【文徒】2017年(平成29)年4月5日(第5巻63号・通巻992号)

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1)【記事】スマートゲートが「HOLLOM」を立ち上げた
2)【記事】中野翠の書下ろし「あのころ、早稲田で」が読みたい!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】スマートゲートが「HOLLOM」を立ち上げた

スマートゲートは、出版物のコンテンツを活かし、悩める女性のための、「美容」「ライフスタイル」「ダイエット」「体の悩み」「恋愛」にかかわる良質な情報を配信するウエブサイト「HOLLOM」(ハロム)をリリースした。「WEB 上で出版物との偶然の出会い」を提供してくれるそうだ。
立ち上げと同時に参画に名乗りを上げた出版社はSB クリエイティブ、アルファポリスイースト・プレス、かんき出版、クロスメディア・パブリッシング、オーバーラップ、サンクチュアリ・パブリッシング、ジー・ビー、すばる舎ディスカヴァー・トゥエンティワン、マガジンハウス、ワニブックス、合同フォレスト、学研ホールディングス、宝島社、廣済堂出版主婦と生活社自由国民社辰巳出版、水王舎、河出書房新社、現代書林、三和書籍、飛鳥新社といったところ。
主婦の友社朝日新聞出版、光文社、小学館KADOKAWAが今後、参画する予定だそうだ。
http://www.smartgate.jp/pdf/press20170402.pdf
要するに書籍の内容が一部読めるサービスである。「ITmediaNEWS」は「“本の中身”ネットで無料公開「HALLOM」誕生 宝島社やマガジンハウスら29社参加 その勝算は」を掲載し、次のように書いている。
「記事はただ転載するのではなく、独自のタイトルや目次を付与。スマートフォンでもページ全体の内容を一目で理解しやすいよう工夫している。記事下には、元となった書籍の販売ページへのリンクを設置。無料の記事で興味を持ったユーザーが、購入して続きを読めるようになっている」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/03/news049.html
スマートゲートは「日本を代表するコンテンツ商社になる」のが目標のようである。本社は猿楽町。スタートアップに「誇大妄想」は欠かせまい。
http://www.smartgate.jp/index.html#top_service
ただし、だ。もし私が版元の担当者であれば、参画しないことだろう。一口に言ってしまえば発想が古いのだ。そういう意味でスマートゲートは、まさしく出版業界の住人であろう。講談社の「じぶん書店」程度には頭を使った企画でありたいものである。

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2)【記事】中野翠の書下ろし「あのころ、早稲田で」が読みたい!

これは発売が楽しみだ。中野翠文藝春秋から上梓する「あのころ、早稲田で」は書下ろしだそうだ。宝島社社長・蓮見清一が「いきなりオルグしてきた『粋な顔立ち』の革マル派トップ」として登場する。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163906300
亡くなってしまったが洋泉社社長の石井慎二に蓮見は九段高校時代にオルグされたと言われている。
「そこで5月の連休があけたときに、校舎の端っこにあった出版委員会の部室に入っていって入部の旨を告げた。『おお、そうか、ここはおもしろいぞ。思い切ってやれよ』と言ったのが、そのとき以来ずっとぼくをかわいがってくれた山田勝利さんである。その1年上に、のちに『宝島』JICC出版をつくった鈴木(石井)慎二さんがいた。慎二さんとはその後も早稲田大学新聞会の先輩としてつきあうことになる」
「ぼくは九段高校時代に新聞部(出版委員会)の先輩だった鈴木慎二(のちに『宝島』をおこした石井慎二)に誘われて、なんと入学以前から早稲田大学新聞会に入っていて、そこが革マル派の巣窟のひとつだということを、ずっとあとから知らされた。時に『日韓闘争』とよばれる闘争の季節の渦中にあったころである」
「…実は朝倉喬司はぼくの大学時代の仲間の一人である」
これらは松岡正剛の、すべて「千夜千冊」から引用した文章である。
http://1000ya.isis.ne.jp/0507.html
https://1000ya.isis.ne.jp/0789.html
http://1000ya.isis.ne.jp/0810.html
松岡は石井や朝倉の名前を出しながら、何故に蓮見の名前を出さなかったのだろうか?
蓮見と石井は「週刊現代」で記者をつとめるが、「週刊ポスト」創刊に際して移籍したのは蓮見ひとりであった。石井も誘われていたが、二人は相談の上で、蓮見は「週刊ポスト」に移り、石井は「週刊現代」に残ると決めたという。
平岡正明らと合流していた朝倉喬司も「週刊現代」で記者をつとめることになる。

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3)【本日の一行情報】

電通のテレビの実視聴ログに基づくデジタル広告配信・効果検証の統合マーケティングプラットフォームである「STADIA」(スタジア)は、広告配信先をGoogleなどが提供するDSP(デマンドサイドプラットフォーム)に加え、FacebookTwitterYahoo! JAPANといったデジタルプラットフォーマーとの連携により、拡充した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017045-0331.pdf

電通は、米国100%子会社のDentsu Entertainment USA, Inc.を通じ、カプコンの人気ゲーム「ロックマン」(海外名称「MEGA MAN」)を原作としたアニメーションの制作を開始した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017046-0403.pdf

電通は、"人の気持ちをデザイン"することで、社会やビジネスの課題を解決するといった、コミュニケーション・ビジネスの可能性を模索するため、刻キタル(トキキタル)と資本業務提携することで合意した。3月末日付で電通を退社したトップ・クリエーターたちが刻キタルに新たに加わる。簡単に言えば電通岸勇希が独立し、これを電通が支援することになったということだ。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017048-0403.pdf

てるみくらぶをクライアントとしていたデナリ・エージェンシーがグループ外での連鎖倒産第一号となってしまった。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20170331_05.html

◎NR出版会の新泉社を発売元とした「書店員の仕事」は、良い仕事である。大手であろうが中小零細であろうが、出版社で営業に関わる者にとって必読書である。
ラッセルは言った。世界を変える思想は確率的に一番低いのだと。今の本屋は確率的に低い順から考えもなく返品してしまうのだ」
東京堂書店の佐野衛の言である。佐野は2010年に東京堂書店を退職する。
http://www.shinsensha.com/detail_html/01zinbun/1700-2.html

◎「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」が講談社から創刊された。テレビCMの出来は、遠藤憲一のやつはgood。
https://www.youtube.com/watch?v=G3e6lkXbboA
https://www.youtube.com/watch?v=Zq9ZlD_D-ts
こっちのCMの出来は×。
https://www.youtube.com/watch?v=xl0XenZSTU8
こういうことはハッキリさせておいたほうが良いのである。

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4)【深夜の誌人語録】

敗北に馴れてしまうことが本当の敗北である。