【文徒】2016年（平成28）年12月19日（第4巻236号・通巻923号）

Index--------------------------------------------------------
１）【記事】ステマと偽ニュースについて考えた
２）【本日の一行情報】
３）【深夜の誌人語録】

- - - - 2016.12.19.Shuppanjin

１）【記事】ステマと偽ニュースについて考えた

「週刊新潮」の報じた「明治『R-1ヨーグルト』とテレビ局の裏金『ステマ番組』」。中吊り広告では、それほど大きな扱いではなかったが、ネットではこの記事に協力している水島宏明の「テレビが『ステマ手法』！　視聴者への裏切りでは？」が拡散しており、恐らく「週刊新潮」の記事以上に読まれているのではないか。「ヤフー！ニュース個人」「BLOGOS」「ハフィントンポスト」に掲載されている。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20161215-00065488/
「ステマ手法」を疑われたＩＢＣ岩手放送は12月14日付で「番組審議会の議事録に事実誤認による発言が掲載されておりました」を発表している。
「2015年11月18日、弊社にて開催されましたIBC番組審議会において番組の制作に関する社員の事実誤認による発言があり、その発言が議事録にそのまま掲載されておりました。
また、その議事録が外部に流出した疑いが強いことが判明いたしました。
議事録は概要を除いて、公表を前提としたものではなく流出してしまったことは誠に遺憾です。また、審議会での議論は捉えようによって曲解、誤解される内容となります。そのような中、社員の事実誤認による発言により、関係各所にご迷惑をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。
●議事録の内容には下記の事実誤認とそれに基づく発言が認められました。
番組の制作について
弊社の独立した編成権、制作権に基づいて制作しております。（株）明治には素材の提供のみをお願いしたものです。
（事実誤認による具体的な発言例）『主に東京のセールス部門と、大手広告会社と提供の宣伝担当の方とコミュニケーションを取りながら番組が成り立っている構造があります』→研究成果の提供を受けた事実はありますが、宣伝担当の方が番組制作にかかわった事実はありません。
研究成果と商品の混同について
当該番組につきまして、弊社社員より『特定商品の効能訴求を意図した』旨の発言がありましたが、これは弊社社員の誤解による発言でした。番組内には商品を紹介するくだりは全くありません。
（事実誤認による具体的な発言例）『Ｒ−1乳酸菌の扱いについては、ノンクレジットタイアップという方式です。』『それはまさにインフォマーシャル、単純に商品だけでなく商品に付随する情報も伝えたい。』→この番組はタイアップにより制作されたものではなく、したがってクレジットが入ることはありません。また、この番組は情報番組であり乳酸菌の研究成果を紹介したものでインフォマーシャルとは異なるものです。
※他の発言につきましても精査し適正に対応してまいります
●制作の担い手として
本審議会で取り上げられた番組につきましては、番組全体の粗さが審議会委員より強く指摘され審議対象となりました。今後は放送局として更に責任を強く持って番組制作に臨んでまいります」
http://www.ibc.co.jp/about/20161214/
「弁護士ドットコムNEWS」は「岩手放送がR-1ヨーグルト『ステマ番組』か？週刊誌報道に『違法ではない』と弁明」で次のように書いている。
「今回の岩手放送のケースは、議事録の活字になって、それが訂正されずに残っていたことからすると、当事者の意識としてはそうだったのだろう。議事録にあった発言は、かなり率直な体験談の表明だと思う。独立した放送局の番組にスポンサーが強い影響力を駆使したというのは本当はあってはならない。その『あってはならないこと』と表明してしまったので、事実誤認だったと訂正したのだろう」
「本当は、どんな名目で、いくらの金が岩手放送に流れたのかということを検証していくべきだ」
https://www.bengo4.com/internet/n_5474/
この件は雑誌にとっても笑い事では済まされないはずだ。広告業界が牧歌的であった時代は終わりを告げようとしているのかもしれない。
ところで、こんなサイトもある。「明治乳業争議を支援する会」が掲載している「BusinessJournal」の記事は乳製品には発がん性の危険があると指摘している。
「…なによりも問題なのは、現代の酪農のシステムでは、生産効率を上げるために、妊娠中の牛からも搾乳することです。濃厚飼料を与え搾乳器で吸乳し続けるので、牛は大量に牛乳を搾り取られることになります。これは牛だけではありませんが、妊娠すれば胎児を守るために血中の卵胞ホルモン（エストロゲン）と黄体ホルモン（プロゲステロン）の濃度は高くなります。
つまり、妊娠中の牛から搾った牛乳には、これらの女性ホルモンが相当量含まれていると考えなければなりません。そして、これらのホルモンは、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮体部がんなどのホルモン依存性の悪性腫瘍の原因になる、という説を唱える医学者は多くおられます」
http://kotayan.seesaa.net/article/432631976.html
私はR-1を愛飲しているクチなんだけれど・・・。この記事を一刀両断するブログも発見した。
http://www.gohongi-beauty.jp/blog/?p=15441
米フェイスブックは「偽ニュース」対策の導入を発表したというが、こういう記事が掲載された場合、どう判断するのだろうか。
毎日新聞は次のように書いている。ニュースの真偽にフェイスブック自身は関与しないそうだ。
「利用者が偽ニュースと見られる情報を見つけた場合、画面上のボタンを押して報告する。フェイスブックが真偽を判断することは避け、事実確認を行う民間団体や報道機関が加盟する第三者組織に判断を委ねる。この表示がされた記事を読んだり、シェアしたりすることはできるが、シェアする際に警告を出すことで、シェア数は大きく減ると見込んでいる。また、フェイスブック上の広告として使えないようにし、偽ニュースの発信者が収益をあげられないようにする対策も実施する。当面は米国内でのサービスになりそうだ」
http://mainichi.jp/articles/20161216/k00/00e/020/169000c?fm=mnm

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２）【本日の一行情報】

◎レコチョクは携帯電話向けサービス「着うた（R）」と「着うたフル（R）」のサービスを12月15日をもって終了した。サービス開始は2002年。終了までの15年を長いと考えるか、短いと考えるか。雑誌の場合、創刊15年を超えたタイトルはゴロゴロ存在する。
ちなみにレコチョクが発表したニュースリリースにはミスチルの「HANABI」やAKB48の「ヘビーローテーション」など「着うた」で人気のあった全22曲が埋め込まれている。なおスマートフォン、パソコンでのシングル、アルバム、ハイレゾ楽曲の音楽ダウンロードサービス「レコチョク」は引き続き行っていくそうだ。
http://recochoku.jp/corporate/pdf/n_20161213_2.pdf

◎「コージ苑」ではなく「コージジ苑」。徳間書店から相原コージの「コージジ苑第一版」が刊行された。「ジジ」は「時事」であって「爺」ではないよ。
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784197805952
「アサヒ芸能」の連載をまとめたものだ。

◎徳間書店では契約社員を募集している。月給25万円以上（未経験者は月給20万円以上）という条件だ。
http://www.tokuma.jp/topicsinfo?tid=12108

◎なんだかんだ言っても年賀状作成本って売れるんだよね。12/19付オリコン週間“本”ランキングの BOOK部門でベストテンのうち5点が年賀状関連本だ。
http://www.oricon.co.jp/news/2083025/full/

◎ロックバンド「ストレイテナー」がマンガ「シャープさんとタニタくん」のテーマソングを作成、来年2月23日発売の「シャープさんとタニタくん」コミックス第2巻で、このテーマソングを収録した特装版も発売する。版元はリブレだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000022435.html
https://libre-inc.co.jp/

◎ブックウォーカーが運営する電子雑誌の定額制読み放題サービス「マガジン☆WALKER 」に「電撃G'sコミック」「コミック電撃だいおうじ」「電撃萌王」など8誌が加わったというけれど、要するにこれはKADOKAWAによるKADOKAWAの定額制読み放題サービスの域を出ていない。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000769.000001227.html

◎米フェイスブックは「偽ニュース」対策の導入を発表した。毎日新聞は次のように書いている。ニュースの真偽にフェイスブック自身は関与しない。
「利用者が偽ニュースと見られる情報を見つけた場合、画面上のボタンを押して報告する。フェイスブックが真偽を判断することは避け、事実確認を行う民間団体や報道機関が加盟する第三者組織に判断を委ねる。この表示がされた記事を読んだり、シェアしたりすることはできるが、シェアする際に警告を出すことで、シェア数は大きく減ると見込んでいる。また、フェイスブック上の広告として使えないようにし、偽ニュースの発信者が収益をあげられないようにする対策も実施する。当面は米国内でのサービスになりそうだ」
http://mainichi.jp/articles/20161216/k00/00e/020/169000c?fm=mnm

◎2016年本屋大賞を獲得した「羊と鋼の森」（文藝春秋）が映画化されることになった。公開は2018年。今度は文庫で勝負となるのだろう。
http://www.cinematoday.jp/page/N0088349

◎集英社の荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの累計発行部数が、12月19日発売の「ジョジョリオン」14巻の発売をもって1億冊を突破。シリーズの30周年と1億部突破を記念して、アプリ「本屋さんアプリ〜本屋へGO！〜」を使ったキャンペーン「JOJOと本屋さんは引かれ合う」も12月19日より実施する。
全国を6つのブロック【北海道＆東北】【関東】【中部】【近畿】【中国＆四国】【九州＆沖縄】に分け、6つのキャンペーンを展開。参加書店で、アプリを起動すると、そのブロック内の「47都道府県×JOJO」ご当地スタンプ＆スマホ用壁紙を日替わりで配信するというものだ。
http://www.araki-jojo.com/1151/

◎アニメ映画「君の名は。」には学研プラスの「ムー」が登場するんだって！新海誠監督は小中学生のときに「ムー」の愛読者だった。「ムー」1月号には新海監督のインタビューが掲載されている。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/15/gakkenmu_n_13644700.html

◎講談社の「モーニング」とコラボして「終電ちゃん」の特別編を掲載した「JTB時刻表」の大内学編集長は同誌の９１年の歴史で史上最年少で編集長に就任した。報知新聞によればコラボのきっかけは「終電ちゃん」の作者が過去の終電時刻を知りたくて「JTB時刻表」の編集部に電話をかけてきたことだったそうだ。
http://www.hochi.co.jp/topics/serial/CO019592/20161214-OHT1T50169.html

◎「2016年　文藝春秋電子書籍ベスト10 」が発表された。
１位「コンビニ人間」（村田沙耶香）
２位「火花」（又吉直樹）
３位「羊と鋼の森」（宮下奈都）
４位「この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう」（池上彰）
５位「文春e-Books　あと100円でもう一品！　楽天レシピ　節約お料理ベスト100」（文藝春秋・編）
６位「文春e-Books　週刊文春が報じた　ジャニーズ女帝メリー喜多川　怒りの独白５時間」（週刊文春編集部・編）
https://www.atpress.ne.jp/news/118008

◎電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、インドでUI（ユーザーインターフェイス）/UX（ユーザーエクスペリエンス）領域のサービスを提供する「Fractal Ink Design Studio Private Limited」（フラクタル社）の株式100%を取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016149-1216.pdf
電通イージス・ネットワークはどこまで世界の広告会社を買い続けるのだろうか。電通は汐留本社ビルを売却してまでも買収を続行することになるのだろうか。

◎「ブックリスタ年間ランキング2016」が発表された。
1位：「進撃の巨人 19巻」諫山創（講談社）
2位：「進撃の巨人 20巻」諫山創（講談社）
3位：「火花」又吉直樹（文藝春秋）
4位：「あと100円でもう一品！楽天レシピ節約お料理ベスト100【文春e-Books】」文藝春秋・編（文藝春秋）
5位：「キングダム 41」原泰久（集英社）
6位：「善悪の屑（1）」渡邊ダイスケ（少年画報社）
7位：「キングダム 40」原泰久（集英社）
8位：「ダンジョン飯 3巻」九井諒子（KADOKAWA / エンターブレイン）
9位：「キングダム 42」原泰久（集英社）
10位：「天に恋う8」望月桜、梨千子（宙出版）
https://www.booklista.co.jp/ranking2016/

◎講談社は「サイボーグクロちゃん」を電子書籍化するとともに同作のアニメ全話を「ボンボンＴＶ」で12月16日から2017年1月9日までの期間、無料配信する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001195.000001719.html

◎イオングループの未来屋書店は、同書店が運営する本の通販サイト「mibon本の通販」において、ネット注文品を全国約340 店舗の未来屋書店直営店舗で受取ることができるサービス「mibon 本の通販店頭受取」を12月15日（木）より開始した。
http://www.dreamnews.jp/press/0000144435/

◎ロフトは、ジュピターテレコム、エニー、「アクトオンＴＶ◆大人の趣味とライフスタイル」を運営するジュピタービジュアルコミュニケーションズ、小学館の美容雑誌「美的」と連携し、2017年1月から毎月テーマを掲げ、ご当地コスメを全国に紹介するプロジェクトをスタートした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000018324.html

◎ベッキーがLINEのCMに出演。「ゲス不倫」はLINEを舞台にしていただけにスポーツ新聞で話題になるのは当然だ。そういう計算がLINEにはあったに違いない。
「１月にロックバンド『ゲスの極み乙女。』の川谷絵音（２８）との不倫を報じた『週刊文春』で２人のＬＩＮＥのやりとりが暴露された因縁のアプリだが、自虐発言を連発して沸かせた」（スポーツ報知）
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20161216-OHT1T50038.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161215-00000068-dal-ent

◎「週刊文春」の記事「『中国猛毒米』偽装　イオンの大罪を暴く」は名誉棄損にあたるとして東京地裁は文藝春秋に約2500万円の賠償を命じた。この金額の大きさに驚いた出版関係者は多いのではないだろうか。
http://mainichi.jp/articles/20161217/k00/00m/040/070000c

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３）【深夜の誌人語録】

志は高ければ高いほど良いが、頭や腰は低ければ低いほど良い。