【文徒】2017年(平成29)年4月6日(第5巻64号・通巻993号)

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1)【記事】CCCが出版社を買収する理由
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】CCCが出版社を買収する理由

徳間書店の「月刊COMICリュウ」に連載されている今井哲也の「アリスと蔵六」のテレビアニメの放送が始まった。初回は1時間スペシャルとして放映された。
http://www.alicetozouroku.com/
スピンオフ作品「ワンダれ!!アリスと蔵六学園」(原作:今井哲也 漫画:雪本愁二)の配信も始まった。
http://www.alicetozouroku.com/special/spinoff_comics/
Blu-ray Box【特装限定版・全2巻】とBlu-ray[通常版・全6巻]が7月28日(金)より発売が開始される。
http://www.alicetozouroku.com/products/db_dvd/
CCCにとって、こういう徳間書店は魅力的であろう。実は4月20日にオープンする大型商業ビル「GINZA SIX」にCCCが出店する蔦屋書店はアートをテーマにしている。「美術手帖」を擁する美術出版社を買収し傘下に収めたことを生かしての出店である。言うまでもなく「ニューズウィーク日本版」「フィガロジャポン」「ペン」を擁するCCCメディアハウスは、CCCが阪急コミュニケーションズを買収して傘下に収めた出版社である。
次々に出版社を傘下に収めているCCCの狙いは製造小売業(SPA)の実現であろう。そうすることが書店として優位性を発揮することである。
レンタルビジネスで成長を遂げて来たCCCだが、実は売上の主力を担っているのは「書店」の部分なのである。「東洋経済ONLINE」に掲載され「TSUTAYAが不振出版社を買い続ける狙い」で杉本りうこは次のように書いている。
「CCCの業績は近年、極めて好調だ。直近の2016年3月期は売上高2392億円、営業利益117億円と増収増益。2017年3月期決算はまだ開示されていないが、CCC関係者によるとやはり増収増益だったようだ。
背景にあるのは書店事業の成長だ。TSUTAYAを中心とするCCC系列の新刊販売書店は2016年末時点で全国に812店を数え、書籍・雑誌販売額は1308億円に上る。過去10年間で店舗数は1.6倍、販売額は1.7倍に伸びており、書店チェーンとしては紀伊國屋書店(売上高は2016年8月期で1059億円)を上回る国内最大手となっている」
http://toyokeizai.net/articles/-/166250

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2)【本日の一行情報】

◎フジテレビにアナウンサーとして入社した久慈暁子集英社女性誌「ノンノ」の元専属モデルだった。
https://mdpr.jp/news/detail/1676221

翔泳社は、同社が運営する通販サイト「SEshop.com」でPDF版電子書籍109点を一挙リリースした。SEshopで販売しているPDF版電子書籍は、コピーガードの機能を付加していないDRMフリーの電子書籍であり、個人としての利用の範囲内であれば、コピーも可能である。
http://www.shoeisha.co.jp/press/detail/343
https://www.seshop.com/campaign/ebook/release_201704

◎一般読者からの投票も募る大宅壮一ノンフィクション賞の書籍部門の候補作に文藝春秋を版元とする作品が選ばれなかった。今回は大崎善生の「いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件」(KADOKAWA)が本命ではないだろうか。出来からすれば「狂う人」なんだろうけれど、「散るぞ悲しき」で既に受賞しているからね。
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/ohya/index.html

KADOKAWA電子書籍の新レーベル「角川ebook」「角川ebooknf」を単行本と文庫本の間に存在するレーベルという位置づけで創刊した。「角川ebook」は文芸、「角川ebooknf」はノンフィクション。毎月20点ずつ配信される。
http://promo.kadokawa.co.jp/kadokawaebook/

◎「デジタル革命が進むなか、米欧で紙の書籍が復活の兆しを見せている」と日経。日本も欧米のように紙が復活の兆しを見せるのかといえば、私などは懐疑的である。日本の場合、電子マンガがあるから、欧米のようにはなるまい。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO14807950R00C17A4EA4000/

今村雅弘復興相が会見で記者の質問にキレてしまい「出て行きなさい」「うるさい」と声を荒げた。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/04/minister-apologises_n_15804524.html
質問した記者が大新聞の記者ではなくフリーランサーだったこともあって今村は激高したのではないか。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamaguchikazuomi/20170405-00069564/
質問したフリーランスの記者は西中誠一郎だった。「週刊金曜日」ではお馴染みの記者である。
https://twitter.com/hamemen/status/849198577507123200
結局、今村大臣は感情的になってしまったことを詫びた。
http://www.sankei.com/politics/news/170404/plt1704040041-n1.html

幻冬舎は子会社である幻冬舎メディアコンサルティングのWEBマーケティング部門を分社化し、新会社「幻冬舎ウェブマ」を4月1日付で設立した。「幻冬舎ウェブマ」は、企業の売上アップを目的とした出版社発のWEBコンサルティング会社として、コンテンツマーケティングをはじめ、WEB領域に特化したサービスを提供するそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000261.000007254.html

◎マンガ家の赤松健が運営する電子書籍プラットフォーム「マンガ図書館Z」は、海賊版であっても広告によって権利者への利益を発生させて還元するという「電子書籍YouTube」機能を4月から本格的にリリースした。
http://kai-you.net/article/40117
https://www.mangaz.com/

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、米国の有力デジタルパフォーマンスマーケティング会社「Leapfrog Direct Response LLC」(リープフロッグ社)の株式100%を取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017049-0404.pdf

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3)【深夜の誌人語録】

癒着を友情と錯覚してはならない。