【文徒】2017年(平成29)年4月12日(第5巻68号・通巻997号)

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1)【記事】雑誌情況への提言・雑誌広告ビジネスが変わった!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言・雑誌広告ビジネスが変わった!

客 雑誌の魅力は読者にとって安価なことである。雑誌は広告収入を得ることで読者に安価で提供できるということだよね。大手の広告会社の雑誌広告の売上を見ていると、これが減りつづけている。
主 広告がデジタルシフトしているんだよね。雑誌に広告を投下するよりも、インターネットを使うという広告主が増えた。一昔前だと女性誌、女性ファッション誌の後ろの方は美容整形の広告がズラリと並んでいた。これが今はないでしょ。通販通教関係の広告主もデジタルにシフトしていった。広告主のグローバルシフトも雑誌広告に打撃を与えている。
客 グローバルブランドの出稿が日本を飛び越えて中国に向かう傾向も否定できない。
主 加えて少子化の影響によって、ブランドが減少しているということも痛い。アパレルなんかに典型だけれど、これまで4ブランドだったものを2ブランドに絞るということも起きている。雑誌と広告の関係で言うと、全盛期は「広く浅く」だったと思うんだけれど、これからは「狭く深く」というスタンスが求められるんじゃないのだろうか。
客 徳間書店で「LARME」を成功させた中郡暖菜なんか「時代の子」だと思うなあ。
主 今度、中郡は光文社で「JJbis」を隔月刊で復刊させるんだよね。「狭く深く」という関係を築くには月刊じゃない刊行ペースほうが良いとオレなんか考えているんだよ。
客 隔月刊や季刊のススメだね。

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2)【本日の一行情報】

山陽放送岡山県備前市長選で落選することになった現職をテレビの字幕で「再選確実」と誤報してしまった。毎日新聞は次のように書いている。
山陽放送は取材に『出口調査の結果などで再選確実と判断した』と説明。同日夜のニュースで正しい結果を報じるとともに、当選者を間違えたことを謝罪した」
https://mainichi.jp/articles/20170410/k00/00m/040/066000c
158票の僅差で明暗をわけるほど伯仲した選挙において出口調査を過信すると、こうした誤報が生まれるのである。

◎「THE世界大学ランキング 日本版2017」が発表された。1位「東京大学」、2位「東北大学」、3位「京都大学」、4位「名古屋大学」、5位「東京工業大学」、6位「大阪大学」、7位「九州大学」、8位「北海道大学」、9位「筑波大学」、10位「早稲田大学」、11位「慶応大学」、12位「広島大学」…。
https://japanuniversityrankings.jp/rankings/total-ranking/
http://benesse.jp/kyouiku/201704/20170410-2.html
国立大学が上位を独占。わが母校は55位。

◎新潮社から刊行される又吉直樹の新作「劇場」の初版が30万部に決定した。同作を掲載した文芸誌「新潮」は5万部を10日で完売したことを踏まえての決定だそうだ。この30万部という数字は新潮社にとって歴代2位だという。1位は村上春樹の「騎士団長殺し 第1部/第2部」と「1Q84 BOOK3」の50万部とのこと。
http://www.sankei.com/life/news/170410/lif1704100016-n1.html
今年は歴代1位と2位が揃うということである。

集英社のデジタル書店「マーガレット BOOK ストア!」で白泉社の少女マンガが、白泉社のデジタル書店「白泉社 e-net!」で集英社の少女マンガが、それぞれ購入可能になった。これは便利な話である。
http://www.oricon.co.jp/news/2088961/full/
集英社白泉社のタッグは強力だとは思うけれど、「ORICON NEWS」が出版社の垣根を越えてとまで書くのは、いくら何でも大袈裟でしょ。白泉社集英社の子会社だもの。

◎学研プラスとブックビヨンドは、月刊誌「アニメディア」の電子版の配信を4月10日発売5月号より開始した。
http://www.jiji.com/jc/article?k=000000318.000009949&g=prt

◎「週刊現代」(講談社)の報道によれば、フジテレビの次期社長は遠藤龍之介専務取締役に内定したそうだが、フジテレビの社長が誰になろうとも低迷から脱出できるとは思えない。問題なのはフジ・メディア・ホールディングス代表取締役会長として日枝久が君臨しつづけることではないだろうか。遠藤は遠藤周作のひとり息子である。
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18651.html

加藤典洋の連続ツイートは読んでおきたい。
「昨日、NHKのNC9はシリアの民衆の困難、悲惨、悲劇ぶり、またサリンでもがき苦しむ赤ん坊の映像を、流した。しかし『おかしい』ではないか。シリアの惨状など、ここ数年、ほぼ無関心のままに来たのに。国内の災害でも、このところ遺体の映像は極力、写さないできたのに」
https://twitter.com/ten_kato/status/851641106441805824
「〈批判〉がないと、〈解説〉は批判されるべき違法な行為を『理解』する糸口となり『容認』への抜け道を開く。〈報道〉が垂れ流し映像で人を動かし、その『容認』を『支持』へと誘導する水路となり、そしてその操作性を隠してしまう。時には目を閉じ、耳を塞ぎ、考えよう」
https://twitter.com/ten_kato/status/851641312231145472

講談社が刊行した乃木坂46白石麻衣のセカンド写真集「パスポート」が、5度目の重版が決まり、6刷りとなり、累計発行部数は20万部を突破した。
http://www.oricon.co.jp/news/2088952/full/

マイケル・オンダーチェの「ビリー・ザ・キッド全仕事」(白水社)はビリー・ザ・キッドの21歳の生涯を詩、挿話、写真、架空のインタビューなどを駆使しながら再構成している、言わば「文学の実験」を試みている。
http://www.hakusuisha.co.jp/book/b281856.html
サム・ペキンパーの「ビリー・ザ・キッド 21才の生涯」を無性に見たくなった。ノーベル文学賞を獲得したボブ・ディランが出演している。
http://amzn.to/2om2xGA

◎「relax」(マガジンハウス)の編集長として異才を発揮した岡本仁が「東京ひとり歩き ぼくの東京地図」を京阪神エルマガジンから刊行する。岡本のトークショーが誠光社(京都市上京区)で開催される。
http://www.seikosha-books.com/event/2273

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3)【深夜の誌人語録】

誰もが反対できないような物言いであればあるほど疑ってかかるべきである。