の範疇だ。取り繕っても実態が優先する。
ところで、そもそも労働基準法は工場労働者などのブルーカラーが過重労働にならないように考えられている。それを記者などの職種に運用で適用しよう言うのには無理がある」
http://mediagong.jp/?p=19888

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2)【本日の一行情報】

OVAフリクリ』の原画集がアニメ原画集「E-SAKUGA」シリーズの最新作として電子書籍で11月末にApple iBooksから全世界同時発売されることになった。
http://animeanime.jp/article/2016/11/05/31215.html

◎「本TUBE」が展開する「読書好きJKプロジェクト」が「1番好きな本ランキング〜2016年上半期」を発表している。「JK」とは女子高生のことである。
1位に輝いたのは「君の膵臓が食べたい」(双葉社)。2位「僕は明日、昨日のきみとデートする」(宝島社)、3位「植物図鑑」(幻冬舎)、4位「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(KADOKAWA)、5位「恋空」(スターツ出版)、6位「通学電車」(集英社)、7位「世界から猫が消えたなら」(小学館)、8位「図書館戦争」(KADOKAWA)、9位「ハリー・ポッター」(静山社)、10位「青空エール」(集英社)。
http://www.hon-tube.com/pc/event_18.php
予想できたとはいえ、新潮社や文藝春秋の作品が入っていないことにやはり驚く。講談社の作品も入っていないし・・・。この三社は「純文学誌」を擁している出版社である。純文学誌を擁していても集英社は2作もランクインさせていることも驚きだ。

◎あゆみBOOKS早稲田店でも選書をさせていただいた。
https://twitter.com/AyumiBooks_W/status/795553387316056065

資生堂の「花椿」が紙で復活! 新装刊パイロット版の「0号」はBook in Book「花椿文庫」が付録だが、何とウィリアム・サローヤンの短編「心が高地にある男」が柴田元幸の新訳で読めるという贅沢なものだ。久しぶりに資生堂らしさを垣間見ることができる。
http://www.fashion-headline.com/article/2016/11/06/15938.html

小学館学習漫画「少年少女日本の歴史」の弟20巻について東京新聞が「入れ替わった9条提案 学習漫画『日本の歴史』」と報じた。
「・・・第二十巻『新しい日本』の中で、四六年一月二十四日の幣原・マッカーサー会談を描いた一コマ。出版時期が違うものを探して比べたところ、絵柄はほぼ同じなのに発言内容が変わっていた。
具体的には、九三年三月発行の第三十三刷は、戦争放棄憲法に入れるよう提案したのは幣原としていたが、九四年二月発行の第三十五刷はマッカーサーの提案となっていた(第三十四刷は見つからず)。現在発行されている増補・改訂版は二十一巻で現憲法制定に触れているが二人の会談場面は描かれていない」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016110690070932.html
どっちが提案しようが、「憲法制定権力」がGHQであったことは間違いないのではないか。

◎10月に増刷した実業之日本社文庫「よろこびの歌」(宮下奈都)の第4刷の一部に、解説ページが1ページ分欠落する印刷ミスがあったそうだ。
http://www.j-n.co.jp/news/?article_id=387

テレビ朝日が制作し、ミャンマーで放送される旅番組「KIRA KIRA JAPAN」の発表会が開催されたという。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000087156.html
出版社にとってもアジアシフトは課題である。

アメリカのラジオにおいて「カントリー専門局の数は2008年に2,874件だったが、2015年には40%増の4,002件となった」と「フォーブスジャパン」は書いている。
http://forbesjapan.com/articles/detail/14138

サイバーエージェントとエイベックス・デジタルが共同して手がけるサブスクリプション音楽配信サービス「AWA」が新しい月額無料プラン「Freeプラン(フリープラン)」の提供を開始した。月々の再生可能時間を、従来の1時間から20時間へと延長し、楽曲の盛り上がる箇所90秒間を、フェードイン・フェードアウトにより途切れることなく聴くことができる新機能「ハイライト再生」によるサービスだ。
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=12773

紀伊國屋書店は、米テキサス州に2店舗を出店する。2店舗ともダラス市郊外に位置し、「テキサス・キャロルトン店」が12月、続「テキサス・プレイノ店」が来年2月に開店する段取りだ。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/company/pressrelease/20161107150907.html

集英社は12月17日・18日に千葉・幕張メッセで「ジャンプフェスタ2017」を開催するが、「僕のヒーローアカデミア」のテレビアニメで声優をつとめた山下大輝岡本信彦に加え、原作者の堀越耕平も登場するそうだ。
http://animeanime.jp/article/2016/11/07/31226.html

◎日販は、12月1日、麹町3丁目の秩父屋ビル4階に小中学校児童・生徒向け図書の選書施設として「日販図書館選書センター」を開設する。
http://www.nippan.co.jp/news/toshokan_sensho_center/

◎「元少年A」のホームページが閉鎖されていたそうである。
http://tocana.jp/2016/11/post_11391_entry.html

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3)【深夜の誌人語録】

大きければ良いというものではあるまい。小さくても価値のあることは世の中に無数に存在する。